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シーズン5-ショートバケーション編
150-戦地へ
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そして、まあ。
私はまた勲章を貰った。
金斧賊伐功労賞というもので、賞金の方が美味しい珍しい賞である。
仲間たちも、ラビを除いて銀斧賊伐功労賞を貰い、同じく賞金を受け取った。
「(ファイスとケインは何かしようとしてるな)」
私は保護者として口座を管理しているので、ファイスとケインの口座からそれぞれ小額と多額の引き出しがあった事を知っている。
「まあ、何でもいいけど。」
「何がー?」
「ひっ!?」
気付くと、背後にラビがいた。
私の座っていた艦長席に、胸の重量物を乗せて寛いだ様子だ。
「ココ、麗しの人専用の場所なんだねー」
「まあ、そうなるね」
席は一つだけだからね。
最近は操縦席というよりは、本来の用途である私の部屋と化している。
「勲章貰ったんだって? 見せて見せて!」
「これだよ」
私は勲章のホログラム表示を起動する。
海賊の征伐において多大なる貢献をした者に贈られるもので、クロスした斧があしらわれている。
片方の斧は砕けているが、これは恐らく海賊の方を指しているのだろう。
「へぇ....それにしても、麗しの人」
「何?」
「勲章、三つも持ってるんだ?」
「ああ、それね......」
ラビに言わせると、ゴールド傭兵で一つ以上の勲章持ちはなかなかいないらしい。
「私も持ってたはずなんだけど、忘れちゃったな」
「忘れたって.....」
「元々、私は首都付近で活動してたからね。確か銅だったとは思うけど」
ラビは思い出すように額に指を当てるが、すぐに首を振った。
そんな所がちょっと小動物らしいけれど、実際にはラビの身長は180cmくらいあって、油断したら食べられそうな威圧感がある。
「そういえばラビって、雑食なの?」
「そうだよー? ファイスさんもそうだったでしょ?」
不思議なものだ。
肉も食べられる兎、ますます捕食されそうで怖い。
「皆はどうしてる?」
「えっと、ファイスさんとケインさんは外出中だよ」
「ふうん」
ケインを一人で放り出すのはちょっぴり不安だ。
まだシトリンがオーバーホールから戻ってきていないので、お供に付ける事も出来ない。
「最終日なんだから、少しは落ち着いてほしいものなんだけどな」
「宇宙に出るの?」
「そうだよ、よろしくね、独立傭兵、ラビ」
「うんうん!」
ラビは主従関係ではない。
恩義を感じてもらっているけれど、一応はお金で雇う事にした。
月、10万MSCで雇っている。
現在の収入的にも無理はない。
「でも、私ってお金の関係?」
「他にあるの?」
「例えば、夫婦の関係とかでもいーよ?」
「お断りする」
「連れないなぁ」
ラビは元傭兵だけあって、留守番を任せられるほどには万能だ。
今はまだ勉強中だけど、そのうち死蔵していた戦闘機にも乗れると思う。
「主人、ここにいましたか」
その時、背後のエレベーターの扉が開き、ファイスが現れた。
手には何かの袋が握られていた。
「ファイス! どうしたの?」
「自分はずっと、金の使い方が分からずにいました。しかし――――ようやく分かったのです」
まさか、薬とか?
不良なファイスは想像したくもないな....そう思っていると、ファイスは私の手に袋を握らせてきた。
過剰包装な袋を開けると、木彫りのミニトーテムが出てきた。
顔の部分にはニコちゃんマークが掘り込まれている。
「.....お土産のつもり?」
「はっ、気に食わなかったでしょうか?」
「別に。ありがとう」
私は目頭が熱くなって、そっぽを向いた。
形だけの善意、形だけの想い。
そうでないものを向けてくれたのは、今までお兄ちゃんだけだった。
でもファイスは、こうして....人生初の出費を、ださいトーテムのお土産に使ってくれた。
それはきっと、本物の情愛だ。
「ごしゅじんさま! 見て見て! カッコいいでしょ!」
その時。
また扉が開いて、全身鎧の何者かが姿を現した。
多分ケインだね...?
「それ、何?」
「ごしゅじんさまみたいな、コンバットアーマー? っていうやつ!」
「私のはパワードスーツだけど」
「あっ....間違えちゃった! でも、かっこいいよね!」
「うん....船内では着ないでね、モノ壊したら怒るよ」
「はーい!」
ケインは金属音を響かせながら帰っていく。
どこで買ったんだろ、あんな海軍仕様のパワードスーツなんて....
