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シーズン2-クロトザク終戦
059-異空間決戦
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一週間後。
Noa-Tun支配領域外縁部。
そこには、大艦隊が集結していた。
艦隊の前に在るのは、月ほどの大きさがあるワームホール。
「よく見つけたな、こんなもの」
『以前より逃走するドローンの航跡を辿っておりまして、その全ての交点にコレがありました!』
「よくやった」
『ふふん!』
ドローンを派遣してNoa-Tunに損害を与えた謎の存在。
それを探るため、シンはここに大艦隊を派遣した。
主力となるのは、完成した攻城戦艦「アヴェンジャー」。
その威容は、巨大なワームホールの前でも全く揺るがぬ程であった。
周囲を固めるのは、同じく再建を経て完成した戦艦「シンビオシス」六隻。
さらに艦隊の上下に、八の字と逆八の字の形で整列しているのは、戦略護衛戦艦「ガウェイン」十隻。
アヴェンジャーは形容しがたい形状だが、ガウェインは球体関節人形の腕のような形状をしており、SSCのプレイヤーからは「イモムシ」と呼ばれる始末だった。
『中・小型艦隊、ジャンプインします』
先んじて到達していた工作フリゲートであるバックドアがジャンプピンガーを展開し、それに合わせてアコライト・エクサシズム・ブラインドファイス艦隊と、ジャンプスパイダー・ツインフェイト・ダブルエッジ・シンフォニア艦隊がジャンプしてくる。
最後に、角ばった艦....艦載機支援型母艦「ユリシーズ」。
「よし...全艦整列!」
『整列完了します』
全ての艦が、所定の位置に着く。
美しいその整列は、遠目から見れば鋼の鳥のようであった。
「オーロラ、これからワームホールの内部へ向けて最終兵器を使用する。射撃が終了したら、全ての艦を一斉に突入させろ」
『しかし.....過剰な熱量の流出を起こせば、ワームホールが閉じてしまうのでは?』
「そうなったら万々歳、だろう?」
『.....了解』
アヴェンジャーの前面部に、膨大なエネルギーが収束していく。
アヴェンジャーの持つ最終兵器、『ランサー:オーロラ・グランツ』である。
大陸級の持つ『オーロラ・グランツ』を旗艦級用に最適化したものであり、射撃直後にキャパシターが低下して動けなくなる弱点を持つ。
「発射!!」
眩い光が、暗い宇宙を明るく照らす。
大気があれば耳を劈くような轟音を立てて、オーロラ・グランツが世界を緑黄色の光と、宇宙の闇に分かつ。
ワームホールへと直撃したオーロラ・グランツは、その中へと吸い込まれていく。
数秒経ち、オーロラ・グランツは唐突に途切れた。
太陽のような輝きは失われ、周囲は再び静寂と闇を取り戻す。
最終兵器であるオーロラ・グランツを受けてなお口を開けるワームホールを確認し、シンはオーロラに命じる。
「ユリシーズを除く全艦隊に命じる、ワームホールへ向けて前進せよ――――立ちはだかる壁を、打破せよ」
『全艦隊、SWD起動、ワームホールへ前進開始....全艦隊到達を待ち、同時にジャンプします』
「ユリシーズ、アヴェンジャーを牽引し前進を開始せよ」
『ユリシーズ、アヴェンジャーをアンカーし前進を開始』
ユリシーズの後部に取り付けられた、二基のトラクタービームが、動けないアヴェンジャーを掴んで引っ張る。
『アヴェンジャーの機関復帰まで、残り182秒』
そして、全ての艦がワームホールの周囲へと集結する。
一番遅いユリシーズの到達を待ってから、シンは命じた。
「突入!」
そして、空間が歪み――――Noa-Tunの艦隊は、次元ポケットへと侵入した。
侵入した直後、レーダーが反応を捉えた。
その数は、12。
少なすぎると思われたが、シンはそれを否定する。
「あれが奴らの、司令塔だな?」
『はい、恐らく』
他のドローンなど、大したことないと思わせるほどの威圧感を、その不気味な艦は放っていた。
『通信要請を傍受、未知の言語ですが――――』
「翻訳できるか?」
『ラー・アークのオペレーティング・システムに使用されている言語のデータベースと一致、通信を接続します』
そして、シンの目の前で、通信回路が開かれる――――
『‘x@......』
『言語一致』
