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終章
231-最終局面
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それから数時間後。
アドアステラは、五つあるネクサス防衛ビーコンを全て破壊した。
指揮官の半数が戦闘不能になった上での戦艦での包囲戦ではあったものの、しかし結果として、跡に残ったのは残骸だけであった。
『防衛フィールドが崩壊します』
「艦載機全機発艦! 前衛を出せ! プロトコルX発動!」
シンの指令が飛び、オリジンスターのとあるモジュールが起動した。
直後、オリジンスターの周囲2万kmに、ワープ妨害フィールドが展開された。
インターディクションフィールド・コアを基点としているわけではないため、アドアステラが物理的にどうこうできる障害ではない。
「司令官...これは...?」
「オリジンスターに組み込まれた最終防衛機構だ...と言っても、この程度じゃ話にもならないが」
椅子にもたれ掛かるようにして座るアインスが、シンにそう問いかけた。
シンが自信なさげな様子であることに気づいたアインスだったが、彼女はそれを無視した。
『アドアステラ、前進を開始』
「足止めしろ」
『了解です』
遮蔽していた主力艦セレスティアルが遮蔽を解いて速度を上げ、アドアステラに突撃する。
物理的に接触する事で、アドアステラを破壊ないし跳ね飛ばそうという魂胆である。
「オーロラ、OSSS展開! 目標、アドアステラ!」
『最終兵器『Over Spark Surgical Strike』エネルギー充填開始』
かつてクロトザク最終兵器『ラー・アーク』との戦闘時に使用された最終兵器が音叉のような集電装置を、かつてより大幅に強化されたそれを展開し、膨大な電力をその二つの集電針の間へと収束させ、凄まじい大きさの雷球を生み出した。
『誘導予測完了』
「撃て」
蒼い雷が放たれ、真っ直ぐに展開していた主力艦の一隻を撃つ。
主力艦のシールドが剥がれ落ち、すぐに雷は少し離れた対象へと伝播する。
そうして、短い距離を連鎖した雷は、最も遠い対象...アドアステラへと直撃した。
『対象の装甲部に損傷を確認』
「次弾充填!」
『了解です』
アドアステラはドローンを五機、艦載機を四機展開し、それらが散開しながら前衛艦隊に襲い掛かる。
「片やソロゲーだからな...厳しいか」
ドローンが圧倒的な火力でフリゲート艦を沈めるのを見ながらシンは呟く。
然し乍ら、Noa-Tunから発進した無数の艦載機が、ドローンを撃ち落としていく。
それを見たか、それとも見ていないのか。
アドアステラから、40機を悠に超えるドローンが射出され、艦載機編隊と交戦する。
『艦載機側にロスが発生』
「ドローンをこれほど精緻に操るか...凄いな、向こうのオペレーターは」
シンは呟く。
ドローンとは自動制御ではあるものの、オペレーターが付くことによってある程度制御が良くなり、強さに直接影響することもあるのだ。
『アドアステラ、更に接近』
「第二次防衛範囲内に入ったな、防衛バッテリー展開せよ」
『遮蔽解除します、全機ターゲットリンク開始』
オリジンスターから中距離にあたるエリアに、無数の自動砲台が出現する。
遮蔽モジュールを利用して隠れていたのだ。
「カナード・カスクレイだったか、あいつの情報が役に立ったな」
『ええ』
協力者の一人の名を、シンが呟く。
アドアステラの弱点は、飽和攻撃だと教えてくれた人物でもあり、シンはそれに合わせて対策を行った。
防衛バッテリーはガトリングヘビーパルスレーザーブラスターという、かなり無理やり作られたものであり、パワーコアが三つ接続されてようやく稼働している。
それらが一斉にアドアステラへと攻撃を開始する。
キネス防御を張りながらアドアステラは弾幕の中を駆け巡るが、
「させるか」
シンは呟く。
直後、オリジン・スターから黒い波動が放たれた。
波動はアドアステラを通過すると同時に...
