46 / 272
シーズン2-旅立ち編
046-ゲートキャンプ
しおりを挟む
それから数時間後。
アドアステラは、ロー・セキュリティ宙域にハイパーアウトした。
ハイパードライブ航法には当然ながら航行限界が存在しており、それを超えるとハイパードライブが焼け付いてしばらくハイパーインできなくなる。
今回はとても急いでいるので、その限界距離まで一気に飛んだのだ。
レーダー班のシトリンが冷たく告げる。
『ハイパーアウト確認。周辺に敵影無し、スターシステム内スキャンを開始します』
「艦内に告げる、警戒態勢、レベルイエロー」
まあ、乗組員なんか全然いないんだけど。
『こちら機関室、ハイパードライブの冷却を開始します』
ファイスの声が艦内通信を通して聞こえてくる。
今機関室は、ファイスくらい頑丈じゃないと入れない高温だ。
冷却システムは何故か外から動かせないので、ファイスは今作業服を着用して作業中だ。
「静かだな.....」
ローと言うだけあって、艦船の姿や構造物といったものはほとんど見えない。
最初にアドアステラが浮いていたゼロ・セキュリティ宙域よりは平和なんだけど......
『マスター、ワープ反応を検知。何らかの方法で察知されたと予測されます』
「えー....総数は?」
激萎え....ってやつだね。
まさか入っていきなり発見されるとは。
『恐らく2、3隻です』
「あー、全艦レベルレッド、戦闘態勢に移行せよ」
『戦闘モードに移行します』
この船はサーマルステルスが出来るが、この速度はどこかにプローブでもあったのだろう。
SNOでも、プローブでワープアウト後の船をキャッチするテクニックがあった。
『お、中々いい船だな!』
「そうか、それで――――素通りさせてほしいんだが?」
『中身を全部置いて行けよ!』
『内臓ブチ撒けて死にたくなければな!!』
「それなら、断らせてもらおうか」
『そうかよ、まぁ――――お前をぶっ潰して中身を手に入れるのも同じ....って、逃げる気か!?』
勿論、インターディクションやワープディスラプターやスクラムを持たない敵に対して有効な手段は、逃げる事である。
お兄ちゃんも「逃げるが勝ち。恥なんてものは後からついて来るもんだ」ってよく言ってたし。
『FTL航行に移行』
『待ちやが――――』
アドアステラは一瞬で超光速航行に滑り込む。
次のスターゲートへと辿り着ければこちらのものだ。
海賊なんて相手にしてられるか! 俺は先に行くぞ! ってやつだ。
「お、おこってる?」
「怒ってないよ。ただ......最近ちょっと、平和ボケしすぎたね」
出来れば戦いたくないと思ってしまう。
常在戦場の心がけこそが一番重要なのに。
ケインを撫でつつ、私はワープ明けを待つ。
そこが一番危険だからだ。
「GC(ゲートキャンプ)なし、ゲート封鎖確認できず。このままゲートを起動する」
『ゲート起動します』
ゲートキャンプとは、SNOの移動に必須なジャンプゲートの入り口か出口に張って、入り口ならブラストウェーブ等の兵装で一撃で吹き飛ばすか、範囲型ワープ妨害でゲートの起動範囲外に引きずり出して吹き飛ばす。
出口なら、ワープに入る前にインターディクションを掛けるか、その隙に最大火力を叩きこんで沈めるのがセオリーだ。
スターゲートは古代に建造された、停止も干渉も不可能なシステムではあるが、SNOではそれを停止する古代遺物があった。
入手は激烈に困難、購入は国家予算級と実用に向くものではなかったが、メイルシュトロームとは違う大規模コアリッションに所属しているなら便利だったかもしれない。
「よし、抜けた――――えぇ.....」
アドアステラはジャンプゲートを通過したものの、その先の光景は――――
『フリゲート4、巡洋艦2、巡洋戦艦1』
「ゲートキャンプか.....」
割と本気で危ない状況であった。
何しろ、今は.....
「CJDもダメージ制御もフォートモジュールも積んでないんだよね.....」
この火力に殴られると真面目に危ない。
どうするべきか......
