日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第五章:殺盗団を壊滅せよ

171:英雄の帰還~土産を添えて

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 流たち一行がトエトリーに到着した頃には、すでに夕暮れも近い時刻だった。
 町に近づけば往来も激しくなり、先頭の馬車の天井に括り付けられている上半身が人間の数倍ある大な女と、下半身の少しだけが蛇の化け物を見て全員が道を空ける。

 そんな状態で、町への入場者待ちの列の最後尾に馬車の一団が付けると、程なくして騒ぎを聞きつけた門番が、馬に乗って駆けて来るのが見えた。

「何の騒ぎだ!? っ!! こ、これは……」

 先頭の門番が絶句して馬車の屋根を見上げる。そこには真っ二つになった大きな女が、壮絶な顔をしてぶら下がっていたからだった。

「お、あんたはさっきの門番長さんじゃないか! 討伐は完了したから憲兵隊と、商業・冒険の両ギルドへ連絡してくれないか?」
「っ!! 貴方はナガレさん! 無事にお戻りになられたんですね、良かった。それでこれは一体?」

 殺盗団の残党だけじゃなく、大きな魔物の死体を見て困惑する門番長へと、これまでの経緯を説明する。

「そんな事が……。了解しました! ナガレさんはそのまま列に並ばずお越しください。馬車もこちらへ」

 そう言うと門番長と部下は手分けして馬車を誘導し、門番の待機所まで行くのだった。

「では後はこちらで処理をしておきます。ナガレさんはこの後どこへ?」
「そうだな、まずは報告を兼ねて商業ギルドへ向かうかな」
「分かりました、各所にはそのように伝えておきます」
「頼むよ。あ、それと娘達だけど……」
「心得ております、酷い目にあったのでしょう。その専門の役人に連絡も入れます、時期に来ると思いますのでご安心を」
「助かる。ではよろしくな」

 そう言い残し立ち去ろうとする流へ、娘達が待ちきれないとばかりに駆け寄って来る。

「あ、あの! ナガレさんと言うんですか? 本当にありがとうございました!」
「あのままアイツ等が飽きたら殺される所でした、酷い目にあったけど、今はそんな事より貴方に感謝する気持ちで一杯です」

 娘達は口々に感謝の言葉を述べて、深々と頭を下げる。
 そして最後は流が最初に助けた、今は賊のアジトにあった服を着ているが、裸に剥かれたばかりの娘が目の前に来る。

「ナガレ様……おかげさまで主人の仇が討てました。亡き主人に変わりお礼を申します」
「いや、俺こそもう少し早く着ければ良かったんだが……すまなかった」
「い、いえとんでもない! 本当に感謝しています、ありがとうございました」
「ご主人の遺体だが、憲兵隊に相談して引き上げてもらってくれ」
「はい、何から何までありがとうございます。これで主人も浮かばれるでしょう」

 未亡人になってしまった娘はまだ二十歳そこそこの年齢だったが、まだ若いのでこれからいい出会いもあるだろうと流は思う。

「そうか……。元気でな。皆もな!」
「「「はい!」」」

 そう元気よく返事をしたのを確認し、流は嵐影へ騎乗し商業ギルドへ向けて歩き出す。
 嵐影に乗り、去って行く流れを全員は無言で見守っていた。
 やがて人込みに紛れるように見えなくなると、娘の一人がポツリと話し出す。

「行っちゃったね……。もっとお礼を言いたかったけど、忙しそうだったしね」
「ええ、またその内会える事もあるでしょう、トエトリーにいればね」

 そんな寂しい気持ちと、感謝の気持ちの両方を助けられた全員が感じるのであった。


◇◇◇


 ――商業ギルド内では朝からのハチの巣をつついた状況は今でも続いており、さらに爆弾を投下した流の内通者資料で、混迷に一層拍車がかかっていた。

「ギルドマスター! 憲兵隊より連絡が入いりました。ナガレ様がアレハンドの拘束に成功したとの事です!」
 
 その報告に沸き立つギルド。一階で陣頭指揮を執っていたバーツも、その報を受けてメリサへと走り寄る。

「おお! それは本当かメリサ!?」
「はい、間違いありません! ただいまこちらへ向けて帰還中との事です」
「本当に驚かせてくれる。ナガレ、お前と言う奴は……」

 それに付け加えて更に驚く情報もメリサが報告する。

「それとアレハンドがアジトに使っていた場所で、遭遇した魔物がいるらしいのですが、その……」
「どうした、ハッキリと言わんか?」

 通信の魔具から出て来た用紙を見ながら、メリサは困惑しながら話し出す。

「いえ、まだ憲兵隊も門番からの報告だけで見ていないそうなのですが、上半身が女で、下半身が蛇の巨大な魔物もナガレ様が討伐したとの事です」
「…………は? え、じゃあ何か、アレハンド達八人を捕まえただけじゃなく、巨大な魔物って言うと巨滅級? を討伐したと言うのか?」

 メリサは目を見開き、驚くバーツに言いにくそうに更に付け加える。

「いえ、残党は二十二名で、捕虜の娘を十名救出に成功したようです。残党はそれの殆どを気絶させて連れ帰った、と」
「メリサ君、貴女疲れているのよ。休んだ方がいい」
「今日は忙しくて落ち込んだりもしたけれど、私は元気です」
「……マジ?」
「マジです」
「…………はいいいいぃ??」

 絶句するバーツ、絶句するギルドホール、先程までの喧騒が嘘のように静まり返る。

『『『『『なんじゃそりゃああああああ!!!!!!!!!?』』』』』

 その後、ギルドホールは驚愕の悲鳴で埋め尽くされる事になった。
 そうとは知らず、流はのんびりと嵐影の背に揺られながら、商業ギルドへと向かって行った。
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