異世界の宇宙に転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜

黴男

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シーズン7-Ve’z&エミド調査編

183-暗黒星系

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新装備を積み終えたアドアステラは、Ve’zの領域であるラジンハイエに向けて航行していた。

「予想も出来ない領域だからな....」
「そうだね、私も御伽噺くらいでしか聞いたことないよ...」

Ve’zの艦船は殆ど情報がない。
接敵した時点で生きて帰れないから....か、もしくは冷静に対処できないからか。
そもそも殆どの場合は向こうから撃ってくることはない筈なんだけど、最近になって攻撃性が増したそうな。
Ve’zの直接的な事件はこの数百年殆ど無くて、かつて積極的に他国家を侵略していた時代の記録のみが残っている。

「でも、何だろうとアドアステラなら余裕じゃない?」
「かも、しれないな」

主力艦のシールドを貫けるなら、Ve’zと遭遇しても何とかなる。
最悪推進器だけでも破壊できれば逃げるチャンスはある。
そんな会話を交わしながら、アドアステラはラジンハイエ前のゲートに辿り着く。
......が。

『こちらは王国騎士団第42011辺境独立部隊である、貴艦の所属と艦長のIDを提示せよ...確認した、エンフォース所属、勲章授与者のカル・クロカワ様ですね? ご無礼をお許しください。可能であれば、この先へ進む理由を教えてください』

ゲートは厳重な態勢でガッチリ固められていて、アドアステラはシップスキャンとカーゴスキャンを同時にかけられた上で、勝手にIDを提示させられた。
その上でしっかりトラッキングスキャンもされており、何か怪しい点があれば即刻交戦する気だったとわかる。
フル武装の戦艦に撃たれたら、大抵の艦船はお陀仏である。
Ve‘zがどれだけ恐ろしい存在かがよく分かる。
誰かが勝手に外に出て喧嘩を売ったら、王国が終わるレベルなのだろう。

「ここへはエンフォースの調査依頼で来た。調査装備がスキャンを弾いているだろう、それが証拠になるだろうか?」
『確認しました、通行を許可します....ただし、帰還した際はカーゴスキャンを行います』
「ああ、それで構わない」
『ゲート通過後は用心してください、Ve’zか、エミドか......それが何かは我々には分かりませんが、どちらもゲートの付近に居続ければ貴方を攻撃するでしょう』
「分かった」

ゲートキャンプを当然のようにやってくるわけね。
それは別にいいんだけど....
どちらも武装がよく分からないな。
データを見ても、武装の詳細が分からない。
エミドの方は、「高分子熱的断絶レーザー」とかいうよく分からない武装だ。
映像を見る限り、シールドごと船体を切り裂いている。
対してVe’zの武器は謎だ。
レーザーなのかミサイルなのか....?

「ゲートを通過するぞ、全員戦闘準備」
「はい!」
「分かったよ!」

艦載機に乗らない時のラビは、第二環境を改造して設置した戦闘俯瞰モニター室に居る。
彼女は一人でも戦闘艦を操縦出来るから、そこで戦闘を俯瞰してこちらにフィードバックしてくれるのだ。
私もシトリンも完璧じゃ無い。
三人体制で初めて、完璧な掌握ができる。
かくして、私たちはゲートを通過した。
その先は...

「な、何だ、これ...?」

その先は、無の空間だった。
星の瞬きも、恒星の輝きも、無い。
だけど、異次元では無いと次元センサーが示していた。
つまり、ここは...ほぼ全ての惑星が破壊され、恒星がなくなった事で光のなくなった...それも大分昔に...死んだ恒星系なんだと理解した。

『広域スキャンに反応無し。付近の重力井戸はゲートと...不明な構造物数個のみです』
「まずいな、迷ったら終わりか」

まさに暗黒の領域。
まあ、こうなると思って対策はしているが。
ドローンベイに、重力波ビーコンを数機格納している。
位置を知られることになるが、それでも目印にはなる。

「行くぞ」
『気を付けてね』

私は不明な構造物の中でも、強度が極端に低く特定困難な遺跡を探査プローブをばら撒くことで特定し、船をそこへ向けてワープさせた。
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