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ポロキシビィクラン
プロローグ Great Knight Poloxibi
しおりを挟む太暦1129年戦乱前期、北方の猛者と呼ばれたヴィーレ王国が度重なる戦による疲弊による国力低下とヴィーレ王国諸侯による反乱が切っ掛けにヴィーレ王国は崩壊、数十の国に分裂し群雄割拠するに至った。
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そんな海の波のように荒れ狂う世の中に今では大した国力を持たない「ポロキシビィクラン」という小国がヴィーレ王国崩壊とともに共に成立の産声を挙げた。
ポロキシビィクランの初期の国力は町村12を治めている程度で小国であるがこの国の君主である「ポロキシビィ・カルロストシキ」はヴィーレ王国騎士時代に登用した優秀な部下と蓄積した知略と軍略、圧倒的な個人の武勇によって格下と同格程度の小国を服従、併合、攻略していきポロキシビィクランとしては初の都市「農業都市フランコ」を占領することで中国程度まで成長するが都市フランコを併合したとき「ガンクート・ヴィーレ港湾王国」というかつてのヴィーレ王国一の港湾都市と都市5つ町村36を保有する大国と領地を接することになり中国となった今でも領地拡大を目論むポロキシビィクランとヴィーレの名を残さんとするガンクート・ヴィーレ港湾王国との間で避けられない戦が始まろうとしていた。
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幾つもの小高い丘に生い茂る緑が広がる、所謂「高台」と呼ばれる地形の明朝にてポロキシビィクラン兵3500とガンクート港湾王国兵7300とが激突、乱戦する戦闘が行われていた。そこには漆黒の色をし、洋風ドラゴンの角を象った兜をし特徴的な南蛮甲冑(西洋甲冑と東洋甲冑が融合させた感じ)を着た北方異形と言われた騎士、ポロキシビィ近衛騎士隊1000騎が劣勢かつ乱戦が行われている戦場の最中を突撃し敵部隊を撃破しながら敵本陣へと進んでいた。そしてその騎士隊の最先鋒を行くのは身長195㎝、60㎝の黄金の角を生やした兜を被り1.5mのモーニングスターを持った26の男だった。その顔は兜の影ではっきりと見えないが口角が上がっておりこの戦いを楽しんでいるようだった。
「オラァ!我らポロキシビィクランの強さの底力を見せてやれ!敵本陣まで突貫せよ!続け!」と先ほどの男がモーニングスターを馬上の左右から振り敵兵を撲殺しスプリンクラーの出す水のように敵の返り血を浴びながら獣の吠えるように言う、その風貌は正しくベルセルクや戦神と言うに相応しいが彼らがその者を呼ぶ名は「ヴィーレの大騎士」もしくは「戦神のポロキシビィ」と。
男こと「ポロキシビィ・カルロストシキ」は下級騎士の出でだが16歳の時に従軍した「ジュリアン要塞城防衛戦」で敵騎士の首級15を挙げるというその歳にしては大手柄を挙げた。そのあとは散発的にだが幾らかの功績を挙げ上級騎士への位の昇級が決まった21歳の時、2年前にあった南ツルヘル戦争が終結し領土をすべてヴィーレ王国に併合したしたものの併合した各地で反乱が続出したことで起きた「ツルヘル蜂起」にてポロキシビィ率いる鎮圧軍3200は運悪くツルヘル蜂起隊本隊10000と遭遇し、ポロキシビィは兵損害1487を受けたものの兵数で倍あるツルヘル蜂起隊本隊を壊滅させ、首謀者とその一族郎党の処刑を敢行しその大きな功績がヴィーレ中で話題になりポロキシビィの武勇伝や戦物語が歌人や俳人の間で広まりポロキシビィはヴィーレ王国崩壊を防いだ英雄として祭り上げられ余りある功績から王家から「大騎士」の称号を得る。だが運命とは非情でありツルヘル蜂起との戦いの間にもユーリビル王国とチューリ公国が同盟を組み依然としてヴィーレ王国に攻め込んでおり終わらぬ戦争にヴィーレ王国の疲弊は加速した。
太暦1128年ポロキシビィは23歳の時に従軍したヴィーレ王国がユーリビル王国とチューリ公国との間に起きた決戦「ルグレジヴィの戦い」でなんとか勝利を収めるも度重なる戦争で税が上がり厭戦感情が高まり各地で一揆が続発、旧ツルヘルでも好機とみた人間が再び蜂起しヴィーレ王国から独立、「大ツルヘル共和国」を樹立する。その他はヴィーレ王国に存在したアイアンビリオンという中央集権化を進めていたヴィーレ王家に快く思わない貴族派の人間がそれに乗じて「アイアンビリオン運共同連合国」を樹立、ヴィーレ王国の3分の1の領地が消失し王族の血を引く4貴族「ガンクート」「レイイリ」「フーカン」「モンファルゴ」も王国に対し独立(だが後の群雄割拠の時代でガンクートのみが生き残る)。各地起こる反乱に便乗して独立する者も現れヴィーレ王国は結果として3分の2を消失し自然消滅も時間の問題だった。そしてヴィーレ王国は再び勢力の盛り返しに終始取り組んだが努力虚しく太暦1129年崩壊を迎える、カルロストシキ家は最後まで王家に仕えた忠家ぶりを評価されカルロストシキ家長男であるポロキシビィは前から相思相愛で心惹かれていたヴィーレ王家王妃「エント・ヴィーレ」との結婚が許され王国崩壊後旧ヴィーレ王国の辺境で旗揚げを行い自らの勢力を拡大する覇道を夢見ることとなった。
