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第五章:殺盗団を壊滅せよ
175:アニキと従者
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嵐影の背に揺られながら、二人は束の間の平和を味わうように街並みについて話ながら進むと、やがて目的地付近へ近づく。
すると冒険者や憲兵等が揃って走り回っているのが多くなってくる。
冒険者ギルドの前に到着すると、そこは戦場かと勘違いするほど物々しかった。
「ジリーの班はコルプ通りの憲兵と協力してくれ! その他は待機! 依頼はまだまだあるから、手の空いた奴らからどんどん受けてくれ!!」
「そこのお前! 邪魔だから怪我人を運んでくれ、応急セットは練習場へ運んであるから、そこで受け取ってくれ」
「飯を食って無い奴はいるか!? まだなら表の屋台で済ませてくれ! 冒険者カードと、クエスト証明書を出せば全部ギルド持ちだ!!」
その様子に唖然と見つめる流は、エルシアの顔を一度見てから、またその様子を見る。
あちこちで怒号とも、補給とも色々な情報が飛び交っている。
まるで戦場のような状況に流石の流れも唖然としながら、この状況にエルシアへ問うように呟く。
「エルシアこれは……?」
「はい、昨夜からこんな感じです。ナガレさんの使用人の方がおいでになって、内通者の資料を置いて行ってからは更に悪化してるようですが……」
「あぁ、あれねぇ……」
あの爆弾資料があれば、さもありなんと思う流であった。
そんな時ギルドの三階から声が降って来る。
「あ! ナガレ!! やっと来たか!!!! 今すぐ来てくれ!!」
「サブマス、待たせてすまない!」
「いやいい、今日の出来事の報告も受けている! とにかくこっちへ来てくれ!」
「分かった! 今行く!」
「じゃあエルシア行くぞ?」
「はい!」
「嵐影は適当に過ごしていてくれ、もしここが煩いなら笛で呼ぶから好きな所にいてくれていいぞ?」
「……マ」
そしてギルドの中へ入ると、そこも凄かった。
いつもの酔っぱらいは何処にもいなく、プロの雑魚すら駆り出されて、ギルドフロアで何か仕事をしている始末だった。
「おい、巨滅の英雄が帰還したぞ! お前ら道を空けろ!!」
「何? ナガレが帰って来たのか!!」
「ナガレ様ぁ~活躍は聞きましたよ♪ 落ち着いたらデートしましょうね!」
「ほらほら、さっさと道を空けるんだよ! ナガレ、お疲れ様だったね!」
「聞いたぞ! 今日は巨滅級を討伐したんだって? 信じられねえ馬鹿だな!」
「アニキ! お帰りなさい! ヒャッハー!!」
知らない奴らからも声援を受けて進む流は思う。
これぞ異世界の醍醐味だと。
「くぅ、たまらんなこれは! お前らただいま!」
『『『『『お帰りナガレ!! よく生きてやがったな馬鹿野郎!!』』』』』
ふと奥を見ると、変態紳士がグラスを掲げ、バーカウンターの奥からウインクをしながら手を振っていた。
軽く手を上げて答えながら、ギルドのカウンターの前まで来ると、ミャレリナが出迎えてくれる。
「ナガレ様! お待ちしていましたのニャ~。サブマスが待っていますのニャ、どーぞこちらへ」
「分かった。エルシア探してくれてありがとうな、じゃあまた後で」
「はい、行ってらっしゃいナガレさん!」
流はミャレリナに連れられて、リットンハイムの元へと向かう。
三階に付くまで揉みくちゃにされ、殺盗団の壊滅の感謝と、この忙しい状況の恨み言を笑いながら言われ、やっとの事でサブマスルームへと辿り着く。
「……殺盗団殲滅より疲れるってどーなんだ?」
「……私も今日一日の労働より疲れましたのニャ」
「ぬ、来たか? 入ってくれ!」
