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シーズン2-クロトザク終戦
sub-003 『オーロラ記録資料』
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アールシア獣王国は、ヴァールカント大陸の中央を横切るラスタリア大森林に横たわる大きな国.....だった。
最初にその国が発見されてからは、幾度となく行われる侵略によって少しずつ領土を削られ、獣人たちは奴隷として売り捌かれた。
獣人と言うと、獣のように凶悪で、強靭な肉体を持ち――――というイメージが先行するが、そもそも彼らは根が善性である。
「こ、言葉を話すことができる同胞を、襲うのか....?」
と発言したのは、侵略当時の王リュディガー・テール・アールシアである。
彼らにとって、言葉を話すことができないモノは殺してもよい、食べてもよい....逆に、言葉を話すことができるのであれば、それは歓迎すべき同胞だったのだ。
同族との領土や資源を巡った争いはあったが、ただただ殺すために、奪うために襲ってくる人間は異質だった。
時は巡り、獣人と人間の争いは決定的なものとなった。
血に飢え、狂う獣人たちも増え、リュディガーの跡を継いだ新王シュナスが、人間との戦いにおいて重要な、道具の概念、武器や防具、兵器といった様々な要素を調べさせ、獣人たちは自分たちの種を守るために戦った。
だが、人間は重要な労働力である獣人の産出量が減るのを嫌がり、団結するようになった。
「元気な赤ちゃんですよー」
「おお....」
そして。
それから数代後。
ネムとルル......ネムリー・レート・アールシアとルルシア・レート・アールシアがそれぞれ順番に誕生した。
彼女たちを産んだリリーシャ・レート・アールシアは、新しい命の誕生に歓喜し、近く訪れる戦いに備えていたその代の王ブラウム・テール・アールシア王と共に、彼女らが元気な泣き声を上げるのを、微笑ましそうに見守った。
しかし、そんな平和な光景も、すぐに終わりを迎えることになる。
「う、嘘だ.......嘘だあああああああああ!!!」
リリーシャは、遠征中のブラウムがいない隙に潜り込んだ人間の暗殺者に、呆気なく殺されてしまった。
早期に気付いたメイドによって暗殺者は惨殺され、ネムとルルは生き残ったが、リリーシャの治療は間に合わなかった。
ブラウムは憎悪と狂気に駆られたが、同時に娘の前でそんな恰好は見せられないと思い返し、愛情を込めて娘たちを育てた。
だが、人間というものはどこまでも醜悪で、残酷である。
「包囲せよ! 今こそ獣人共の蛮王にとどめを刺し、我らが光神の地から汚らわしい獣どもをを追い出すのだ!」
神の名のもとに。
そんな大義名分を持った人間達は、一斉に獣人たちの国を包囲した。
大国三つの連合軍である。
「うおおおおお!!!」
敵将との一騎打ちを叫び、前線を張ったブラウムだったが、人間側は真面目に取り合わず、兵を退かして毒矢で攻撃してきた。
ブラウムは雄叫びを上げながら戦ったが、突き刺さった毒矢の毒が全身に回り、落鳥して地面に跪いた。
「ここで.....死ぬわけには......!」
ブラウムの脳裏には、残してきた娘たちの姿があった。
だが、大型の獣すら死に至らしめる毒は、ブラウムの身体を冒し、彼は倒れ込んだ。
兵たちは歓喜の声を上げ、ブラウムの真横を通り過ぎていく。
「神.....よ.......獣神、よ.......どうか、娘たちを.......」
ブラウムの頬が涙を伝う。
獣人たちの歴史が、守るべき都市が、愛する娘たちが、その脳裏を過り、消えていく。
「.......お守りください」
そして。
全てが変わった。
連合国軍は、空を埋め尽くす見たこともない悪魔の群れに遭遇し、碌な抵抗も出来ないままに全滅した。
獣人は悪魔と契約したのだと各国の者達は考えたが、自分たちの王を城ごと神罰が貫き殺したのを見て考えを改めた。
教会は火消しに奔走したが、全ての連合国の指導者が天罰を受けたのを、それぞれの首都の人間が目にしたのである。