『アドアステラ、防御フィールド消失』
「よし、成功だ!」
キネス防御を打ち消した。
レーザーがアドアステラの装甲を撃ち抜き、破断させる。
アドアステラは装甲を修復しながら、更に速度を上げていく。
「アーマー防御メインに換装したわけか、悪くない判断だ」
満身創痍になりながら、アドアステラは防衛バッテリーを撃破していく。
OSSSも、防衛バッテリーのせいで乱反射を繰り返し、直撃しない。
『誘導予測が上手くいきません...』
「だろうな...」
「...シン様」
その時、ルルが席を立つ。
シンはそちらに目を向け、視線を険しいものにした。
「どこへ行くんだ?」
「出撃します」
「そうか...死ぬなよ」
「はい」
シンは止めない。
止めても意味は無い。
ネムは既に出撃準備に入っている。
止めなければ白兵戦になる。
白兵戦になれば、Noa-Tun側の勝ち目は薄い。
「...シン様、私はあなたと...」
「いい。俺もお前と会えてよかった、ルル」
「はい」
シンは振り返らない。
けれどそれを残酷だとは、ルルは思わなかった。
『宜しいのですか?』
「...ああ。それに、順当に行けば...失うのは俺ではなくて、ルルの方だからな」
『はい』
オーロラは頷く。
全てを知るからこそ、その頷きは確かなものであった。
「OSSSオーバーロード! 集電針が溶けるまで撃て!」
『はい!』
バッテリーを犠牲にしながら、Noa-Tunは稲妻を連射する。
稲妻が駆け抜ける戦場で、アドアステラはそれらを躱し、時には装甲で受ける事で突破していく。
『直撃しました!』
「いいや、止まらない」
稲妻はアドアステラの装甲を全て吹き飛ばしたが、すぐに薄皮が張るように装甲が修復されていく。
そして、それと同時に...
『OSSS、集電針融解、使用不能です』
「フェーズ3...『トータルウォー』に移行! 全指揮官は機体に搭乗して出撃せよ! 警備割り当ての兵士は完全戦闘態勢に移行せよ! オリジンスター、外装展開!」
『了解です!』
オリジン・スターの外装が展開され、夥しい数の砲台やミサイル発射管が姿を表した。
それらが、アドアステラに狙いを付けて一斉に放たれる。
戦いはついに、最後の局面へと移行したのであった。
アドアステラは、五つあるネクサス防衛ビーコンを全て破壊した。
指揮官の半数が戦闘不能になった上での戦艦での包囲戦ではあったものの、しかし結果として、跡に残ったのは残骸だけであった。
『防衛フィールドが崩壊します』
「艦載機全機発艦! 前衛を出せ! プロトコルX発動!」
シンの指令が飛び、オリジンスターのとあるモジュールが起動した。
直後、オリジンスターの周囲2万kmに、ワープ妨害フィールドが展開された。
インターディクションフィールド・コアを基点としているわけではないため、アドアステラが物理的にどうこうできる障害ではない。
「司令官...これは...?」
「オリジンスターに組み込まれた最終防衛機構だ...と言っても、この程度じゃ話にもならないが」
椅子にもたれ掛かるようにして座るアインスが、シンにそう問いかけた。
シンが自信なさげな様子であることに気づいたアインスだったが、彼女はそれを無視した。
『アドアステラ、前進を開始』
「足止めしろ」
『了解です』
遮蔽していた主力艦セレスティアルが遮蔽を解いて速度を上げ、アドアステラに突撃する。
物理的に接触する事で、アドアステラを破壊ないし跳ね飛ばそうという魂胆である。
「オーロラ、OSSS展開! 目標、アドアステラ!」
『最終兵器『Over Spark Surgical Strike』エネルギー充填開始』
かつてクロトザク最終兵器『ラー・アーク』との戦闘時に使用された最終兵器が音叉のような集電装置を、かつてより大幅に強化されたそれを展開し、膨大な電力をその二つの集電針の間へと収束させ、凄まじい大きさの雷球を生み出した。
『誘導予測完了』
「撃て」
蒼い雷が放たれ、真っ直ぐに展開していた主力艦の一隻を撃つ。
主力艦のシールドが剥がれ落ち、すぐに雷は少し離れた対象へと伝播する。
そうして、短い距離を連鎖した雷は、最も遠い対象...アドアステラへと直撃した。
