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ラバニエル王国編
第37話 ウイスキー販売の打ち合わせ
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私は今朝からの出来事を振り返る。それは商業ギルドでの騒動、ウイスキー製造方法の登録、商業の神様との会話、白の聖女の正体を明かす、ダルタンさんの治療。
「本当に長い1日だった‥‥‥」
「おい奏、ブツブツ言ってないでサッさと歩け!」
「ぐっ、クソ髭もじゃめ‥‥‥‥お、おのれというヤツは‥‥‥‥早く私を解放しろ!」
そんな私は今、街をテクテクと歩いている。その私の左には髭もじゃことエルフィーさんが、そして右にはハゲ頭ことダルタンさんが居る。そしてその2人の手が私の左右の手をしっかりと握っているのだ。3人は仲良しだね?いや、違うね。私を逃がさない為にだ!
冒険者ギルドを出た時は私の前を歩いてた2人。私が隙を見て逃げ出そうとしたら後ろを歩く受付嬢メリーナさんが叫び私を捕まえた。(この裏切り者!お前がたらふく飲んだウイスキーは私が造ったんだぞ!ん?だから逃がさない?これからそのウイスキー販売の打ち合わせをするから?そんなこと知ってるよ!)
そう、実はあれからギルド長室でダルタンさんの目とキズを治してハッピーな雰囲気で話も終わりやっと解放されると思ってた所、私達の前にヒラヒラと数枚の魔法紙が舞い降りてきたの。神様が承認したウイスキー製造方法の複写の魔法紙が。
それを見た髭もじゃとハゲ頭は楽しげな雰囲気から急に真面目な顔になり、2人で見つめ合い頷くと私に振り向きこう言ったの。
「「これから打ち合わせするぞ!」」
その言葉に私は唖然とした。(お前らまだ私を働かせる気か!もう解放しろ!)
「えー、もう私は疲れたよー。今日1日私は頑張ったよね?頑張ったよね?」
私はエルフィーさんとダルタンさんに目を潤ませながら訴えた。(どうだ?幼き少女の潤んだ瞳お願い攻撃の威力は。参ったか!)
そしてその2人は撃沈寸前だ。「どうするのじゃ?」「仕方ない明日にするか」と顔を見合せ話を始めた。それを見て私が勝ちを確信したその時、私は背後からの奇襲を受けた。
「それならカルビーンさんのお宅で打ち合わせをしたらどうですか?もう夕方前の時間です。早めの夕食にして食べながら打ち合わせをすれば奏さんも楽なんじゃないですか?疲れたらそのまま寝ることも出来ますしね」
「「それだ!」」
その意見を聞いて息を合わせて私に振り向き叫ぶ髭もじゃとハゲ頭。そして自分の意見が通って胸を張る受付嬢メリーナさん。
こうして私はカルビーンお爺さんのお家に向かって歩いてるの。(メリーナさん、あなたは何気なく色々やってくれるね?今も私のベルトに紐を結んで後ろを歩いてるけど、それって逃がさない為じゃなく私を動力にして楽して歩こうとしてるよね?思いっきり私に負荷が掛かってるんですけど!!)
そんなこんなで私は3人に囲まれて街をテクテクと歩いている。(はぁ、涙が出るよ‥‥)
「おい、あれ大人買い少女だぞ。今度は両側にゴッツいオッサン引き連れてるぞ。まさか今度はオヤジ狩りか!」
「いやいや、それだけじゃない。後ろに若い女性を紐で縛って連行してるからあれは無差別狩りだな。ぶふっ、お前、ゴツい体してるから狙われるぞ」
「お前こそアゴ髭生やして頭が薄くなってるから2人分の価値があるな!ぐははは!」
(街を歩くと毎回なにか言われてるよね。暇潰しのネタのように。そんなに花売りの子供達を集めて大人買いしたことが目立ったのかな?まあ別にいいけどね)
そしてやっとたどり着いたカルビーンお爺さんの家。エルフィーさんとダルタンさんは我が家のようにズカズカと中に入っていく。仕方なく私もその2人に続いて中に入る。メリーナさんは礼儀正しく「お邪魔します」と頭を下げてちゃんと靴に着いた泥を落としていた。(ぐっ、侮れない女メリーナめ。私もちゃんとやりましょうねっと)
そんな私とメリーナさんは2人並んで玄関にある腰掛けに座り仲良く泥を落としていた。すると台所から聞こえてくる大きな声。どうやらダルタンさんの目が治っている事に気が付いて騒いでいるようだ。
だが私とメリーナさんは気にしない。何故なら私達は侮れない女達だから。(ん?それは関係ないだろって?そうだよ?言って見たかっただけだよ?格好よかった?ふふふ)
その侮れない女こと私とメリーナさんは騒がしい台所へと足を向けた。そして中に入ると抱き付いてくるカルビーンお爺さん。
「奏嬢ちゃん、やっぱり聖女様だったのか!それとダルタンの目を治してくれて感謝するぞ!ほんとにお前はワシらの聖女様、いやもう女神様だ!わはははは!!」
「ふふ、黙っててごめんね。でもダジール女王陛下から喋るなと言われてたから仕方がなかったんだよね」
「奏ちゃん、あなたは素敵で可愛い私達の娘。本当にありがとうね」
そう言って私の後ろから優しく包み込んでくれるのはサーシャさん。私は2人に挟まれ抱かれて心から温もりを感じていた。
それを見ていたエルフィーさんは笑顔で私達に話し掛けてきた。
「ワシはこうしてまた皆で集まって心から笑い合えることが出来て感無量じゃ!さあ、その幸せを与えてくれた奏が造ったウイスキーを販売する打ち合わせを始めるぞ!」
それを聞いたみんなは笑顔で頷きテーブルを囲んで座る。私をお誕生日席に座らせて。
(ふふ、なんか楽しくなってきた!)