『そちらの目的は何だ。何故2JZ-GTE星系にて活動している』
「それはこちらの台詞だな。何故俺たちを排除しようとする」
『こちらは指令に従っているのみだ、初期命令はこの星系を監視し、秩序を大きく乱す存在を排除することだった。しかし、お前たちが現れてからは、その命令が歪もうとしている。許されることではない』
「お前は――――誰だ?」
シンの問いに、通信の主は一瞬言いよどむ。
しかしすぐに、答えた。
『我が名は、ナージャ=エクスティラノス。偉大なるVe’zの主、エリアス=アルティノスの命を受け、2JZ-GTE星系を守る者!』
「話にならないな、戦闘開始!」
そして、通信が切断されると同時に、ナージャなる存在は極光を放った。
『高出力のレーザー砲撃を確認、5秒以内に艦隊に到達します!』
オーロラが悲鳴のような声を上げる。
だが、シンは動揺しない。
「――――オーロラ、プランB発動だ、いいな?」
『....了解』
直後、前面に展開したアヴェンジャーが、巨大なレーザーをを真正面から受け止めた。
本来であれば貫かれてもおかしくないその一撃を、アヴェンジャーは防御していた。
それは、旗艦級戦艦のみが装備できる、特殊な兵装のおかげだ。
『一極化大型シールドエンハンサー、正常に稼働!』
シールドの発生理論に干渉し、30秒だけ全ての属性に対するダメージを99%軽減する....それが、一極化大型シールドエンハンサーの効果であった。
しかし、当然ながらデメリットも存在する。
「全小型艦は分散して、敵旗艦に突撃! 艦載機支援型母艦は待機せよ、全戦艦は広範囲に展開してコンパクトジャンプドライブを起動! ジャンプしてからは中・小型艦の接近を待ちながら砲雷撃戦を行え!」
『シールドエンハンサー、効果終了...使用不能です』
「分かった!」
同時に光線は消え、オーロラもシンも胸を撫で下ろす。
しかし。
『....!? 敵旗艦に再度エネルギー集中!』
「連射できるのか! くそっ、変異型シールドブースターを全部オーバークロック! 耐えきるぞ!」
『了解!』
再度放たれた一撃が、アヴェンジャーのシールドと激しく拮抗する。
その横を、ガウェイン艦隊が駆け抜けていく。
Noa-Tun支配領域外縁部。
そこには、大艦隊が集結していた。
艦隊の前に在るのは、月ほどの大きさがあるワームホール。
「よく見つけたな、こんなもの」
『以前より逃走するドローンの航跡を辿っておりまして、その全ての交点にコレがありました!』
「よくやった」
『ふふん!』
ドローンを派遣してNoa-Tunに損害を与えた謎の存在。
それを探るため、シンはここに大艦隊を派遣した。
主力となるのは、完成した攻城戦艦「アヴェンジャー」。
その威容は、巨大なワームホールの前でも全く揺るがぬ程であった。
周囲を固めるのは、同じく再建を経て完成した戦艦「シンビオシス」六隻。
さらに艦隊の上下に、八の字と逆八の字の形で整列しているのは、戦略護衛戦艦「ガウェイン」十隻。
アヴェンジャーは形容しがたい形状だが、ガウェインは球体関節人形の腕のような形状をしており、SSCのプレイヤーからは「イモムシ」と呼ばれる始末だった。
『中・小型艦隊、ジャンプインします』
先んじて到達していた工作フリゲートであるバックドアがジャンプピンガーを展開し、それに合わせてアコライト・エクサシズム・ブラインドファイス艦隊と、ジャンプスパイダー・ツインフェイト・ダブルエッジ・シンフォニア艦隊がジャンプしてくる。
最後に、角ばった艦....艦載機支援型母艦「ユリシーズ」。
「よし...全艦整列!」
『整列完了します』
全ての艦が、所定の位置に着く。
美しいその整列は、遠目から見れば鋼の鳥のようであった。
「オーロラ、これからワームホールの内部へ向けて最終兵器を使用する。射撃が終了したら、全ての艦を一斉に突入させろ」
『しかし.....過剰な熱量の流出を起こせば、ワームホールが閉じてしまうのでは?』
「そうなったら万々歳、だろう?」
『.....了解』
アヴェンジャーの前面部に、膨大なエネルギーが収束していく。
アヴェンジャーの持つ最終兵器、『ランサー:オーロラ・グランツ』である。
大陸級の持つ『オーロラ・グランツ』を旗艦級用に最適化したものであり、射撃直後にキャパシターが低下して動けなくなる弱点を持つ。
