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シーズン8-オルトス王国侵攻編
195-ラステイク奪還戦(後編)
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『王国艦隊、立体的に展開を開始しました』
オーロラがそう報告すると同時に、王国軍の艦隊が動きを変え、上下左右に散らばり始める。
恐らく、ミサイルや誘爆による被害を軽減し、被弾面積を低下、射撃を効率的に散らせるためだろう。
いい判断だ、恐らく流歌ではない人間の命令だろう。
とは言え、このまま静観するのも面倒だ。
「重爆撃機、ジャンプフィールドに乗って敵中央に攻撃開始! 軽戦闘機は射撃を回避しつつ、末端の巡洋艦・戦艦に畳み掛けろ!」
続けて、味方の長距離射程艦に命じて敵の掃討を開始する。
それに合わせて、王国艦隊の長射程レーザーがこちら側の艦船のシールドを焼く。
だが、シールド修復の範囲内でしかない。
何をやってる、流歌。
こちらの高度技術艦船のシールドを貫くなら、一点に収束させるべきだ。
そう思った俺だったが、アドアステラから放たれた砲撃がミアプラキドゥスのシールドを貫通し、装甲にまで損傷を負わせるのが見えた。
そうだ、それでいい。
「全艦、シールドエコー開始! ディーヴァ!」
『何じゃ!?』
「マインドリンクバーストを使え」
『アレを...? 妾にも羞恥心というものはあるのじゃが』
「無機物相手だろう?」
『ええい、ままよ!』
直後、アバター級に固定されたマルクトから、エネルギー波が放たれる。
それは艦隊を包むように拡散し、ナノウェーブとは異なる効果を齎す。
ようは、ナノマシンではなく精神によって感応する特殊な粒子をばら撒いているのだ。
『護れ!』
それらはシールドに浸透し、アドアステラの砲撃から艦隊を守る。
アレはエミドから回収した技術をリバースエンジニアリングした上でアップデートを重ねたものなので、ディーヴァがこの船を守りたいと思う気持ちの強さで自在に変化する。
『よぅし、妾もやる気になったぞよ、共に舞おうぞ、この空を!』
「ああ...では、ネム!」
ネムは今回、ブリッジにいた。
俺は彼女を信じて、ある役目を任せる事にした。
「俺はこれから、エリミネーターのコアに入る。だから、ネム。お前は指揮官として、この戦場を指揮せよ」
「は...はいっ!」
「いい返事だ」
『焦滅砲』と呼称される、アバター級に搭載された武装。
これがあれば、数の差は問題になり得ない。
「ディーヴァ、シュッツェ・フリューゲルスとA.O.Iの使用を許可する」
『おおっと、妾に働かせすぎではないかのう』
「その代わり、接近する艦隊は即座に消し飛ばしてやるからいいだろ」
『うむ、帰ったら少々話し合おうぞ』
「これは怖いな」
俺はボヤきつつ、コアのある部屋へと向かうのだった。
そして。
シンがコアに入ったその瞬間、アバター級の形状が大きく変化する。
全面部が展開され、左右対照に二つの巨大な砲口のような穴が開く。
上部に接続されたマルクトの機体が迫り上がり、A.O.Iの発射台が顕になった。
敵がその変化に気付いた直後。
前面部から放たれた光線のような一撃が、アバター級の正面にいた旗艦艦隊を薙ぎ払った。
アドアステラはそれによって何のダメージも受けていなかったが、他の艦船は異なる。
まるで光に溶けるように、一瞬でその場から消滅させられたのだ。
艦隊のど真ん中に大穴が空き、アドアステラが孤立した。
『バカな、何で効いていない!?』
シンの慌てたような声を聞きつつ、ネムとディーヴァは与えられた任務を遂行する。
イレギュラーはあれど、追加の指示があるまでは独断専行は許されない。
旗艦を失った主力艦隊7万に対して、ネム率いるNoa-Tun艦隊二万が動き出す。
「ピンガーアップ! ピンガーアップ! ポータル、ポータル!」
ネムの指示でジャンプピンガーが艦隊の中でいくつも展開され、そこに数千、数万の艦隊がジャンプアウトしてくる。
「ジャンプした艦隊の指揮権はウィングD~Gに移行です! ウィングB、前進開始、全艦両舷増速!」
ネムの目が白銀に輝き、その全身が白く波打つ。
ネムが覚醒を使ったのだ。
その能力は、精神を研ぎ澄まし、感覚と知覚能力を増大、思考能力のリミッターを無くすというものである。
