251 / 272
シーズン9-オストプライム編(前編)
249-手を離れた光
しおりを挟む
中型艦は、川を越えフードコートに侵入する。
それを追うカルは、ロガーヘッドに捕まったまま低空を超高速で飛行する。
「っ.....どれだけ速度を!」
カルは呟く。
中型艦は改造型のようで、スラスターを通常見かけるタイプから四つ増設しているようであった。
その速度は、ロガーヘッドにも勝るとも劣らない。
少なくとも、カルに合わせて飛ぶロガーヘッドの速度では、中型艦に追いつけないのだ。
「だったら!」
『マスター、何を!?』
「これで行く! 速度を上げて!」
『了解!』
カルはロガーヘッドの下部にワイヤーフックを固定し、飛び降りた。
ロガーヘッドはカル一人であれば重武装だろうと充分支えられる。
速度を上げたロガーヘッドは、そのまま中型艦へと迫り――――
『ビルから射撃されています』
「分かってる!」
カルはワイヤーを一気に巻き上げて、ロガーヘッドのシールド範囲内に逃れる。
射撃を避けたうえで、カルセールの充填を行い、かつ一発撃つ。
ビルの一室を融解させた一撃は、そのまま周囲のガラスを叩き割り、襲撃者を反撃不能に追い込む。
「足を落とせ!」
『はっ!』
ロガーヘッドが射撃し、中型艦の左、上から二番目の推進器を破壊する。
中型艦はそのまま、ビル群へと入り込んでいく。
カルはその後を追う。
その上を、悠々とアドアステラが通過していく。
ECM兵器を投射している都合上、射線を遮られると拙いのだ。
「シトリン、無理するな! フレスベルグを3機出せ!」
『了解!』
アドアステラが戦闘ドローンを格納し、代わりにフレスベルグと呼ばれたECMドローンを三機射出し、都市に影響が及ばない範囲まで上昇する。
フレスベルグは代わりにECM攻撃を行う。
『対空支援を行います』
「頼む」
カルを追ってきていた小型エアロバイクに向かって、アドアステラのパルスレーザー砲の雨が容赦なく降り注ぐ。
船体下部に搭載されているもののため、その密度はあまり高くないものの、確実な妨害に放っていた。
「シトリン、速度を上げろ! このまま行く!」
『了解!』
四方八方から迫る敵を、カルはシールドを巧みに操り防御、ニケとカルセールの巧みな防御と攻撃のスイッチによって撃破していた。
ロガーヘッドが速度を上げ、中型艦に迫る。
次の瞬間、中型艦は唐突に降下してビルの真下をすり抜け、レーザー砲でビルを破壊してカルを妨害した。
「突っ切るッ!!」
崩壊するビルの残骸の中を突っ切ったカルだったが、中型艦は強引に舵を切り、左のビルに半ば船体をぶつけるようにして速度を落とし、ビルの切れ間を強引に押し通る。
ロガーヘッドの速度が出過ぎていたために、カルは急減速した中型艦に迫る事が出来ない。
「ッチ、仕方ない! シトリン、薙ぎ払え!」
『了解!』
ビルの先は、タンクの並ぶエリアだった。
アドアステラは、その手前に向けて砲撃し、進路を妨害しようとした。
だが、二人はこの都市の構造を完全に見誤っていた。
融け落ちる地面の先からは、地下の構造が完全に露出していた。
「しまった!」
『どうされますか、追いますか!?』
「いや......もう無理だ」
中型艦は強引に通過したものの、地下都市の自動修復システムのようなものだろうか、金属の壁が開いた穴を塞ぎ、カルとシトリンは二人の足跡を完全に見失ってしまったのであった。
それを追うカルは、ロガーヘッドに捕まったまま低空を超高速で飛行する。
「っ.....どれだけ速度を!」
カルは呟く。
中型艦は改造型のようで、スラスターを通常見かけるタイプから四つ増設しているようであった。
その速度は、ロガーヘッドにも勝るとも劣らない。
少なくとも、カルに合わせて飛ぶロガーヘッドの速度では、中型艦に追いつけないのだ。
「だったら!」
『マスター、何を!?』
「これで行く! 速度を上げて!」
『了解!』
カルはロガーヘッドの下部にワイヤーフックを固定し、飛び降りた。
ロガーヘッドはカル一人であれば重武装だろうと充分支えられる。
速度を上げたロガーヘッドは、そのまま中型艦へと迫り――――
『ビルから射撃されています』
「分かってる!」
カルはワイヤーを一気に巻き上げて、ロガーヘッドのシールド範囲内に逃れる。
射撃を避けたうえで、カルセールの充填を行い、かつ一発撃つ。
ビルの一室を融解させた一撃は、そのまま周囲のガラスを叩き割り、襲撃者を反撃不能に追い込む。
「足を落とせ!」
『はっ!』
ロガーヘッドが射撃し、中型艦の左、上から二番目の推進器を破壊する。
中型艦はそのまま、ビル群へと入り込んでいく。
カルはその後を追う。
その上を、悠々とアドアステラが通過していく。
ECM兵器を投射している都合上、射線を遮られると拙いのだ。
「シトリン、無理するな! フレスベルグを3機出せ!」
『了解!』
アドアステラが戦闘ドローンを格納し、代わりにフレスベルグと呼ばれたECMドローンを三機射出し、都市に影響が及ばない範囲まで上昇する。
フレスベルグは代わりにECM攻撃を行う。
『対空支援を行います』
「頼む」
カルを追ってきていた小型エアロバイクに向かって、アドアステラのパルスレーザー砲の雨が容赦なく降り注ぐ。
船体下部に搭載されているもののため、その密度はあまり高くないものの、確実な妨害に放っていた。
「シトリン、速度を上げろ! このまま行く!」
『了解!』
四方八方から迫る敵を、カルはシールドを巧みに操り防御、ニケとカルセールの巧みな防御と攻撃のスイッチによって撃破していた。
ロガーヘッドが速度を上げ、中型艦に迫る。
次の瞬間、中型艦は唐突に降下してビルの真下をすり抜け、レーザー砲でビルを破壊してカルを妨害した。
「突っ切るッ!!」
崩壊するビルの残骸の中を突っ切ったカルだったが、中型艦は強引に舵を切り、左のビルに半ば船体をぶつけるようにして速度を落とし、ビルの切れ間を強引に押し通る。
ロガーヘッドの速度が出過ぎていたために、カルは急減速した中型艦に迫る事が出来ない。
「ッチ、仕方ない! シトリン、薙ぎ払え!」
『了解!』
ビルの先は、タンクの並ぶエリアだった。
アドアステラは、その手前に向けて砲撃し、進路を妨害しようとした。
だが、二人はこの都市の構造を完全に見誤っていた。
融け落ちる地面の先からは、地下の構造が完全に露出していた。
「しまった!」
『どうされますか、追いますか!?』
「いや......もう無理だ」
中型艦は強引に通過したものの、地下都市の自動修復システムのようなものだろうか、金属の壁が開いた穴を塞ぎ、カルとシトリンは二人の足跡を完全に見失ってしまったのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる