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第五章:殺盗団を壊滅せよ
180:ささやかな慰労会~狂像の下で
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「えっと、ちょっとしたハプニングはありましたけど、どうしましょうか報酬?」
「そうだな。ミャレリナ、全部預ける事は可能か?」
「はいニャ。問題無いのでそのまま処理しますニャ?」
「じゃあ頼む、ふぅ~。今日は二人とも世話になったな、この埋め合わせは落ち着いたらするから期待しててくれ」
「私もいいのですかニャ?」
「勿論ですニャ」
「ニャははは、期待しないで待ってるのニャ」
「私は期待していますから!」
「素直でよろしい」
そう言うと流はジェニファーの店へ歩き出す。
「まったく、ナガレ様は困った人ですニャ」
「ええ……だからこそ素敵なんですよ」
ジェニファーへ片手を挙げてカウンターへ座る流を見ながら、二人は呆れを含むため息をするのであった。
「ジェニファーちゃん、さっきは助かった(?)よ」
「アハン♪ ボーイはもうちょっと自分の実力を認識する必要があるわねん」
「いやぁ、すまない。まさか王貨三枚とか予想外すぎたからな」
「それも含めての貴方の実力よん。ミーから言わせれば、今回の仕事で王貨三枚でも安すぎる位よん? 考えてもごらんなさい、殺盗団がいたためにどれだけ経済が停滞していたかをねん。それで今日は何をしでかしたのん?」
「そう言われればそうなのかもなぁ……。っと、今日の事か? まぁ何だ、実は――」
流は今日あった事を詳細に説明する。
それを聞いたジェニファーは渋い顔になると、困ったように話し始める。
「そんな事がねぇ……。やっぱり王貨三枚は貰っても当然の額ね。それより大きな問題は二つ、そのうち冒険者として見逃せないのが一つね」
「蛇か?」
「ええそう。話から推測すると、ラミアが女王化してるのが問題ねん。リットンハイムも気が付いているでしょうけど、今はこんな状況だしね」
ジェニファーはギルドホールを見てため息をつく。
「そんなにヤバいのか、女王と言うのは?」
「そりゃそうよん。なにせ王滅級の案件だからねん。しかも放置した時間だけ驚異度も増すわん」
「なるほど……するとジェニファーちゃんの出番か?」
「そうなるかも知れないわねん。まぁ今は何処にいるか分からない女王より、もう一つの問題ねん」
ジェニファーは自分用のグラスを用意すると、そこに魅惑のカクテルを注ぐ。
それは紫を基調とした、全体的に淫靡な色合いのカクテルだった。
「もう一つと言うと?」
「そうねん……あら? 丁度良い所へ現れたわねん」
「やあ、ジェニファー、ナガレ。今夜は何事だ?」
そこに現れたのは漆黒の鎧を脱いだ生粋の武人、ヴァルハルドだった。
「お!? ヴァルハルドさんじゃないか! 久しぶりだな」
「何を言っている、まだ数日しかたっていないぞ?」
「あれぇ? もう随分と間が空いていたような……」
「ははは、それだけ忙しかったんだろうよ。で、今日のこの混乱は?」
ジェニファーと流はこれまでの経緯を説明すると、
「ラミアの王か。確かにそれも驚異だが、悪魔を使役しているオルドラは捨て置けんな。それにアイツか……」
「シュヴァルツの事か?」
「ああ……アイツとは昔なじみでな。俺もその場にい合わせたかったものだ」
ヴァルハルドは、琥珀色のエールをジッと見つめながらため息を吐く。
「ナガレ、もしまたアイツと会う事があれば、是非伝えてくれないか? 俺が借りを返したいと」
ヴァルハルドの不動の気迫に思わず流も息をのむ。
「……分かった、必ず伝えるよ」
「感謝する」
「アハン♪ 話もまとまったようだし、ミーも一緒に呑みたい気分よん。特別席に行きましょうよん?」
「そうだな、じゃあ行こうか」
「ああ、ナガレの武勇伝も詳細に聞きたいしな」
「そうこなくちゃね! アナタ達、奥の席へフルセットを持ってきなさ~い」
「かしこまりました、オーナー」
「もぅ!! ジェニファーちゃんと言いなさいって、言っているでしょう?」
「…………」
そんな心温まるオーナーと店員の心温まるやりとりを見ながら、三人は特別席に移り、そのまま朝まで飲み明かすのだった。
◇◇◇
ギルドを出る頃には夜明けも近く、うっすらと明るさが東の空を照らし出す。
「この星も地球と同じなんだな……。あ! そうだった嵐陰はどこにいるんだ?」
周辺を確認すると、未だにギルド周辺は騒がしく、見回しても嵐陰の姿は見えなかった。
「あぁ悪い事をしたなぁ。しかたない笛を吹いてみるか……」
流はアイテムバッグから笛を取り出すと、思いっきり息を吹き入れる。
周りの人間も流も、音を全く認識出来なかったが、笛を吹いて程なくして空から嵐陰が降ってくる。
「うわ!? ら、嵐影!! 何処から来たんだよ?」
「……マ」
「え? ギルドの屋上にいたのか?」
「……マァ」
「いや~ごめんな。お腹減ったろ? 屋敷に帰ったら美味いの作ってもらおうな?」
「……マ!!」
そのまま嵐影の背中に乗ると、早朝の街を足早に帰宅するのだった。
屋敷に着くと、メイド達の出迎えがあり、嵐影の食事のお願いをしてから、風呂に入り寝る事にする。
「フム、お帰りなさいませ古廻様。昨日も大変でしたな」
