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ε-エストジール帝国編(前編)
211-サイド:皇帝
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エストジール帝都サルバン。
一国の帝王が住まう場所であるそこは、多くの富と権力が集う豪華絢爛な場所である。
そのおこぼれに少しでも預かろうと、都市は大きく肥大化していた。
だが、今はそのほとんどが区画ごとに整理されている。
その中央に位置する帝城にて。
「うむ、いいな」
城内には広大な庭園があるが、そのひと区画が大改装されていた。
その様子を見て、リアシュは恍惚としていた。
「これであれば、あの娘も喜んでくれるに違いない」
「陛下、こちらに居られましたか」
その時、ロデアが庭園に現れる。
彼の傍には近衛騎士もついている。
「どうした、ロデア?」
「例の船が入国しました」
「そうか、それで?」
「領内での待機指示を出しました」
「分かった、すぐに向かおう」
リアシュは腕に下げていたコートを羽織り、どこかへ向かおうとする。
だがそれを、ロデアはその身をもって制止する。
「駄目です、認められません」
「何故だ?」
「陛下は帝都で待たなければなりません」
「そんなもの、対外的な慣例でしか無い」
「であれば尚更です、この件で貴族を刺激するのは得策ではありません」
リアシュは行きたがったが、ロデアは頑として認めない。
その理由は、貴族勢力にある。
帝国においては貴族の勢力が強く、民間企業などは貴族に決して逆らえないほどなのである。
国の経済を握る彼等を、皇帝であろうとも無視は出来ない。
「...くっ」
「お分かりください」
リアシュは足を止め、一歩引き下がる。
しかし、自分が動くのでなければ...といった顔である。
それを防ぐために、ロデアは口を開く。
「遣いを出すのもダメですよ。あの女性は仲間も居るのですから、勘付かれると厄介です」
「はあ...分かっている」
「彼女達はリゾート星系にしばらく留まるようですから、貴族達の関心が薄れた頃に呼び寄せれば大丈夫でしょう」
「分かった、任せる」
観念したように両手を前に構えると、リアシュは再び一歩下がる。
そして、空を見上げた。
王国から購入した超大型シールドで守られた帝城の真上を、悠々と宇宙戦艦が降下していく。
釣られて空を見たロデアが呟く。
「あんな張りぼてでは勝てませんね」
「ああ、だからこそ、私が貴族を抑えなくてはこの国は滅ぶ」
王国が帝国を滅ぼさないのは、その代の王の気まぐれにすぎない。
明確に反抗すれば、待っているのは殲滅だ。
勝てるはずが無い、そうリアシュは先帝に幼い頃から叩き込まれて来た。
ようやく幸せを手にできそうな時に余計なことが起きなければいいがと、彼は密かに考えていた。
「おや、皆さんお揃いで、どうしたのですか」
その時、庭園に声が響く。
リアシュがそちらに目をやると、糸目の男が立っていた。
髪は白く、長身だ。
「デュリオンか、何故ここへ?」
「私などはこういった場所を好むのですよ」
息を吐くように嘘を吐くその男。
カスター・リドル・ジェイラム・デュリオン...デュリオン伯爵家の当主であった。
しかし、誰であろうと危険人物に変わりはない。
貴族派閥のトップであると噂されるようなひとかどの人物なのだから。
「陛下、最近は何やら綺麗な花を見つけられたそうですねえ」
「...」
「品種は王国産だとか、この帝国の土に合うか分かりませんし、変な虫が付かぬようにお気をつけくださいね」
それだけ一方的に言うと、臣下の礼をして彼は立ち去っていく。
完全に露見している、そういう事実を突きつけた上での恫喝であった。
「...させろ」
「はい?」
「私設軍を向かわせろ、あの船のそばに駐留させるだけでいい!」
「了解しました」
ロデアは礼をすると、足早にその場を立ち去るのだった。
リアシュは暫くその場に立っていたが、すぐに宮の中へと引っ込んだ。
一国の帝王が住まう場所であるそこは、多くの富と権力が集う豪華絢爛な場所である。
そのおこぼれに少しでも預かろうと、都市は大きく肥大化していた。
だが、今はそのほとんどが区画ごとに整理されている。
その中央に位置する帝城にて。
「うむ、いいな」
城内には広大な庭園があるが、そのひと区画が大改装されていた。
その様子を見て、リアシュは恍惚としていた。
「これであれば、あの娘も喜んでくれるに違いない」
「陛下、こちらに居られましたか」
その時、ロデアが庭園に現れる。
彼の傍には近衛騎士もついている。
「どうした、ロデア?」
「例の船が入国しました」
「そうか、それで?」
「領内での待機指示を出しました」
「分かった、すぐに向かおう」
リアシュは腕に下げていたコートを羽織り、どこかへ向かおうとする。
だがそれを、ロデアはその身をもって制止する。
「駄目です、認められません」
「何故だ?」
「陛下は帝都で待たなければなりません」
「そんなもの、対外的な慣例でしか無い」
「であれば尚更です、この件で貴族を刺激するのは得策ではありません」
リアシュは行きたがったが、ロデアは頑として認めない。
その理由は、貴族勢力にある。
帝国においては貴族の勢力が強く、民間企業などは貴族に決して逆らえないほどなのである。
国の経済を握る彼等を、皇帝であろうとも無視は出来ない。
「...くっ」
「お分かりください」
リアシュは足を止め、一歩引き下がる。
しかし、自分が動くのでなければ...といった顔である。
それを防ぐために、ロデアは口を開く。
「遣いを出すのもダメですよ。あの女性は仲間も居るのですから、勘付かれると厄介です」
「はあ...分かっている」
「彼女達はリゾート星系にしばらく留まるようですから、貴族達の関心が薄れた頃に呼び寄せれば大丈夫でしょう」
「分かった、任せる」
観念したように両手を前に構えると、リアシュは再び一歩下がる。
そして、空を見上げた。
王国から購入した超大型シールドで守られた帝城の真上を、悠々と宇宙戦艦が降下していく。
釣られて空を見たロデアが呟く。
「あんな張りぼてでは勝てませんね」
「ああ、だからこそ、私が貴族を抑えなくてはこの国は滅ぶ」
王国が帝国を滅ぼさないのは、その代の王の気まぐれにすぎない。
明確に反抗すれば、待っているのは殲滅だ。
勝てるはずが無い、そうリアシュは先帝に幼い頃から叩き込まれて来た。
ようやく幸せを手にできそうな時に余計なことが起きなければいいがと、彼は密かに考えていた。
「おや、皆さんお揃いで、どうしたのですか」
その時、庭園に声が響く。
リアシュがそちらに目をやると、糸目の男が立っていた。
髪は白く、長身だ。
「デュリオンか、何故ここへ?」
「私などはこういった場所を好むのですよ」
息を吐くように嘘を吐くその男。
カスター・リドル・ジェイラム・デュリオン...デュリオン伯爵家の当主であった。
しかし、誰であろうと危険人物に変わりはない。
貴族派閥のトップであると噂されるようなひとかどの人物なのだから。
「陛下、最近は何やら綺麗な花を見つけられたそうですねえ」
「...」
「品種は王国産だとか、この帝国の土に合うか分かりませんし、変な虫が付かぬようにお気をつけくださいね」
それだけ一方的に言うと、臣下の礼をして彼は立ち去っていく。
完全に露見している、そういう事実を突きつけた上での恫喝であった。
「...させろ」
「はい?」
「私設軍を向かわせろ、あの船のそばに駐留させるだけでいい!」
「了解しました」
ロデアは礼をすると、足早にその場を立ち去るのだった。
リアシュは暫くその場に立っていたが、すぐに宮の中へと引っ込んだ。
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