日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第六章:商いをする漢

226:博徒たる資格

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 倉庫を出ると、そこは冒険者と憲兵が遠巻きに見守っていた。
 そして流を確認すると、大歓声が巻き起こる。

「おお!? 出て来たぞ!!」
「あれは巨滅の英雄だ!!」
「キャアアア~ナガレ様よ~!! お怪我はありませんか~!?」
「ナガレ、無事だったか!! よっしゃ、俺の勝ちだぜ眼帯オヤジ!」
「だから言っただろう? ナガレは負けはしないってねぇ」

 冒険者達は大喜びだったが、一部ではまた流で賭けをしていたようだった。

「まったくお前らは俺で商売するなと……はぁ。まあ――勝ったぞ!!」

『『『『『オオオオオオオオオ!!!!!!』』』』』

 美琴を高く掲げ勝利を宣言した瞬間、周りにいた人間も獣人も盛大に叫ぶ。

「流石だぜ! で、何がいたんだナガレ?」
「それで賭けてるんだ、教えてくれよ!! 俺は酋滅級以下って踏んでいるんだがな!!」
「ばーっか、アノ衝撃はドラゴンだ、間違いねえ!!」
「馬鹿だねぇアンタ等は、だからダメなんだよ。で……いたんだろう、王滅級が?」

 一部から「博徒神」と呼ばれている、最初から流れ一筋の女がペロリと舌で唇を潤しながらその先を待つ。

「だからぁ~、俺で賭け事するなっつ~の!! ああ、いたさオークキングがな!!」

 その言葉で野次馬も含め、騒がしかったギャラリーが沈黙する。
 そして博徒神が口を開く。

「ほ……ほ、ほら、言った通りだろ? ナガレなら王滅級と戦ってるってねぇ!!」

 その言葉で止まった時間が動き出す。

『『『『『ウオオオオオ!! ナガレ!! ナガレ!! ナガレ!!』』』』』

「ちょ、煩いぞ!! 落ち着け!! 俺一人で勝った訳じゃないんだからな!!」
「壱:あ~、古廻はん。そりゃあ無理ってもんでっせ~。ちょい口を滑らしましたなぁ」
「う、しまったなぁ。思わず言ってしまった。仕方ない強行突破だ」

 流は群衆をかきわけ、この中の高ランク冒険者に待機の指示を出す。その後、商業ギルドへとなんとか到着する。
 すると、そこには予想外の事態が待っていた。

「バーツさん! 一体何が!?」
「あ! ナガレ様! ご無事で良かったです、外の歓声を聞いて安心はしていましたが、姿を見れてホッとしました」

 そう言うとメリサは涙を流し、何度も頷いていた。
 メリサを見て安心をしたが、一階のソファーの上にはバーツが横たわっていた。

「心配かけて悪かった、それよりバーツさんはどうしたんだ?」
「はい、実はあの後ギルドへと戻った所で今回の騒ぎが起きました。丁度荒事になるかもと、護衛をお願いしていた冒険者の方々がいて助かったのですが、オークがその隙間を抜け私へ襲い掛かって来たのです。それをギルドマスターが庇ってくれて……」
「そうか……。でも命に別状は無いんだな?」
「ええ、それは大丈夫ですが、頭部を打ったようで気絶しています。ですが腕の骨が折れています」
「すまん、俺がもっと早く着いていれば」
「い、いえ! ナガレ様のせいだなんて、それに外での活躍は窓から見ていました。本当に凄かったし、職員全員助かりました」

 ギルド内部を見ると、ほぼ全員揃っている事に驚いた流はメリサに聞いてみる。

「皆はどうして逃げなかったんだ?」
「実は殺盗団の件で、しばらく裏口は封鎖されていまして、開かないのです。それに窓には格子があるので脱出も不可能でして……表にはオークの大群と打つ手が無くて」
「なるほどなぁ、それは恐怖だったろう。でも火事になったら大変だから早く何とかしないとな?」
「確かに早急に何とかしないとですね。でも皆はナガレ様が来てくれたと知って大歓声でしたよ?」
「そっか、みんな待たせてすまなかったな」

 ギルドの職員も客も、全員が感謝の気持ちを叫ぶように言う。

「何言ってるんですか! 本当に助かりました」
「ありがとうございます、ナガレ様!」
「おう、領都級はやる事がちがうねぇ~本当にありがとよ!」
「ああ違いねぇ、今日の不運を呪ったが、明日の命を拾った幸運に乾杯だ!!」
「涙を流す冷酷天使に踏まれたい! いや豚野郎オークって言ってくれ!!」
「ボウズ、いや、ナガレさんよ。今度一杯奢らせてくれや!」

 外で感謝され、中でも変態が若干一名いるが、感謝されてしまって恥ずかしい気持ちだった。
 
 が、今やらなきゃいけない事を思い出すと、返事もそこそこにメリサを見る。

「それでこの後だが、今回の状況をカーズじゃなくて、領主様へと報告しなくてはいけないんだが、バーツさんがこれではな……」

 その時だった、流への声援が気つけになったのか、バーツが目を覚ます。

「う……むぅ……。ここは……」
「バーツさん!!」

「「「ギルドマスター!!」」」

「むぅ……。ナガレか? あ! そうだった! ナガレ大変だ、オークが襲って来た!?」
「バーツさん、もう大丈夫ですよ。オークは殲滅しました」
「何ぃ!? 痛っぅ。もう倒した後だと言うのか?」
「ええ、冒険者達と憲兵が全て倒しましたよ」
「そ、そうか。それは良かった」

 ホッとしたバーツは、ソファーへと座り直す。

「ギルドマスター、無事に目を覚まして良かった。先程は助けて頂きありがとうございました」
「なんのなんの、メリサも無事で良かったな」
「はい。でもギルドマスターの腕が……」
「あ~。しばらくは不便だろうが、腕のいい魔法士に直してもらうさ。だからそんな顔をするな」
「はい……」
「そんな貴方に、む~ら~さ~きの~回復や~く~!!」
 
 流はマジックバッグから紫の回復薬を取り出すと、某未来のドラ猫君を真似た口調で渡す。
 ちなみにそのモノマネは、自分ではアカデミー賞物だと思っているが、全く似ていないのだった。
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