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シーズン3-ジスト星系編
075-突入・秘密施設防衛網(中編)
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『シールド消失!』
回避運動を取りながら飛んでいたアドアステラだったが、ついに限界が来た。
シールドブースターの回復量よりも、砲撃によるダメージが上回ったのだ。
「エリアサプレッサーを起動!」
『エリアサプレッサーを起動! トラジェクトリディスラプター並列起動!』
「妨害カーネルを起動します!」
「キャパシタの出力低下が止まりません、どうしますか!?」
カルは喧騒の中でノルスの質問を耳に入れ、叫ぶ。
「リミッターを解除! このまま一気に突っ切る!」
既に道程の四分の一を走破したアドアステラだったが、シールドが無い状態でどこまで耐えられるかは、リペア速度にかかっていた。
『左舷甲板に被弾。右舷艦底部に被弾、貫通されました。』
「ダメージコントロール!」
「ダメージコントロール、起動します!」
「ダメージコントロール、オーバークロック!」
シールドがなくなったアドアステラは、容赦なく砲撃に晒される。
その装甲も無敵ではなく、飽和攻撃に近い弾幕によって次々と傷付き、貫通されていく。
ダメージコントロールモジュールが動作し、作り出した力場でなんとか穴をふさぐが、それも焼け石に水であった。
「ぐうっ...!?」
その時、アドアステラが凄まじい振動に襲われる。
左舷に傾いたままのアドアステラは、砲台群に激しく衝突し、その速度がどんどんと落ちていく。
「状況報告!」
『右舷翼に貫通打。そのまま予備ミサイルに誘爆した模様です。ミサイル発射管は大破、使用不能』
「くっ....」
カルは”舵”を操作する手に力を込める。
アドアステラは既に満身創痍である。
ならば....
「薙ぎ払う!」
再び砲撃が放たれ、今度はそのまま左から右へと流れていく。
熱線が砲台群を貫き、炎の華があちらこちらで咲き乱れる。
「スマートミサイルを残弾打ち尽くせ!」
「は、はいっ!」
もともと、アドアステラにミサイルはそんなに積めない。
だからこそ、撃てるなら撃てるときに。
それが、カルの考えであった。
「な、なんだ!?」
『艦橋上部に直撃弾』
その時、轟音が響き、ブリッジが激しく揺れた。
そして報告を聞き、カルは青褪めた。
「あそこには.....お兄ちゃんの写真が....!」
だが、振り返ってはいけない。
信じて死地についてきてくれた、仲間がいるからだ。
カルもそれは分かっていた。
無理を通すなら、犠牲は覚悟しなければならない。
『第一、第二砲塔大破。続いて、前面部装甲板が突破されました。リペアは現在、砲塔の復旧に集中しています』
砲塔を内部へとしまい、リペア用のナノマシンを使って高速で修理する。
「ドローン、やられちゃった!」
カルの視界の端で、オルトロスのHPが消えるのが見えた。
ケインが戻そうとしたが、間に合わなかったのだろう。
「ケイン、ドローンを全機戻せ! これ以上の損耗は回避する!」
「は、はい!」
ケインがドローンを帰還させる。
だが、四方八方からの射撃により、単純な帰還機動を取っていたドローンは、一機、また一機と撃墜されていく。
『艦底部に被弾、貫通されます――――機関部内部隔壁に直撃されました!』
「機関出力低下...!」
もうだめか。
そうカルは思った。
やはり、巡洋艦一隻で出来ることなど、大したことではなかった。
全ては自分の傲慢さが生んだミスだと。
『おい』
だが、目を瞑ろうとした時。
ふいに声が響いた。
「お兄ちゃん....?」
振り向くことはできなかったが、カルは.....自分の兄が背後に立っていると。
そう確信した。
錯覚でもいい、幻聴でもいい。
『俺の妹は、こんなに情けない奴だったか?』
「お兄ちゃん....?」
『引き金を引いたら、泣いても喚いても結果は変わらない。ならば、諦めるな。愚かな選択? それがどうした? マシな結果になるように努力すればいい。お前は――――俺の、未来なんだ』
「......」
それが過去の回想だったのか、カルの心が作り出した幻想だったのか、世界を隔てて届いた言葉だったのか――――それは誰にも分からない。
だが。
「ノルス、残存キャパシターは何パーセントだ!」
「はい! 54%です!」
「.......CJDを起動! 敵を撹乱する! アリア、ECM弾頭を装填!」
「...はい!」
アドアステラは虹色を纏って突撃し、直後に消え去る。
固定砲台は目標を見失って困惑するが、直後に遥か遠くに現れたアドアステラに、冷静に狙いを付ける。
「くッ......! ァ、リア! 目標、直上、撃て!」
「はいっ!!」
ジャンプによる副作用を受けながらも、カルは命じた。
直上に向かって放たれたECMミサイルが炸裂し、アドアステラを巻き込んで電磁波嵐が拡散する。
これにより、広範囲のセントリーガンが停止した。
つまり、アドアステラが安全に航行出来る黒点が現れたのだ。
『シールドとECCMにより多少の軽減あり、しかしながらトラッキングシステム、レーダーシステムに重大な障害あり。即座にシステムを再構築します』
「....頼む!」
だが、アドアステラも無事では済まない。
