異世界の宇宙に転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜

黴男

文字の大きさ
179 / 272
シーズン6-ビージアイナ戦線編

177-ハダウガゴ奪還戦-アステロイドベース攻略戦(後編)

しおりを挟む
『遊撃部隊の損耗率、78%を超過! 依然、ワープに障害発生中!』
『王国騎士団から攻撃を受けている!』

基地の管制室には、悲鳴のような通信が響いていた。
それを聞きながら、この場の司令官であるラゼリア・フォートフィアは恐ろしさを覚えていた。

「(何なのだ、一体......!)」

戦力としては、防衛側の自分たちの方が有利。
そう考えていたラゼリアは、たった一つのイレギュラーに盤面をひっくり返されて焦っていた。
それは、やはりアドアステラであった。
充分な戦力を用意したつもりであった。
メインの巡洋戦艦を事前に離脱させ、アドアステラの付近時空に展開して叩こうとした。
だが、レーザーとミサイルを主力とする巡洋戦艦ですら、アドアステラを破壊することは出来ず、艦隊も纏めて撃滅された。

「くっ、ならば! 艦載機戦力を左翼に展開! ミサイルを温存しながらアドアステラにぶつけるのだ!」
「待ってください、それは愚策かと思います」

そして、何より。
先ほどから作戦の妨害を行ってくる上位指揮官が一人。
レイ・ハールと呼ばれる彼は、先ほどから作戦にケチをつけていた。

「アドアステラのタイ戦闘機能力は異常です、纏めてぶつける事は、戦力の一斉喪失を招くかと」
「では、散開させればいいだろう!?」
「そうすれば、アドアステラの持つ異様な強さの対ドッグ・ファイト装備により各個撃破されて終わりです」
「ならば、どうすればよい!」
「先に王国騎士団を抑えるのです、どうか! アドアステラを撃滅することは不可能です!」
「く......」

レイ・ハールは実質的な階級では上である。
ラゼリアはそれに歯噛みしつつ、指示を出す。

「ゲートを停止させる! 再起動の際に発生するEMPパルスで、王国艦隊の前衛を無効化する! 全艦隊、至急範囲外に離脱せよ!」

それは苦渋の決断であった。
何故ならば、外部に展開しているセントリーガン等も停止してしまうからだ。
そしてそれは、王国騎士団側にも伝わっていた。

『敵アステロイドベース、ゲートシステムのシャットダウンを開始しました!』
「何をするつもりなのでしょうか.....」
「馬鹿者、ゲートの再起動時の症例を知らないのか!? 奴らは前衛艦隊を一掃する気だ....アドアステラ! 聞こえているな、白兵戦に移行する! 我等は直ぐには動けん、敵のゲートシステムを再起動させるな!」

ゲートの再起動はめったに起こらないが、超新星爆発に巻き込まれたり、強い衝撃が加わる事で再起動フェーズに移る事もある。
その際に、ゲート周囲1500km範囲内に、強力な電磁パルスを撒き散らすのだ。
そのパルスは、シールドで防ぐ事が出来ない。
もし発動されれば、前衛艦隊を無力化された王国側の軍は内部に肉薄されるか、遠距離から一方的に攻撃されて敗北する。
流石にアドアステラといえども、数万を同時に相手は出来ない。

「殿下、何故...そこまで、あの傭兵を信用なさるのですか?」
「信じるに足る理由はない。しかし――――我が言葉は国の言葉。理解したうえで、我はあの傭兵を信頼したいと思ったのだよ」

加速を始めたアドアステラは、一気に速度を上げ、王国騎士団の艦隊横をすり抜ける。
レーザー射撃を受けながら、一気に肉薄していく。

「突入隊を同行させましょうか」
「ああ。数は40、それ以上は敵を刺激する」
「直ちに。精鋭を選ばせていただきます」

去っていく側近を見つつ、アーラムは静かに呟いた。

「頼んだぞ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

処理中です...