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第二章:偉大なる称号
027:性格の悪い女
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「ナガレ、この後予定はあるか? 無ければ町を案内するぜ? その後生還祝いでもしようじゃないか?」
「お~それはいいな! じゃあファン、悪いが付き合ってくれ」
「お安い御用さ! じゃあ行こうぜ」
門から正面の道は真っ直ぐ続いており、最奥には広場があるようだった。
街並みは石造りの家が殆どで、稀に木材だけの建築物がある。
通りの両脇には露天が立ち並び、店の奥から次々と新鮮な食材が補給され、とても活気のある場所だった。
人々も多様で、人間種が一番多いがエルフやドワーフ等の亜人も多く、中でも動物が人になったような獣人が特に多かった。
広場まで来ると大道芸やら露天やらで人が溢れ、中央には噴水があり癒される。
ファンに町の規模を聞くと、人口は多分十万以上は居るだろうとの事だった。
経済規模で言えば、この国の王都より遥かに大きいと言う、普通の国ではありえない状態だと言う。
その中央通りを抜け、三叉路を左に曲がった所に商業ギルドがあるとファンに教えてもらい、早速行ってみる事にした。
商業ギルドは三階建てでかなり大きく、横には倉庫のような建物が数棟あり、その奥にも倉庫がある様に見える。
「ちわ~ギルマスは居るかい?」
「あぁ、ファンさんいらっしゃい。ギルマスは今三階に居ますよ、呼んできましょうか?」
そんな受付嬢が無感情に答えた事とは真逆に、ギルドの中は静かだが熱い取引が行われているようだった。
ギルド内は受付窓口が八つほどあり、半分ほど埋まっている感じで、商談のためかホールには丸テーブルやカウンターが複数あり、そこで話し込んでいる人もいる。
「いや、俺たちが行くよ。そうだ、こっちの若いのはナガレって言うんだ。一人で盗賊五人を倒しちまう凄腕の商人さ。よろしく頼むよ」
「そうでしたか。ナガレさんようこそ、トエトリーの商業ギルドへ。ギルマスとの話が終わったらこちらへ来て登録なさいますか?」
実に機械的に対応し、しかも自分を何故か「品定めするような視線を向ける」受付嬢に少々ムカっとする。
「ああ、すまないがよろしく頼むよ、えっと……」
流の言わんことを汲み取った受付嬢は、ヤレヤレと思い出したかのように言う。
「ふぅ、これは失礼しました。私はメリサと申します、よろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしくな」
「それと、ギルドマスターはお忙しいので時間をあまり取らせないでくださいね。特に何処の誰か良く分かっていない『そこのナガレさん』分かりましたね?」
と、殊更強調してナガレに注意する。
「へいへい、分かってるさ。な? ナガレ」
「……ああ」
メリサは良く言えばデキル綺麗なお姉さんで、悪く言えば感じが良くない冷たい顔の美人だった。
髪は淡い青色で、肩まで伸ばしたストレートを耳にかけている。
体形は上下の凹凸が凄い。黙っていれば求婚者が殺到間違いなし! そんな受付嬢だった。
そんなメリサを良く見ると眼鏡をしているのだが、何故かレンズが無い。伊達メガネだろうか?
メリサとの挨拶がすむと、二人はギルドマスターの部屋まで案内される。
部屋の前に到着すると、重厚な樫の木のような木材で作られた、立派なドアが目の前にあった。
「ギルドマスター、メリサです。今お時間空いていますか?」
「おう、客かい? 通してくんな~」
部屋の中から答える男はなんとも気楽な口調で答え、受付の娘とは違う好印象な感じだなと流は思う。
扉を開くと広い室内には大きな一枚板のテーブルに、皮製の豪華なソファーセットがあり、そこに一人の初老の男が居た。
「お!? 誰かと思ったらファンじゃねーか。元気にやってたかよ?」
「おうよ、バーツのオヤジも元気そうでなによりだぜ」
どうやら二人は友人のような関係で、双方くだけた感じで話していた。
「おう。それでそっちのボウズは?」
「こいつはナガレって言うんだ。海の向こうから来た商人で、しかも腕っぷしが凄いぞ? ここらを荒らしている盗賊団の五人を、あっという間に倒した」
ファンは見ても居ないが、得意げにそう断言する。
「……殺盗団か?」
「それだ、正にそいつらさ。あの下品なドクロの刺青は間違いねぇ。俺も襲われてな……その時丁度通りかかったナガレに助けられたって訳だ。今そいつらから奪取した戦利品は騎士団に売り払ったりした所さ」
「うーむぅ……それならこの町の商業ギルドとしても心強いわ。ナガレと言ったか、よく来てくれた。俺はここのギルドマスターをしているバーツと言う。この町で商売するなら便宜を図るから気軽に言ってくれ」
流も挨拶をすませると進められたソファーに座る。
話にでた殺盗団と言う奴らには、確かに腕や首にそんな刺青があったと思い出しその事を尋ねる。
「ところでその殺盗団と言うのは何です? さほど強くも無かったのですぐ終わりましたが」
「ホッホ~。あの非道な屑共を雑魚呼ばわりたぁ、益々もって気に入った。あいつらは正に外道ってやつでな、火付け、誘拐、強盗、押込み、殺人は通常営業で、おやつ感覚で強姦をする屑の中の屑共だ! 話してるだけでイライラしてくるわ」
そう言うとバーツは冷めたお茶を一口飲む。
「と、忘れとった。メリサ、悪いが茶を三つ用意してくれ」
バーツがそう言うと、メリサは頭を軽く下げ部屋から出ていく。
「それでナガレはどんな品を扱うんだ? そのカバンも変わった形だが……それにその腰の……いや、それよりそのカバン中に品が入っているんだろ?」
