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シーズン8-オルトス王国侵攻編
180-フィナーレへの序曲
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幸いにも、通信はすぐに繋がった。
俺は接続中の画面を見ながら、帽子を正す。
『ブッ――――』
ノイズと共に画面が映り、近未来的な仮面を付けた男が映った。
正体の知れなさはノーザン・ライツ並か。
ファースト・コンタクトは慎重に.....
「お初にお目にかかる。王国軍所属、不明艦に向け、Noa-Tun連邦指揮官、シンが.....」
『えっ....お兄ちゃん?』
何?
俺は掛けられた声に、信じられない思いを抱いた。
男の仮面が、小さな音を立てて開く。
そこから現れたのは、俺の妹の顔だった。
....いや、有り得ない.....事は決して有り得ない事は、俺が一番よくわかっていた。
出来過ぎている。
もしここにいるのが妹ならば、あのグローリー級は『アドアステラ』。
俺が、Per aspera ad astra.....『苦難を乗り越え星々へ』というラテン語から付けて妹に渡した、SNOの艦船の一つである。
思えば、さっきの仮面も、SNOの一周年イベントで貰ったものだった気がする。
『お兄ちゃん.....どうしてそっちに居るの!?』
「..........」
なんて答えるべきか。
いつものように格好つけて誤魔化しても、妹に対して理由付けにはならない。
「.......お前こそ、何故そちらにいる?」
『お兄ちゃんが言うなら、そっちに付くよ』
「そういう事を聞いているんじゃない、何故この世界にいるんだ!?」
妹はスタンスが弱い。
俺が妹と会いたかったのも、そういうスタンスの弱さからの事だ。
『えっと.........お兄ちゃんが自分から来たのと違って、私は気付いたらこの船と一緒に居たんだけど......』
「そうか」
なら、遠慮は要らないな。
俺は頷くと、妹....流歌に向けて顔を上げた。
「なら.......流歌」
『今はカルって名乗ってるんだけど...』
「カル。....お前は我がNoa-Tun連邦の憎むべき怨敵である。お前も、俺と再び出会いたければ、俺が王国を滅ぼすのを止めろ」
『ま、待って! どうして王国を――――』
「お前の――――お前の役割は何だ」
『..........王国を守る事、だけど』
「俺との事を天秤を掛けるのなら、お前はまず王国を優先しなければならない。これは俺の....兄としての、お前への命令だ! Noa-Tun連邦と戦え! そして――――俺を倒してみろ!」
俺はまくし立てる。
妹はスタンスが弱い。
お前は俺の敵でなければならない。
何故ならお前は、お前は――――より高い場所へ向かうべきなのだから。
『お兄ちゃんがそう言うなら.....私は、いつか必ず。お兄ちゃんと戦う!』
「いい決意だ....オーロラ、爆撃艦隊の遮蔽を解け! アドアステラを撃墜しろ!」
俺は接近させていた爆撃艦隊に、アドアステラを襲わせた。
油断すれば死ぬだろう。
だが、それなら所詮はその程度だったという事。
通信が切れ、アドアステラは回頭して宙域を離脱していった。
「ゲートがないから、離脱には時間を要するはずだ。すぐに追撃艦隊を編成しろ」
『.....何故ですか?』
その時、オーロラが恐る恐るといった様子で尋ねてくる。
疑問を抱くようなことがあったか?
「何がだ?」
『貴方はずっと、妹さんと会いたいとオフタイムに漏らしていた筈です』
「.....ああ、それは建前だ」
『だとしても、妹に対する仕打ちとは思えません』
「俺の命令が聞けないのか?」
『これは個人的な疑問です』
「なら、なかったものと思え」
『承知しました』
オーロラだけにして正解だった。
この矛盾は、矛盾しているように見えて実はそうではない。
俺の『計画』は今始まったんだ。
「始めるぞ.....」
さあ、すべてを終わらせよう。
これこそが、俺の人生の最終決戦だ。
俺は接続中の画面を見ながら、帽子を正す。
『ブッ――――』
ノイズと共に画面が映り、近未来的な仮面を付けた男が映った。
正体の知れなさはノーザン・ライツ並か。
ファースト・コンタクトは慎重に.....
