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シーズン5-ビージアイナ決戦編
119-アインス!小惑星級は使うなよ!
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その頃。
戦況は芳しい状況ではなかった。
主力艦20隻による攻撃も、周囲の艦のキャパシタを吸って半永久的に回復するシールドを前にしては意味がない。
『ドゥームズデイ・デバイス四度目の射撃完了。敵シールド、95%まで減衰』
「硬すぎるよぉ.....」
「かなりの不利ですね」
アインスは拳を握り締める。
このままでは敗北の汚名を被り――――シンに捨てられる。
それだけは避けなければ......と。
「........意見具申。ネム副司令、私に案があります」
「いいよっ、何でも言って!」
「..........小惑星級を動かしましょう」
『それはリスクが高すぎます』
オーロラが即座に切って捨てる。
だが、アインスは捨てられた案をノリでくっ付けるように、言葉を続ける。
「シン司令官が首都に行っている以上、私たちがここを抑えるのに失敗すれば、司令官が危なくなるのです、それに.......ミドカルズ・オルムなら、ユグドラシルからナータリアまで、ジャンプポータルを開けます」
『.......成程、追加の戦力を?』
「そうです」
「あっ! それなら! 軍事力補強艦載機母艦? を呼べるから、プロトタイプのあれも出撃させられるよ!」
「.....成程、では、私が出撃し重艦載機編隊の指揮を執ります」
そこからは速かった。
ネムが全責任を取ると言い出したので、オーロラも黙るしかなかった。
『主力艦100隻、配備完了。攻撃艦隊、正常に配備完了。いいですか、ジャンプ用の燃料はこの一度だけの量しかありません。これ以上の増援は不可能です』
「.........司令官の為に」
「お姉ちゃんとアインスさんがいたら、絶対勝てるよ!」
ジャンプポータルを船が通過するたびに、燃料を消費するシステムだが。
オーロラは、今回は強化ジャンプフィールドジェネレーターを使い、長距離かつ、三倍の燃料を必要とする代わりに、燃料消費は一切変化しないといった状況を作っていた。
『ジャンプピンガーを認識。ジャンプポータル展開!』
そして。
Noa-Tunよりも巨大なジャンプポータルが開き、主力艦隊と500を超える攻撃艦隊がジャンプしていく。
最後にミドカルズ・オルムがジャンプし、ユグドラシルの空は何事もなかったかのように静まり返った。
「........」
『後悔してる? アインスさん』
「.....いえ。忠誠心が邪魔をしなかったという事は、きっと良案です」
アインスは教育後、初めてオーロラやネムに逆らった。
だがそれは、反抗心からではなく。
シンに捨てられたくないが故の、オーバークロックのような結論だったのだ。
『ジャンプポータルの出口まで残り5秒....4....3....2....1......出ます!』
そして。
ミドカルズ・オルム艦隊は、ナータリアのゲート前へと出た。
「敵艦、再度キャパシタバニッシャーを使うみたい!」
「させはしない! 全艦、射線上から後退せよ!」
『はい!』
まるで王の通り道を開けるように、艦隊が退いていく。
『私も、私なりに考えました。司令官であれば、こういったときどうやって対処するかを――――そこで、二人の意見をミックスした結果、ミドカルズ・オルムを出す正当な理由があったのですよ』
ミドカルズ・オルムの流線形の前面装甲が開き、複雑な機構の装置が現れる。
そして、キルゾーンから全ての艦が撤退したその瞬間。
『E・C・Mストーム.....放射!!』
ECMバーストの上位版。
電磁波をぶつけて敵の機器を狂わせるECMバーストとは、格が違う。
ECMストームは文字通り、電磁嵐を作り出す兵器なのだ。
そして、その嵐は容易にビルジアイナディートを包み込み、その電子機器類に異常を起こさせる。
「シールドニュートラライザー起動!」
「フォーカスインシュレーターボム、一斉発射!」
主力艦が一斉にビルジアイナディートにシールド中和を掛け、そこに爆撃艦隊が相手の電力をを急速に低下させるフォーカスインシュレーターボム(通称FIB)を投射、ビルジアイナディートのキャパシターを奪って動きを止めた。
「さあ、やっと普通に撃ち合えるね!」
『全艦、プライマリー同期。射撃開始!』
Noa-Tunの主力艦隊と、大艦隊、TRILL-HEIMからのICBMによる援護射撃。
それによって、劣勢だった戦況は一気に優勢へと覆った。
『先程ノ威勢ハドウシタ?』
「ぐぬぬぬぬ...」
ノーザン・ライツの映像による煽りを受けて、ヴィッピスは苛立ちを露わにする。
だが、その表情にはまだ余裕があった。
「だが...この艦の構造は二重! 表をどんなに傷付けようとも、内部の“都市”までは...!」
『都市内部に、艦載機が数機侵入!』
「何ィ!?」
ビルジアイナディートの内部。
そこは、都市であった。
円筒型の中心リムに、ビル群が張り付いている。
