3 / 247
序章
003-領域隠蔽ユニット
しおりを挟む
「領域隠蔽ユニット......!」
『それは一体、何でしょうか?』
俺が驚いていると、横からオーロラが顔を覗かせた。
「説明は後だ、こいつにリンクを構築してくれ」
『分かりましたが.....危険なものではないのですか?』
「ああ、むしろ有益なものだ」
俺は頷く。
「領域隠蔽ユニットは、起動している限りその星系を外部から隔離する構造物だ」
『それは.....あまりに強力では?』
「そうでもないな、敵味方の区別なく星系を外部から切り離してしまうから、領有権を主張した場所の支配権を獲得するための時間を稼ぐ目的で使うんだ」
『なるほど.....しかし、今の状況ではご都合主義と思われてもおかしくないほどに....』
「ああ、都合が良すぎるな」
しかし利用しない手はない。
俺はリンクを確立した領域隠蔽ユニットを起動した。
「これで、この星系は外部から完全に隔離された」
『しかし、ワープなどで入ってきてしまうのでは?』
「大丈夫だ.....多分」
海賊の艦隊に見つかったら、その時はその時だな。
死を覚悟するしかない。
「コアの復旧はどうだ?」
『現在残骸の撤去をほぼ完了しました、起動に必要な部分の修復には5時間を要します』
「結構かかるな....」
『損傷が酷く.....爆縮崩壊を起こさなかったのが奇跡とも思えるような惨状です』
「それほどの損傷なら、5時間は早い方か」
俺はタスクをチェックしていく。
何しろ一人で異世界に放り出されるなんて、人生長くとも予想できる経験ではない。
ホールドスター 『Noa-Tun』 状態:係留 未知の惑星軌道上
◇物資倉庫 状態:『破損』 火災鎮火済み
◇修理ベイ 状態:『大破』 火災鎮火済み
◇マーケットベイ 状態:『崩壊』
◇ドローンベイ 状態:『小破』 火災鎮火済み
◇加工施設 状態:『小破』 火災鎮火済み
◇研究施設 状態:『崩壊』 火災鎮火済み
◇居住区画 状態:『崩壊』 火災鎮火済み
◇弾薬庫 状態:『大破』 火災鎮火済み
◇小型艦艇ドック 状態:『破損』
◇中型艦艇ドック 状態:『大破』
◇大型艦艇ドック 状態:『崩壊』
◇旗艦級ドック 状態:『未接続』
◇戦闘指揮所 状態:『中破』
◆シールド 0%
◇シールド発生コア 状態:『破損』
◆アーマー 0%
◇アーマーリペアシステム 状態:『未接続』
◆HP 22%
◇オービタルコアシステム 状態:『稼働中』
◆非常電源残量:98%
◇セントラルコアシステム 状態:『停止』
事態は何も好転していないんだが、多少マシになった。
HPが22%まで回復したことで、各所の損傷がリペアドローンによって修復されていることがわかる。
何を置いてもセントラルコアシステムを修復するのが先決なため、リペアドローンのリソースは割けないが......
「物資倉庫を見てきてもいいか?」
『はい、通路の安全は確保されていますので、騎乗ドローンを随行させます』
「分かった」
バイクのような形のドローンに乗り込み、俺は通路を走る。
時折、砲撃でブチ抜かれたような崩落痕があったが、既に気密処理は終わっているようだ。
『艦隊総司令、物資倉庫に何か御用時ですか?』
「ああ、物資の確認をしておきたくてな」
『.....わかりました、現在物資倉庫はオフラインになっており、こちらからは目録を作成できません』
オーロラが申し訳なさそうに俯く。
「まあ、そうだろうな」
俺の目には、半壊した物資倉庫が見えていた。
状態が『破損』だったのは、コンテナは無事だからだろう。
酷く焼けこげてはいるが、内部のシールドが攻撃を減衰させたようで壊滅には至っていなかった。
「作業ドローンをこっちに回せるか?」
『はい、数機であれば稼働可能です』
「では頼む、コンテナを数個運び出して戦闘指揮所に持っていく予定だ」
『分かりました!』
やる事がない現状、幾つかの事を試しておきたいのが本音だ。
俺は剥き出しになったパーツを見てふと笑う。
「このパーツ、集めるのに結構時間かかったよな」
物資倉庫のモジュールを作る際、外壁に必要な装甲材だったのだが...
素材がかなり高価で、艦隊を率いて素材集めに努めたものだ。
「また集め直しか?」
倉庫にある物資で足りればいいが。
それを考えていると、作業ドローンが飛んできた。
カーゴタイプで、ゲーム中でも作業中によく物資を載せて飛んでいるのを見たことがある。
『艦隊総司令、どのコンテナを運搬しますか?』
「とりあえず一機付いてこい」
『はい』
全部で三機飛んできたので、そのうち一機を連れて、倉庫の奥へと進む。
幸いにしてコンテナラックの電源は生きていて、グリッチが掛かっているものの種類の判別はできた。
「これだな、種類はわからん。手前のコンテナを二つ持っていってくれ」
『了解』
作業ドローンからアームが伸びて、ラックに接続される。
すると、ラックが作動してコンテナが二つドローンに載せられた。
そのままドローンは発進し、飛び去っていった。
「次はあっちだ」
俺はラックの間を歩き、目的の分類のものを指示して運ばせる。
そして、最後は...
