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第8話 勇者

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ある休日の事、サタンとシュキルが慌ただしかった。
「どうした?2人して。」
「大変です!ハルトさん!勇者が近くに来ます!」
「え?でも、確か勇者の反応って分からないんじゃなかったですっけ?」
「近くに来ればその人特有の反応は分かるんだ!」
「で、正確には勇者になってる人の反応って事か」
兎に角落ち着けっと言おうとした時、チャイムが鳴り響いた。
「悪い、ちょっと待っててな」
「ばばばばばか、勇者かもしれないだろ」
「2人は隠れてればいいだろ?」
そう言い、玄関のドアを開ける。
「やっほー。抜き打ちで遊びに来たよー」
ツインテールの赤髪の少女が爽やかな笑みでそこにいた。
彩美あやみか。せめて、なんか言ってくれよ」
「それじゃぁ、抜き打ちの意味ないじゃんー」
「じゃあ、お邪魔しますー」
「っと、待って。今さ、汚いから5分待ってて」
「大丈夫大丈夫。いつもの事でしょー」
「あっ、バッ」
ズカズカと居間に行ってしまった。
そしてすぐ様。
「嘘ーっ!なんで2人がいるの??」
どうやら見つかったらしい。
自分も居間に行くと、シュキルがサタンを守る様に彩美の前に立っていた。
「お互いの反応からして、彩美。お前勇者なのか?」
「そうそう!今日はその話をしに来たんだけどね。あ、安心して。こっちの世界で戦うつもりないよぉー」
いつもと変わらぬ調子で彩美は話す。
「油断は禁物です!」
「じゃあ、2人は魔界に逃げればいいんじゃ?」
「逃げるなど言語道断。背を向ける訳にはいきません」
「とりあえず2人とも座ってくれ。」
ぐぬぬとしながらもしぶしぶ座ってくれた。
「で、お前は何で家に来たって?」
「そうなの!私異世界召喚されちゃってさ!」
「それで?」
「勇者になって魔王討伐してくれって言われたのね!最初断ってたんだけどさ」
「うん」
「なんか、力を使えるアイテム貰えるって言われて即オッケーした」
「ドヤ顔するな」
「でね、でね!全然自分の世界にも戻れるし、呼ぶ時はアイテムで知らせてくれるんだ」
アイテム最強だな・・・・
「で、最近落ち着いてるなぁって思ってたら魔王サタンと部下のサキュバスがいてびっくりしたの!」
「ん?彩美はサキュバスって分かるのか?」
「うん。向こうじゃ有名だよ?サタンの右腕の変幻自在のサキュバスって」
「バレてるなら意味なくね?」
「ですね」
その後シュキルは、男性姿に戻った。
「こんな面白い事ないじゃん?折角ならサタン達とも話してみたかったし」
「だそうだ。」
「向こうでは勇者だから敵対するけど、こっちでまで戦う理由は私にないしね」
「よく分かりました。一先ず害はないと判断致しました」
「いいのか?勇者だぞ?貴様が認めようが何だろうと俺は認めん」
「サタン様。こちらから敵対行動しない限りはこの世界にいる間は大丈夫です」
「・・・・分かった。だが!認めた訳ではないからな!」
彩美に指を指し、睨みつける。
「おっけー!じゃあ、話まとまったし次はそっちの話も聞きたい!話してー。」

こうして、こちらの出会いの話をした。

「呪いってまだついてるの?」
「完全に話すまで忘れてた」
「俺も付けた事を忘れていた」
「私はずっと知っていましたが」
「もう、必要ないんじゃない?だって、ずっといるみたいだし。晴人も慣れてるじゃん?」
「ま、この際もう暫く付けておく」
「いや、この流れは取る方じゃ」
「サタン様が決めた事なら」

結局、呪いは付いたままになった。
夕方頃に彩美は帰っていった。
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