それを見たルルは、
「...覚醒」
そう呟き、機体と思考を遥かな速度へと高めた。
戦況は芳しい状況ではなかった。
主力艦20隻による攻撃も、周囲の艦のキャパシタを吸って半永久的に回復するシールドを前にしては意味がない。
『ドゥームズデイ・デバイス四度目の射撃完了。敵シールド、95%まで減衰』
「硬すぎるよぉ.....」
「かなりの不利ですね」
アインスは拳を握り締める。
このままでは敗北の汚名を被り――――シンに捨てられる。
それだけは避けなければ......と。
「........意見具申。ネム副司令、私に案があります」
「いいよっ、何でも言って!」
「..........小惑星級を動かしましょう」
『それはリスクが高すぎます』
オーロラが即座に切って捨てる。
だが、アインスは捨てられた案をノリでくっ付けるように、言葉を続ける。
「シン司令官が首都に行っている以上、私たちがここを抑えるのに失敗すれば、司令官が危なくなるのです、それに.......ミドカルズ・オルムなら、ユグドラシルからナータリアまで、ジャンプポータルを開けます」
『.......成程、追加の戦力を?』
「そうです」
「あっ! それなら! 軍事力補強艦載機母艦? を呼べるから、プロトタイプのあれも出撃させられるよ!」
「.....成程、では、私が出撃し重艦載機編隊の指揮を執ります」
そこからは速かった。
ネムが全責任を取ると言い出したので、オーロラも黙るしかなかった。
『主力艦100隻、配備完了。攻撃艦隊、正常に配備完了。いいですか、ジャンプ用の燃料はこの一度だけの量しかありません。これ以上の増援は不可能です』
「.........司令官の為に」
「お姉ちゃんとアインスさんがいたら、絶対勝てるよ!」
ジャンプポータルを船が通過するたびに、燃料を消費するシステムだが。
オーロラは、今回は強化ジャンプフィールドジェネレーターを使い、長距離かつ、三倍の燃料を必要とする代わりに、燃料消費は一切変化しないといった状況を作っていた。
『ジャンプピンガーを認識。ジャンプポータル展開!』
そして。
Noa-Tunよりも巨大なジャンプポータルが開き、主力艦隊と500を超える攻撃艦隊がジャンプしていく。
最後にミドカルズ・オルムがジャンプし、ユグドラシルの空は何事もなかったかのように静まり返った。
「........」
『後悔してる? アインスさん』
「.....いえ。忠誠心が邪魔をしなかったという事は、きっと良案です」
アインスは教育後、初めてオーロラやネムに逆らった。
だがそれは、反抗心からではなく。
シンに捨てられたくないが故の、オーバークロックのような結論だったのだ。
『ジャンプポータルの出口まで残り5秒....4....3....2....1......出ます!』
そして。
ミドカルズ・オルム艦隊は、ナータリアのゲート前へと出た。
「敵艦、再度キャパシタバニッシャーを使うみたい!」
「させはしない! 全艦、射線上から後退せよ!」
『はい!』
まるで王の通り道を開けるように、艦隊が退いていく。
『私も、私なりに考えました。司令官であれば、こういったときどうやって対処するかを――――そこで、二人の意見をミックスした結果、ミドカルズ・オルムを出す正当な理由があったのですよ』
ミドカルズ・オルムの流線形の前面装甲が開き、複雑な機構の装置が現れる。
そして、キルゾーンから全ての艦が撤退したその瞬間。
『E・C・Mストーム.....放射!!』
ECMバーストの上位版。
電磁波をぶつけて敵の機器を狂わせるECMバーストとは、格が違う。
ECMストームは文字通り、電磁嵐を作り出す兵器なのだ。
そして、その嵐は容易にビルジアイナディートを包み込み、その電子機器類に異常を起こさせる。
「シールドニュートラライザー起動!」
「フォーカスインシュレーターボム、一斉発射!」
主力艦が一斉にビルジアイナディートにシールド中和を掛け、そこに爆撃艦隊が相手の電力をを急速に低下させるフォーカスインシュレーターボム(通称FIB)を投射、ビルジアイナディートのキャパシターを奪って動きを止めた。
「さあ、やっと普通に撃ち合えるね!」
『全艦、プライマリー同期。射撃開始!』
Noa-Tunの主力艦隊と、大艦隊、TRILL-HEIMからのICBMによる援護射撃。
それによって、劣勢だった戦況は一気に優勢へと覆った。
『先程ノ威勢ハドウシタ?』
「ぐぬぬぬぬ...」
ノーザン・ライツの映像による煽りを受けて、ヴィッピスは苛立ちを露わにする。
だが、その表情にはまだ余裕があった。
「だが...この艦の構造は二重! 表をどんなに傷付けようとも、内部の“都市”までは...!」
『都市内部に、艦載機が数機侵入!』
「何ィ!?」
ビルジアイナディートの内部。
そこは、都市であった。
円筒型の中心リムに、ビル群が張り付いている。
それを見たルルは、
「...覚醒」
そう呟き、機体と思考を遥かな速度へと高めた。
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