2度目の結婚は貴方と

朧霧

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リオナの結婚観

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 レオナードの態度に確信を持ったジルベルトは世話が焼ける上司の背中を押すことにする。

「店に入ったときにリオナちゃんが恋人といるのかなと思ったよ。モーリスさんは恋人ではないの?」

「違いますよ。同僚です、同僚。副団長さんの勘違いです」

「僕はリオナさんなら間違えられても構いませんよ」

「冗談言わないでくださいよ。本当の恋人が聞いたら大変ですよ」

「そうなんだ。リオナちゃんは恋人とか婚約者はいないのかな?」

「いませんよ、恋人も婚約者も。恋愛や結婚に興味がないので」

「リオナちゃんくらいの年頃で興味がないの?」

「正確には結婚をしたくないのです。同性が好きなわけでもありませんし男性を好きになったことはありますよ」

「もしかして実は結婚したことがあるとか?」

「ぶっ…」

レオが吹き出しモーリスさんはリオナちゃんを凝視する。

「結婚したことなんてないですよ! まだ19歳だし。でもダイナダスの方々は早く結婚しますよね。この国が結婚する年齢が早いわけではなくて他国もそうなのでしょうか?」

「早いのかなぁ? 両親も友人達も10代で婚約して学園を卒業したら結婚する感じかな。他国でも結婚する年齢はだいたい同じだと思うよ。リオナちゃんは生まれた国が違うのかな?」 

「いいえ、ダイナダスですよ。10代で婚約…、まだ子供だと思うのですが」

「僕達は親が結婚を決めたりするのが多いからね。政略結婚というのかな」

「では団長さんも副団長さんもモーリスさんも奥様がいらっしゃるのですね。もしかしてすでにお子さんも?」

「いやいや、リオナちゃん。僕とレオは独身だよ。モーリスさんは?」

「僕も独身です」

「えっ、そうなんですか? みなさん20代だからすでにご結婚されているのかと思いました」

「僕は女性を一人に絞れなくてまだ独身。別に遊んでいるわけではないから勘違いしないでよ。レオは大量に届く縁談をずっと断り続けてるから」

「モーリスさんは? あまり仕事以外の話をしたことがありませんでしたよね?」

「僕も同じような感じですかね。親からは早く結婚しろと言われていますが」

「みなさん結婚は重要なんですね。女性は特にそうなのでしょうか?」

「リオナちゃんみたいな考えの方が珍しいと思うよ。特に女性は結婚に関しても前向きなように感じるかな。若いうちにより良い結婚相手を探すんだ。レオなんか団長だし爵位を継ぐ嫡男だから狙っている女性は多いけどね」

「ジルだって同じだろ。俺はあからさまに媚びてくる女性が苦手なだけだ」

「ところでリオナちゃんは結婚はしたくないけど恋人はいいの?」

「恋人ですか…。結婚しないなら恋愛するのはいいのかもしれませんが男性は結婚を考えて交際を申し込むことが多いと思います。この前もそうだったし…、結局お断りしていますから恋人になることもないです」

「この前って? リオナちゃんが交際を申し込まれたの?」

「はい…、最近ありましたよ。即答でお断りしましたので態度が冷たかったかもしれませんね。でも期待を持たせたりしても結局先に進むことができませんのではっきりとお断りしています」

「リオナちゃんは結婚に対しての意思がはっきりしているね。女性なら告白されて嬉しいと思うけど」

「嬉しい…、もちろん有難いなとは思いますよ。美人でもなく平凡な私に交際を申し込んでくれたのですから。でも結婚する気がないのなら最初からお断りするのが良いと思っているからです」

「そんなに結婚したくないんだ。過去に何か辛い経験とかがあったとか?」

「辛いことですか…。特にあったわけではないですのでご心配なく。ただ私は孤児院育ちで自分の親を知りませんし望まれた子供ではなかったようですね。産んでから育てもせずに赤子の私を捨てたのですから。もし我が子を愛していたのなら捨てはしないと思います。孤児院は両親が亡くなったり、片親で育てても親が病気になり経済的に育てられなくなったりと保護するべき子供がいます。でも一番多い理由は行為事態を楽しんだ男女の結果、子供を産んだ人が大勢いるのです。そうでなければ孤児院が戦争もないのにたくさんの子供を抱えることはないはずです。完全に避妊するのは無理なので男女関係がどうなろうと、自分が自立できて一人でも育てていける自信が持てれば恋愛や結婚をするかもしれません。私も欲は普通にあると思いますが、中途半端な気持ちで愛し合う行為をすることが受け入れられません。犯罪や深い事情に巻き込まれて仕方なく子供ができてしまう人もいますので全てとは言えませんが。それに自分が相手を見極められないのも事実です。だから自信が持てないことはしたくないし願望もありません」

「リオナちゃんはそれで寂しくないの?」

「寂しい…、寂しいとは恋人も伴侶もいないからですか? 私は血縁関係もいませんが周りに支えてくれる人もいますので孤独とは思いませんよ。誰かに依存するわけでもなく共存でいいと思います。私は周りの方々に感謝をしながら共に生きていたいのです」

「そうなんだ。でもリオナちゃんは結婚を考えなければ恋人はいいんだよね?」

「まぁ、大雑把に言うとそうですけど…。それは相手の方にもよりますね。もし相手の方と恋愛や結婚の考え方が合わなければ上手くいかないと思うので正直面倒です」

「面倒かぁ。参ったな…、なぁレオ?」

「は?」

「団長さんもモーリスさんも驚いちゃいますよね。あまりこのような話しを人にすることはないのですが、ついつい副団長さんの話術に乗せられてしまいました。私の戯言なので忘れてくださいね」

「いや、人それぞれ考え方は異なるからリオナさんのような意見もあると思う。ジルも深く聞きすぎたようだし」

「リオナさんは19歳なのに随分と大人な意見をお持ちですね」

「ふふっ、レーナやライモンドにも母親みたいとよく揶揄われています。皆さんは素敵な伴侶を見つけてくださいね」

私は随分と時間が経ってしまったようなのでそろそろ帰ろうと思いはじめた。

「夜もだいぶ更けてきたので私はそろそろ失礼しますね。もしよろしければみなさんはゆっくりなさってください」

「あっ、遅いからレオが送っていくよ。全く酔ってないし防犯には持ってこいの風貌だから」

「団長さんよろしいのですか? たしかリオナさんの家は逆方向なので僕は有難いのですが」

「いえいえ、団長さんにそのようなことはお願いしませんよ。私は一人で帰れますからお気になさらないでください」

すると突然団長さんに腕を掴まれて驚いた。

「一人は駄目だ、送って行く。ジル後はよろしく頼む」

「はいはい、行ってらっしゃい」

なんだかよく分からないが団長さんに送ってもらうことになってしまったけど緊張しそうで酔いも冷めそうな感じがした。
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