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第二章:偉大なる称号
052:決戦! デカイ奴!
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エルシアが出て行ってしばらくすると、ケモ耳の受付嬢がやって来た。
ニンジン屋の獣人とは違い、耳と尻尾のみが〝けもけも〟しく、顔立は愛嬌のある可愛い感じの黒猫獣人で、スレンダーな娘だった。
「ナガレ様、お待たせしましたのニャ。只今より会場へ案内するニャ」
「ありがとうニャ。じゃあ案内よろしく頼むのニャ」
「!? ま、まさかナガレ様は同族かニャ?」
「違うニャ、俺の『デキル今日から様式美』三巻の第一章にある、汝・獣人を愛せよにある一節だニャ!」
「よく分からニャイが凄い自信ニャ……」
よく分からない一体感を感じつつ、二人は練習場へと移動する。
出口が見えた頃に会場からマイクパフォーマスが聞こえて来た。
「レッデ~ィィッス・ゥア~ンドゥ・ジェントゥ~メン! ついでに、そこのオッサン&婆さん!」
「アタシを指差して婆さん言うんじゃないよ!」
「馬鹿野郎! 俺は最近間違われるが二十代だぜ!」
「アイダッ!! 物を投げないでくだっさ~い。間もなくやって来るのは希代の馬鹿か、それとも勇者の再来か!? 全てはもうすぐ明らかになる時がやって来たあ~! ――さあ! お前ら準備はいいか!!」
『『『『『オウ!!!!!!』』』』』
「賭け札に全ツッパした馬鹿野郎は、ケツの毛まで毟られる覚悟はいいか!?」
『『『『『オウ!!!!!!』』』』』
「よく言った! これから来る蛮勇者にお前らの熱いリビドーを大地に刻め!!」
瞬間、それは起こった。
大地を揺るがすような重低音が響き、地鳴りまで始まる。
「なんだ!? 何が起こっている?」
「凄いのニャ……ナガレ様、このままお進みくださいニャ。ご武運をお祈りしてるのニャ!」
「よし、行く!」
美琴をグッっと握りしめると、それに美琴は答えるように強く震える。
正面にあるゲートを潜ると地鳴りと重低音は更に激しさを増す。
『『『『『オオオオオオオオ!!!!!!!!』』』』』
ドン、ガン、ドン、ガン、ドン、ガン、ドン!!!!!!
もはや練習場の面影は無く、完全に闘技場のように様変わりした会場は、すり鉢状の観客席がそこにあった。
そこで行われている観客達の足踏みと雄叫び、そして槍や鈍器の石突や、剣の鞘を地面に打ち当てている衝撃と振動で、会場は揺れに揺れていた。
「さ……流石にこれは圧巻だな……」
闘技場の中心にはハットと首元のみ、紳士然とした何かが仁王立ちで待ち構えている。
「よく来たわねボーイ。ど~かしらん、凄いでしょう? みんなボーイの雄姿にゾクゾクしたいのよん。もちろん、あ・た・し・もよん♪」
「一人称が微妙に変わっているが、まあそれはいい。で、この後どうすればいいんだ?」
「あはん、せっかちなボーイねぇ~。それじゃあそこで待っててちょうだい。ミーが離れてから召喚するから、そいつを倒してちょうだい」
「了解した。確認なんだが、自分の持ち物を戦いに使ってもいいのか?」
流は腰に装備した、黒い革製の正方形のアイテムバッグをポンと叩きながら言う。
「ええ、それは無論ですとも。これは試合でもなんでもなく、純粋な『殺し合い』なんだからん」
流は思う。殺し合いと聞くと一瞬躊躇うが、この世界に来てからの事と、元の世界で祖父との「命懸でこなした鍛錬の日々」と、やってる事は変わらない……と。
(俺の人生、殺伐としすぎだとあらためて気が付て泣きそう)
「あらん、どうしたのかしらん?」
「いや、何でもない。じゃあ召喚よろしく」
ジェニファーは流に背を向けると、中央から少し離れた場所に歩き出す。
「じゃあ……イクわよん!」
ジェニファーはステッキを素早く七回地面へ打ち付けると、今までと違い三重の立体魔法陣が流れの前に現れる。
魔法陣からゆっくりと姿を現した物体は――巨大だった。
右膝を地面に付け、左膝は立てており、頭を垂れていた。
その姿はまるで流に最敬礼をしているかのよな形で蹲っており、手には幅が広い大剣と、ラウンドシールドのような丸い盾を持った、赤黒い肌で筋肉の塊のような巨人がいた。
巨人がゆっくりと立ち上がる……。
その身長は六メートル程あり、ビキニのようなパンツを一枚装備し、足元は膝までフルアーマー鎧のような装備で固められており、頭には左右に角が二本生えた兜を被っていた。
それを見たレフェリーの男は、驚愕の声で叫ぶ。
「こ、これはーーー!! こんな事が許されていいのかーー!? 何と出て来たのは、あの有名な巨滅級を狩る者、通称『巨滅兵』が召喚されたあああ~!!」
それを聞いた観客の興奮は更に増大する。
「つまり! 巨滅級の中でも最上位に位置する、化け物中の化け物が降臨してしまったあああーーー! どうする蛮勇者! まさかの棄権をするなら今なら間に合うぞ!!」
魔具の逆光で見えないが、観客席から心配を装って煽りに来るクソ野郎。