『対象の装甲部に損傷を確認』
「次弾充填!」
『了解です』
アドアステラはドローンを五機、艦載機を四機展開し、それらが散開しながら前衛艦隊に襲い掛かる。
「片やソロゲーだからな...厳しいか」
ドローンが圧倒的な火力でフリゲート艦を沈めるのを見ながらシンは呟く。
然し乍ら、Noa-Tunから発進した無数の艦載機が、ドローンを撃ち落としていく。
それを見たか、それとも見ていないのか。
アドアステラから、40機を悠に超えるドローンが射出され、艦載機編隊と交戦する。
『艦載機側にロスが発生』
「ドローンをこれほど精緻に操るか...凄いな、向こうのオペレーターは」
シンは呟く。
ドローンとは自動制御ではあるものの、オペレーターが付くことによってある程度制御が良くなり、強さに直接影響することもあるのだ。
『アドアステラ、更に接近』
「第二次防衛範囲内に入ったな、防衛バッテリー展開せよ」
『遮蔽解除します、全機ターゲットリンク開始』
オリジンスターから中距離にあたるエリアに、無数の自動砲台が出現する。
遮蔽モジュールを利用して隠れていたのだ。
「カナード・カスクレイだったか、あいつの情報が役に立ったな」
『ええ』
協力者の一人の名を、シンが呟く。
アドアステラの弱点は、飽和攻撃だと教えてくれた人物でもあり、シンはそれに合わせて対策を行った。
防衛バッテリーはガトリングヘビーパルスレーザーブラスターという、かなり無理やり作られたものであり、パワーコアが三つ接続されてようやく稼働している。
それらが一斉にアドアステラへと攻撃を開始する。
キネス防御を張りながらアドアステラは弾幕の中を駆け巡るが、
「させるか」
シンは呟く。
直後、オリジン・スターから黒い波動が放たれた。
波動はアドアステラを通過すると同時に...
『アドアステラ、防御フィールド消失』
「よし、成功だ!」
キネス防御を打ち消した。
レーザーがアドアステラの装甲を撃ち抜き、破断させる。
アドアステラは装甲を修復しながら、更に速度を上げていく。
「アーマー防御メインに換装したわけか、悪くない判断だ」
満身創痍になりながら、アドアステラは防衛バッテリーを撃破していく。
OSSSも、防衛バッテリーのせいで乱反射を繰り返し、直撃しない。
『誘導予測が上手くいきません...』
「だろうな...」
「...シン様」
その時、ルルが席を立つ。
シンはそちらに目を向け、視線を険しいものにした。
「どこへ行くんだ?」
「出撃します」
「そうか...死ぬなよ」
「はい」
シンは止めない。
止めても意味は無い。
ネムは既に出撃準備に入っている。
止めなければ白兵戦になる。
白兵戦になれば、Noa-Tun側の勝ち目は薄い。
「...シン様、私はあなたと...」
「いい。俺もお前と会えてよかった、ルル」
「はい」
シンは振り返らない。
けれどそれを残酷だとは、ルルは思わなかった。
『宜しいのですか?』
「...ああ。それに、順当に行けば...失うのは俺ではなくて、ルルの方だからな」
『はい』
オーロラは頷く。
全てを知るからこそ、その頷きは確かなものであった。
「OSSSオーバーロード! 集電針が溶けるまで撃て!」
『はい!』
バッテリーを犠牲にしながら、Noa-Tunは稲妻を連射する。
稲妻が駆け抜ける戦場で、アドアステラはそれらを躱し、時には装甲で受ける事で突破していく。
『直撃しました!』
「いいや、止まらない」
稲妻はアドアステラの装甲を全て吹き飛ばしたが、すぐに薄皮が張るように装甲が修復されていく。
そして、それと同時に...
『OSSS、集電針融解、使用不能です』
「フェーズ3...『トータルウォー』に移行! 全指揮官は機体に搭乗して出撃せよ! 警備割り当ての兵士は完全戦闘態勢に移行せよ! オリジンスター、外装展開!」
『了解です!』
オリジン・スターの外装が展開され、夥しい数の砲台やミサイル発射管が姿を表した。
それらが、アドアステラに狙いを付けて一斉に放たれる。
戦いはついに、最後の局面へと移行したのであった。
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