両親は妹だけを可愛がる。

基本二度寝

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「っ…」

侯爵子息は言葉もなかった。
エリエルがあの家でどのように扱われているか。
知らなかった。
知らなかったが、想像はできた。

「でも、当主の血筋の子は君だけだ…父を思いやる心があるなら、助けたいだろう?」

「思いやり?」

エリエルは首を傾げた。

「それは、食べ物が何かですか?」
「エリエルそんな冗談は面白くも、」
「私は今までそれを教えてもらったことがありません」

馬鹿ではないから本で得た知識はある。
だが知識は知識だ。
気持ちの問題はエリエルには難解な問題だった。

「…人の気持ちを察して配慮することだよ」
「なるほど。貴方はそれをお持ちなのですか?」
「もちろん、あたりまえじゃないか。だから今もこうやって不憫な伯爵家当主に代わって願い出たのだよ」
「婚約相手をエクシルに変更したいと申し出たときも、ソレはお持ちだったのですか?」

エリエルは表情を変えなかった。
責めているのではない。
ただ質問しているだけだ。

「…それは、…」
「今現在、打ちひしがれているエクシルに寄り添うこともないようですが、そのオモイヤリとやらは発動されているのでしょうか?」
「…っ」

子息は思い出したようにエクシルを見た。
美しい顔は何時もより白かった。

「エクシル…」
「…思いやりとは、難解なものですね」

エリエルは馬鹿にしたように子息を嘲笑わらった。

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