収まるわけもなく、人間達は神を信じる者と信じない者に別れ、自滅戦争を開始するのであった。
――――オーロラ 記録資料No.92』
最初にその国が発見されてからは、幾度となく行われる侵略によって少しずつ領土を削られ、獣人たちは奴隷として売り捌かれた。
獣人と言うと、獣のように凶悪で、強靭な肉体を持ち――――というイメージが先行するが、そもそも彼らは根が善性である。
「こ、言葉を話すことができる同胞を、襲うのか....?」
と発言したのは、侵略当時の王リュディガー・テール・アールシアである。
彼らにとって、言葉を話すことができないモノは殺してもよい、食べてもよい....逆に、言葉を話すことができるのであれば、それは歓迎すべき同胞だったのだ。
同族との領土や資源を巡った争いはあったが、ただただ殺すために、奪うために襲ってくる人間は異質だった。
時は巡り、獣人と人間の争いは決定的なものとなった。
血に飢え、狂う獣人たちも増え、リュディガーの跡を継いだ新王シュナスが、人間との戦いにおいて重要な、道具の概念、武器や防具、兵器といった様々な要素を調べさせ、獣人たちは自分たちの種を守るために戦った。
だが、人間は重要な労働力である獣人の産出量が減るのを嫌がり、団結するようになった。
「元気な赤ちゃんですよー」
「おお....」
そして。
それから数代後。
ネムとルル......ネムリー・レート・アールシアとルルシア・レート・アールシアがそれぞれ順番に誕生した。
彼女たちを産んだリリーシャ・レート・アールシアは、新しい命の誕生に歓喜し、近く訪れる戦いに備えていたその代の王ブラウム・テール・アールシア王と共に、彼女らが元気な泣き声を上げるのを、微笑ましそうに見守った。
しかし、そんな平和な光景も、すぐに終わりを迎えることになる。
「う、嘘だ.......嘘だあああああああああ!!!」
リリーシャは、遠征中のブラウムがいない隙に潜り込んだ人間の暗殺者に、呆気なく殺されてしまった。
早期に気付いたメイドによって暗殺者は惨殺され、ネムとルルは生き残ったが、リリーシャの治療は間に合わなかった。
ブラウムは憎悪と狂気に駆られたが、同時に娘の前でそんな恰好は見せられないと思い返し、愛情を込めて娘たちを育てた。
だが、人間というものはどこまでも醜悪で、残酷である。
「包囲せよ! 今こそ獣人共の蛮王にとどめを刺し、我らが光神の地から汚らわしい獣どもをを追い出すのだ!」
神の名のもとに。
そんな大義名分を持った人間達は、一斉に獣人たちの国を包囲した。
大国三つの連合軍である。
「うおおおおお!!!」
敵将との一騎打ちを叫び、前線を張ったブラウムだったが、人間側は真面目に取り合わず、兵を退かして毒矢で攻撃してきた。
ブラウムは雄叫びを上げながら戦ったが、突き刺さった毒矢の毒が全身に回り、落鳥して地面に跪いた。
「ここで.....死ぬわけには......!」
ブラウムの脳裏には、残してきた娘たちの姿があった。
だが、大型の獣すら死に至らしめる毒は、ブラウムの身体を冒し、彼は倒れ込んだ。
兵たちは歓喜の声を上げ、ブラウムの真横を通り過ぎていく。
「神.....よ.......獣神、よ.......どうか、娘たちを.......」
ブラウムの頬が涙を伝う。
獣人たちの歴史が、守るべき都市が、愛する娘たちが、その脳裏を過り、消えていく。
「.......お守りください」
そして。
全てが変わった。
連合国軍は、空を埋め尽くす見たこともない悪魔の群れに遭遇し、碌な抵抗も出来ないままに全滅した。
獣人は悪魔と契約したのだと各国の者達は考えたが、自分たちの王を城ごと神罰が貫き殺したのを見て考えを改めた。
教会は火消しに奔走したが、全ての連合国の指導者が天罰を受けたのを、それぞれの首都の人間が目にしたのである。
収まるわけもなく、人間達は神を信じる者と信じない者に別れ、自滅戦争を開始するのであった。
――――オーロラ 記録資料No.92』
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