今、彼女は全てを感じられ、全てが見え、全てを考えられる状態にあるのだ。
『ウィングCが敵のプライマリを受けています』
「ウィングA-2のシールドブーストをウィングCに回してください!」
『ウィングB、交戦開始します』
「ウィングBは被弾と同時に回避旋回機動に移行してください」
ネムが頑張って指揮を行っている上では、展開されたシュッツェ・フリューゲルスが船の周囲を高速で回転していた。
王国艦隊の主力艦は一隻が消滅したものの、二隻が残っている。
そして、『焦滅砲』はまだまだ撃てるが、そのためには船を旋回させなければならない。
それまでの時間稼ぎは、ディーヴァの頑張りどころである。
シュッツェ・フリューゲルスにはシールドがあるため、主力艦の砲撃も防げるのである。
三つのブレードを合体させて、シールドを増幅。
砲撃に合わせて展開することで、主力艦の砲撃を完全に防御する。
シールドの減衰してブレードは一度艦内へと戻り、数百展開されているブレードがまた代わりに防御を行う。
『焦滅砲をポイントC-21に発射する! キルゾーン内にいる全ての味方艦艇・艦載機は退避せよ』
直後、アバターから放たれた焦滅砲が、艦隊左の主力艦ごとその周囲の一万の艦隊を消し飛ばした。
更に続けて、もう一撃。
更にもう一撃。
微妙に角度を変え、焦滅砲が敵艦隊の左翼を徐々に減らしていく。
数百万の命が、何の痕跡も残さずに消えていく。
『敵艦隊、撤退するようです』
「させません! ナグルファー、メタリミナル・エフェクトスフィア...ワープ妨害起動!」
『アバター、エクスクリュージョン・エフェクトフィールド展開』
周囲300万kmに展開されたワープ妨害フィールドが、敵の逃亡を阻む。
反対に、アバター級から展開されたフィールドが、その周囲の艦船のワープ妨害フィールド効果を阻害した。
逃げられなくなった敵艦隊に対して、無慈悲な焦滅砲の連射が迫る。
だが、そうはさせまいと、今まで遠距離攻撃に徹していたアドアステラが動き出した。
「シンさ...司令官、どうされますか?」
『仕方ない、お前はラムブレードに乗って引き続き指揮を取れ! 俺はアドアステラと決闘する!』
「了解!」
猛然と向かってくるアドアステラに対して、アバターはその艦首をまっすぐアドアステラへと向け、全てのレーザー砲をアドアステラに対して撃ち始めた。
オーロラがそう報告すると同時に、王国軍の艦隊が動きを変え、上下左右に散らばり始める。
恐らく、ミサイルや誘爆による被害を軽減し、被弾面積を低下、射撃を効率的に散らせるためだろう。
いい判断だ、恐らく流歌ではない人間の命令だろう。
とは言え、このまま静観するのも面倒だ。
「重爆撃機、ジャンプフィールドに乗って敵中央に攻撃開始! 軽戦闘機は射撃を回避しつつ、末端の巡洋艦・戦艦に畳み掛けろ!」
続けて、味方の長距離射程艦に命じて敵の掃討を開始する。
それに合わせて、王国艦隊の長射程レーザーがこちら側の艦船のシールドを焼く。
だが、シールド修復の範囲内でしかない。
何をやってる、流歌。
こちらの高度技術艦船のシールドを貫くなら、一点に収束させるべきだ。
そう思った俺だったが、アドアステラから放たれた砲撃がミアプラキドゥスのシールドを貫通し、装甲にまで損傷を負わせるのが見えた。
そうだ、それでいい。
「全艦、シールドエコー開始! ディーヴァ!」
『何じゃ!?』
「マインドリンクバーストを使え」
『アレを...? 妾にも羞恥心というものはあるのじゃが』
「無機物相手だろう?」
『ええい、ままよ!』
直後、アバター級に固定されたマルクトから、エネルギー波が放たれる。
それは艦隊を包むように拡散し、ナノウェーブとは異なる効果を齎す。
ようは、ナノマシンではなく精神によって感応する特殊な粒子をばら撒いているのだ。
『護れ!』
それらはシールドに浸透し、アドアステラの砲撃から艦隊を守る。
アレはエミドから回収した技術をリバースエンジニアリングした上でアップデートを重ねたものなので、ディーヴァがこの船を守りたいと思う気持ちの強さで自在に変化する。
『よぅし、妾もやる気になったぞよ、共に舞おうぞ、この空を!』
「ああ...では、ネム!」
ネムは今回、ブリッジにいた。
俺は彼女を信じて、ある役目を任せる事にした。
「俺はこれから、エリミネーターのコアに入る。だから、ネム。お前は指揮官として、この戦場を指揮せよ」
「は...はいっ!」
「いい返事だ」