その頃の周辺の情勢はゴードプリシアム大陸西方地方で圧倒的な浸透率、権力を誇るマクシアム教が大号令「Deus vult」を発動しマクシアム教世界を侵攻する煌煌世界に対してマクシアム連合軍を結成し大戦争の機運が高まり周辺国は戦争を起こしていない。小競り合いがある程度である。
さて場面を戻してポロキシビィクランとガンクート・ヴィーレ港湾王国との戦いに戻ろう。両軍勢は濃霧の中進軍中に遭遇し陣形の形成を待たずに戦闘状態に。一部部隊は乱戦状態になりポロキシビィクランは兵3500の内まともに指揮が出来るのは兵2300程、そこでポロキシビィが採った作戦は相手の兵数がこちらの約二倍という情報を掴んでいたので短期決戦で決着を着けるのを目標に優秀な突破力、攻撃力を有するポロキシビィ近衛騎士隊1000騎で乱戦状態の敵中央を突破し敵後方に周りこみ敵本陣または敵部隊の各個撃滅を目指し残りの歩兵1200で戦線を支えるというものだった。
ポロキシビィクランの歩兵1200が乱戦状態にある前線に到着し乱戦状態の隊列の乱れた味方の後退を支援しつつ乱戦状態で統率の無い敵を槍、ハルバードで刈り取り、味方弓兵がそこに一斉射撃の矢の雨を降らす、だが依然として劣勢である状況に変わりなかった。しばらく時間が経つとポロキシビィクラン歩兵部隊の後方から馬の蹄が響く音が聞こえると何かを察知したのか歩兵部隊を指揮する初老の武将「シューヴェルトン」は前線中央の味方に後退し馬車が5台通れる程の「大路」を作る様に指示し下級騎士2名に例の部隊をそこに誘導するように指示をすると。騎士達は歓喜極まったような声音で「了解」の返事を出す。
それから陣形の変更が完了し中央に大きな穴が開き敵は好機と見てそこに突撃をした、隊列が乱れながら突撃する敵兵の目の前には漆黒の騎兵隊が迫っていた。彼らがあの騎兵隊の正体を認識したとき一部の者は恐慌状態に陥る者らが現れ、一人の将兵が叫んだ「ポロキシビィ近衛騎士隊だ!大騎士ポロキシビィが来るぞ!」と。
だが大路を通ってしまった敵は依然として左右から攻撃を食らっており防御する手段はひたすらにこの「大路」を突き進む他なく、そこにあのポロキシビィ近衛騎士隊が現れたことで彼らは正に袋小路であった。
ポロキシビィ近衛騎士隊が迅速な速さで敵兵と衝突し馬で轢く、ランスで突くなどしてあらゆる手段で敵を刈り取ると前線を支えていたポロキシビィ歩兵部隊が「フラー!フラー!」と大歓声をあげ、ポロキシビィクランの士気は最高潮に達した。
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ポロキシビィ近衛騎士隊は突撃の後、敵本陣と対峙することとなり優先目標を急遽変更し戦闘状態にあった。ポロキシビィは「うおおおおお!」と雄たけびをあげてモーニングスターを振るって敵武将の頭部を粉砕し次に左方向から槍を突いてきた敵の槍を瞬時にかわし間合いを詰め相手の態勢を崩し全身で抑え込み、腰に差した短剣で喉を掻っ切り敵が動かなくなる。そして敵総大将の護衛は全滅し。周辺の敵はポロキシビィ近衛騎士隊が抑え込んだいる敵のみとなった。剣劇の音が聞こえている。
ポロキシビィはモーニングスターを老齢というべき容姿をした敵総大将に指さすようしてに言った。「キリジット・ガンクート・ヴィーレ卿、お久しぶりです。再会したばかりで悪いですが貴方には我々に捕縛されていただきます。」と言った。ガンクート卿は「全くこの儂がおぬしに捕まるとはな、また武勇もあがりおって……あいわかった儂を連れていけ。」
そしてポロキシビィは大きな声で叫んだ「この大騎士ポロキシビィが総大将ガンクート卿を捕縛した!おとなしく降伏すれば総大将の命は助かる!」と。
こうして「クックアラート高台遭遇戦」は両損害ポロキシビィクランは兵3500の内兵2458という大きな損害を受け継戦不可能に、ガンクート港湾王国は兵7300の内兵3067程度の損害を受けるも継戦が可能だが、総大将を含む3名の武将が捕縛されそれどころではなくなった。この戦いはポロキシビィクランの辛勝で幕を閉じた。
そして今後の講和交渉次第で泥沼になるかと思われたこの戦争は終結するのかもしれない。と誰もが思った。
あの事件が起きるまでは
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