「本当に大変だよ。参、お前にも心配かけたな。まったく報告に行っただけなのにな……。しばらくは街も騒がしいだろうから、それに乗じた襲撃があるかも知れない。警戒よろしくな」
「承知致しました」
そう指示して自室へと向かった流は、ベッドに入ると睡眠の魔法をかけられたように眠るのだった。
「そうだな。ミャレリナ、全部預ける事は可能か?」
「はいニャ。問題無いのでそのまま処理しますニャ?」
「じゃあ頼む、ふぅ~。今日は二人とも世話になったな、この埋め合わせは落ち着いたらするから期待しててくれ」
「私もいいのですかニャ?」
「勿論ですニャ」
「ニャははは、期待しないで待ってるのニャ」
「私は期待していますから!」
「素直でよろしい」
そう言うと流はジェニファーの店へ歩き出す。
「まったく、ナガレ様は困った人ですニャ」
「ええ……だからこそ素敵なんですよ」
ジェニファーへ片手を挙げてカウンターへ座る流を見ながら、二人は呆れを含むため息をするのであった。
「ジェニファーちゃん、さっきは助かった(?)よ」
「アハン♪ ボーイはもうちょっと自分の実力を認識する必要があるわねん」
「いやぁ、すまない。まさか王貨三枚とか予想外すぎたからな」
「それも含めての貴方の実力よん。ミーから言わせれば、今回の仕事で王貨三枚でも安すぎる位よん? 考えてもごらんなさい、殺盗団がいたためにどれだけ経済が停滞していたかをねん。それで今日は何をしでかしたのん?」
「そう言われればそうなのかもなぁ……。っと、今日の事か? まぁ何だ、実は――」
流は今日あった事を詳細に説明する。
それを聞いたジェニファーは渋い顔になると、困ったように話し始める。
「そんな事がねぇ……。やっぱり王貨三枚は貰っても当然の額ね。それより大きな問題は二つ、そのうち冒険者として見逃せないのが一つね」
「蛇か?」
「ええそう。話から推測すると、ラミアが女王化してるのが問題ねん。リットンハイムも気が付いているでしょうけど、今はこんな状況だしね」
ジェニファーはギルドホールを見てため息をつく。
「そんなにヤバいのか、女王と言うのは?」
「そりゃそうよん。なにせ王滅級の案件だからねん。しかも放置した時間だけ驚異度も増すわん」
「なるほど……するとジェニファーちゃんの出番か?」
「そうなるかも知れないわねん。まぁ今は何処にいるか分からない女王より、もう一つの問題ねん」
ジェニファーは自分用のグラスを用意すると、そこに魅惑のカクテルを注ぐ。
それは紫を基調とした、全体的に淫靡な色合いのカクテルだった。
「もう一つと言うと?」
「そうねん……あら? 丁度良い所へ現れたわねん」
「やあ、ジェニファー、ナガレ。今夜は何事だ?」
そこに現れたのは漆黒の鎧を脱いだ生粋の武人、ヴァルハルドだった。
「お!? ヴァルハルドさんじゃないか! 久しぶりだな」
「何を言っている、まだ数日しかたっていないぞ?」
「あれぇ? もう随分と間が空いていたような……」
「ははは、それだけ忙しかったんだろうよ。で、今日のこの混乱は?」
ジェニファーと流はこれまでの経緯を説明すると、
「ラミアの王か。確かにそれも驚異だが、悪魔を使役しているオルドラは捨て置けんな。それにアイツか……」
「シュヴァルツの事か?」
「ああ……アイツとは昔なじみでな。俺もその場にい合わせたかったものだ」
ヴァルハルドは、琥珀色のエールをジッと見つめながらため息を吐く。
「ナガレ、もしまたアイツと会う事があれば、是非伝えてくれないか? 俺が借りを返したいと」
ヴァルハルドの不動の気迫に思わず流も息をのむ。
「……分かった、必ず伝えるよ」
「感謝する」
「アハン♪ 話もまとまったようだし、ミーも一緒に呑みたい気分よん。特別席に行きましょうよん?」
「そうだな、じゃあ行こうか」
「ああ、ナガレの武勇伝も詳細に聞きたいしな」
「そうこなくちゃね! アナタ達、奥の席へフルセットを持ってきなさ~い」
「かしこまりました、オーナー」
「もぅ!! ジェニファーちゃんと言いなさいって、言っているでしょう?」
「…………」
そんな心温まるオーナーと店員の心温まるやりとりを見ながら、三人は特別席に移り、そのまま朝まで飲み明かすのだった。
◇◇◇
ギルドを出る頃には夜明けも近く、うっすらと明るさが東の空を照らし出す。
「この星も地球と同じなんだな……。あ! そうだった嵐陰はどこにいるんだ?」
周辺を確認すると、未だにギルド周辺は騒がしく、見回しても嵐陰の姿は見えなかった。
「あぁ悪い事をしたなぁ。しかたない笛を吹いてみるか……」
流はアイテムバッグから笛を取り出すと、思いっきり息を吹き入れる。
周りの人間も流も、音を全く認識出来なかったが、笛を吹いて程なくして空から嵐陰が降ってくる。
「うわ!? ら、嵐影!! 何処から来たんだよ?」
「……マ」
「え? ギルドの屋上にいたのか?」
「……マァ」
「いや~ごめんな。お腹減ったろ? 屋敷に帰ったら美味いの作ってもらおうな?」
「……マ!!」
そのまま嵐影の背中に乗ると、早朝の街を足早に帰宅するのだった。
屋敷に着くと、メイド達の出迎えがあり、嵐影の食事のお願いをしてから、風呂に入り寝る事にする。
「フム、お帰りなさいませ古廻様。昨日も大変でしたな」
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