リットンハイムは部下へ指示を出すと、そのまま応接セットへ歩いて来て、流へ席をすすめる。
「聞いたぞナガレ、今日もまたとんでもない事をしたそうじゃないか?」
「自分ではそうでもないんだが、他人からすればそう言う事らしいな」
「まったくお前と来たら……。それで憲兵から話を聞いたが、王子と言うか、王女を討伐したんだって?」
「王女かと聞かれると、どうなんだろうな。ただ通常攻撃がほぼ無効化する程に堅い鱗に覆われていたな。死んだら柔らかくなったから、魔法で強化されていたのは間違いない」
「なんと……」
リットンハイムは絶句して先を促す。
「それでどうやって討伐を?」
「弱点らしき所を発見してな、鱗を持つ魔物の共通した弱点ってあるだろ?」
「まさか逆鱗か?」
「そう、正にソレだ。それを見つける事に成功したからこそ勝てたってのが大きい」
「まだ器とは言え、そんなバケモノとの闘いの最中に良く見つける事が出来たな」
「い、いやぁ。たまたまな?」
まさかラミアの鱗が美しいから愛でていました! とは言い出せない流である。
そんな二人にミャレリナがお茶を持ってくると、三人でその後の話をする事となる。
「それで八人を捕縛予定が、二十二人と戦う羽目になったニャ?」
「そうなんだよ、まったくあちこちにいやがって。ゴキブリでも、もう少し遠慮をするニャ」
「しかしその前に話していた男と獣人の三人か、商業ギルドのマスターは『シュバルツ』と?」
「ああ、そう言ってたな。何でも王国の元将軍だったとか言う話だ」
「うむ……シュバルツは腕もいいが、頭の切れる漢でな。腐った王都の軍部を改革しようと奔走していたのだが、予想以上に腐敗が進んでいてな。子飼いの部下に裏切られて、ある戦で大敗をしたのだよ。その責任を取らされる形で処刑される事になったのだが、別の子飼いだった白ヒョウの獣人姉弟により救出された」
「なるほど、それで雇われの用心棒になっていた訳か……」
敵だが憎めないフザケタ野郎の顔を思い出すと、もう一度会ってみたく感じるのだった。
すると冒険者や憲兵等が揃って走り回っているのが多くなってくる。
冒険者ギルドの前に到着すると、そこは戦場かと勘違いするほど物々しかった。
「ジリーの班はコルプ通りの憲兵と協力してくれ! その他は待機! 依頼はまだまだあるから、手の空いた奴らからどんどん受けてくれ!!」
「そこのお前! 邪魔だから怪我人を運んでくれ、応急セットは練習場へ運んであるから、そこで受け取ってくれ」
「飯を食って無い奴はいるか!? まだなら表の屋台で済ませてくれ! 冒険者カードと、クエスト証明書を出せば全部ギルド持ちだ!!」
その様子に唖然と見つめる流は、エルシアの顔を一度見てから、またその様子を見る。
あちこちで怒号とも、補給とも色々な情報が飛び交っている。
まるで戦場のような状況に流石の流れも唖然としながら、この状況にエルシアへ問うように呟く。
「エルシアこれは……?」
「はい、昨夜からこんな感じです。ナガレさんの使用人の方がおいでになって、内通者の資料を置いて行ってからは更に悪化してるようですが……」
「あぁ、あれねぇ……」
あの爆弾資料があれば、さもありなんと思う流であった。
そんな時ギルドの三階から声が降って来る。
「あ! ナガレ!! やっと来たか!!!! 今すぐ来てくれ!!」
「サブマス、待たせてすまない!」
「いやいい、今日の出来事の報告も受けている! とにかくこっちへ来てくれ!」
「分かった! 今行く!」
「じゃあエルシア行くぞ?」
「はい!」
「嵐影は適当に過ごしていてくれ、もしここが煩いなら笛で呼ぶから好きな所にいてくれていいぞ?」
「……マ」
そしてギルドの中へ入ると、そこも凄かった。
