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ラバニエル王国編
第47話 そして治療開始
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私は元教壇だった台の上に立ち治療開始の宣言をした。不治の病が治り元気に歩いているカルネさん効果で教会内はものすごい熱気に包まれている。そして私は教祖気分でご満悦だ。(うははは!これだよこれ!)
そんな私はちょっといい気分で調子に乗っちゃいました。
「お前ら病気を治したいかー!」
「「おおーー!!」」
「元気ですかーー!」
「「おおーー??」」
「元気があればなんでも出来る!」
「「おおーー!!」」
「1・2・3・ダーー!!」」
「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」
(はい、判りませんよねーー)
そんな私の側にカルネさんがやって来て耳打ちする。
「か、奏ちゃん、今のはなにかな?聖女様の儀式かなにかなの?」
「いえ、ただのノリです。ごめんなさい」
それから私とカルネさんで興奮している人達を落ち着かせ、話が出来るように輪になって座った。(人数が多いから3列になったけどね)
そして私がまず話をした。
「私は麻生奏。特殊な治癒魔法が使える治癒魔法師なの。でもそれはここだけの秘密にして。でないと私は欲にまみれた人達にいいように利用されてしまうから。判るでしょ?」
私がみんなを見回すと「うんうん」と頷いている。(なんかいけない集会みたい‥‥‥)
「私が治療するのはこの教会に居るあなた達だけ。それが終われば私はこの区域から出ていく。他にすることがあるからね」
すると隣に座るカルネさんが聞いてきた。
「なんで私達だけ治してくれるの?」
「それはね、あなた達が生きようとしてるから。そして仲間を生かそうとしてるから」
するとカルネさんの隣に居る男の人が立ち上がり話し始めた。
「俺はジョージだ。奏ちゃん、カルネを治してくれてありがとう。もうずっと治らないと思ってた。そしてどんどん動かなくなって‥‥‥」
そこで涙に堪える為なのか少し黙り込むジョージさん。そしてその隣のカルネさんが「ジョージ」と小さく囁き潤んだ瞳で見ていた。
(お前ら出来てやがるな?こんちくしょう!)
「話の途中ですまない。奏ちゃんはどうして俺達のことを知ってるんだ?会ったことはないと思うんだが」
そりゃそうだ。不思議に思うよね。
「孤児院の子供に聞いたの。ポーションを届けてくれる人達が居るってね。それはあなた達でしょ?」
これは花売り幼女チッチェから聞いた事だ。そして実はランカからも聞いていた事があるの。それは孤児院は13歳までだけどその歳になる前にほとんどの子供達がこの孤児院から出ていくって。そしてその理由が凄かった。
その孤児院は定員が50名。でも無理をして70名ほどを受け入れてるそうだ。だけどそれでも追いつかないくらいに孤児が増えているので小さな子供達を孤児院に入れる為に出ていくと言うんだ。そして出ていった子供達が集まって暮らしている場所があるらしく、ランカもそこに行くんだと笑顔で言っていた。
それから色々な人達からの話でここに居ると判ったの。それと週に1度だけだが国から配給されるポーションを全て孤児院に寄付している事もね。
「それで他の人達からも話を聞いてここが判ったの。でもあれだよ。ポーション全部寄付するのはどうかなと思うんだけど?」
私はこれが聞きたかった。なぜそこまでするのかと。供給不足のポーションはここに居る人達にとって高価で手に入り難い。国から僅かだけど支給されるポーションは命綱のようなものだ。それを全部寄付するなんてあまりにも善人すぎる。ある程度の予想はついているが、私はその答え合わせがしたいのだ。そしてその答えはジョージさんが話してくれた。
「俺達も孤児院にいた頃、同じようにしてもらってたんだ。『幼いお前達なら1本を半分に分けて飲んでもなんとかなる。2倍の子供が助かるんだぞ。凄いだろう』そう言って笑いながらいつもポーションを置いていくんだ。
まあ、その頃はまだそれほど不治の病は流行ってなかったから、まだそれほど深刻にはならなかったんだけど今はちょっとしんどいな」
そう言ったジョージさんは苦笑いだ。そしてその隣のカルネさんは微笑んでいた。
「ふふ、でもジョージはいつも笑顔で孤児院にポーション届けてるの。そしてあのセリフを必ず言ってるのよ」
その言葉に照れながら話すジョージさん。(お前らボッチの前でイチャつくなよ。グーパンするぞ?そして私は泣くぞ?)
