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015-記録室
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結局、クライムは来なかった。
ナスカと、何故かついてきたフウカと共に、僕らは記録室へ向かっていた。
「冗談で言ったのだが、興味をもってくれるとは嬉しいな」
「ありがとうございます、運んでいただいて」
僕らは今、先生のシャトルで記録室に向かっている。
どうやって向かうかという話をした時に、フウカが頼んでくれたのだ。
先生は快く応じてくれた。
「もともと、私は本校舎の教員用宿舎に戻る予定だったからな、そのついでというのなら、歴史に興味がある者に後部座席を貸すくらいなら、問題ない」
「助かります」
フウカはにこにこしながら先生に話かけている。
僕らは特に話すこともないので、黙っていたが、ナスカはやたら外を見ていた。
携帯端末でゲームをしてもいいのだが、乗せてもらっている側としては自粛するべきだろう。
「悪いのだが、中庭に降りることはできない。職員用の格納庫に入るから、そこから学舎内に出られるように案内しよう」
「はい!」
シャトルは校舎の南にある職員用の格納庫へと降り立つ。
そこに職員ごとに決められたスペースがあるようで、微調整を繰り返したのちに停船した。
「降りていいぞ」
「はい!」
僕たちはシャトルから降りる。
先生はシャトルのドアを閉めてロックをかけると、資料が入っているらしい鞄を肩に下げた。
そして、手をひらひらと振ると、僕らを案内してくれた。
職員用通路を通って、扉を潜る。
「ここはもう学舎内だ、記録室は階段を二つ上がれば辿り着ける」
「「「ありがとうございました!」」」
僕らは先生にお礼をした後、とりあえず先生が去るのを待ってから話を始める。
「...それで、ラパエルの記録に興味があるってことだったが...本当なのか?」
「悪い? 一人で行くのも虚しいでしょ」
「ああ...」
「早く行きましょう、時間は有限です」
後ろから冷淡な声が返ってくる。
それもそうなので、僕らは通路を歩き、最初に見つけた階段を二つ上がる。
そうすると、途端に人通りが多くなった。
「あっちよ」
「ああ」
三人でその方向へ向かうと、そこにはゲートが設置されている扉があった。
僕らはそこを通る。
電子音がして、『お通りください』と女性の声が響く。
「書籍の持ち出しはできないようですね」
「そうなのか...」
記録のコピーはできるが、実物の書籍を持ち出すことはできないらしい。
僕も実は、書籍をまだ見たことがない。
後で見てみるかと思いつつ、記録室に入った僕らは、映像を閲覧できるブースを探す。
それはすぐに見つかり、繭型の閲覧室が対になるように五つずつ置かれていた。
「中で見られるのか...」
「私は一番奥に行きます」
ナスカは勝手に奥に座って、僕はその隣に、僕の隣にフウカが座る形となった。
画面を操作して、「ラパエル資料集1」という項目を見つけた。
再生を押し、僕らの前に映像が浮かび上がった。
『これは英雄の機体、ラパエルの映像を纏めたものである。解説の類は最小限である事を留意の上、視聴する事を推奨する』
初めにそんな男の声が入った。
続けて、見た事のない紋章が出る。
「これは...?」
「王家の紋章よ、知らないの?」
「知りません...」
ど田舎から出てきたばかりなのだから、分かるはずがない。
というか、貴族で知ってて当たり前だったとして、平民の間で知れ渡っているかは分からない。
『ラパエルはどこで製造されたかの情報は存在しない、実戦投入された際には、三人のパイロットが戦死している。最後に選出されたパイロットが、クラマ・ドランである』
映像が切り替わり、少し粗い画質の映像で、通路を歩くクラマ・ドランの映像が映し出された。
逆に言えば、これくらいしか映像がないという事だろう。
『クラマ・ドランには天才的そな素質があり、それまでのパイロットとは異なる凄まじい動きを、我々は見た』
一体どれほどのモノなのか。
僕らは息を呑み、その映像に視線を集中させるのだった。
ナスカと、何故かついてきたフウカと共に、僕らは記録室へ向かっていた。
「冗談で言ったのだが、興味をもってくれるとは嬉しいな」
「ありがとうございます、運んでいただいて」
僕らは今、先生のシャトルで記録室に向かっている。
どうやって向かうかという話をした時に、フウカが頼んでくれたのだ。
先生は快く応じてくれた。
「もともと、私は本校舎の教員用宿舎に戻る予定だったからな、そのついでというのなら、歴史に興味がある者に後部座席を貸すくらいなら、問題ない」
「助かります」
フウカはにこにこしながら先生に話かけている。
僕らは特に話すこともないので、黙っていたが、ナスカはやたら外を見ていた。
携帯端末でゲームをしてもいいのだが、乗せてもらっている側としては自粛するべきだろう。
「悪いのだが、中庭に降りることはできない。職員用の格納庫に入るから、そこから学舎内に出られるように案内しよう」
「はい!」
シャトルは校舎の南にある職員用の格納庫へと降り立つ。
そこに職員ごとに決められたスペースがあるようで、微調整を繰り返したのちに停船した。
「降りていいぞ」
「はい!」
僕たちはシャトルから降りる。
先生はシャトルのドアを閉めてロックをかけると、資料が入っているらしい鞄を肩に下げた。
そして、手をひらひらと振ると、僕らを案内してくれた。
職員用通路を通って、扉を潜る。
「ここはもう学舎内だ、記録室は階段を二つ上がれば辿り着ける」
「「「ありがとうございました!」」」
僕らは先生にお礼をした後、とりあえず先生が去るのを待ってから話を始める。
「...それで、ラパエルの記録に興味があるってことだったが...本当なのか?」
「悪い? 一人で行くのも虚しいでしょ」
「ああ...」
「早く行きましょう、時間は有限です」
後ろから冷淡な声が返ってくる。
それもそうなので、僕らは通路を歩き、最初に見つけた階段を二つ上がる。
そうすると、途端に人通りが多くなった。
「あっちよ」
「ああ」
三人でその方向へ向かうと、そこにはゲートが設置されている扉があった。
僕らはそこを通る。
電子音がして、『お通りください』と女性の声が響く。
「書籍の持ち出しはできないようですね」
「そうなのか...」
記録のコピーはできるが、実物の書籍を持ち出すことはできないらしい。
僕も実は、書籍をまだ見たことがない。
後で見てみるかと思いつつ、記録室に入った僕らは、映像を閲覧できるブースを探す。
それはすぐに見つかり、繭型の閲覧室が対になるように五つずつ置かれていた。
「中で見られるのか...」
「私は一番奥に行きます」
ナスカは勝手に奥に座って、僕はその隣に、僕の隣にフウカが座る形となった。
画面を操作して、「ラパエル資料集1」という項目を見つけた。
再生を押し、僕らの前に映像が浮かび上がった。
『これは英雄の機体、ラパエルの映像を纏めたものである。解説の類は最小限である事を留意の上、視聴する事を推奨する』
初めにそんな男の声が入った。
続けて、見た事のない紋章が出る。
「これは...?」
「王家の紋章よ、知らないの?」
「知りません...」
ど田舎から出てきたばかりなのだから、分かるはずがない。
というか、貴族で知ってて当たり前だったとして、平民の間で知れ渡っているかは分からない。
『ラパエルはどこで製造されたかの情報は存在しない、実戦投入された際には、三人のパイロットが戦死している。最後に選出されたパイロットが、クラマ・ドランである』
映像が切り替わり、少し粗い画質の映像で、通路を歩くクラマ・ドランの映像が映し出された。
逆に言えば、これくらいしか映像がないという事だろう。
『クラマ・ドランには天才的そな素質があり、それまでのパイロットとは異なる凄まじい動きを、我々は見た』
一体どれほどのモノなのか。
僕らは息を呑み、その映像に視線を集中させるのだった。
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