不夜城レスタのわがまま姫と受難門番

繭墨くろむ

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落ちこぼれ騎士と求人票(プロローグ)

落ちこぼれ騎士、帰宅する。

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 「はあ!?転職!?どこに?ゴミ掃除?」
 家に帰るなり「クビかな??」と煽ってきた姉のマリアが、俺が「転職する」と言うなり騒ぎだす。
 もう夜も遅いのに相変わらず元気だった。

 それにしてもゴミ掃除だなんて、我が姉ながらなんとも失礼だ。
 俺は背負ったバックに大事にしまった求人を取り出して見せる。
 彼女はそれを読むとなんとも言えない表情で言い放った。

 「・・・・・・怪しくない?」
 こてりと首を傾げて、険しい表情になる。


 俺もそう思う。

 「こんな条件で、しかも全員採用なんて・・・・・・よっぽど大きな仕事があるのかな」

 マリアはしばらく黙った後、まぁいいかと手を叩く。
 「こんなチャンス滅多にないんだし、頑張りなよ?」
 「もちろん。俺がレスタで働けるなんて奇跡みたいなものだからね」
 「わかってるならよろしい」

 自分で言っておいてなんだがちょっとイラっとする・・・・・・。

 「お、お前・・・・・・。俺を差し置いて上に行っちまうのか??」
 マリアと話している内に、リビングの方から父が顔を出した。
 後ろからは昔俺が拾ったベビィドレイクもついてくる。

 「差し置いてだなんて大げさな・・・・・・。父さん程ひどい上司にあたらない様に祈るよ」
 「ああ。それだけはちゃんとやっとけよ」

 さすが何年も上司の愚痴を言い続けただけのことはある。その表情からにじみ出る苦労感は相当なものだった。
 
 「クルルルルぅ・・・・・・」

 赤黒いうろこをこすりつけ、太い尻尾で俺の脇腹を叩きながら、ベビィドレイクは可愛らしい声で鳴いた。

 「でも見た目はかわいくなくなっちゃったんだよな」
 拾った時は手のひらサイズだったのに、今やその体長は軽く三メートルを超す。
 まあ、ベビィドレイクという種族名も、通りすがりの鑑定センス持ちに調べてもらった情報だが・・・・・・。

 「もしかしてヘビィの方だったんじゃないだろうな・・・・・・」

 「ありえなくはないよ。最近でも月一ペースで脱皮してるし」

 普通ベビィドレイクは生後3年程度で成長が止まる。そして脱皮も一年に一度くらいだ。
 ・・・・・・お別れ会の準備が必要かもな。

 
 せまい廊下を塞ぐそいつの横を通ってリビングへと向かう。
 母は集会に出ていて居なかったが、そこにはいつもと同じ風景が広がっていた。

 「出発はいつにするの?」
 ちょうど片づけるところだったらしい夕飯を再び並べつつ、マリアは訪ねた。
 
 「レスタの門番に声をかければ、直ぐに面接をして仕事をくれる・・・・・・って書いてある」
 「へぇー、じゃあ明日当たりには行かなきゃね。全員採用とはいえ、定員はあるだろうし」
 「そ、そうだな・・・・・・」

 まさか姉と同じ思考をしていたとは思わなかった。


 その後しばらく話をした後、食事と入浴を済ませて早めに寝る。
 いつも通り窓から見えたレスタの影は、これまではただの憧れだったけれど・・・・・・。


 明日からはそこで働ける。その事実は眠ろうとする俺の意識を揺さぶって、まるで遠足前夜のような懐かしい興奮を与えてくれた。

 「眠れない・・・・・・」
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