「本当に長い1日だった‥‥‥」
「おい奏、ブツブツ言ってないでサッさと歩け!」
「ぐっ、クソ髭もじゃめ‥‥‥‥お、おのれというヤツは‥‥‥‥早く私を解放しろ!」
そんな私は今、街をテクテクと歩いている。その私の左には髭もじゃことエルフィーさんが、そして右にはハゲ頭ことダルタンさんが居る。そしてその2人の手が私の左右の手をしっかりと握っているのだ。3人は仲良しだね?いや、違うね。私を逃がさない為にだ!
冒険者ギルドを出た時は私の前を歩いてた2人。私が隙を見て逃げ出そうとしたら後ろを歩く受付嬢メリーナさんが叫び私を捕まえた。(この裏切り者!お前がたらふく飲んだウイスキーは私が造ったんだぞ!ん?だから逃がさない?これからそのウイスキー販売の打ち合わせをするから?そんなこと知ってるよ!)
そう、実はあれからギルド長室でダルタンさんの目とキズを治してハッピーな雰囲気で話も終わりやっと解放されると思ってた所、私達の前にヒラヒラと数枚の魔法紙が舞い降りてきたの。神様が承認したウイスキー製造方法の複写の魔法紙が。
それを見た髭もじゃとハゲ頭は楽しげな雰囲気から急に真面目な顔になり、2人で見つめ合い頷くと私に振り向きこう言ったの。
「「これから打ち合わせするぞ!」」
その言葉に私は唖然とした。(お前らまだ私を働かせる気か!もう解放しろ!)
「えー、もう私は疲れたよー。今日1日私は頑張ったよね?頑張ったよね?」
私はエルフィーさんとダルタンさんに目を潤ませながら訴えた。(どうだ?幼き少女の潤んだ瞳お願い攻撃の威力は。参ったか!)
そしてその2人は撃沈寸前だ。「どうするのじゃ?」「仕方ない明日にするか」と顔を見合せ話を始めた。それを見て私が勝ちを確信したその時、私は背後からの奇襲を受けた。
「それならカルビーンさんのお宅で打ち合わせをしたらどうですか?もう夕方前の時間です。早めの夕食にして食べながら打ち合わせをすれば奏さんも楽なんじゃないですか?疲れたらそのまま寝ることも出来ますしね」
「「それだ!」」
その意見を聞いて息を合わせて私に振り向き叫ぶ髭もじゃとハゲ頭。そして自分の意見が通って胸を張る受付嬢メリーナさん。
こうして私はカルビーンお爺さんのお家に向かって歩いてるの。(メリーナさん、あなたは何気なく色々やってくれるね?今も私のベルトに紐を結んで後ろを歩いてるけど、それって逃がさない為じゃなく私を動力にして楽して歩こうとしてるよね?思いっきり私に負荷が掛かってるんですけど!!)
そんなこんなで私は3人に囲まれて街をテクテクと歩いている。(はぁ、涙が出るよ‥‥)
「おい、あれ大人買い少女だぞ。今度は両側にゴッツいオッサン引き連れてるぞ。まさか今度はオヤジ狩りか!」
「いやいや、それだけじゃない。後ろに若い女性を紐で縛って連行してるからあれは無差別狩りだな。ぶふっ、お前、ゴツい体してるから狙われるぞ」
「お前こそアゴ髭生やして頭が薄くなってるから2人分の価値があるな!ぐははは!」
(街を歩くと毎回なにか言われてるよね。暇潰しのネタのように。そんなに花売りの子供達を集めて大人買いしたことが目立ったのかな?まあ別にいいけどね)
そしてやっとたどり着いたカルビーンお爺さんの家。エルフィーさんとダルタンさんは我が家のようにズカズカと中に入っていく。仕方なく私もその2人に続いて中に入る。メリーナさんは礼儀正しく「お邪魔します」と頭を下げてちゃんと靴に着いた泥を落としていた。(ぐっ、侮れない女メリーナめ。私もちゃんとやりましょうねっと)
そんな私とメリーナさんは2人並んで玄関にある腰掛けに座り仲良く泥を落としていた。すると台所から聞こえてくる大きな声。どうやらダルタンさんの目が治っている事に気が付いて騒いでいるようだ。
だが私とメリーナさんは気にしない。何故なら私達は侮れない女達だから。(ん?それは関係ないだろって?そうだよ?言って見たかっただけだよ?格好よかった?ふふふ)
その侮れない女こと私とメリーナさんは騒がしい台所へと足を向けた。そして中に入ると抱き付いてくるカルビーンお爺さん。
「奏嬢ちゃん、やっぱり聖女様だったのか!それとダルタンの目を治してくれて感謝するぞ!ほんとにお前はワシらの聖女様、いやもう女神様だ!わはははは!!」
「ふふ、黙っててごめんね。でもダジール女王陛下から喋るなと言われてたから仕方がなかったんだよね」
「奏ちゃん、あなたは素敵で可愛い私達の娘。本当にありがとうね」
そう言って私の後ろから優しく包み込んでくれるのはサーシャさん。私は2人に挟まれ抱かれて心から温もりを感じていた。
それを見ていたエルフィーさんは笑顔で私達に話し掛けてきた。
「ワシはこうしてまた皆で集まって心から笑い合えることが出来て感無量じゃ!さあ、その幸せを与えてくれた奏が造ったウイスキーを販売する打ち合わせを始めるぞ!」
それを聞いたみんなは笑顔で頷きテーブルを囲んで座る。私をお誕生日席に座らせて。
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