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第二章:偉大なる称号
048:【戦準備を始めよう】
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流が店内へ戻ると破れて何かで貫かれたような穴が空き、所々燃えているボロボロの健康手帳があった。
「おいお前ら。他人の物を汚したり破ったりしていけないと、誰かに教えてもらってないのか? ん?」
「壱:ち、違いまんがな。ちょっとコイツが生意気やってん、すこ~しお灸を据えただけですねん」
「〆:ええ、そうなんですよ。すこ~しおいたが過ぎましたのでね……」
「全く……で、どうすんだよコレ? ボロボロで見れなくなってるぞ?」
「〆:そこはご安心を。古廻様が一度収納後に、もう一度出すと元に戻っているはずです」
呆れながらも流はとりあえず戻し、例のポーズを経てから出してみると。
「おー、本当に戻った! でも中身は……何だこれ?」
見ると先程まで無かった物が、幸運値の下に追加されていた。
――――――――――
【現在見れる健康状態】
生命力:平均的?
魔 力:未開放
攻撃力:平均的+やばsぎ
防御力:薄い本三冊分+妖刀の加護
魔法力:未開放
速度力:殺られる前に殺っちまえ!
幸運値:あらすごい
――――――――――
【手帳の小言】←NEW
クソ狐とエセ関西弁め! 許さんぞ、許さんぞ×千、許さんぞ、ぜーったい許さんぞ!
流、お前は悲恋美琴に頼りすぎだ。己の業をもう一度見極めよ。
それとA4サイズでも手帳なんだったら手帳なの! お分かり?
本日のメッセージは以上となります。
ご利用、ありがとうございました。
――――――――――
「……お前達、一体何をしたんだ? 何か凄く怒ってるぞコイツって言うか、呪いの手帳みたいで怖いんだけど!」
「〆:ふふふ。古廻様も手癖の悪い犬には躾が必要だと思われませんか?」
「壱:せやで~時にはガツンといわせなアカン」
「しかし何だ? 俺にもアドバイスがあるぞ。もう一度業を見直せ……か。まあ確かに美琴頼りだからなぁ。肝に銘じよう」
そんな言葉を呟く流を二人は静かに見守っていた。
「でだ。対策なんだけど、何かいい案があるか?」
「〆:はい、それは用意致しております。古廻様があちらで過ごした結果、その『満足度』により解放されたのは今回は三つですね。
満足度とは何だ? と思っていた流は今の気持ちを素直に言ってみた。
「満足度ねぇ 俺は満足してるぞ? 特に〆を愛でたから今日は格別だ」
「〆:ちょ!? 古廻様! それをここで言わないでくださいまし!」
「壱:お~っと? 聞き捨てなりまへんな~、うへへへへ~」
「〆:ほら~愚兄が反応したじゃないですか……」
「聞きたいか壱よ? だが教えてやらん! 最高の時間だったからなぁ~」
「壱:そない殺生な~ちょっとでいいんや! 先っちょだけでいいがな~」
「お前は何の事を言っている、芸術を理解しない愚か者め」
「壱:はあ、古廻はんも酔狂でんな~。こんなんが芸術でっか? 大事な事だからもう一度いいまっけど、『こんなん』でっせ? 妹が、ねぇ? あ、なんでもありまへん、ほんま! ごめんなさい!!」
見ると〆がひな人形の袖からキラリと光るものをカエルの首筋に当てていた。
「それで俺は満足しているが、解放基準って何なんだ?」
「〆:そうですね、良い機会ですのでお話します。ここのある道具はご覧になりましたよね?
「ああ、それはもう穴のあくほど『ねっとりと嬲る様に』拝見したが?」
「〆:そ、そうですか……」
〆はひな人形の折り紙の頬を赤く染める。
「壱:何赤くなっとんねん、気色悪いっつ~――ぎゃああああ!!」
壱は口を金色の針で貫かれていた。
「〆:と、とにかくですね、ここに在る品には魂が宿っている物が多数あります」
「ああ、だから最初にここへ来た時、品を手に取ろうと思ったら拒否されたのか」
「〆:そうでしたか。多分鉾鈴へ誘導するためにそうしたのでしょうね」
「まあ分かる気がする……で、それがどうしたんだ?」
「〆:その魂が籠っている道具の多くは神化しています。つまり付喪神になっていると言う事ですね」
「それは以前に聞いた気がするが……え? まさか、俺の満足感では無く、その付喪神達が満足するかって事か?」
「〆:はい古廻様、慧眼でございます」
流は店内をぐるりと見渡す。
「ちょっと待て! お前らは俺を見て楽しんでいるのか!?」
――ざわり。
店内に不気味な声が耳と心の中に木霊する。
『ふぉふぉふぉ、お若いの。わし等も暇でのう~、楽しませておくれ』
『あはは! いいねいいね、その表情。何百年ぶりかに見る顔よのう』
『狐に騙されて可哀そうな子、私が慰めて食べてあげよう。魂までも』
『然り然り、妖刀に魅入られし狂った魂。さぞや甘露であろう』
『み、みんな! そう言うのは良くないよ、やめなよ』
『人の営み、さらに異世界と来れば最高の余興よの~だから、死んでくれぬか?』
『久しぶりの人間か。どれ、味おうてくれようか』
『下品な方々ばかりで嫌になる。いっそ〆様滅してくださらないかしら』
『くははは。擦り切れるまで楽しもうぞ』
数えきれない不気味な声が店内を支配する。流石の流れも圧倒されてしまったその時――。
「おいお前ら。他人の物を汚したり破ったりしていけないと、誰かに教えてもらってないのか? ん?」
「壱:ち、違いまんがな。ちょっとコイツが生意気やってん、すこ~しお灸を据えただけですねん」
「〆:ええ、そうなんですよ。すこ~しおいたが過ぎましたのでね……」
「全く……で、どうすんだよコレ? ボロボロで見れなくなってるぞ?」
「〆:そこはご安心を。古廻様が一度収納後に、もう一度出すと元に戻っているはずです」
呆れながらも流はとりあえず戻し、例のポーズを経てから出してみると。
「おー、本当に戻った! でも中身は……何だこれ?」
見ると先程まで無かった物が、幸運値の下に追加されていた。
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【現在見れる健康状態】
生命力:平均的?