いつもの酔っぱらいは何処にもいなく、プロの雑魚すら駆り出されて、ギルドフロアで何か仕事をしている始末だった。
「おい、巨滅の英雄が帰還したぞ! お前ら道を空けろ!!」
「何? ナガレが帰って来たのか!!」
「ナガレ様ぁ~活躍は聞きましたよ♪ 落ち着いたらデートしましょうね!」
「ほらほら、さっさと道を空けるんだよ! ナガレ、お疲れ様だったね!」
「聞いたぞ! 今日は巨滅級を討伐したんだって? 信じられねえ馬鹿だな!」
「アニキ! お帰りなさい! ヒャッハー!!」
知らない奴らからも声援を受けて進む流は思う。
これぞ異世界の醍醐味だと。
「くぅ、たまらんなこれは! お前らただいま!」
『『『『『お帰りナガレ!! よく生きてやがったな馬鹿野郎!!』』』』』
ふと奥を見ると、変態紳士がグラスを掲げ、バーカウンターの奥からウインクをしながら手を振っていた。
軽く手を上げて答えながら、ギルドのカウンターの前まで来ると、ミャレリナが出迎えてくれる。
「ナガレ様! お待ちしていましたのニャ~。サブマスが待っていますのニャ、どーぞこちらへ」
「分かった。エルシア探してくれてありがとうな、じゃあまた後で」
「はい、行ってらっしゃいナガレさん!」
流はミャレリナに連れられて、リットンハイムの元へと向かう。
三階に付くまで揉みくちゃにされ、殺盗団の壊滅の感謝と、この忙しい状況の恨み言を笑いながら言われ、やっとの事でサブマスルームへと辿り着く。
「……殺盗団殲滅より疲れるってどーなんだ?」
「……私も今日一日の労働より疲れましたのニャ」
「ぬ、来たか? 入ってくれ!」
リットンハイムは部下へ指示を出すと、そのまま応接セットへ歩いて来て、流へ席をすすめる。
「聞いたぞナガレ、今日もまたとんでもない事をしたそうじゃないか?」
「自分ではそうでもないんだが、他人からすればそう言う事らしいな」
「まったくお前と来たら……。それで憲兵から話を聞いたが、王子と言うか、王女を討伐したんだって?」
「王女かと聞かれると、どうなんだろうな。ただ通常攻撃がほぼ無効化する程に堅い鱗に覆われていたな。死んだら柔らかくなったから、魔法で強化されていたのは間違いない」
「なんと……」
リットンハイムは絶句して先を促す。
「それでどうやって討伐を?」
「弱点らしき所を発見してな、鱗を持つ魔物の共通した弱点ってあるだろ?」
「まさか逆鱗か?」
「そう、正にソレだ。それを見つける事に成功したからこそ勝てたってのが大きい」
「まだ器とは言え、そんなバケモノとの闘いの最中に良く見つける事が出来たな」
「い、いやぁ。たまたまな?」
まさかラミアの鱗が美しいから愛でていました! とは言い出せない流である。
そんな二人にミャレリナがお茶を持ってくると、三人でその後の話をする事となる。
「それで八人を捕縛予定が、二十二人と戦う羽目になったニャ?」
「そうなんだよ、まったくあちこちにいやがって。ゴキブリでも、もう少し遠慮をするニャ」
「しかしその前に話していた男と獣人の三人か、商業ギルドのマスターは『シュバルツ』と?」
「ああ、そう言ってたな。何でも王国の元将軍だったとか言う話だ」
「うむ……シュバルツは腕もいいが、頭の切れる漢でな。腐った王都の軍部を改革しようと奔走していたのだが、予想以上に腐敗が進んでいてな。子飼いの部下に裏切られて、ある戦で大敗をしたのだよ。その責任を取らされる形で処刑される事になったのだが、別の子飼いだった白ヒョウの獣人姉弟により救出された」
「なるほど、それで雇われの用心棒になっていた訳か……」
敵だが憎めないフザケタ野郎の顔を思い出すと、もう一度会ってみたく感じるのだった。
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