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第七章:新たな力を求めるもの
239:〇改!
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「まあ坊や、今は無理に思い出す事も無いさ。それより妖力は自在に使える事が分かった、これよりは実戦に入ってもらうよ」
「え!? 今までのも十分実戦だと思うけど……実戦?」
「何を言うとるがよ、あんなのは遊びだがね。これからカアチャンが召喚する鬼と戦って勝ってもらうぜよ」
「さっきの餓鬼みたいのか?」
「あんな雑魚とは違うさね。これから呼ぶのは地獄の衛兵みたいな奴だね」
「分かった、それで美琴はまだ封印かい?」
「いや、もう妖力を自在に使える事が分かったから、これからは美琴ちゃんといかに妖力の連携をうまくさせるかの鍛錬だよ。坊やは一人では妖力を練れないからね、美琴ちゃんとしっかりと頑張りな!」
「分かった、じゃあ頼む!」
後鬼は頷くと、先程より大きな黒い穴を空間に出し、そこから赤鬼を召喚する。
赤鬼の背丈は三メートル程あり、大きな目が一つ付いている大男であった。
「おおおあ。前鬼さま後鬼さま久しぶるだなや。なんかようだか?」
「うむ、キサマの力を貸すがよ。そこにいる人間を倒すっちゃ」
「おおおあ。容易いごようだべ。殺してもいいだべか?」
「構わん。好きにするがよ」
「うおおおおおおお!」
赤鬼は歓喜の声を上げると流を見てニヤケる。まるで「簡単なお仕事です」と言わんばかりの表情で、流を嫌らしく見つめる。
「おいおい、容赦ネーナ。せめて命大事に、ダロ?」
「甘えた事を言う暇はないよ、ほら来るさね」
口から涎を垂らしながら、赤鬼は流へと襲い掛かる。
その歩幅は広く、また早い。その速度を活かして上部から飛び掛かかって来る大きな赤い鬼に、流は首をコキリと鳴らす。
「やれやれ。もう少し文明的な戦いをしようぜ? 飛び掛かって来たら、そりゃ……」
流はスッと腰を落とし、美琴の握り手部分……柄の上に右手の平を裏返しに置き、そのまま一撫でする。
すると鞘に施された会津塗りの絵巻桜が赤く色づき、舞い散り始める。
赤鬼が流へ掴みかかるまで残り二メートル、そこで右手の平をクルリと戻すと柄をガッシリと掴み、その業を発動する。
「ジジイ流抜刀術! 奥義・太刀魚『改』!!」
――太刀魚には「ドラゴンサイズ」と釣り人から呼ばれる大物がいる。その見た目が東洋の竜に似ているとの事から、名付けられたものだ――
流は美琴を鞘から高速抜刀すると、太刀魚改を放つ。
今までとは明らかに違う、全身鏡のような銀鱗の斬撃は、竜魚の姿になりて赤鬼を両断する。
「はんがあああ?」
そう言い終わると赤鬼は真っ二つになり、元々存在してなかったかのように消えてしまう。
「……嘘だろ。あの鬼すら一撃とかありえんぜよ」
「本当に驚くねぇ。なら、おいでお前達!!」
後鬼はさらに穴の中から今ほどと同様の鬼を五体召喚する。
「は!? ここは……? うんぬあぁ。オラは一度やられただか?」
「ああそうだよ。だから今度は五人でやってみな」
「「「ぐがあああ!!」」」
「いきなりハードル上げすぎだろ。じゃあ行くぞ!?」
流は美琴を手に走り出し、五人の鬼が半包囲で流へと迫る。
まずは正面より迫る鬼に妖力を込めた刃で袈裟懸けに斬捨て、そのまま走り去ると、後ろを振り向く。
流を追って来た鬼達は、一直線に重なりそして――。