「ええ、これはリュックと言う物ですね。では今持っている品をお見せします」
流は美琴をソファーの横に立てかけると、リュックから持ってきたものを取り出した。
「お~それはいいな! じゃあファン、悪いが付き合ってくれ」
「お安い御用さ! じゃあ行こうぜ」
門から正面の道は真っ直ぐ続いており、最奥には広場があるようだった。
街並みは石造りの家が殆どで、稀に木材だけの建築物がある。
通りの両脇には露天が立ち並び、店の奥から次々と新鮮な食材が補給され、とても活気のある場所だった。
人々も多様で、人間種が一番多いがエルフやドワーフ等の亜人も多く、中でも動物が人になったような獣人が特に多かった。
広場まで来ると大道芸やら露天やらで人が溢れ、中央には噴水があり癒される。
ファンに町の規模を聞くと、人口は多分十万以上は居るだろうとの事だった。
経済規模で言えば、この国の王都より遥かに大きいと言う、普通の国ではありえない状態だと言う。
その中央通りを抜け、三叉路を左に曲がった所に商業ギルドがあるとファンに教えてもらい、早速行ってみる事にした。
商業ギルドは三階建てでかなり大きく、横には倉庫のような建物が数棟あり、その奥にも倉庫がある様に見える。
「ちわ~ギルマスは居るかい?」
「あぁ、ファンさんいらっしゃい。ギルマスは今三階に居ますよ、呼んできましょうか?」
そんな受付嬢が無感情に答えた事とは真逆に、ギルドの中は静かだが熱い取引が行われているようだった。
ギルド内は受付窓口が八つほどあり、半分ほど埋まっている感じで、商談のためかホールには丸テーブルやカウンターが複数あり、そこで話し込んでいる人もいる。
「いや、俺たちが行くよ。そうだ、こっちの若いのはナガレって言うんだ。一人で盗賊五人を倒しちまう凄腕の商人さ。よろしく頼むよ」
「そうでしたか。ナガレさんようこそ、トエトリーの商業ギルドへ。ギルマスとの話が終わったらこちらへ来て登録なさいますか?」
実に機械的に対応し、しかも自分を何故か「品定めするような視線を向ける」受付嬢に少々ムカっとする。
「ああ、すまないがよろしく頼むよ、えっと……」
流の言わんことを汲み取った受付嬢は、ヤレヤレと思い出したかのように言う。
「ふぅ、これは失礼しました。私はメリサと申します、よろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしくな」
「それと、ギルドマスターはお忙しいので時間をあまり取らせないでくださいね。特に何処の誰か良く分かっていない『そこのナガレさん』分かりましたね?」
と、殊更強調してナガレに注意する。
「へいへい、分かってるさ。な? ナガレ」
「……ああ」
メリサは良く言えばデキル綺麗なお姉さんで、悪く言えば感じが良くない冷たい顔の美人だった。
髪は淡い青色で、肩まで伸ばしたストレートを耳にかけている。
体形は上下の凹凸が凄い。黙っていれば求婚者が殺到間違いなし! そんな受付嬢だった。
そんなメリサを良く見ると眼鏡をしているのだが、何故かレンズが無い。伊達メガネだろうか?
メリサとの挨拶がすむと、二人はギルドマスターの部屋まで案内される。
部屋の前に到着すると、重厚な樫の木のような木材で作られた、立派なドアが目の前にあった。
「ギルドマスター、メリサです。今お時間空いていますか?」
「おう、客かい? 通してくんな~」
部屋の中から答える男はなんとも気楽な口調で答え、受付の娘とは違う好印象な感じだなと流は思う。
扉を開くと広い室内には大きな一枚板のテーブルに、皮製の豪華なソファーセットがあり、そこに一人の初老の男が居た。
「お!? 誰かと思ったらファンじゃねーか。元気にやってたかよ?」
「おうよ、バーツのオヤジも元気そうでなによりだぜ」
どうやら二人は友人のような関係で、双方くだけた感じで話していた。
「おう。それでそっちのボウズは?」
「こいつはナガレって言うんだ。海の向こうから来た商人で、しかも腕っぷしが凄いぞ? ここらを荒らしている盗賊団の五人を、あっという間に倒した」
ファンは見ても居ないが、得意げにそう断言する。
「……殺盗団か?」
「それだ、正にそいつらさ。あの下品なドクロの刺青は間違いねぇ。俺も襲われてな……その時丁度通りかかったナガレに助けられたって訳だ。今そいつらから奪取した戦利品は騎士団に売り払ったりした所さ」
「うーむぅ……それならこの町の商業ギルドとしても心強いわ。ナガレと言ったか、よく来てくれた。俺はここのギルドマスターをしているバーツと言う。この町で商売するなら便宜を図るから気軽に言ってくれ」
流も挨拶をすませると進められたソファーに座る。
話にでた殺盗団と言う奴らには、確かに腕や首にそんな刺青があったと思い出しその事を尋ねる。
「ところでその殺盗団と言うのは何です? さほど強くも無かったのですぐ終わりましたが」
「ホッホ~。あの非道な屑共を雑魚呼ばわりたぁ、益々もって気に入った。あいつらは正に外道ってやつでな、火付け、誘拐、強盗、押込み、殺人は通常営業で、おやつ感覚で強姦をする屑の中の屑共だ! 話してるだけでイライラしてくるわ」
そう言うとバーツは冷めたお茶を一口飲む。
「と、忘れとった。メリサ、悪いが茶を三つ用意してくれ」
バーツがそう言うと、メリサは頭を軽く下げ部屋から出ていく。
「それでナガレはどんな品を扱うんだ? そのカバンも変わった形だが……それにその腰の……いや、それよりそのカバン中に品が入っているんだろ?」
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