日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第六章:商いをする漢

231:ポンコツ、王都に雨が降る事を願う

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「ギャアアアア~!? なにこれ~。美味しそ~な臭いじゃな~い~?」
「きょ、教授。はしたないからお止めください! それに何か美味しそうに感じない言い方はやめてください!!」
「な~に~? ジェームズは~モルモル牛の胃袋を裏返した、ヌメ~っとした感覚みたいな食欲が無いの~?」
「その表現で私の食欲は減退しました……」
「も~軟弱ぅ~。そんなんだから~彼女が出来ないんだぞ~?」
「それを貴女が言うとブーメランになるのですが、いいんですね? 後悔しませんね?」
「「うぅ……言っていて空しい」」

 そんなポンコツな二人を見かねた流は、二人にカレーを差し入れする。

「あの~? 良かったら食べないか?」
「「ああああ!! 神よ!!」」
「や、やすい神様だな……」
「すみませんね、ウチの教授が大声で催促したみたいで」
「んも~。あたしは~キミの心を代弁してあげただけ~」
「気にしないでくれ、もし気に入ったらラハーシア広場の大噴水の前で露天をしてるから食べに来てくれ」
「そうなんだ~。ありが (ぱく)うまあああああ!?」
「教授! お礼を言ってから食べてくださいよ。はぁ、仕方な (ぱく)うまあああああ!?」
「あ、あんたら、似た者同士で良かったな……」

 そんなポンコツな二人のやりとりに苦笑いしつつも、喜んでいるようで満足する流。
 その後二人がお互いの皿からカレーを略奪しながら食べ始めたのを確認し、流はテーブルへと戻る。

「凄い二人だな。大丈夫なのか、あの二人で?」
「うふふ。一見ポンコツに見える二人ですけど、彼女達は王立研究所の『主席研究者とその助手』だったんですよ?」
「うっそだろ」
「いや、それが本当なんだ。昔俺も初めて会った時はお前と同じだったな」

 そう言うとバーツは苦笑いをしながら、パンをカレーに付ける。

「そう言えば教授との事でしたが、俺より若く見えますが?」
「ああ、彼らはエルフだよ。しかもハイ・エルフだったかな」
「なッ!? (やっぱりエルフか!? しかもハイ・エルフだとーーー!! くぅ愛でたい!)」

 そう思い無意識にエルフ達の下へと立ち上がる寸前……。

『…………♯』

 美琴に怒られたので、落ち着きを取り戻す。

「今ナガレの相棒が怒って無かったか?」
「アハン♪ やっぱりん? キレてたわよねん」
「な、何の事かな、なぁ美琴さんや?」
『…………~』
「今度はガッカリしている気がする……」
「乙女の心は複雑なのよん、ねぇボーイ?」
「あ、ああ。って言うか、よく分かるな」
「まぁ長年の経験ってやつだな」
「そうねん、それはそうと。おかわりを貰ってもいいかしらん?」
「お、俺もだ!!」
「はいはい、沢山あるから無くなるまで食べてくれよ」
「「おお~」」

 その後教授たちもこちらへ合流し、鍋が空になるまで食べた後でメリサが用意していてくれたお茶を飲む。

「ふぅ~。こんな珍しい味と美味いのを食べたのは初めてだ」
「ホントよねん、最高に贅沢な一時だったわん」
「あたし達も~こんなに美味しい~の食べたの初めて~」
「ええ、教授の言う通りです。ナガレさんでしたか? 貴方は凄い料理人ですね!」
「いや、俺も簡単タイプのは作れるけれど、それを作ったのはスパイスから全て調合して調理したウチの料理人だよ。さっきも言ったが、毎日昼頃に販売してるから、暇な時は来てくれ。あ、でもこの件が片付くまでは休むんだった。その後なら何時でも歓迎だ」

「「「行く! 絶対に!!」」」

 あまりの食いつきに、ちょっぴり引きつつも話を続ける。

「それであの箱の事は少しは分かったのか?」
「そ~ね~。内部と外装に魔法陣が仕込まれていたの~。でね~、見た事も無い多層構造で~、あたしもこまっちぅ~」
「教授、説明する時は簡潔にと何時も申しているではないですか」
「え~? ナガレっちは~分かってくれるよねぇ~?」
「まぁ何となくは? で、え~っとジェームズさんが言うと?」
「はい。つまり、分かりません!」
「ソウデスカ」

 そんなやり取りをバーツは苦笑いをしながら見ていたが、これまで入った情報から精査した内容を伝える。

「俺の方からは分かった事はそれなりにある。まずあのアイテムボックスは、搬入記録から間違いなく王都の、それも商業ギルド本部からの品だと確認が取れた。そして懸念していた通り、納入した奴らはナガレの店へ来ていたチンピラ数人だったと言う事も確認がとれた」
「つまり……宣戦布告と?」
「そうだ、ナガレの露天への嫌がらせの結果などは関係なく、奴らは表立ってついに始めやがった訳だな。むしろこっちがメインで、ナガレへの嫌がらせはついでと考えるべきだろう。領主様もそれの対応を検討中だ。それとヴァルファルド殿、ここが片付くまで専属で付いていて欲しいそうだ」
「了解だ。領主様がそう言うのであれば是非も無い。俺の部隊も待機させよう」
「じゃあミーもいた方がいいわねん」
「ああ、ジェニファーにも頼む。リットンハイムへは俺から連絡は入れておいたから、時期に返事も来るだろう」
「了解よん♪」

 思ったより大事になってしまい、思わず考え込む流。
 そんな流を見た者達は、顔を見合わせて温かく声をかけるのだった。
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