25 / 247
シーズン1-クロトザク戦線
024-司令官
しおりを挟む
それから数日後。
俺は戦闘指揮所にて、オーロラからの報告を受けていた。
『現在特定した敵の拠点らしき箇所は、惑星周辺に絞った場合122、惑星外系部には16存在します。そのうち採掘拠点らしきものは惑星周辺に42、外系部に9となります。領域保護ユニットは存在しませんが、通信網整備用のリレーアンテナを複数確認』
「よくやった」
『当然です』
プロトスカウターの八面六臂の活躍により、敵勢力の全貌が段々と明らかになってきた。
かなり大規模だが、その分兵站に問題を抱えているようで、経路を封鎖されるとおそらく何もできないだろう。
『くわえて、遠距離からの目測ですが敵のメイン機関は「核融合」だと思われます』
「...いや、あり得ないだろう」
核融合程度のエネルギーでワープが出来るはずがない。
何か秘密があるな。
『また、敵のワープ時の挙動を確認しましたが、我々の使うFTL航法ではなく、より本物の定説のワープに近い挙動でした』
「空間をくっつけて跳躍するやつか」
『はい』
だとすると、内燃機関で可能な何かしらの機構を持っているな。
アレに引っ掛かるかわからないが、やってみる価値はあるか。
「よし、では作戦を説明する」
『はい』
俺は思いつきの作戦を提案する。
ここから肉付けしていくのだ。
「オーロラの特定した最端のこの基地をワープ妨害型駆逐艦四隻で封鎖し、基地を攻撃する。その際にバンクラバーを一隻、リレーアンテナに接続しオペレーティングシステムをハッキング、言語情報や地理情報などを盗め」
『わかりました、基地攻撃には何を使用しますか?』
「まずは偵察からだな...敵基地の情報はあるか?」
『すでに用意してあります』
モニター上に基地の情報が浮かび上がる。
アウトポストとして存在していて、そこまで巨大ではなく宇宙船と合体、もしくは宇宙船から拡張したような構造だ。
ドッキングしている艦船は戦艦が4隻、それ以下が20余隻程。
ヌル過ぎるくらいだな。
「だが、油断はいけないな。近くに遮蔽艦隊でも隠れてたら最悪だ」
戦力を少なく見積もらせるのは、戦略としては有効だ。
「よしオーロラ、ジャンプスパイダーを6隻配備。ワープ妨害型駆逐艦...そうだな、コスモネットに追随させろ」
『了解』
ジャンプスパイダーは、小さな対象の掃討に特化した駆逐艦だ。
恐るべき精度のミサイルが、これまた恐ろしい速度と連射力で敵を襲うわけだ。
「とりあえず、コスモネットを出撃させるぞ。アルファスカウターを発進させろ」
『発進準備は完了しております、3時間後に敵基地周辺に展開させます』
アルファスカウター。
プロトスカウターの上位版で、隠密型ジャンプフィールドを展開して、遮蔽したまま隠密型工作船を敵地に送り込める。
コイツ自体も、隠密行動だけではなく艦隊行動戦力としては充分な力を持っている。
「戦争に勝つのは簡単なんだ、目を、耳を、胃袋を。一つ一つ潰していくのが戦略だからな」
『戦術では?』
「どっちでもいいだろう、それよりもだ。今回の行動は『ハラス』という、基本の戦術だ。最端の拠点を叩き、生存者を出すことで、相手の艦隊を辺境に向かわせる。これを繰り返し、『反撃したいが国内の防衛に手一杯』という状況を作りだす」
ジャンプの起点になるラジエーションピンガー(通称:ピンガー)を妨害する装置もないので、敵国家に恐らく勝ち目はないだろう。
「それから、軍服を用意しろ。白色で、艦長帽は忘れるな」
『何故ですか?』
「お前は、あの時の敵の3Dデータを投影できるよな?」
『....もしかして、通信時に?』
「そうだ」
俺が総司令だとはあえて開示しない。
「俺は新進気鋭のノーアトゥーン連邦の若き司令官.....ということにして、オーロラに連邦主席役をやってもらおうか」
惑星で獣人を襲っていた敵司令官の3Dデータをオーロラに投影し、俺たちをより大きな組織だと誤認させる。
流石にワンマン組織だとバレるとヤバイ。
「じゃ、頼むぞ」
『ええ。シン司令官』
「俺がノーアトゥーンのニューリーダーだ!」
こうして、今後の方針も決まったのであった。
俺は戦闘指揮所にて、オーロラからの報告を受けていた。
『現在特定した敵の拠点らしき箇所は、惑星周辺に絞った場合122、惑星外系部には16存在します。そのうち採掘拠点らしきものは惑星周辺に42、外系部に9となります。領域保護ユニットは存在しませんが、通信網整備用のリレーアンテナを複数確認』
「よくやった」
『当然です』
プロトスカウターの八面六臂の活躍により、敵勢力の全貌が段々と明らかになってきた。
かなり大規模だが、その分兵站に問題を抱えているようで、経路を封鎖されるとおそらく何もできないだろう。
『くわえて、遠距離からの目測ですが敵のメイン機関は「核融合」だと思われます』
「...いや、あり得ないだろう」
核融合程度のエネルギーでワープが出来るはずがない。
何か秘密があるな。
『また、敵のワープ時の挙動を確認しましたが、我々の使うFTL航法ではなく、より本物の定説のワープに近い挙動でした』
「空間をくっつけて跳躍するやつか」
『はい』
だとすると、内燃機関で可能な何かしらの機構を持っているな。
アレに引っ掛かるかわからないが、やってみる価値はあるか。
「よし、では作戦を説明する」
『はい』
俺は思いつきの作戦を提案する。
ここから肉付けしていくのだ。
「オーロラの特定した最端のこの基地をワープ妨害型駆逐艦四隻で封鎖し、基地を攻撃する。その際にバンクラバーを一隻、リレーアンテナに接続しオペレーティングシステムをハッキング、言語情報や地理情報などを盗め」
『わかりました、基地攻撃には何を使用しますか?』
「まずは偵察からだな...敵基地の情報はあるか?」
『すでに用意してあります』
モニター上に基地の情報が浮かび上がる。
アウトポストとして存在していて、そこまで巨大ではなく宇宙船と合体、もしくは宇宙船から拡張したような構造だ。
ドッキングしている艦船は戦艦が4隻、それ以下が20余隻程。
ヌル過ぎるくらいだな。
「だが、油断はいけないな。近くに遮蔽艦隊でも隠れてたら最悪だ」
戦力を少なく見積もらせるのは、戦略としては有効だ。
「よしオーロラ、ジャンプスパイダーを6隻配備。ワープ妨害型駆逐艦...そうだな、コスモネットに追随させろ」
『了解』
ジャンプスパイダーは、小さな対象の掃討に特化した駆逐艦だ。
恐るべき精度のミサイルが、これまた恐ろしい速度と連射力で敵を襲うわけだ。
「とりあえず、コスモネットを出撃させるぞ。アルファスカウターを発進させろ」
『発進準備は完了しております、3時間後に敵基地周辺に展開させます』
アルファスカウター。
プロトスカウターの上位版で、隠密型ジャンプフィールドを展開して、遮蔽したまま隠密型工作船を敵地に送り込める。
コイツ自体も、隠密行動だけではなく艦隊行動戦力としては充分な力を持っている。
「戦争に勝つのは簡単なんだ、目を、耳を、胃袋を。一つ一つ潰していくのが戦略だからな」
『戦術では?』
「どっちでもいいだろう、それよりもだ。今回の行動は『ハラス』という、基本の戦術だ。最端の拠点を叩き、生存者を出すことで、相手の艦隊を辺境に向かわせる。これを繰り返し、『反撃したいが国内の防衛に手一杯』という状況を作りだす」
ジャンプの起点になるラジエーションピンガー(通称:ピンガー)を妨害する装置もないので、敵国家に恐らく勝ち目はないだろう。
「それから、軍服を用意しろ。白色で、艦長帽は忘れるな」
『何故ですか?』
「お前は、あの時の敵の3Dデータを投影できるよな?」
『....もしかして、通信時に?』
「そうだ」
俺が総司令だとはあえて開示しない。
「俺は新進気鋭のノーアトゥーン連邦の若き司令官.....ということにして、オーロラに連邦主席役をやってもらおうか」
惑星で獣人を襲っていた敵司令官の3Dデータをオーロラに投影し、俺たちをより大きな組織だと誤認させる。
流石にワンマン組織だとバレるとヤバイ。
「じゃ、頼むぞ」
『ええ。シン司令官』
「俺がノーアトゥーンのニューリーダーだ!」
こうして、今後の方針も決まったのであった。
23
あなたにおすすめの小説
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる