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シーズン9-オストプライム編(後編)
257-『説得』
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翌日。
TRINITY.のオストプライム上層部会議が開かれた。
その理由は、新進気鋭かつ的確に上層部の弱みを握ってのし上がってきた男ディエゴ・アレンスターが会議を開いてほしいとオストプライム支部警視総監アスパーダ・クロムウェルに請願したためである。
「....それで、君の話したい事とは何かね? 君が頼み事など、珍しい事じゃないか?」
「近々、マフィア共が行動を起こすそうです」
その言葉を聞いた、その場にいた6名は一瞬で騒然とする。
「君....それは本当かね!?」
「いや、君は功を焦るような人物ではない、それは我々も理解している、だが....」
この場にいる六名。
警視総監アスパーダ・クロムウェル、
第一警視監ロンドベル・スカイリム、
第二警視監アパランド・コーラズ、
第四警視長ポダート・フレムベル、
第七警視長ベルメリア・クレイトン、
第一警視正ロトハイム・スヴェアケン。
彼ら彼女らは、今までのディエゴの仕事ぶりを信頼し、かつ弱みを握ったとしても何も行動に移さない清濁併せ吞む姿勢に感激しており、ディエゴの昇進も不自然にならなければ直ぐに許容される予定だった。
そんな中での、突然の報告。
荒れて当然である。
ベルメリアが手を挙げ、ディエゴに質問する。
「待て、君はそれを報告することで、我々何を期待している?」
「こちらもそれに乗じようと思うのですが、なるべく隠密に――――彼等に悟られないように行いたいのです」
「それは難しいぞ、ディエゴ君」
ベルメリアもその困難さは理解している。
だからこそ、ディエゴはここで手札を切ったのだ。
「異例の人事を装い、リーダーのみを招集する形で警官隊の再編成を行います、これなら機密が保たれる筈です」
「成程......この場に我々を集めたのは、そういう事かね?」
「はい」
ディエゴは淡々と報告する。
だが、それにけげんな表情をしながら訴えたのはポダートだった。
「しかしだね、何故隠密に行う必要がある? すぐさま編成し、向かわせれば奴らに証拠を押さえられる前に確保できるはずだ」
「......私は、待ってほしいと言っているのです」
ディエゴは席を立って訴える。
「正気かね?」
「私的な友人が、マフィアと結託し奴らを潰すと宣言しました。ですから我々は、後入りで奴らを始末するのです」
「証拠はどうする!?」
「さあ?」
ディエゴは肩を竦めて見せた。
それは、TRINITY.の戦力を私的に運用したいという意思の表れであった。
とんでもない行動、しかしこの場にいる者たちは皆、ある共通する特徴を持っていた。
「まあ....君の友人が協力するようなマフィアなら、治安は少しばかりよくなるかもしれんな」
「我々も飯の種がなくなれば困る」
清濁併せ吞むのは彼等も同様である。
本格的な強制捜査に打って出ないのは、強権の行使が問題になる点や苦情処理が面倒になるからという理由のほかに。
海賊に被害を出させ、それをTRINITY.が解決するという構図を重要視しているからである。
それがなくなれば、彼らは仕事がなくなり、栄達もまた望めない。
完全なる撲滅など、望むところではないのだ。
「聞けば、アプレンティス傭兵も活動しているとか」
「ええ、彼等にも話は通しておきましょう」
「心が躍るというものだ、久々に前線に出たいぞ!」
ロトハイムが叫んだ。
彼は軍隊上がりであり、軍法会議に掛けられた過去を抹消した事実をディエゴに知られている。
根っからの戦闘狂である。
「では、皆さんご機嫌よう」
「「「「「「ご機嫌よう」」」」」」
そして、会議は終わりを告げたのであった。
TRINITY.のオストプライム上層部会議が開かれた。
その理由は、新進気鋭かつ的確に上層部の弱みを握ってのし上がってきた男ディエゴ・アレンスターが会議を開いてほしいとオストプライム支部警視総監アスパーダ・クロムウェルに請願したためである。
「....それで、君の話したい事とは何かね? 君が頼み事など、珍しい事じゃないか?」
「近々、マフィア共が行動を起こすそうです」
その言葉を聞いた、その場にいた6名は一瞬で騒然とする。
「君....それは本当かね!?」
「いや、君は功を焦るような人物ではない、それは我々も理解している、だが....」
この場にいる六名。
警視総監アスパーダ・クロムウェル、
第一警視監ロンドベル・スカイリム、
第二警視監アパランド・コーラズ、
第四警視長ポダート・フレムベル、
第七警視長ベルメリア・クレイトン、
第一警視正ロトハイム・スヴェアケン。
彼ら彼女らは、今までのディエゴの仕事ぶりを信頼し、かつ弱みを握ったとしても何も行動に移さない清濁併せ吞む姿勢に感激しており、ディエゴの昇進も不自然にならなければ直ぐに許容される予定だった。
そんな中での、突然の報告。
荒れて当然である。
ベルメリアが手を挙げ、ディエゴに質問する。
「待て、君はそれを報告することで、我々何を期待している?」
「こちらもそれに乗じようと思うのですが、なるべく隠密に――――彼等に悟られないように行いたいのです」
「それは難しいぞ、ディエゴ君」
ベルメリアもその困難さは理解している。
だからこそ、ディエゴはここで手札を切ったのだ。
「異例の人事を装い、リーダーのみを招集する形で警官隊の再編成を行います、これなら機密が保たれる筈です」
「成程......この場に我々を集めたのは、そういう事かね?」
「はい」
ディエゴは淡々と報告する。
だが、それにけげんな表情をしながら訴えたのはポダートだった。
「しかしだね、何故隠密に行う必要がある? すぐさま編成し、向かわせれば奴らに証拠を押さえられる前に確保できるはずだ」
「......私は、待ってほしいと言っているのです」
ディエゴは席を立って訴える。
「正気かね?」
「私的な友人が、マフィアと結託し奴らを潰すと宣言しました。ですから我々は、後入りで奴らを始末するのです」
「証拠はどうする!?」
「さあ?」
ディエゴは肩を竦めて見せた。
それは、TRINITY.の戦力を私的に運用したいという意思の表れであった。
とんでもない行動、しかしこの場にいる者たちは皆、ある共通する特徴を持っていた。
「まあ....君の友人が協力するようなマフィアなら、治安は少しばかりよくなるかもしれんな」
「我々も飯の種がなくなれば困る」
清濁併せ吞むのは彼等も同様である。
本格的な強制捜査に打って出ないのは、強権の行使が問題になる点や苦情処理が面倒になるからという理由のほかに。
海賊に被害を出させ、それをTRINITY.が解決するという構図を重要視しているからである。
それがなくなれば、彼らは仕事がなくなり、栄達もまた望めない。
完全なる撲滅など、望むところではないのだ。
「聞けば、アプレンティス傭兵も活動しているとか」
「ええ、彼等にも話は通しておきましょう」
「心が躍るというものだ、久々に前線に出たいぞ!」
ロトハイムが叫んだ。
彼は軍隊上がりであり、軍法会議に掛けられた過去を抹消した事実をディエゴに知られている。
根っからの戦闘狂である。
「では、皆さんご機嫌よう」
「「「「「「ご機嫌よう」」」」」」
そして、会議は終わりを告げたのであった。
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