「ま、まああれだ。ここのみんなの思いは一緒だ。こんな状況でも誰一人文句も言わず大事なポーションを手渡してくる。俺はそれを誇りに思ってる」
「それであなた達が不治の病に患っても?」
「ああ、それでもだ」
そのジョージさんの言葉に周りの人達も真剣な目で頷いていた。
「はぁ、ほんとお人好しでバカな人達ですね。でも私はそんなバカを好ましく思う」
それから私は聖女の治癒魔法で全員の治療を開始した。実際、病気になっていたのはここに居る中では20人ほどだった。だけど予防のために全員に治癒魔法をかけた。そして病状が酷く動けない人達が別棟の建物に15人ほど居たので出向いて治療した。
「はい、これでもう大丈夫だよ」
「ああ、あれほど痛くて堪らなかったのにもうなんともない。本当に治ったんだ‥‥‥‥」
そう言って涙する寝たきりだった男性。
「マッド!治ったのね!本当に良かった。ありがとうございます聖女様!」
そう言って治った男性に泣きながら抱きつく女性。そして私の事を聖女様と呼んでお礼を言うのが定番になっている。
(なあ、ここってカップルばっかりなんだけど‥ちょっとテンション下がりまくりなんだけど。そして聖女様って言われてるんだけど!)
それからも私は無表情で治療を続けていく。お礼を言われても「はあ、そうですか」と素っ気ない。(だって必ず男女セットのお礼なんだよ?お前らハッピーセットか!オマケ付きなのですか!)
そして治療を全て終えた私は周り全てのハッピーセットからお礼の歓迎会をすると引き留められたが「いえ、結構です」と無表情で答え、そのままテクテクと歩き教会をあとにした。
(なんか虚しい‥‥‥恋人欲しい。友達欲しい)
そんな私はちょっといい気分で調子に乗っちゃいました。
「お前ら病気を治したいかー!」
「「おおーー!!」」
「元気ですかーー!」
「「おおーー??」」
「元気があればなんでも出来る!」
「「おおーー!!」」
「1・2・3・ダーー!!」」
「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」
(はい、判りませんよねーー)
そんな私の側にカルネさんがやって来て耳打ちする。
「か、奏ちゃん、今のはなにかな?聖女様の儀式かなにかなの?」
「いえ、ただのノリです。ごめんなさい」
それから私とカルネさんで興奮している人達を落ち着かせ、話が出来るように輪になって座った。(人数が多いから3列になったけどね)
そして私がまず話をした。
「私は麻生奏。特殊な治癒魔法が使える治癒魔法師なの。でもそれはここだけの秘密にして。でないと私は欲にまみれた人達にいいように利用されてしまうから。判るでしょ?」
私がみんなを見回すと「うんうん」と頷いている。(なんかいけない集会みたい‥‥‥)
「私が治療するのはこの教会に居るあなた達だけ。それが終われば私はこの区域から出ていく。他にすることがあるからね」
すると隣に座るカルネさんが聞いてきた。
「なんで私達だけ治してくれるの?」
「それはね、あなた達が生きようとしてるから。そして仲間を生かそうとしてるから」
するとカルネさんの隣に居る男の人が立ち上がり話し始めた。
「俺はジョージだ。奏ちゃん、カルネを治してくれてありがとう。もうずっと治らないと思ってた。そしてどんどん動かなくなって‥‥‥」
そこで涙に堪える為なのか少し黙り込むジョージさん。そしてその隣のカルネさんが「ジョージ」と小さく囁き潤んだ瞳で見ていた。
(お前ら出来てやがるな?こんちくしょう!)
