2度目の結婚は貴方と

朧霧

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突然の吐き気

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 私はレオナードさんとの暮らしも半年になり平和で幸せな日々を送っていた。

「おはようございます、ミシェルさん」

「おはよう、リオナ。団長さんとの生活は慣れてきたかしら?」

「はい、幸せですよ。今まで一人で暮らしていたので戸惑うこともありますけど充実しています」

「そう、リオナが幸せなら良かったわ。もし喧嘩をしたら家に来てもいいわよ?」

「喧嘩ですか…、まだしたことがないです。これからあるのかもしれませんがそのときにはお世話になります」

ミシェルさんと冗談話をしていたら突然吐き気がして洗面所に駆け込んだ。直感で状況を把握し最終にきた月のものを思い出す。これは妊娠かもしれない…。やっぱり避妊薬も安全ではないよね。危険日に飲み忘れたこともあるし100%避妊できるなんてないしな…。

前世を合わせて二回目なので妊娠自体は驚かなかったが、レオナードさんの反応を想像すると不安になった。前世では懐妊して喜んでいたのは私だけ…。
ミシェルさんに午後から早退する許可をもらい病院へ行った。

「おめでとう。ご懐妊だよ。3ヶ月に入るところだね」

医師の宣告にやっぱりと頷いた。今日、帰宅したらレオナードさんに知らせないとと思うと反応が怖くなる。
何て言おうか散々考えても決まらないが、答えが何であろうと一人でも育てる覚悟はしているからありのまま伝えることにした。

自宅に帰り吐き気もあったが夕食の支度をし終わる頃にレオナードさんが帰ってきた。

「ただいま、リオナ」

レオナードさんはいつも帰宅するなり抱きしめる。最近は気恥ずかしいことも少なくなってきた。

「おかえりなさい、レオナードさん。お仕事お疲れ様でした」

「リオナだって働いて家事もしているだろ? お疲れ様」

「ありがとうございます。あの、レオナードさんに伝えることがあって」

「ん? 何だ? また何かあったのか?」

「えっと、そのですね…子供を授かりました」

あぁぁ、レオナードさんが固まってる。やっぱり欲しくなかったのかも…。

「リオナ本当か? 本当に俺達の子が?」

「はい。今日病院に行ってきたのですが、3ヶ月に入ったところだと言われました」

「リオナ…、本当に嬉しいよ! そうか俺達の子が…ありがとう。家族を守れる父親になるよ、約束する。リオナ愛してる」

レオナードさんは笑顔になり目に涙を溜めていた。私は本当に嬉しそうな態度に安堵する。

「レオナードさん、喜んでくれたんですね。私もとっても嬉しいんです。レオナードさんと子供が育てられるから楽しみだわ。大切に育てましょうね」

「リオナは避妊薬を飲んでたから子供は望んでいないのかと思っていた。嬉しいんだな? それなら俺と同じだ。産まれてくるのが待ちきれない」

「まだまだ先ですよ。今はまだ悪阻がするくらいでこれから大きく育ってくるので」

「詳しいんだな。ああ、もう心配で堪らない。仕事も家事もしなくていいから安静にしていてくれ。家事は俺も手伝うし家政婦を雇うか?」

「え? 仕事も直前まで続けますよ? 家事も平気です。安静にしてばかりだと駄目ですよ。問題があったら安静は必要ですが今までと変わりなく過ごします」

「なぜだ。もし何かあったらどうする。何もないように家にいなくてはならない」

「駄目です。貴族の方は子供ができたら安静にするのですか? でも平民は畑仕事や子育て、家事も普通にしますよ? 体力が落ちずに安産にも繋がります。
レオナードさんも元気な子がいいですよね?」

「もちろんだ。だが心配で堪らないから仕事はしない方が良いのではないか?」

「ここはレオナードさんが理解してください。体に無理をしないように私も気をつけますから大丈夫です。ちゃんと元気な子を産みますよ」

レオナードさんは少しも理解していない様子であったが、せめて家にいる間はなるべく動かないと約束させられた。
前世でも妊娠中ウォーキングをしたりしてなるべく動いていたので余程のことがなければ安静はしないと思う。

とにかくレオナードさんは喜んでくれたし私も子供が好きだから二人で子供を育てることができるのが嬉しい。


翌朝、なぜかレオナードさんは商会に付いてくる。理由は分からないがなんとなく想像はつく。

「ミシェルさん、おはようございます。そのですね、レオナードさんが…」

「お久しぶりです、ミシェルさん。突然で申し訳ないのですがリオナのことでお話したいのですがお時間いただけますか?」

やっぱり…、何を言うつもりなんだろう? 妊娠したことなら私だけでいいのにな。

「あらぁ、団長さんお久しぶりです。時間は大丈夫よ。リオナのことですか? それなら応接室に行きましょう」

「ありがとうございます」

ミシェルさんとレオナードさんと私、三人で応接室に入り座った。

「で、団長さん、リオナのこととは?」

「はい、ご存知かと思いますがリオナと私は一緒に暮らしております。そしてこの度私達の子供を授かりました」

「え? そうなの? リオナおめでとう!」

「はい。昨日早退した後、病院に行きました」

「それで今後の話をしたのですが仕事は出産間際まで続けたいそうです。私は心配で堪らないので、リオナに何かありましたら申し訳ありませんが騎士団に連絡をすぐにしていただけませんか? 受付には話を通しておきますのでお願いします」

「レオナードさん、駄目ですよ。大したこともなくミシェルさんや団員さん達にそんなお願いなんて…。どうしても連絡しなくてはならないくらいのことでないと迷惑をかけます」

「そうねぇ、リオナが働きたいなら私も嬉しいわ。でも団長さんはリオナに頼れる家族もいないからわざわざ私に話してくれただけだと思うけど。ふふ、本当に大したこともなく連絡するわけないじゃない。ねぇ、団長さん?」

「はい。まぁ、そうです。よろしくお願いします」

「承知しました。私もリオナのことは妹のように大切だから見守ります。ところでリオナ、お腹が大きくなるまではいいけど大きくなったら少し日数を減らして働きなさい。休養も必要だし団長さんの気持ちも分かってあげないとね。もう少し経ったら相談して決めましょう」

「はい、分かりました。ミシェルさんレオナードさん協力していただきありがとうございます。よろしくお願いします」

「楽しみだわ! リオナと団長さんの子供。私にしてみれば甥っ子か姪っ子のような感じよ。どちらかしら? 待ちきれないわね」

「ミシェルさん、お時間いただきありがとうございました。私は今から仕事へ向かうので失礼します」

レオナードさんは退室して騎士団へ行った。

「ねぇ、リオナ。団長さんのあんな嬉しそうな顔初めてみたわ。それにリオナが心配で堪らないのねぇ」

「はい、そうなんです。昨日レオナードさんに妊娠を伝えた途端に過保護になっちゃって…。正直大変です」

「愛されてるわね。でも良かったじゃない? 子供ができたことを喜ばない男もいるから」

正にそう。ミシェルさん、私は子供を要らないと言われたことがあります…。
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