【完結】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀

黴男

文字の大きさ
119 / 247
シーズン5-ビージアイナ決戦編

113-主力艦決戦 前編

しおりを挟む
そして。
ついに決戦の日が訪れた。
ビージアイナ帝国側は帝都からスターゲートで一ジャンプのナータリアを最終防衛ラインに選び、わざと一隻のバライエルードを、座礁している体で放置した。

「あっ、これは確実に罠だな」
『ですね』

そしてそれを、シンとオーロラが操るバックドアが捉えた。
バックドアの特徴として、燃料なしにジャンプピンガーを展開できるが、その代わり遮蔽することはできないというものがある。

『敵の小型艦を捕捉』
「ククク、来たか――――罠とも知らずに!」

ファルシー将軍は、スキャンに映った敵艦の情報に、内心狂喜乱舞していた。
餌が手中に飛び込んできたのだから。

「ジャンプピンガー展開」
『了解。まずは先行で、一隻アヴェンジャーを投下します』
「ああ」

シン達は、アヴェンジャーをピンガーにジャンプさせる。
アヴェンジャーはピンガーへとジャンプし、宙域へと現れる。

『ターゲット、ロックオ――――!?』
「なるほど、ワープ妨害がない分、こういう事が出来るのか」

シンは呟く。
ビースミルコルドがアヴェンジャーに体当たりをして、その速度を相殺する。
これにより、アヴェンジャーはワープ航行で逃げる事が出来ないという事だ。

「ヒャハハア!! やぁっと、我が手中に! ハマって、くれたぞおおお!!」

ファルシー将軍は、本性をむき出しにして叫ぶ。
それもそのはず。
帝国をここまで苦しめたNoa-Tun連邦なるテロリストの、その自信の源である主力艦は、今や撃沈一歩手前に来たのである。

「さぁ! 精々支援を寄こすんだなァ!」
「よし、追加で主力艦を50隻投入。様子を見る!」
『はい』

その声が届いたのかは分からないが、シンはそう命じた。
そして、ジャンプピンガーに向かって50隻の主力艦がジャンプする。

「さぁ、来たぞ、餌が......え、さ........な、何だと!?」

ファルシー将軍の声のトーンが、一気に下がる。
それもそのはず。
途轍もない大きさのジャンプポータルが、宙域に出現し。
アヴェンジャーに負けずとも劣らぬ大きさの艦船が大量に出現したのであるから。

『き、旗艦級戦艦、総数51に増加!』
「く、クロムセテラスとジルストリークを投入せよ!」
『はっ!』

追加でワープしてきたクロムセテラスとジルストリークを見て、シンは一瞬考える。

「(これ程大きい国が、旗艦級を5隻しか持っていない筈がない。つまり、50隻では取るに足らないと考えているのか?)......よしオーロラ。”おかわり”だ!」
『了解!』

主力艦が再び投入される。
そして、その数は遂に。
120隻に到達した。

「あ.......あ..........」
『将軍閣下、し、指示をっ!』
「有り得ん、有り得んではないかっ!! 何故! 何故海賊が!! テロリスト風情がッ!! こんな短期間でぇ......主力艦を増産できるはずがない!! うわぁあああ!! たすけ、助けてぇっ!!」

余りのショックに、ファルシー将軍は幼児退行してしまう。
これにより指揮系統を失ったビージアイナ帝国主力艦隊は一気に危機に陥った。

『敵主力艦、攻撃してきます』
「おかしいなあ......普通100隻も主力艦が居たら、追加で戦力を投入してくるはず.....まあいい。オーロラ、適当に沈めとけ」
『了解しました』

120隻の主力艦の砲塔全てが、最初からいたバライエルードではなく、ジルストリークに向く。
艦載機戦より、純粋な戦闘力を懸念したのである。

『いけないっ!!』

クロムセテラスがその前に立ちふさがり、砲撃を受ける。
シールドを貫通したミサイル・レーザー・砲撃。
あらゆる主力艦の持つ攻撃手段が襲い掛かる。
それだけではない。
主力艦の中には、艦載機母艦も無数にいる。
本来は艦載機を乗せる船だが、天空騎士団は数が少ない。
そこで――――

『全艦載機、ドローンを展開。一隻300機でコントロールします』

Noa-Tun連邦の主力艦隊から、夥しい数のドローンが発艦する。
そして、ついに船体に大穴が開いたクロムセテラスが、爆炎とともに轟沈し始める。

『クルト! 何故そんな無駄なことを!』
『無駄じゃないさ、愛する君を守れたからね――――じゃ、バイバイ』

クロムセテラスが当然のように撃沈し、通信が途絶える。
そして、その映像を見ていた人間すべてが理解した。
最終決戦が始まったのだと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

処理中です...