「話の途中ですまない。奏ちゃんはどうして俺達のことを知ってるんだ?会ったことはないと思うんだが」
そりゃそうだ。不思議に思うよね。
「孤児院の子供に聞いたの。ポーションを届けてくれる人達が居るってね。それはあなた達でしょ?」
これは花売り幼女チッチェから聞いた事だ。そして実はランカからも聞いていた事があるの。それは孤児院は13歳までだけどその歳になる前にほとんどの子供達がこの孤児院から出ていくって。そしてその理由が凄かった。
その孤児院は定員が50名。でも無理をして70名ほどを受け入れてるそうだ。だけどそれでも追いつかないくらいに孤児が増えているので小さな子供達を孤児院に入れる為に出ていくと言うんだ。そして出ていった子供達が集まって暮らしている場所があるらしく、ランカもそこに行くんだと笑顔で言っていた。
それから色々な人達からの話でここに居ると判ったの。それと週に1度だけだが国から配給されるポーションを全て孤児院に寄付している事もね。
「それで他の人達からも話を聞いてここが判ったの。でもあれだよ。ポーション全部寄付するのはどうかなと思うんだけど?」
私はこれが聞きたかった。なぜそこまでするのかと。供給不足のポーションはここに居る人達にとって高価で手に入り難い。国から僅かだけど支給されるポーションは命綱のようなものだ。それを全部寄付するなんてあまりにも善人すぎる。ある程度の予想はついているが、私はその答え合わせがしたいのだ。そしてその答えはジョージさんが話してくれた。
「俺達も孤児院にいた頃、同じようにしてもらってたんだ。『幼いお前達なら1本を半分に分けて飲んでもなんとかなる。2倍の子供が助かるんだぞ。凄いだろう』そう言って笑いながらいつもポーションを置いていくんだ。
まあ、その頃はまだそれほど不治の病は流行ってなかったから、まだそれほど深刻にはならなかったんだけど今はちょっとしんどいな」
そう言ったジョージさんは苦笑いだ。そしてその隣のカルネさんは微笑んでいた。
「ふふ、でもジョージはいつも笑顔で孤児院にポーション届けてるの。そしてあのセリフを必ず言ってるのよ」
その言葉に照れながら話すジョージさん。(お前らボッチの前でイチャつくなよ。グーパンするぞ?そして私は泣くぞ?)
「ま、まああれだ。ここのみんなの思いは一緒だ。こんな状況でも誰一人文句も言わず大事なポーションを手渡してくる。俺はそれを誇りに思ってる」
「それであなた達が不治の病に患っても?」
「ああ、それでもだ」
そのジョージさんの言葉に周りの人達も真剣な目で頷いていた。
「はぁ、ほんとお人好しでバカな人達ですね。でも私はそんなバカを好ましく思う」
それから私は聖女の治癒魔法で全員の治療を開始した。実際、病気になっていたのはここに居る中では20人ほどだった。だけど予防のために全員に治癒魔法をかけた。そして病状が酷く動けない人達が別棟の建物に15人ほど居たので出向いて治療した。
「はい、これでもう大丈夫だよ」
「ああ、あれほど痛くて堪らなかったのにもうなんともない。本当に治ったんだ‥‥‥‥」
そう言って涙する寝たきりだった男性。
「マッド!治ったのね!本当に良かった。ありがとうございます聖女様!」
そう言って治った男性に泣きながら抱きつく女性。そして私の事を聖女様と呼んでお礼を言うのが定番になっている。
(なあ、ここってカップルばっかりなんだけど‥ちょっとテンション下がりまくりなんだけど。そして聖女様って言われてるんだけど!)
それからも私は無表情で治療を続けていく。お礼を言われても「はあ、そうですか」と素っ気ない。(だって必ず男女セットのお礼なんだよ?お前らハッピーセットか!オマケ付きなのですか!)
そして治療を全て終えた私は周り全てのハッピーセットからお礼の歓迎会をすると引き留められたが「いえ、結構です」と無表情で答え、そのままテクテクと歩き教会をあとにした。
(なんか虚しい‥‥‥恋人欲しい。友達欲しい)
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