2度目の結婚は貴方と

朧霧

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レオナードの初恋

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 リオナさんが帰ってしまった。嬢は付けないで呼んで欲しいと言われたのでこれからはリオナさんにしよう。

19歳か…。俺は25歳だから6歳差なら大丈夫か? 恋人や婚約者はいるのだろうか? いや、一昨日の会話を思い出すといないような…。しかし何でこんなに気になるんだろうか?

王都の学園にいた頃は女性と交際していたこともあるが騎士団に入団してからは特定の恋人は作らずに訓練に没頭した。疲れて遊びに行くこともしなかったが真面目すぎる俺を先輩が連れ出し娼館に行ったこともあった。
正直なところ興味もある年頃なので抵抗せずに行ったのも事実だけど、どうやら商売女が苦手だったのである程度通った後は行かなくなった。

ほとんど恋愛経験もないので自分の好みもよく分からない。将来的には家のために結婚するだろうけど誰でも良かった。
20歳を過ぎると婚約者を早く決めろと一時期両親から言われたが、縁談の話がきたらまだ結婚するには早すぎると断っていた。

そして一昨日、リオナさんと出会った。女性のことが気になる経験は初めてでなんだか妙に落ち着かない。
正直なところ暇さえあれば思い出し彼女の顔や仕草を可愛いなと感じてしまう。
俺の好みはリオナさんのような人だったのだろうか?

「団長? 団長? …おい! レオ聞いてるのか?」

「あぁ、悪かった。少し考えごとをしていた」

「もう、そんなにリオナちゃんが気になるなら今度食事でも誘えば? 酒を飲みに誘うのでもいいしさ」

「ち、違う。リオナさんのことではなく別の考えごとだ。聞いていなかったのはすまない、気をつける」

「レオさぁ、今日も見てて思ったんだけど完全に惚れてるよね。分かりやすいよな。でもレオは嫡男でいずれ家を継ぐんだろ? リオナちゃんは平民だって言ってたし問題が山積みだけど大丈夫か?」

「家を継ぐのは弟達がいるから問題ないし元々俺は爵位なんて興味もない。家を継ぐ気なら騎士団に入らずに親が決めた相手と結婚もしてたさ」

「ふーん、リオナちゃんのことは本気なんだね? もう認めちゃっているし」

「ほ、本気かなんてまだわからん。でもなぜか彼女が気になるんだ。はぁぁ、初めてだよ、こんなに気になる女性は」

「レオ…。もしかしてだけどさ、初恋? まだ誰かを好きになったこともなかったわけ?」

「揶揄うなジル。初恋ってどうなったら初恋なんだ? 若い頃は交際した女性もいたぞ」

「交際したから初恋もしたわけ? 違うだろ。リオナちゃんへの気持ちみたいに交際した女性には気持ちが乱されたりした?」

「相手から好きだと言われて別に嫌ではなかったから交際した。リオナさんみたいに気になって仕方ないとは思えなかった」

「これは思っていたよりも重症だね…。こんなに体は立派なのに。レオ、お前はこの歳になって人生初めて恋をしたんだ。おじさんになって初めてだよ、わかった?」

「俺は恋したのか? そうか…、恋したのか」

「他人事みたいに言うね。そんな未経験なレオ君には困ったことがあったら相談に乗るからさ。まぁ、頼りにしてよ」

「ジル、ありがとう。頼りにしてるよ」

なんだか可愛い団長に見えてきたとジルベルトは思った。しかし恋したことがなかったのかよ、この男。


「只今戻りました、ミシェルさん」

「お帰りなさい、リオナ。で、騎士団との話は大丈夫だった?」

「はい、詳細を教えて頂きまして国交が悪くならないように武器の取引をしたいとのことです。獣の討伐にあまり人員を割けないことと団員の安全を考えてとりあえず試験的に購入し試してみたいそうです。それにしてもイルベナ国のクロスボウの性能は良いみたいですね。
自国にもあるのに輸入までして購入するなんて」

「そうね、表向きは獣の討伐が理由だと思うけれど自国の武器が劣らないように研究する目的もありそうだわ。勝手な憶測だけどね。周辺諸国とは友好的になってるけど100年以上昔は戦争が多発してたでしょ。何が起こるか分からないから備えているのも事実だと思うわ。そうならないように願うけどね」

戦争を知らない前世もこの世界も平和に過ごせている。歴史の授業や教科書で学ぶとなんて愚かなことなんだろうと思った。前世ではもし世界大戦が再び起きたら核兵器が使われて壊滅するであろう。

武器の輸入に携わるなんて夢にも思っていなかったから複雑な気持ちになった。

「今日、騎士団からイルベナ国のクロスボウの価格を書類でいただいてきました。それと騎士団側の予算金額と購入希望の種類と数量は書類でお願いしました。私の方は自国にあるクロスボウの市場価格調査をしてみますが、恐らくイルベナ国のクロスボウは性能が良いとのことなので高値になるかと思います」

「クロスボウの輸入は初めてだから何とも言えないわね。騎士団の資料を参考にしてある程度妥当な価格を想定しておいて。そういえば今日は緊張せずに話せたのかしら?」

「はい。昨日よりは緊張しませんでした。団長さんとも少し話して、副団長さんは仕事以外の話しになると随分軽い感じでした。何とか会話ができて良かったです」

「ふふふ、それなら良かったわ。昨日の感じだと団長さんともまだ話しができなかったのかと思ったけどね」

「別に話しが弾んだわけでもないですよ? 団長さんは口数は少ないけど嫌な印象はありませんでした。副団長さんは…、掴みどころのない印象です。
仕事に関しては困るような感じもありませんので少し安心しました」

「リオナ…。前から思ってたけど結構鈍感な方?」

「何に対してですか?」

「まぁ、これからね」

ミシェルさんの言葉に疑問になるが何のことだかさっぱり分からなかった。

とりあえず来月までは自分のやるべきことをこなして準備をしておこうと仕事に戻った。
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