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ラバニエル王国編
第46話 白の聖女でプラス1の聖女
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私は城下町北側を散策し目的の場所へとたどり着いた。そこは古びた大きな教会で私が大きな声で挨拶し、中に入ると約80人ほどの若い男女が何かしらの作業をしていた。そして作業を止めて私に注目している状態で私はニヤリと笑い言ったのさ。
「さあ、治療を始めようか」
その言葉を聞いた約80人居る全ての男女は私の事を少し見つめていたが、なにも言わず作業を再開するのであった。
(ぐぬぬ、格好よく登場したつもりがまさかの不発とは‥‥‥ちょっとだけ恥ずかしい。そして私に迷子かと聞いてきた男の人まで作業に戻ってるー!)
そんな私は誰も気にしてない中をテクテクと歩き教会でよく見かける長椅子に横になって休んでいる女性に声をかけた。
「ねぇ、辛そうだけど大丈夫?」
その女性は長椅子から右手を使って上半身を起こし綺麗なオレンジ色の髪をなびかせながら優しげな目をして私に向かって笑って見せた。でもその笑顔の左半分が無表情だった。
「ふふふ、可愛いお嬢ちゃんね、おはよう。私の名前はカルネよ。私は不治の病で左半身が動かなくなってるの。でもね、右足と右手は動くからみんなのお手伝いしてたんだけど、ちょっと疲れて休んでたの」
(ねぇカルネさん、あなたの病気は麻痺で動かなくなってるのとは違うでしょ?それって飛沫の蓄積で体の細胞がおかしくなってる筈だから痛みがあるでしょ?なんで笑顔で答えるの?なんで作業手伝ってるの?)
「ねぇカルネさん、その病気は痛みがある筈なの。なんで笑顔で居られるの?」
その言葉を聞いたカルネさんは動く右手で私の頭を優しく撫でてくれた。
「そう、あなたの知り合いにも不治の病を患っている人が居るのね。もしかしてご両親とかなのかな?」
そして優しく問い掛けてくれた。そのカルネさんに私は笑顔で答えてあげた。
「ごめんなさい。自己紹介がまだでした。私は麻生奏13歳です。それで不治の病を患ってたのは私の義理のお母さん。でもね、もう治って元気になったの」
そう言って私はカルネさんの側に寄り、耳元に口を近づけて囁いた。
『私が治したの。そしてここからは私とカルネさんだけの秘密にしてね。私は白の聖女。だから今からあなたを治してあげる』
そして私はカルネさんをギュッと抱き締めあの言葉を言った。
「カルネさんの悪いところ全部治して」
そして白い輝きに包まれる私とカルネさん。その光りは僅かな時間。私はそっとカルネさんから正面だけど少し離れた場所に立ち、そして両手を少しだけ広げて言った。
「さあ、今度はカルネさんが立ち上がって私の元まで歩いてギュッと抱き締めて。そして素敵な笑顔をもう一度見せて」
そのカルネさんは体から痛みが消えたことに驚き、そしてまさかと思いながらも左手に力を入れると動く左手を見て涙を流し始めた。それから確かめるようにその左手で顔の左半分をゆっくりと優しく触り状態を確かめていた。
「あ、ああ‥‥永遠に消えないと思っていた体の痛みが無くなってるの。それと見て、左手が自由に動くの。そして一番辛かった顔の左半分も治ってるの‥‥‥‥」
(そうだよね。まだ若くて綺麗なカルネさんだもん。きっと恋人も居るしね)
「さあ早く!両手がだるくなってきたの!」
私は涙を流すカルネさんに向かって駄々をこねる子供のように体を少し上下に揺らして催促した。
「ふふ、ごめんね。今から行くわ」
そしてカルネさんは側にお置いてあった杖を一度見てから小さく深呼吸すると、長椅子からゆっくりと立ち上がり私に向かって歩き始めた。そうなると作業をしていた周りの人達も気がついてくるのは当たり前だ。
「お、おい‥‥‥カルネが杖も持たずに歩いてるぞ!左足もちゃんと動いてる!」
「ほ、ほんとだ!凄いぞカルネ。まさか不治の病が治ったのか!」
「ああ!まさかこんな奇跡が起きるなんて‥‥」
その周りに居たみんなは思ったことを叫びもう大興奮だ。でもまだ不安なのか歩くカルネさんに近づく人は居ない。そしてみんなが見守るなか私に向かって一歩そしてまた一歩と近付いて来るカルネさん。それから私の前まで来ると素敵な笑顔を見せ、そして私をギュッと抱き締めてくれた。
「「「うおーー!!」」」
そして起こる大歓声。周りの人達は誰構わず抱き締め喜び泣いていた。そして私の耳元で囁くカルネさん。
『ありがとう、白の聖女様。私はあなたに救われました』
それから私とカルネさんは周りの人達から揉みくちゃにされて大変だった。そんな私は色々と聞かれたが全部笑って誤魔化した。
(よし、本番はこれからだ)
そんな私は押し寄せる人並みを掻き分けて元教壇だった台の上に立ち、私に気がついたみんなの前でニヤリと笑いこう言った。
「さあ、治療を始めようか」
「「「うおおぉーー!!」」」
すると一呼吸間を空けて地響きがするほどの大歓声が沸き起こる。
(さて、まずはこれが第1ラウンドだ。次のラウンドがあるからサッサと終わらせるぞ)
私は白の聖女で7人の聖女のプラス1。
だから私はプラスの仕事をしてやろうではないか。とびっきりプラスなやつをな!
「さあ、治療を始めようか」
その言葉を聞いた約80人居る全ての男女は私の事を少し見つめていたが、なにも言わず作業を再開するのであった。
(ぐぬぬ、格好よく登場したつもりがまさかの不発とは‥‥‥ちょっとだけ恥ずかしい。そして私に迷子かと聞いてきた男の人まで作業に戻ってるー!)
そんな私は誰も気にしてない中をテクテクと歩き教会でよく見かける長椅子に横になって休んでいる女性に声をかけた。
「ねぇ、辛そうだけど大丈夫?」
その女性は長椅子から右手を使って上半身を起こし綺麗なオレンジ色の髪をなびかせながら優しげな目をして私に向かって笑って見せた。でもその笑顔の左半分が無表情だった。
「ふふふ、可愛いお嬢ちゃんね、おはよう。私の名前はカルネよ。私は不治の病で左半身が動かなくなってるの。でもね、右足と右手は動くからみんなのお手伝いしてたんだけど、ちょっと疲れて休んでたの」
(ねぇカルネさん、あなたの病気は麻痺で動かなくなってるのとは違うでしょ?それって飛沫の蓄積で体の細胞がおかしくなってる筈だから痛みがあるでしょ?なんで笑顔で答えるの?なんで作業手伝ってるの?)
「ねぇカルネさん、その病気は痛みがある筈なの。なんで笑顔で居られるの?」
その言葉を聞いたカルネさんは動く右手で私の頭を優しく撫でてくれた。
「そう、あなたの知り合いにも不治の病を患っている人が居るのね。もしかしてご両親とかなのかな?」
そして優しく問い掛けてくれた。そのカルネさんに私は笑顔で答えてあげた。
「ごめんなさい。自己紹介がまだでした。私は麻生奏13歳です。それで不治の病を患ってたのは私の義理のお母さん。でもね、もう治って元気になったの」
そう言って私はカルネさんの側に寄り、耳元に口を近づけて囁いた。
『私が治したの。そしてここからは私とカルネさんだけの秘密にしてね。私は白の聖女。だから今からあなたを治してあげる』
そして私はカルネさんをギュッと抱き締めあの言葉を言った。
「カルネさんの悪いところ全部治して」
そして白い輝きに包まれる私とカルネさん。その光りは僅かな時間。私はそっとカルネさんから正面だけど少し離れた場所に立ち、そして両手を少しだけ広げて言った。
「さあ、今度はカルネさんが立ち上がって私の元まで歩いてギュッと抱き締めて。そして素敵な笑顔をもう一度見せて」
そのカルネさんは体から痛みが消えたことに驚き、そしてまさかと思いながらも左手に力を入れると動く左手を見て涙を流し始めた。それから確かめるようにその左手で顔の左半分をゆっくりと優しく触り状態を確かめていた。
「あ、ああ‥‥永遠に消えないと思っていた体の痛みが無くなってるの。それと見て、左手が自由に動くの。そして一番辛かった顔の左半分も治ってるの‥‥‥‥」
(そうだよね。まだ若くて綺麗なカルネさんだもん。きっと恋人も居るしね)
「さあ早く!両手がだるくなってきたの!」
私は涙を流すカルネさんに向かって駄々をこねる子供のように体を少し上下に揺らして催促した。
「ふふ、ごめんね。今から行くわ」
そしてカルネさんは側にお置いてあった杖を一度見てから小さく深呼吸すると、長椅子からゆっくりと立ち上がり私に向かって歩き始めた。そうなると作業をしていた周りの人達も気がついてくるのは当たり前だ。
「お、おい‥‥‥カルネが杖も持たずに歩いてるぞ!左足もちゃんと動いてる!」
「ほ、ほんとだ!凄いぞカルネ。まさか不治の病が治ったのか!」
「ああ!まさかこんな奇跡が起きるなんて‥‥」
その周りに居たみんなは思ったことを叫びもう大興奮だ。でもまだ不安なのか歩くカルネさんに近づく人は居ない。そしてみんなが見守るなか私に向かって一歩そしてまた一歩と近付いて来るカルネさん。それから私の前まで来ると素敵な笑顔を見せ、そして私をギュッと抱き締めてくれた。
「「「うおーー!!」」」
そして起こる大歓声。周りの人達は誰構わず抱き締め喜び泣いていた。そして私の耳元で囁くカルネさん。
『ありがとう、白の聖女様。私はあなたに救われました』
それから私とカルネさんは周りの人達から揉みくちゃにされて大変だった。そんな私は色々と聞かれたが全部笑って誤魔化した。
(よし、本番はこれからだ)
そんな私は押し寄せる人並みを掻き分けて元教壇だった台の上に立ち、私に気がついたみんなの前でニヤリと笑いこう言った。
「さあ、治療を始めようか」
「「「うおおぉーー!!」」」
すると一呼吸間を空けて地響きがするほどの大歓声が沸き起こる。
(さて、まずはこれが第1ラウンドだ。次のラウンドがあるからサッサと終わらせるぞ)
私は白の聖女で7人の聖女のプラス1。
だから私はプラスの仕事をしてやろうではないか。とびっきりプラスなやつをな!
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