そんな司会者に苦笑いをするジェニファーが、流れに試合の可否を問う。
ニンジン屋の獣人とは違い、耳と尻尾のみが〝けもけも〟しく、顔立は愛嬌のある可愛い感じの黒猫獣人で、スレンダーな娘だった。
「ナガレ様、お待たせしましたのニャ。只今より会場へ案内するニャ」
「ありがとうニャ。じゃあ案内よろしく頼むのニャ」
「!? ま、まさかナガレ様は同族かニャ?」
「違うニャ、俺の『デキル今日から様式美』三巻の第一章にある、汝・獣人を愛せよにある一節だニャ!」
「よく分からニャイが凄い自信ニャ……」
よく分からない一体感を感じつつ、二人は練習場へと移動する。
出口が見えた頃に会場からマイクパフォーマスが聞こえて来た。
「レッデ~ィィッス・ゥア~ンドゥ・ジェントゥ~メン! ついでに、そこのオッサン&婆さん!」
「アタシを指差して婆さん言うんじゃないよ!」
「馬鹿野郎! 俺は最近間違われるが二十代だぜ!」
「アイダッ!! 物を投げないでくだっさ~い。間もなくやって来るのは希代の馬鹿か、それとも勇者の再来か!? 全てはもうすぐ明らかになる時がやって来たあ~! ――さあ! お前ら準備はいいか!!」
『『『『『オウ!!!!!!』』』』』
「賭け札に全ツッパした馬鹿野郎は、ケツの毛まで毟られる覚悟はいいか!?」
『『『『『オウ!!!!!!』』』』』
「よく言った! これから来る蛮勇者にお前らの熱いリビドーを大地に刻め!!」
瞬間、それは起こった。
大地を揺るがすような重低音が響き、地鳴りまで始まる。
「なんだ!? 何が起こっている?」
「凄いのニャ……ナガレ様、このままお進みくださいニャ。ご武運をお祈りしてるのニャ!」
「よし、行く!」
美琴をグッっと握りしめると、それに美琴は答えるように強く震える。
正面にあるゲートを潜ると地鳴りと重低音は更に激しさを増す。
『『『『『オオオオオオオオ!!!!!!!!』』』』』
ドン、ガン、ドン、ガン、ドン、ガン、ドン!!!!!!
もはや練習場の面影は無く、完全に闘技場のように様変わりした会場は、すり鉢状の観客席がそこにあった。
そこで行われている観客達の足踏みと雄叫び、そして槍や鈍器の石突や、剣の鞘を地面に打ち当てている衝撃と振動で、会場は揺れに揺れていた。
「さ……流石にこれは圧巻だな……」
闘技場の中心にはハットと首元のみ、紳士然とした何かが仁王立ちで待ち構えている。
「よく来たわねボーイ。ど~かしらん、凄いでしょう? みんなボーイの雄姿にゾクゾクしたいのよん。もちろん、あ・た・し・もよん♪」
「一人称が微妙に変わっているが、まあそれはいい。で、この後どうすればいいんだ?」
「あはん、せっかちなボーイねぇ~。それじゃあそこで待っててちょうだい。ミーが離れてから召喚するから、そいつを倒してちょうだい」
「了解した。確認なんだが、自分の持ち物を戦いに使ってもいいのか?」
流は腰に装備した、黒い革製の正方形のアイテムバッグをポンと叩きながら言う。
「ええ、それは無論ですとも。これは試合でもなんでもなく、純粋な『殺し合い』なんだからん」
流は思う。殺し合いと聞くと一瞬躊躇うが、この世界に来てからの事と、元の世界で祖父との「命懸でこなした鍛錬の日々」と、やってる事は変わらない……と。
(俺の人生、殺伐としすぎだとあらためて気が付て泣きそう)
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「いや、何でもない。じゃあ召喚よろしく」
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「じゃあ……イクわよん!」
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魔法陣からゆっくりと姿を現した物体は――巨大だった。
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その姿はまるで流に最敬礼をしているかのよな形で蹲っており、手には幅が広い大剣と、ラウンドシールドのような丸い盾を持った、赤黒い肌で筋肉の塊のような巨人がいた。
巨人がゆっくりと立ち上がる……。
その身長は六メートル程あり、ビキニのようなパンツを一枚装備し、足元は膝までフルアーマー鎧のような装備で固められており、頭には左右に角が二本生えた兜を被っていた。
それを見たレフェリーの男は、驚愕の声で叫ぶ。
「こ、これはーーー!! こんな事が許されていいのかーー!? 何と出て来たのは、あの有名な巨滅級を狩る者、通称『巨滅兵』が召喚されたあああ~!!」
それを聞いた観客の興奮は更に増大する。
「つまり! 巨滅級の中でも最上位に位置する、化け物中の化け物が降臨してしまったあああーーー! どうする蛮勇者! まさかの棄権をするなら今なら間に合うぞ!!」
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