まあ、とにかく。
「全員揃ったね、出港するよ」
「おっ、もう?」
「次の目的地は、ナサトラ星系.....戦争地帯だ」
「えっ」
「傭兵の仕事がありそうじゃない?」
「....ちょっと危ないんじゃ」
「今更でしょ?」
ナサトラ星系....それは、王国の仇敵との戦争の地。
ビージアイナ帝国との、ね。
私はまた勲章を貰った。
金斧賊伐功労賞というもので、賞金の方が美味しい珍しい賞である。
仲間たちも、ラビを除いて銀斧賊伐功労賞を貰い、同じく賞金を受け取った。
「(ファイスとケインは何かしようとしてるな)」
私は保護者として口座を管理しているので、ファイスとケインの口座からそれぞれ小額と多額の引き出しがあった事を知っている。
「まあ、何でもいいけど。」
「何がー?」
「ひっ!?」
気付くと、背後にラビがいた。
私の座っていた艦長席に、胸の重量物を乗せて寛いだ様子だ。
「ココ、麗しの人専用の場所なんだねー」
「まあ、そうなるね」
席は一つだけだからね。
最近は操縦席というよりは、本来の用途である私の部屋と化している。
「勲章貰ったんだって? 見せて見せて!」
「これだよ」
私は勲章のホログラム表示を起動する。
海賊の征伐において多大なる貢献をした者に贈られるもので、クロスした斧があしらわれている。
片方の斧は砕けているが、これは恐らく海賊の方を指しているのだろう。
「へぇ....それにしても、麗しの人」
「何?」
「勲章、三つも持ってるんだ?」
「ああ、それね......」
ラビに言わせると、ゴールド傭兵で一つ以上の勲章持ちはなかなかいないらしい。
「私も持ってたはずなんだけど、忘れちゃったな」
「忘れたって.....」
「元々、私は首都付近で活動してたからね。確か銅だったとは思うけど」
ラビは思い出すように額に指を当てるが、すぐに首を振った。
そんな所がちょっと小動物らしいけれど、実際にはラビの身長は180cmくらいあって、油断したら食べられそうな威圧感がある。
「そういえばラビって、雑食なの?」
「そうだよー? ファイスさんもそうだったでしょ?」
不思議なものだ。
肉も食べられる兎、ますます捕食されそうで怖い。
「皆はどうしてる?」
「えっと、ファイスさんとケインさんは外出中だよ」
「ふうん」
ケインを一人で放り出すのはちょっぴり不安だ。
まだシトリンがオーバーホールから戻ってきていないので、お供に付ける事も出来ない。
「最終日なんだから、少しは落ち着いてほしいものなんだけどな」
「宇宙に出るの?」
「そうだよ、よろしくね、独立傭兵、ラビ」
「うんうん!」
ラビは主従関係ではない。
恩義を感じてもらっているけれど、一応はお金で雇う事にした。
月、10万MSCで雇っている。
現在の収入的にも無理はない。
「でも、私ってお金の関係?」
「他にあるの?」
「例えば、夫婦の関係とかでもいーよ?」
「お断りする」
「連れないなぁ」
ラビは元傭兵だけあって、留守番を任せられるほどには万能だ。
今はまだ勉強中だけど、そのうち死蔵していた戦闘機にも乗れると思う。
「主人、ここにいましたか」
その時、背後のエレベーターの扉が開き、ファイスが現れた。
手には何かの袋が握られていた。
「ファイス! どうしたの?」
「自分はずっと、金の使い方が分からずにいました。しかし――――ようやく分かったのです」
まさか、薬とか?
不良なファイスは想像したくもないな....そう思っていると、ファイスは私の手に袋を握らせてきた。
過剰包装な袋を開けると、木彫りのミニトーテムが出てきた。
顔の部分にはニコちゃんマークが掘り込まれている。
「.....お土産のつもり?」
「はっ、気に食わなかったでしょうか?」
「別に。ありがとう」
私は目頭が熱くなって、そっぽを向いた。
形だけの善意、形だけの想い。
そうでないものを向けてくれたのは、今までお兄ちゃんだけだった。
でもファイスは、こうして....人生初の出費を、ださいトーテムのお土産に使ってくれた。
それはきっと、本物の情愛だ。
「ごしゅじんさま! 見て見て! カッコいいでしょ!」
その時。
また扉が開いて、全身鎧の何者かが姿を現した。
多分ケインだね...?
「それ、何?」
「ごしゅじんさまみたいな、コンバットアーマー? っていうやつ!」
「私のはパワードスーツだけど」
「あっ....間違えちゃった! でも、かっこいいよね!」
「うん....船内では着ないでね、モノ壊したら怒るよ」
「はーい!」
ケインは金属音を響かせながら帰っていく。
どこで買ったんだろ、あんな海軍仕様のパワードスーツなんて....
まあ、とにかく。
「全員揃ったね、出港するよ」
「おっ、もう?」
「次の目的地は、ナサトラ星系.....戦争地帯だ」
「えっ」
「傭兵の仕事がありそうじゃない?」
「....ちょっと危ないんじゃ」
「今更でしょ?」
ナサトラ星系....それは、王国の仇敵との戦争の地。
ビージアイナ帝国との、ね。
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