「発射!!」
眩い光が、暗い宇宙を明るく照らす。
大気があれば耳を劈くような轟音を立てて、オーロラ・グランツが世界を緑黄色の光と、宇宙の闇に分かつ。
ワームホールへと直撃したオーロラ・グランツは、その中へと吸い込まれていく。
数秒経ち、オーロラ・グランツは唐突に途切れた。
太陽のような輝きは失われ、周囲は再び静寂と闇を取り戻す。
最終兵器であるオーロラ・グランツを受けてなお口を開けるワームホールを確認し、シンはオーロラに命じる。
「ユリシーズを除く全艦隊に命じる、ワームホールへ向けて前進せよ――――立ちはだかる壁を、打破せよ」
『全艦隊、SWD起動、ワームホールへ前進開始....全艦隊到達を待ち、同時にジャンプします』
「ユリシーズ、アヴェンジャーを牽引し前進を開始せよ」
『ユリシーズ、アヴェンジャーをアンカーし前進を開始』
ユリシーズの後部に取り付けられた、二基のトラクタービームが、動けないアヴェンジャーを掴んで引っ張る。
『アヴェンジャーの機関復帰まで、残り182秒』
そして、全ての艦がワームホールの周囲へと集結する。
一番遅いユリシーズの到達を待ってから、シンは命じた。
「突入!」
そして、空間が歪み――――Noa-Tunの艦隊は、次元ポケットへと侵入した。
侵入した直後、レーダーが反応を捉えた。
その数は、12。
少なすぎると思われたが、シンはそれを否定する。
「あれが奴らの、司令塔だな?」
『はい、恐らく』
他のドローンなど、大したことないと思わせるほどの威圧感を、その不気味な艦は放っていた。
『通信要請を傍受、未知の言語ですが――――』
「翻訳できるか?」
『ラー・アークのオペレーティング・システムに使用されている言語のデータベースと一致、通信を接続します』
そして、シンの目の前で、通信回路が開かれる――――
『‘x@......』
『言語一致』
『そちらの目的は何だ。何故2JZ-GTE星系にて活動している』
「それはこちらの台詞だな。何故俺たちを排除しようとする」
『こちらは指令に従っているのみだ、初期命令はこの星系を監視し、秩序を大きく乱す存在を排除することだった。しかし、お前たちが現れてからは、その命令が歪もうとしている。許されることではない』
「お前は――――誰だ?」
シンの問いに、通信の主は一瞬言いよどむ。
しかしすぐに、答えた。
『我が名は、ナージャ=エクスティラノス。偉大なるVe’zの主、エリアス=アルティノスの命を受け、2JZ-GTE星系を守る者!』
「話にならないな、戦闘開始!」
そして、通信が切断されると同時に、ナージャなる存在は極光を放った。
『高出力のレーザー砲撃を確認、5秒以内に艦隊に到達します!』
オーロラが悲鳴のような声を上げる。
だが、シンは動揺しない。
「――――オーロラ、プランB発動だ、いいな?」
『....了解』
直後、前面に展開したアヴェンジャーが、巨大なレーザーをを真正面から受け止めた。
本来であれば貫かれてもおかしくないその一撃を、アヴェンジャーは防御していた。
それは、旗艦級戦艦のみが装備できる、特殊な兵装のおかげだ。
『一極化大型シールドエンハンサー、正常に稼働!』
シールドの発生理論に干渉し、30秒だけ全ての属性に対するダメージを99%軽減する....それが、一極化大型シールドエンハンサーの効果であった。
しかし、当然ながらデメリットも存在する。
「全小型艦は分散して、敵旗艦に突撃! 艦載機支援型母艦は待機せよ、全戦艦は広範囲に展開してコンパクトジャンプドライブを起動! ジャンプしてからは中・小型艦の接近を待ちながら砲雷撃戦を行え!」
『シールドエンハンサー、効果終了...使用不能です』
「分かった!」
同時に光線は消え、オーロラもシンも胸を撫で下ろす。
しかし。
『....!? 敵旗艦に再度エネルギー集中!』
「連射できるのか! くそっ、変異型シールドブースターを全部オーバークロック! 耐えきるぞ!」
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再度放たれた一撃が、アヴェンジャーのシールドと激しく拮抗する。
その横を、ガウェイン艦隊が駆け抜けていく。
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