ノイズの走るコンソールを操作しながら、カルは見据えていた。
死の砲台群の先にある、秘密施設を。
回避運動を取りながら飛んでいたアドアステラだったが、ついに限界が来た。
シールドブースターの回復量よりも、砲撃によるダメージが上回ったのだ。
「エリアサプレッサーを起動!」
『エリアサプレッサーを起動! トラジェクトリディスラプター並列起動!』
「妨害カーネルを起動します!」
「キャパシタの出力低下が止まりません、どうしますか!?」
カルは喧騒の中でノルスの質問を耳に入れ、叫ぶ。
「リミッターを解除! このまま一気に突っ切る!」
既に道程の四分の一を走破したアドアステラだったが、シールドが無い状態でどこまで耐えられるかは、リペア速度にかかっていた。
『左舷甲板に被弾。右舷艦底部に被弾、貫通されました。』
「ダメージコントロール!」
「ダメージコントロール、起動します!」
「ダメージコントロール、オーバークロック!」
シールドがなくなったアドアステラは、容赦なく砲撃に晒される。
その装甲も無敵ではなく、飽和攻撃に近い弾幕によって次々と傷付き、貫通されていく。
ダメージコントロールモジュールが動作し、作り出した力場でなんとか穴をふさぐが、それも焼け石に水であった。
「ぐうっ...!?」
その時、アドアステラが凄まじい振動に襲われる。
左舷に傾いたままのアドアステラは、砲台群に激しく衝突し、その速度がどんどんと落ちていく。
「状況報告!」
『右舷翼に貫通打。そのまま予備ミサイルに誘爆した模様です。ミサイル発射管は大破、使用不能』
「くっ....」
カルは”舵”を操作する手に力を込める。
アドアステラは既に満身創痍である。
ならば....
「薙ぎ払う!」
再び砲撃が放たれ、今度はそのまま左から右へと流れていく。
熱線が砲台群を貫き、炎の華があちらこちらで咲き乱れる。
「スマートミサイルを残弾打ち尽くせ!」
「は、はいっ!」
もともと、アドアステラにミサイルはそんなに積めない。
だからこそ、撃てるなら撃てるときに。
それが、カルの考えであった。
「な、なんだ!?」
『艦橋上部に直撃弾』
その時、轟音が響き、ブリッジが激しく揺れた。
そして報告を聞き、カルは青褪めた。
「あそこには.....お兄ちゃんの写真が....!」
だが、振り返ってはいけない。
信じて死地についてきてくれた、仲間がいるからだ。
カルもそれは分かっていた。
無理を通すなら、犠牲は覚悟しなければならない。
『第一、第二砲塔大破。続いて、前面部装甲板が突破されました。リペアは現在、砲塔の復旧に集中しています』
砲塔を内部へとしまい、リペア用のナノマシンを使って高速で修理する。
「ドローン、やられちゃった!」
カルの視界の端で、オルトロスのHPが消えるのが見えた。
ケインが戻そうとしたが、間に合わなかったのだろう。
「ケイン、ドローンを全機戻せ! これ以上の損耗は回避する!」
「は、はい!」
ケインがドローンを帰還させる。
だが、四方八方からの射撃により、単純な帰還機動を取っていたドローンは、一機、また一機と撃墜されていく。
『艦底部に被弾、貫通されます――――機関部内部隔壁に直撃されました!』
「機関出力低下...!」
もうだめか。
そうカルは思った。
やはり、巡洋艦一隻で出来ることなど、大したことではなかった。
全ては自分の傲慢さが生んだミスだと。
『おい』
だが、目を瞑ろうとした時。
ふいに声が響いた。
「お兄ちゃん....?」
振り向くことはできなかったが、カルは.....自分の兄が背後に立っていると。
そう確信した。
錯覚でもいい、幻聴でもいい。
『俺の妹は、こんなに情けない奴だったか?』
「お兄ちゃん....?」
『引き金を引いたら、泣いても喚いても結果は変わらない。ならば、諦めるな。愚かな選択? それがどうした? マシな結果になるように努力すればいい。お前は――――俺の、未来なんだ』
「......」
それが過去の回想だったのか、カルの心が作り出した幻想だったのか、世界を隔てて届いた言葉だったのか――――それは誰にも分からない。
だが。
「ノルス、残存キャパシターは何パーセントだ!」
「はい! 54%です!」
「.......CJDを起動! 敵を撹乱する! アリア、ECM弾頭を装填!」
「...はい!」
アドアステラは虹色を纏って突撃し、直後に消え去る。
固定砲台は目標を見失って困惑するが、直後に遥か遠くに現れたアドアステラに、冷静に狙いを付ける。
「くッ......! ァ、リア! 目標、直上、撃て!」
「はいっ!!」
ジャンプによる副作用を受けながらも、カルは命じた。
直上に向かって放たれたECMミサイルが炸裂し、アドアステラを巻き込んで電磁波嵐が拡散する。
これにより、広範囲のセントリーガンが停止した。
つまり、アドアステラが安全に航行出来る黒点が現れたのだ。
『シールドとECCMにより多少の軽減あり、しかしながらトラッキングシステム、レーダーシステムに重大な障害あり。即座にシステムを再構築します』
「....頼む!」
だが、アドアステラも無事では済まない。
ノイズの走るコンソールを操作しながら、カルは見据えていた。
死の砲台群の先にある、秘密施設を。
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