『艦隊総司令? これは日用品のコンテナですが...』
「中の毛布に用があるんだよ、俺は机じゃ寝られん」
『了解しました、直ちに運搬します』
まだ起きてから数時間だが、とりあえず就寝する準備もしておく事にした。
インフラ設備が整っている戦闘指揮所だが、流石に寝るところは無いからな。
『それは一体、何でしょうか?』
俺が驚いていると、横からオーロラが顔を覗かせた。
「説明は後だ、こいつにリンクを構築してくれ」
『分かりましたが.....危険なものではないのですか?』
「ああ、むしろ有益なものだ」
俺は頷く。
「領域隠蔽ユニットは、起動している限りその星系を外部から隔離する構造物だ」
『それは.....あまりに強力では?』
「そうでもないな、敵味方の区別なく星系を外部から切り離してしまうから、領有権を主張した場所の支配権を獲得するための時間を稼ぐ目的で使うんだ」
『なるほど.....しかし、今の状況ではご都合主義と思われてもおかしくないほどに....』
「ああ、都合が良すぎるな」
しかし利用しない手はない。
俺はリンクを確立した領域隠蔽ユニットを起動した。
「これで、この星系は外部から完全に隔離された」
『しかし、ワープなどで入ってきてしまうのでは?』
「大丈夫だ.....多分」
海賊の艦隊に見つかったら、その時はその時だな。
死を覚悟するしかない。
「コアの復旧はどうだ?」
『現在残骸の撤去をほぼ完了しました、起動に必要な部分の修復には5時間を要します』
「結構かかるな....」
『損傷が酷く.....爆縮崩壊を起こさなかったのが奇跡とも思えるような惨状です』
「それほどの損傷なら、5時間は早い方か」
俺はタスクをチェックしていく。
何しろ一人で異世界に放り出されるなんて、人生長くとも予想できる経験ではない。
ホールドスター 『Noa-Tun』 状態:係留 未知の惑星軌道上
◇物資倉庫 状態:『破損』 火災鎮火済み
◇修理ベイ 状態:『大破』 火災鎮火済み
◇マーケットベイ 状態:『崩壊』
◇ドローンベイ 状態:『小破』 火災鎮火済み
◇加工施設 状態:『小破』 火災鎮火済み
◇研究施設 状態:『崩壊』 火災鎮火済み
◇居住区画 状態:『崩壊』 火災鎮火済み
◇弾薬庫 状態:『大破』 火災鎮火済み
◇小型艦艇ドック 状態:『破損』
◇中型艦艇ドック 状態:『大破』
◇大型艦艇ドック 状態:『崩壊』
◇旗艦級ドック 状態:『未接続』
◇戦闘指揮所 状態:『中破』
◆シールド 0%
◇シールド発生コア 状態:『破損』
◆アーマー 0%
◇アーマーリペアシステム 状態:『未接続』
◆HP 22%
◇オービタルコアシステム 状態:『稼働中』
◆非常電源残量:98%
◇セントラルコアシステム 状態:『停止』
事態は何も好転していないんだが、多少マシになった。
HPが22%まで回復したことで、各所の損傷がリペアドローンによって修復されていることがわかる。
何を置いてもセントラルコアシステムを修復するのが先決なため、リペアドローンのリソースは割けないが......
「物資倉庫を見てきてもいいか?」
『はい、通路の安全は確保されていますので、騎乗ドローンを随行させます』
「分かった」
バイクのような形のドローンに乗り込み、俺は通路を走る。
時折、砲撃でブチ抜かれたような崩落痕があったが、既に気密処理は終わっているようだ。
『艦隊総司令、物資倉庫に何か御用時ですか?』
「ああ、物資の確認をしておきたくてな」
『.....わかりました、現在物資倉庫はオフラインになっており、こちらからは目録を作成できません』
オーロラが申し訳なさそうに俯く。
「まあ、そうだろうな」
俺の目には、半壊した物資倉庫が見えていた。
状態が『破損』だったのは、コンテナは無事だからだろう。
酷く焼けこげてはいるが、内部のシールドが攻撃を減衰させたようで壊滅には至っていなかった。
「作業ドローンをこっちに回せるか?」
『はい、数機であれば稼働可能です』
「では頼む、コンテナを数個運び出して戦闘指揮所に持っていく予定だ」
『分かりました!』
やる事がない現状、幾つかの事を試しておきたいのが本音だ。
俺は剥き出しになったパーツを見てふと笑う。
「このパーツ、集めるのに結構時間かかったよな」
物資倉庫のモジュールを作る際、外壁に必要な装甲材だったのだが...
素材がかなり高価で、艦隊を率いて素材集めに努めたものだ。
「また集め直しか?」
倉庫にある物資で足りればいいが。
それを考えていると、作業ドローンが飛んできた。
カーゴタイプで、ゲーム中でも作業中によく物資を載せて飛んでいるのを見たことがある。
『艦隊総司令、どのコンテナを運搬しますか?』
「とりあえず一機付いてこい」
『はい』
全部で三機飛んできたので、そのうち一機を連れて、倉庫の奥へと進む。
幸いにしてコンテナラックの電源は生きていて、グリッチが掛かっているものの種類の判別はできた。
「これだな、種類はわからん。手前のコンテナを二つ持っていってくれ」
『了解』
作業ドローンからアームが伸びて、ラックに接続される。
すると、ラックが作動してコンテナが二つドローンに載せられた。
そのままドローンは発進し、飛び去っていった。
「次はあっちだ」
俺はラックの間を歩き、目的の分類のものを指示して運ばせる。
そして、最後は...
『艦隊総司令? これは日用品のコンテナですが...』
「中の毛布に用があるんだよ、俺は机じゃ寝られん」
『了解しました、直ちに運搬します』
まだ起きてから数時間だが、とりあえず就寝する準備もしておく事にした。
インフラ設備が整っている戦闘指揮所だが、流石に寝るところは無いからな。
16
あなたにおすすめの小説
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる