輸送艦オリオン~SF異世界に転生したら、女体化したうえ大型輸送艦の艦長になりました!最強輸送艦で商人プレイ!~

黴男

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ε-エストジール帝国編(前編)

201-外交協議

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翌日。
メールで通信の告知が届き、俺は正装のスーツに着替えていた。

「これ、大丈夫かな.....買ったのが大分前だから、そろそろ限界かも....」
「通信中もてば大丈夫ですよ!」

またボタンが弾け飛びそうだ。
ただ、無理してでも正装をするのにはちゃんと理由がある。
俺は既に着替えて待っていたアルに目をやる。

「アル、きつくない?」
「大丈夫」

俺たちはオリオンの通信ルームへ向かう。
本来はタキオン通信に利用される場所だが、この宇宙では一般的ではないのでほぼ用途がない場所だ。
同じく着替えたペルソナに車椅子を押してもらいつつ、部屋の中央で椅子に座って待つ。
既に通信は繋がっているが、向こうが入室していないためだ。

『――――あー、聞こえていますか』
「はい、聞こえています」
『分かりました、ではこれより、協議を始めたいのですが....準備はよろしいですか?』
「大丈夫です」

今回話す相手は、外交官だ。
皇帝が直接.....という訳ではないようだ、そりゃそうだが。
互いの文化に配慮できるのは、外渉に長けた外交官だ。
餅は餅屋という事だろうな。

『まず、今回の招聘に関しての説明をさせていただきます』
「ええ」
『今回、リリー・シノ殿は我が国での英雄爵を賜るハフニマル・ジェルネア様を救出、対価を求めなかったことにジェルネア様がいたく感銘を抱き、皇帝に国を挙げて表彰して欲しいと願い出たことに始まります』
「待ってください、国を挙げて――――というのはどの程度の範囲でですか?」

あまり目立ちたくないと俺が言っていたのを知っているからこそ、ペルソナは深く切り込む。
もとより断っても、後が面倒なだけの案件だ。
命の危機に瀕したりなどはない事は確かで、だからこその強気な姿勢なのだろう。

『....無論、国賓級の待遇ですが』
「それによる、暗黙の主従関係の構築や、王国に対する社会的、心理的な影響を考慮したうえでの結論ですか?」
『いいえ、とんでもない! 我々はただ、感謝を示したいだけなのです。今この場を借りまして、私もあなた方に感謝を申し上げたいのですが......ご存じの通り、公の立場がありますので』
「なるほど」

俺はこの場の主役として、一度ペルソナと外交官との会話を打ち切る。

「まずは自己紹介から始めましょう」
『...え、ええ。私はアドリアック・コプナーと申します。帝国内部では子爵の地位を賜っております』
「私はリリー・シノです。失礼ながら、民間人です」
「ペルソナです、輸送艦オリオンのサブフレームとして、リリー・シノ様にお仕えしております」
「....アル・シノです」
『お子さんですか?』
「いいえ、こちらの都合で預かっている子です」

アルは、先日戸籍を更新した。
フィオーネ・エレクトリカルのツテで、そちらは凄く簡単だった。
とりあえず、俺のシノという本来の名前をもじった姓を受け、ファミリーの一員として見做している。

『さて......皇帝はすぐにでもお招きせよとの事でしたが、そちらにもご都合があるでしょう』
「ええ、戦場を抜けてきたもので、これから休暇を楽しむところだったのですが」

言外に、何でこのタイミングで呼ぶんだよと強い思いを込める。
病み上がりで、いきなり政治の話に首を突っ込ませてくるとは。

『で、でしたら......ストラヴィ星系群にお越しください』
「それは、公的な立場での発言ですか?」
「待って、何故そう思ったのですか」

即疑いを入れるペルソナを制止して、俺はアドリアック外交官に問いかける。

『首都から近く、皇帝が毎夏利用されるリゾート地であるからです』
「そこを利用し、期日まで待機すればいいという事ですか?」
『はい、そう提案します。王国のリゾート企業も進出していますので、我々のもてなしが不要という事であれば、そちらに交渉し料金などをこちらで負担させていただくという形でも.....』
「不要です」

俺たちは誰の手も借りずに行く。
余計な貸し借りは互いに作らず、ただ受け取るべき名誉を受け取り、王国に帰還する。
それが最良であるはずだ。
それをやんわりと伝えるために、この場がある。
まだまだ、協議はこれからだ。
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