日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第六章:商いをする漢

206:争奪戦の始まり

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 地下のビーチで遊んだ翌日、いよいよスパイスの屋台を始める事にする。
 出店場所はバーツが用意してくれた、一等地とも言える場所だった。

「古廻様、準備が整いましてございます」
「ありがとう〆。さ~てと、本格的に商売をしようじゃないの!」
「行ってらっしゃいませ古廻様」
「フム。屋敷の事はお任せあれ」
「壱:行ってらっしゃい。本当に僕は行かなくてもいいんでっか?」
「ああ、別に危険も無いしな。ゆっくりしとけよ。じゃあ行って来る!」

 流はメイド二人を御者台に乗せると、自分も乗り込み嵐影へと出発を告げる。
 屋敷の正門が自動で開門すると、そのまま販売車はお屋敷街を後にするのだった。

「売れるといいですね……」
「壱:そら売れるやろ、あんな品は無いさかいな」
「フム。兄上の言う通りだよ。大丈夫、それに流様は多分強運の持ち主だからな」
「そうですね、それにしても……はぁ~。早く堂々とお名前でお呼びしたいものですね」
「フム。それも後少しと言った所だろう」
「壱:せやな、もうすぐや……」

 流が出て行った正門をしばらく見つめる三人、そこへセバスがその理由を問う。

「僭越ながら一つお聞きしても?」
「なんです?」
「お館様のお名前を、お呼びしてはいけないのでしょうか?」
「ああ……。それは私達だけですよ。貴方達は好きにお呼びなさい」
「……そうですか、承知しました」

 セバスはこれ以上は踏み込まない方が身のためだと思い、そのまま口を閉ざす。
 規格外三人組は、しばらく流が向かった先を見つめていたが、やがて〆が指示を出す。

「さて、私は戻ります。皆、今後の事は任せましたよ?」
「フム。お任せあれ」
「壱:おう、さっさと戻ったれ。因幡も戻っとるかもしれんしな」
「ええ、ではまた……」

 〆はそのまま陽炎のように消えていく。
 それを見送ると、壱や参。そして屋敷の使用人達は今日の仕事へと戻って行くのだった。


◇◇◇


 トエトリーには小規模なものから大規模に至るまで複数の市場が存在する。
 そしてトエトリーには大きなマーケットが三つ存在する。
 その中でも街の中心に位置し、最大の規模を誇る場所が「ラハーシア広場」であった。

 事前の情報では広場の面積は一キロ四方らしく、その中心には大きな噴水がある。
 露天は区分けがされており、規則正しく立ち並んでいるため、商業ギルドの許可なく勝手に出店する事は出来ない。
 露天と言うイメージは雑多な感じだが、それがまた情緒あふれる風景で、飲食スペースや水道、トイレも管理されており、実に清潔的な場所だった。

 その中でも一番いい場所を流は与えられたのだが、始めて来たので戸惑っていた。

「おお! ここがラハーシア広場か。うわぁ~、人が多すぎだな。えっとメリサから貰った場所の地図はっと」

 流はメリサから貰った地図を広げる。
 すると、先日開いた時には何も起こらなかったが、現在は地図に目的地のマーカーが点灯していた。

「これも魔具なのか? この世界の文明は中世レベルに見えるが、魔法のお陰で現代地球より優れている所も多いな……」

 魔核と言う動力は必要とするが、小さな魔核で大きな力を生み出せるこの世界の魔法技術は異常とも言える。
 例えば直径一センチの魔核で、一般家庭の十日程の家の照明から水道等のライフラインが維持できるという話だ。
 エネルギー保存の法則? 何それ美味しいの? ってレベルで凄い。
 ちなみに質が良かったり、大きかったりしたからと言って威力が上がるのかと言えばそうでもないらしい。
 その魔核にあった魔法陣が無いと宝の持ち腐れとなるとの事だった。

「お、あそこかな? うむぅ、確かに一等地だわぁ……」

 地図を見ながらしばらく進むと、中央にある大きな噴水に独鈷杵どっこしょのようなオブジェが中央に鎮座しているのが見える。そのオブジェの真ん前が流の店の場所だった。
 そこへ嵐影が販売車を移動させると、周囲はざわつきだす。

「お、おい。あの場所ってずっと空きスペースで、商業ギルドの管理スペースに指定されていた特別枠だよな?」
「ああ、イベントの時しか使わない場所だ」
「それをあの若いのが使う? 嘘だろう……」
「しかも回りには最初から椅子とテーブルまで用意されいるぞ? 飲食業か?」

 ざわつきは広がり、さらには遠巻きに見学客まで現れる程だった。
 その視線が気にならないのか、流は鼻歌交じりでメイドと共に開店準備をする。
 見守る観客達はその露天が普通じゃない事に困惑しながらも、その馬車の荷台を中心に準備を展開していく様を見守っている。
 そしてついに開店の時が来た。

 流はサイドのシャッターを開けると、そのままシェードに早変わりさせて大声で叫ぶ。

「本日よりこの場所で、香辛料の屋台を始める古廻流って言います! みなさんよろしくお願いします!! そしてその香辛料をふんだんに使用した料理も提供します、ぜひ一度ご賞味ください! もちろん価格は誰も見た事が無い低価格でサービスしますよ~! さ・ら・に!! 今日はオープン記念として、全品半額セールだよ! 数量限定だから早い者勝ちだ!! さあ買った買ったあああああ!!」

 突如信じられないような事を言い出す流に、やじ馬達は色めき立つのだった。
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