「弱点は……ビンゴ! 丁度真ん中だッ、ジジイ流刺突術! 間欠穿・『改』!!」
追って来る鬼が一直線になったのをいい事に、弱点を見ると鳩尾が見える。
そこへ間欠穿を撃つための予備動作を極限まで省き、美琴を背後へと引き下げた瞬間業を放つ。
これまで刺突業であるため、攻撃は「穴」と言う形態だったが、妖力を自在に操る事が出来るようになった流は、その斬撃を妖力で「面」にする事に成功する。
つまり穴を綺麗に縦に並べ、点を面にする事で威力を底上げする。
美琴より放たれた紫色の斬撃は、一直線に鬼へと吸い込まれると、鬼をその場に縫い付けるように固定する。
「「「あっがっがっが!?!?」」」
それが彼らの最後の言葉になる。赤鬼達は真っ二つになったと思ったら、その後鳩尾辺りから真横に切断された後、上半身を吹き飛ばしながら四散し消え失せた。
「うっわグロイ! 俺がやったんだけどグロすぎる!?」
「「えええええぇ」」
最早「ええええ」しか言えない鬼の夫婦と、声すら出せない見学者達は、あまりの結果に呆然とする。
「が、ガキんちょ。お前ってやつぁ……」
「驚きすぎて笑えないよ……」
「いや、俺が一番驚いているんですけど……」
そんな流の手の中で、美琴は当然です! とばかりに揺れていた。
「ふ~むぅ。こいつはいくら出してもきりが無いねぇ。じゃあ予定に無かったけど、門番を出そうかね」
「カアチャン、それはいくら何でも無理じゃねえがや?」
「とは言えねぇ、あの程度を数十出しても傷一つ負わす事は不可能じゃないのさ?」
「そらあまぁ……。むぅ、ガキんちょ! これから呼ぶ奴はそれなりに強い。覚悟して戦え、奴は都の奥を守る門番ぜよ」
「怖い事言うなよ、響きからして物騒なんだが?」
「冗談でも無く本当さ。本来コイツはもっと後に呼ぶ予定だったんだけどねぇ……じゃあ行くよ?」
後鬼は空間に黒い大穴を作ると、そこから巨大な鬼を召喚する。
現れたのは身長十メートル、手には直径二メートル程の金棒を持った二本角のデカイ黄鬼だった。
「え!? 今までのも十分実戦だと思うけど……実戦?」
「何を言うとるがよ、あんなのは遊びだがね。これからカアチャンが召喚する鬼と戦って勝ってもらうぜよ」
「さっきの餓鬼みたいのか?」
「あんな雑魚とは違うさね。これから呼ぶのは地獄の衛兵みたいな奴だね」
「分かった、それで美琴はまだ封印かい?」
「いや、もう妖力を自在に使える事が分かったから、これからは美琴ちゃんといかに妖力の連携をうまくさせるかの鍛錬だよ。坊やは一人では妖力を練れないからね、美琴ちゃんとしっかりと頑張りな!」
「分かった、じゃあ頼む!」
後鬼は頷くと、先程より大きな黒い穴を空間に出し、そこから赤鬼を召喚する。
赤鬼の背丈は三メートル程あり、大きな目が一つ付いている大男であった。
「おおおあ。前鬼さま後鬼さま久しぶるだなや。なんかようだか?」
「うむ、キサマの力を貸すがよ。そこにいる人間を倒すっちゃ」
「おおおあ。容易いごようだべ。殺してもいいだべか?」
「構わん。好きにするがよ」
「うおおおおおおお!」
赤鬼は歓喜の声を上げると流を見てニヤケる。まるで「簡単なお仕事です」と言わんばかりの表情で、流を嫌らしく見つめる。
「おいおい、容赦ネーナ。せめて命大事に、ダロ?」
「甘えた事を言う暇はないよ、ほら来るさね」
口から涎を垂らしながら、赤鬼は流へと襲い掛かる。
その歩幅は広く、また早い。その速度を活かして上部から飛び掛かかって来る大きな赤い鬼に、流は首をコキリと鳴らす。
