【完結】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀

黴男

文字の大きさ
188 / 247
シーズン8-オルトス王国侵攻編

182-朝

しおりを挟む
俺の朝は早い。
私室から出ずに、併設された浴室でシャワーを浴び、着替えて外へと出る。
この部屋には誰も入れることを許していないので、俺のラフな姿を見た者はこの世界ではオーロラ以外誰もいないだろう。

「.......で、またお前か」
「はっ、司令官! おはようございます!」

ドアの前でアインスが待っていた。
こいつは何度注意しても、厳罰を科しても命令を破って来る。
定期チェックテストは全部合格してくるので、教育に綻びはないようだが.....

「.......もう着任準備は出来たのか?」
「はい!」
「よし、戦闘指揮所に向かえ」
「はい!」

アインスを追いやった俺は、食堂に向かう。
そこでは、ルルとネムの姉妹が、朝からステーキ定食を食べていた。
彼女らは獣人だから、驚異の消化力で朝からしっかり食べられるのだ。
覚醒はかなりカロリーを消費するから、いい選択肢だろう。

「今日は奇数日か.....オーロラ」
『はい』

オーロラは、カロリーメ○トそっくりの携帯食料と、非常食糧の紅茶を出してくる。
俺は燃料と物資がなかった時代を忘れないために、これを奇数日の食事全てに割り当てている。
....それに、一食あれば半日分の栄養を賄う事が出来る。
バカみたいに食べるより、効果的だ。

「シン様、それだけでいいのですか?」
「ああ」

そういえば、ルルがいる前でこれを食うのは初めてだな。
昨日変な夢を見たせいでよく眠れず、普段二人より早く起きる筈がこんなに遅れてしまったわけだ。

「オーロラ、今日の予定は?」
『本日は艦隊総司令である貴方に予定は割り振られていませんので、通常勤務のみです』
「了解」

要は最高責任者としての勤務か。
俺は食事を終え、精製水の味気ない紅茶を啜る。

「今日の行軍予定は?」
「パートシル星系への侵攻作戦を実行します。最終段階に入っており、既にゲートは破壊済みです」
「人間爆弾の製造ラインはどうなってる?」
「生きた人間の洗の.....再教育に時間をかけているため、現在必要数の21%までしか製造できていません」
「それで十分だ」

対王国戦線において、俺はとある特徴を発見した。
帝国とは異なり、王国は避難民を特に調べもせずに受け入れるのだ。
だからこそ、こちらもドローンを送り込みやすい。
王国人を教育(意訳)して、内部に小型核を仕込む。
任意ではなく、特定の条件下で起爆させ王国を混乱に追い込む。

「戦線が拡大しないと、戻ってきた避難民は疑われる。混乱の中で王国の奥にまで広く食い込ませて、権力者の殺害に役立ってもらおう」

敵は強い.....が、その強さは妹あってのモノ。
妹が居なければ、奴らはただの国家だ。
帝国を攻略したときと何も変わらない。

「ジャンプディスラプターの製造状況は?」
『必要数の51%まで製造出来ましたが、運用に必要な燃料の採取にはあと一週間必要です。既にユグドラシル星系では稼働させていますが.....』

アドアステラには、ハイパードライブという特殊な機構が付いている。
アドアステラがどうやって逃げられたのか気になったが、恐らくハイパードライブで空間を跳躍して逃げたのだろうな。
とにかく、ハイパードライブがある限り、アドアステラは自在に奇襲が出来る。
だからこそ、こちらもジャンプディスラプターで対抗する。
SSCの領土戦において、ジャンプピンガーによるジャンプポータル奇襲は脅威になる。
だからこそ、ジャンプドライブによる回廊形成を妨害する装置がある。
それを起動させ、外からの侵攻を防ぐ。
ちなみにこれは、味方のジャンプも阻害してしまうため、侵攻時には一時的に解除することもあるだろうが.....

「ちゃんと三つ作ってるか?」
『はい』

起動用に一つ。
緊急用に二つ。
妹の事だ、ジャンプディスラプターの存在には直ぐに気付くだろう。
だからこそ、矢避けに一つ係留し、それが攻撃されている間にもう一つを起動する。

「.........俺は、負けるつもりはないが....」
『どうされましたか?』
「何でもない」

俺はエレベーターに乗り、戦闘指揮所へと上がった。
そこにはすでに、ドライとディーヴァがいた。

『おはようなのじゃ!』
「おはようございます。司令」
「ああ」

今日の任務を始めよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

処理中です...