魔 力:未開放
攻撃力:平均的+やばsぎ
防御力:薄い本三冊分+妖刀の加護
魔法力:未開放
速度力:殺られる前に殺っちまえ!
幸運値:あらすごい
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【手帳の小言】←NEW
クソ狐とエセ関西弁め! 許さんぞ、許さんぞ×千、許さんぞ、ぜーったい許さんぞ!
流、お前は悲恋美琴に頼りすぎだ。己の業をもう一度見極めよ。
それとA4サイズでも手帳なんだったら手帳なの! お分かり?
本日のメッセージは以上となります。
ご利用、ありがとうございました。
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「……お前達、一体何をしたんだ? 何か凄く怒ってるぞコイツって言うか、呪いの手帳みたいで怖いんだけど!」
「〆:ふふふ。古廻様も手癖の悪い犬には躾が必要だと思われませんか?」
「壱:せやで~時にはガツンといわせなアカン」
「しかし何だ? 俺にもアドバイスがあるぞ。もう一度業を見直せ……か。まあ確かに美琴頼りだからなぁ。肝に銘じよう」
そんな言葉を呟く流を二人は静かに見守っていた。
「でだ。対策なんだけど、何かいい案があるか?」
「〆:はい、それは用意致しております。古廻様があちらで過ごした結果、その『満足度』により解放されたのは今回は三つですね。
満足度とは何だ? と思っていた流は今の気持ちを素直に言ってみた。
「満足度ねぇ 俺は満足してるぞ? 特に〆を愛でたから今日は格別だ」
「〆:ちょ!? 古廻様! それをここで言わないでくださいまし!」
「壱:お~っと? 聞き捨てなりまへんな~、うへへへへ~」
「〆:ほら~愚兄が反応したじゃないですか……」
「聞きたいか壱よ? だが教えてやらん! 最高の時間だったからなぁ~」
「壱:そない殺生な~ちょっとでいいんや! 先っちょだけでいいがな~」
「お前は何の事を言っている、芸術を理解しない愚か者め」
「壱:はあ、古廻はんも酔狂でんな~。こんなんが芸術でっか? 大事な事だからもう一度いいまっけど、『こんなん』でっせ? 妹が、ねぇ? あ、なんでもありまへん、ほんま! ごめんなさい!!」
見ると〆がひな人形の袖からキラリと光るものをカエルの首筋に当てていた。
「それで俺は満足しているが、解放基準って何なんだ?」
「〆:そうですね、良い機会ですのでお話します。ここのある道具はご覧になりましたよね?
「ああ、それはもう穴のあくほど『ねっとりと嬲る様に』拝見したが?」
「〆:そ、そうですか……」
〆はひな人形の折り紙の頬を赤く染める。
「壱:何赤くなっとんねん、気色悪いっつ~――ぎゃああああ!!」
壱は口を金色の針で貫かれていた。
「〆:と、とにかくですね、ここに在る品には魂が宿っている物が多数あります」
「ああ、だから最初にここへ来た時、品を手に取ろうと思ったら拒否されたのか」
「〆:そうでしたか。多分鉾鈴へ誘導するためにそうしたのでしょうね」
「まあ分かる気がする……で、それがどうしたんだ?」
「〆:その魂が籠っている道具の多くは神化しています。つまり付喪神になっていると言う事ですね」
「それは以前に聞いた気がするが……え? まさか、俺の満足感では無く、その付喪神達が満足するかって事か?」
「〆:はい古廻様、慧眼でございます」
流は店内をぐるりと見渡す。
「ちょっと待て! お前らは俺を見て楽しんでいるのか!?」
――ざわり。
店内に不気味な声が耳と心の中に木霊する。
『ふぉふぉふぉ、お若いの。わし等も暇でのう~、楽しませておくれ』
『あはは! いいねいいね、その表情。何百年ぶりかに見る顔よのう』
『狐に騙されて可哀そうな子、私が慰めて食べてあげよう。魂までも』
『然り然り、妖刀に魅入られし狂った魂。さぞや甘露であろう』
『み、みんな! そう言うのは良くないよ、やめなよ』
『人の営み、さらに異世界と来れば最高の余興よの~だから、死んでくれぬか?』
『久しぶりの人間か。どれ、味おうてくれようか』
『下品な方々ばかりで嫌になる。いっそ〆様滅してくださらないかしら』
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数えきれない不気味な声が店内を支配する。流石の流れも圧倒されてしまったその時――。
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