「お初にお目にかかる。王国軍所属、不明艦に向け、Noa-Tun連邦指揮官、シンが.....」
『えっ....お兄ちゃん?』
何?
俺は掛けられた声に、信じられない思いを抱いた。
男の仮面が、小さな音を立てて開く。
そこから現れたのは、俺の妹の顔だった。
....いや、有り得ない.....事は決して有り得ない事は、俺が一番よくわかっていた。
出来過ぎている。
もしここにいるのが妹ならば、あのグローリー級は『アドアステラ』。
俺が、Per aspera ad astra.....『苦難を乗り越え星々へ』というラテン語から付けて妹に渡した、SNOの艦船の一つである。
思えば、さっきの仮面も、SNOの一周年イベントで貰ったものだった気がする。
『お兄ちゃん.....どうしてそっちに居るの!?』
「..........」
なんて答えるべきか。
いつものように格好つけて誤魔化しても、妹に対して理由付けにはならない。
「.......お前こそ、何故そちらにいる?」
『お兄ちゃんが言うなら、そっちに付くよ』
「そういう事を聞いているんじゃない、何故この世界にいるんだ!?」
妹はスタンスが弱い。
俺が妹と会いたかったのも、そういうスタンスの弱さからの事だ。
『えっと.........お兄ちゃんが自分から来たのと違って、私は気付いたらこの船と一緒に居たんだけど......』
「そうか」
なら、遠慮は要らないな。
俺は頷くと、妹....流歌に向けて顔を上げた。
「なら.......流歌」
『今はカルって名乗ってるんだけど...』
「カル。....お前は我がNoa-Tun連邦の憎むべき怨敵である。お前も、俺と再び出会いたければ、俺が王国を滅ぼすのを止めろ」
『ま、待って! どうして王国を――――』
「お前の――――お前の役割は何だ」
『..........王国を守る事、だけど』
「俺との事を天秤を掛けるのなら、お前はまず王国を優先しなければならない。これは俺の....兄としての、お前への命令だ! Noa-Tun連邦と戦え! そして――――俺を倒してみろ!」
俺はまくし立てる。
妹はスタンスが弱い。
お前は俺の敵でなければならない。
何故ならお前は、お前は――――より高い場所へ向かうべきなのだから。
『お兄ちゃんがそう言うなら.....私は、いつか必ず。お兄ちゃんと戦う!』
「いい決意だ....オーロラ、爆撃艦隊の遮蔽を解け! アドアステラを撃墜しろ!」
俺は接近させていた爆撃艦隊に、アドアステラを襲わせた。
油断すれば死ぬだろう。
だが、それなら所詮はその程度だったという事。
通信が切れ、アドアステラは回頭して宙域を離脱していった。
「ゲートがないから、離脱には時間を要するはずだ。すぐに追撃艦隊を編成しろ」
『.....何故ですか?』
その時、オーロラが恐る恐るといった様子で尋ねてくる。
疑問を抱くようなことがあったか?
「何がだ?」
『貴方はずっと、妹さんと会いたいとオフタイムに漏らしていた筈です』
「.....ああ、それは建前だ」
『だとしても、妹に対する仕打ちとは思えません』
「俺の命令が聞けないのか?」
『これは個人的な疑問です』
「なら、なかったものと思え」
『承知しました』
オーロラだけにして正解だった。
この矛盾は、矛盾しているように見えて実はそうではない。
俺の『計画』は今始まったんだ。
「始めるぞ.....」
さあ、すべてを終わらせよう。
これこそが、俺の人生の最終決戦だ。
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