アドアステラは、ロー・セキュリティ宙域にハイパーアウトした。
ハイパードライブ航法には当然ながら航行限界が存在しており、それを超えるとハイパードライブが焼け付いてしばらくハイパーインできなくなる。
今回はとても急いでいるので、その限界距離まで一気に飛んだのだ。
レーダー班のシトリンが冷たく告げる。
『ハイパーアウト確認。周辺に敵影無し、スターシステム内スキャンを開始します』
「艦内に告げる、警戒態勢、レベルイエロー」
まあ、乗組員なんか全然いないんだけど。
『こちら機関室、ハイパードライブの冷却を開始します』
ファイスの声が艦内通信を通して聞こえてくる。
今機関室は、ファイスくらい頑丈じゃないと入れない高温だ。
冷却システムは何故か外から動かせないので、ファイスは今作業服を着用して作業中だ。
「静かだな.....」
ローと言うだけあって、艦船の姿や構造物といったものはほとんど見えない。
最初にアドアステラが浮いていたゼロ・セキュリティ宙域よりは平和なんだけど......
『マスター、ワープ反応を検知。何らかの方法で察知されたと予測されます』
「えー....総数は?」
激萎え....ってやつだね。
まさか入っていきなり発見されるとは。
『恐らく2、3隻です』
「あー、全艦レベルレッド、戦闘態勢に移行せよ」
『戦闘モードに移行します』
この船はサーマルステルスが出来るが、この速度はどこかにプローブでもあったのだろう。
SNOでも、プローブでワープアウト後の船をキャッチするテクニックがあった。
『お、中々いい船だな!』
「そうか、それで――――素通りさせてほしいんだが?」
『中身を全部置いて行けよ!』
『内臓ブチ撒けて死にたくなければな!!』
「それなら、断らせてもらおうか」
『そうかよ、まぁ――――お前をぶっ潰して中身を手に入れるのも同じ....って、逃げる気か!?』
勿論、インターディクションやワープディスラプターやスクラムを持たない敵に対して有効な手段は、逃げる事である。
お兄ちゃんも「逃げるが勝ち。恥なんてものは後からついて来るもんだ」ってよく言ってたし。
『FTL航行に移行』
『待ちやが――――』
アドアステラは一瞬で超光速航行に滑り込む。
次のスターゲートへと辿り着ければこちらのものだ。
海賊なんて相手にしてられるか! 俺は先に行くぞ! ってやつだ。
「お、おこってる?」
「怒ってないよ。ただ......最近ちょっと、平和ボケしすぎたね」
出来れば戦いたくないと思ってしまう。
常在戦場の心がけこそが一番重要なのに。
ケインを撫でつつ、私はワープ明けを待つ。
そこが一番危険だからだ。
「GC(ゲートキャンプ)なし、ゲート封鎖確認できず。このままゲートを起動する」
『ゲート起動します』
ゲートキャンプとは、SNOの移動に必須なジャンプゲートの入り口か出口に張って、入り口ならブラストウェーブ等の兵装で一撃で吹き飛ばすか、範囲型ワープ妨害でゲートの起動範囲外に引きずり出して吹き飛ばす。
出口なら、ワープに入る前にインターディクションを掛けるか、その隙に最大火力を叩きこんで沈めるのがセオリーだ。
スターゲートは古代に建造された、停止も干渉も不可能なシステムではあるが、SNOではそれを停止する古代遺物があった。
入手は激烈に困難、購入は国家予算級と実用に向くものではなかったが、メイルシュトロームとは違う大規模コアリッションに所属しているなら便利だったかもしれない。
「よし、抜けた――――えぇ.....」
アドアステラはジャンプゲートを通過したものの、その先の光景は――――
『フリゲート4、巡洋艦2、巡洋戦艦1』
「ゲートキャンプか.....」
割と本気で危ない状況であった。
何しろ、今は.....
「CJDもダメージ制御もフォートモジュールも積んでないんだよね.....」
この火力に殴られると真面目に危ない。
どうするべきか......
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる