日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

文字の大きさ
12 / 486
第一章:素敵な出会い、それは狂った妖刀でした

011:斬っても斬れない仲

しおりを挟む
 うまく誘い込み、二匹の緑の小人を倒した流は、油断なく周りを確認しながら少し休む。

(ふぅ~。ここまではよし、木をテコのようにして直線的に引っ張らなかったのがよかったな。残り八匹だがもう一度いけるか?)

 ここと真逆の場所で何かの作業をしているのか、緑の小人三人が木材を移動していた。
 木材は山積みになっており、身を隠すには最適な場所と判断した流は、気配を消しつつ慎重に木材の裏側へと回る。

(よし、まだ緑の小人は作業中だな。まずは材木が崩れたようにっと……)

 流は美琴を抜刀し、木材を支えていた木を斬り裂く。
 すると端の数本がバラリと地面に倒れるが、そこまで太くは無いので、近くに居た緑の小人達だけがその音に気が付いた。
 倒れた木材は太くないとは言え緑の小人よりかなり長いので、それを三匹で元に戻そうと思ったのか、うまい具合に三匹が木材の裏側へとやって来た。

 その様子を木の影から見ていた流は、三匹が木材を担いだのを見計らい静かに背後から近づくと、流は美琴で首を刈っていく。 

(残りは五匹、だが流石にあれは……)

 村から一気に五匹の姿が見えなくなったのを不審に思ったのか、焚火で何かを食べていた緑の小人達は武器を手に持ち、木材が倒れたのが見えたからか木材保管場所へと歩いて来た。

(奴らの武器は剣と木のこん棒か? 美琴は妖スペックだが油断は出来ないな。ここからが本番だ、気合を入れて行けよ!!)

 緑の小人は材木置き場に近づいて来ると血の匂いで異常を察知したらしく、仲間内で騒ぎ出す。
 それでも不用心に近づいて来るのを「気配察知」で感じ取った流は、木材の山の中央に杭のようになっている所から出ているロープがある事を「観察眼」で確認する。
 流は緑の小人が「射程」に入ったのを確認し、木材の山の頂上、特に太い丸太が縦に縄で縛られている場所へと一気に登る。

「あーあー、マイクは無いがマイクのテスト中~。緑の小人共! 麗しき姫になんと言う悪逆非道をする、お前らに恨みは無いが覚悟しとけよ~天誅!!」

 緑の小人達はいきなりの人間の登場に一瞬驚くが、すぐに武器を掲げ襲ってくる。

「ギャガ!」と一匹が叫ぶと残り四匹が一斉に迫って来た。

「準備は万端、仕上げを御覧じろってな~そら、ヨっ!!」

 そう言うと流は木材を支える中央の長い杭に掴まりながら、そこから伸びているロープを切り裂く。
 すると支えを失った木材が観察眼で予想した通り、一気に雪崩を起こし緑の小人へと殺到する。

 緑の小人はいきなりの材木の倒壊に混乱するも、この四匹は他のとは違い運動性が良いらしく、あれだけの木材の倒壊に巻き込まれたのは二匹だけだった。

(残り三匹だが、一匹はボスか? こいつが巻き込まれなかったのは痛いな)

 流は杭の上から足元を確認し、身近に居た緑の小人に狙いを定め、中央に残った杭から飛び降りると同時に、まだ体勢が整っていない一匹へと斬りかかり真っ二つにする。

「さあて、残りはお前らだけとなったが……どっちから死にたい?」

 そう言うが早いか、緑の小人二匹は一直線に剣を振りかぶり襲ってくる。
 流は最初の緑の小人の斬撃を美琴で受け止めるふりをし、そのまま剣ごと袈裟斬りに斬り捨てる。
 驚いた奥のボスらしき緑の小人は一端背後へと飛び、ジリジリと間合いを狭めて来た。

 流も自分の間合いに入るまで、擦り足でにじり寄る。相手も似たような長さの剣を持っている以上、自分と間合いは差ほど変わらないと思い慎重に進む。
 そしてお互いに間合いに入った瞬間、流が行動に移る。

「剣ごと斬らせてもらう!! ツエィ!! ――なッ!?」

 流がボス小人の剣を斬り飛ばそうとしたが、それは受け止められてしまう。 
 その出来事に「マジかよ!」と驚く流であったが、業物なのか、美琴の斬撃で斬り飛ばせない武器と初めて遭遇した瞬間であった。
 その様子を見て「ギャググ!」と汚い犬歯をむき出しながら、口角を上げニヤケるボス小人は、好機と見るや素早く流れに斬りかかる。流は必死に美琴で防ぐが、緑の小人のどこにそんな力があるのか、流の持ち手に衝撃が蓄積される。

「ぐぅ、重てぇじゃねーか。だが脇が甘い!」

 ボス小人の直情的な攻撃も段々慣れた頃、敵のクセを観察眼で見抜く。

(右から振りかぶった時に皮鎧の隙間がガラ空きだよ!)

「皮鎧クラスなら、頼むぜ美琴!! オリャア!!」

 ボス小人の斬撃より一瞬早く、皮鎧の左下の付け根から右上に斬り上げた。

「ギャヴァァァァ!?」

 断末魔を上げ、切り口から血液が吹き出しながらも、流へ一太刀浴びせようとボス小人は剣を振りぬく。
 流は右上へ斬り上げてるいる最中の美琴をそのままスライドし、そして――「諦めや・が・れ!!」と気合を入れて、そのまま体を両断したのだった。

「ブハアア! ハァハァ……くぅ、キッツイ……まさか、ここまで、とは、異世界ハァ……やばすぎ、フゥ……」

 後ろへ倒れ込むように腰を下ろした流は、あまりの疲労にそのまま地面にへたり込む。

「ハァハァ。クソ、まさか武器を両断出来ないとはな。激しい戦闘中は観察眼もだめだ。慣れが必要か。ふぅ美琴が悪い訳じゃない、間違いなく……俺の技量不足だ」

 血溜まりの傍で休憩するのも嫌なので、広場が見える場所へ戻って来た流はようやく上がった息も落ち着く。
 周囲を見て粗末な小屋の中の事を思い出し、そこへ意識を向けると複数の反応がある。そしてその中に一際大きい生体反応を感じた時にソレは現れた。

「ギャガ、ナンノ、サワギダ!!」

「――――え?」

 思わず絶句してしまい、それしか言葉が出ない。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。

霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半…… まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。 そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。 そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。 だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!! しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。 ーーそれは《竜族語》 レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。 こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。 それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。 一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた…… これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。 ※30話程で完結します。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...