『焦滅砲』と呼称される、アバター級に搭載された武装。
これがあれば、数の差は問題になり得ない。
「ディーヴァ、シュッツェ・フリューゲルスとA.O.Iの使用を許可する」
『おおっと、妾に働かせすぎではないかのう』
「その代わり、接近する艦隊は即座に消し飛ばしてやるからいいだろ」
『うむ、帰ったら少々話し合おうぞ』
「これは怖いな」
俺はボヤきつつ、コアのある部屋へと向かうのだった。
そして。
シンがコアに入ったその瞬間、アバター級の形状が大きく変化する。
全面部が展開され、左右対照に二つの巨大な砲口のような穴が開く。
上部に接続されたマルクトの機体が迫り上がり、A.O.Iの発射台が顕になった。
敵がその変化に気付いた直後。
前面部から放たれた光線のような一撃が、アバター級の正面にいた旗艦艦隊を薙ぎ払った。
アドアステラはそれによって何のダメージも受けていなかったが、他の艦船は異なる。
まるで光に溶けるように、一瞬でその場から消滅させられたのだ。
艦隊のど真ん中に大穴が空き、アドアステラが孤立した。
『バカな、何で効いていない!?』
シンの慌てたような声を聞きつつ、ネムとディーヴァは与えられた任務を遂行する。
イレギュラーはあれど、追加の指示があるまでは独断専行は許されない。
旗艦を失った主力艦隊7万に対して、ネム率いるNoa-Tun艦隊二万が動き出す。
「ピンガーアップ! ピンガーアップ! ポータル、ポータル!」
ネムの指示でジャンプピンガーが艦隊の中でいくつも展開され、そこに数千、数万の艦隊がジャンプアウトしてくる。
「ジャンプした艦隊の指揮権はウィングD~Gに移行です! ウィングB、前進開始、全艦両舷増速!」
ネムの目が白銀に輝き、その全身が白く波打つ。
ネムが覚醒を使ったのだ。
その能力は、精神を研ぎ澄まし、感覚と知覚能力を増大、思考能力のリミッターを無くすというものである。
今、彼女は全てを感じられ、全てが見え、全てを考えられる状態にあるのだ。
『ウィングCが敵のプライマリを受けています』
「ウィングA-2のシールドブーストをウィングCに回してください!」
『ウィングB、交戦開始します』
「ウィングBは被弾と同時に回避旋回機動に移行してください」
ネムが頑張って指揮を行っている上では、展開されたシュッツェ・フリューゲルスが船の周囲を高速で回転していた。
王国艦隊の主力艦は一隻が消滅したものの、二隻が残っている。
そして、『焦滅砲』はまだまだ撃てるが、そのためには船を旋回させなければならない。
それまでの時間稼ぎは、ディーヴァの頑張りどころである。
シュッツェ・フリューゲルスにはシールドがあるため、主力艦の砲撃も防げるのである。
三つのブレードを合体させて、シールドを増幅。
砲撃に合わせて展開することで、主力艦の砲撃を完全に防御する。
シールドの減衰してブレードは一度艦内へと戻り、数百展開されているブレードがまた代わりに防御を行う。
『焦滅砲をポイントC-21に発射する! キルゾーン内にいる全ての味方艦艇・艦載機は退避せよ』
直後、アバターから放たれた焦滅砲が、艦隊左の主力艦ごとその周囲の一万の艦隊を消し飛ばした。
更に続けて、もう一撃。
更にもう一撃。
微妙に角度を変え、焦滅砲が敵艦隊の左翼を徐々に減らしていく。
数百万の命が、何の痕跡も残さずに消えていく。
『敵艦隊、撤退するようです』
「させません! ナグルファー、メタリミナル・エフェクトスフィア...ワープ妨害起動!」
『アバター、エクスクリュージョン・エフェクトフィールド展開』
周囲300万kmに展開されたワープ妨害フィールドが、敵の逃亡を阻む。
反対に、アバター級から展開されたフィールドが、その周囲の艦船のワープ妨害フィールド効果を阻害した。
逃げられなくなった敵艦隊に対して、無慈悲な焦滅砲の連射が迫る。
だが、そうはさせまいと、今まで遠距離攻撃に徹していたアドアステラが動き出した。
「シンさ...司令官、どうされますか?」
『仕方ない、お前はラムブレードに乗って引き続き指揮を取れ! 俺はアドアステラと決闘する!』
「了解!」
猛然と向かってくるアドアステラに対して、アバターはその艦首をまっすぐアドアステラへと向け、全てのレーザー砲をアドアステラに対して撃ち始めた。
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