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六
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国民たちの歓声が上がる。
裏通りも人がごった返し、結局城までたどり着く前に辻馬車の御者からこれ以上は進めないと、馬車から降ろされてしまった。
御者本人も早くパレードの列に混ざりたいようで、近くに馬を繋ぎ、大通りに目を向けていた。
「私がいなければ、始まらないのに」
何処も混雑し、城へ向かうことができない。
一際、歓声が上がる。
アルゼンは周囲の煩さに耳を塞いだ。
「陛下!」
「王妃殿下ー!」
屋根のない馬車で手を振る両親を見た。
「父う、」
「、あれは、」
隣りに居た側近が、陛下の後ろにいる人物を見て驚愕する。
「グレアン殿下!」
「王太子様ー!おめでとうー!」
ニドリアラの肩を抱いて手を振る兄がいる。
「なんで…その場所は…」
アルゼンがいるべき場所。
昨日のような護衛騎士の格好ではない。
王族の衣装を纏い、昨日の壇上のアルゼンと立場が逆転したようだった。
「公女様との婚約が決まったってー」
「これから公国との流通も増えるのかね!」
「公国から嫁取りする位だからそうだろうな!」
嬉しそうな周囲の声などアルゼンには聞こえていない。
ずっと疑問符だけが頭をぐるぐると回っていた。
アルゼンが帰城する頃にはすっかりは落ちていた。
パレードが終わったあとも、祭りのような騒ぎのせいで、城への道に規制がかかっていた。
王子の顔を知る近衛騎士に出会うまで、何度説明しても通してもらえず足止めを食っていたからだった。
アルゼンは晩餐をしていた両親の元に飛び込んだ。
「父上!母上!一体何故!!」
「あらお帰りなさい。アルゼン。どうしたの。大きな声を出して」
母である王妃はのんびりと息子に目を向けた。
「どうしたもこうしたもありません!なんで兄上が王太子になっているのですか!昔から私がそうだと言い聞かされてきたのに!!」
アルゼンは肩を怒らせ顔を真っ赤にして訴えた。
「…?だって貴方好きな子が出来たのでしょう?」
「それは、そうですが…今は関係ないでしょう!」
「ニドリアラ公女と結婚する相手が王太子、しいては国王になるのだから、関係なくはないと思うけれど…」
「は…?なんですか、それ…」
裏通りも人がごった返し、結局城までたどり着く前に辻馬車の御者からこれ以上は進めないと、馬車から降ろされてしまった。
御者本人も早くパレードの列に混ざりたいようで、近くに馬を繋ぎ、大通りに目を向けていた。
「私がいなければ、始まらないのに」
何処も混雑し、城へ向かうことができない。
一際、歓声が上がる。
アルゼンは周囲の煩さに耳を塞いだ。
「陛下!」
「王妃殿下ー!」
屋根のない馬車で手を振る両親を見た。
「父う、」
「、あれは、」
隣りに居た側近が、陛下の後ろにいる人物を見て驚愕する。
「グレアン殿下!」
「王太子様ー!おめでとうー!」
ニドリアラの肩を抱いて手を振る兄がいる。
「なんで…その場所は…」
アルゼンがいるべき場所。
昨日のような護衛騎士の格好ではない。
王族の衣装を纏い、昨日の壇上のアルゼンと立場が逆転したようだった。
「公女様との婚約が決まったってー」
「これから公国との流通も増えるのかね!」
「公国から嫁取りする位だからそうだろうな!」
嬉しそうな周囲の声などアルゼンには聞こえていない。
ずっと疑問符だけが頭をぐるぐると回っていた。
アルゼンが帰城する頃にはすっかりは落ちていた。
パレードが終わったあとも、祭りのような騒ぎのせいで、城への道に規制がかかっていた。
王子の顔を知る近衛騎士に出会うまで、何度説明しても通してもらえず足止めを食っていたからだった。
アルゼンは晩餐をしていた両親の元に飛び込んだ。
「父上!母上!一体何故!!」
「あらお帰りなさい。アルゼン。どうしたの。大きな声を出して」
母である王妃はのんびりと息子に目を向けた。
「どうしたもこうしたもありません!なんで兄上が王太子になっているのですか!昔から私がそうだと言い聞かされてきたのに!!」
アルゼンは肩を怒らせ顔を真っ赤にして訴えた。
「…?だって貴方好きな子が出来たのでしょう?」
「それは、そうですが…今は関係ないでしょう!」
「ニドリアラ公女と結婚する相手が王太子、しいては国王になるのだから、関係なくはないと思うけれど…」
「は…?なんですか、それ…」
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