「やれやれ。もう少し文明的な戦いをしようぜ? 飛び掛かって来たら、そりゃ……」
流はスッと腰を落とし、美琴の握り手部分……柄の上に右手の平を裏返しに置き、そのまま一撫でする。
すると鞘に施された会津塗りの絵巻桜が赤く色づき、舞い散り始める。
赤鬼が流へ掴みかかるまで残り二メートル、そこで右手の平をクルリと戻すと柄をガッシリと掴み、その業を発動する。
「ジジイ流抜刀術! 奥義・太刀魚『改』!!」
――太刀魚には「ドラゴンサイズ」と釣り人から呼ばれる大物がいる。その見た目が東洋の竜に似ているとの事から、名付けられたものだ――
流は美琴を鞘から高速抜刀すると、太刀魚改を放つ。
今までとは明らかに違う、全身鏡のような銀鱗の斬撃は、竜魚の姿になりて赤鬼を両断する。
「はんがあああ?」
そう言い終わると赤鬼は真っ二つになり、元々存在してなかったかのように消えてしまう。
「……嘘だろ。あの鬼すら一撃とかありえんぜよ」
「本当に驚くねぇ。なら、おいでお前達!!」
後鬼はさらに穴の中から今ほどと同様の鬼を五体召喚する。
「は!? ここは……? うんぬあぁ。オラは一度やられただか?」
「ああそうだよ。だから今度は五人でやってみな」
「「「ぐがあああ!!」」」
「いきなりハードル上げすぎだろ。じゃあ行くぞ!?」
流は美琴を手に走り出し、五人の鬼が半包囲で流へと迫る。
まずは正面より迫る鬼に妖力を込めた刃で袈裟懸けに斬捨て、そのまま走り去ると、後ろを振り向く。
流を追って来た鬼達は、一直線に重なりそして――。
「弱点は……ビンゴ! 丁度真ん中だッ、ジジイ流刺突術! 間欠穿・『改』!!」
追って来る鬼が一直線になったのをいい事に、弱点を見ると鳩尾が見える。
そこへ間欠穿を撃つための予備動作を極限まで省き、美琴を背後へと引き下げた瞬間業を放つ。
これまで刺突業であるため、攻撃は「穴」と言う形態だったが、妖力を自在に操る事が出来るようになった流は、その斬撃を妖力で「面」にする事に成功する。
つまり穴を綺麗に縦に並べ、点を面にする事で威力を底上げする。
美琴より放たれた紫色の斬撃は、一直線に鬼へと吸い込まれると、鬼をその場に縫い付けるように固定する。
「「「あっがっがっが!?!?」」」
それが彼らの最後の言葉になる。赤鬼達は真っ二つになったと思ったら、その後鳩尾辺りから真横に切断された後、上半身を吹き飛ばしながら四散し消え失せた。
「うっわグロイ! 俺がやったんだけどグロすぎる!?」
「「えええええぇ」」
最早「ええええ」しか言えない鬼の夫婦と、声すら出せない見学者達は、あまりの結果に呆然とする。
「が、ガキんちょ。お前ってやつぁ……」
「驚きすぎて笑えないよ……」
「いや、俺が一番驚いているんですけど……」
そんな流の手の中で、美琴は当然です! とばかりに揺れていた。
「ふ~むぅ。こいつはいくら出してもきりが無いねぇ。じゃあ予定に無かったけど、門番を出そうかね」
「カアチャン、それはいくら何でも無理じゃねえがや?」
「とは言えねぇ、あの程度を数十出しても傷一つ負わす事は不可能じゃないのさ?」
「そらあまぁ……。むぅ、ガキんちょ! これから呼ぶ奴はそれなりに強い。覚悟して戦え、奴は都の奥を守る門番ぜよ」
「怖い事言うなよ、響きからして物騒なんだが?」
「冗談でも無く本当さ。本来コイツはもっと後に呼ぶ予定だったんだけどねぇ……じゃあ行くよ?」
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