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第九章:奪還作戦と、国の闇
390:古廻 流、処刑はじめました
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イズンの表情は実に晴れやかだった。それはこの後の自分の出世を考え、それがもうすぐだと思っているのが、ありありと分かるほどに。
「やぁ、名もなき罪人共よ。楽しい楽しい刑の執行時間だ、最後にのぞみはあるかね?」
「そうだな、カツ丼を十人前頼む。あ、半分はソースカツ丼でヨロシク」
「フン……この期に及んで、まだ意味の分からない減らず口を。そっちの女は俺に従うなら許してやるが?」
「え? 冗談はキモチワルイ顔だけでドーゾ。あたしは足の先から右目の眼球の中まで、マイ・マスターのものです。あと、臭いから近寄らないでください。シッシ」
「キモチワルイのはお前の言動だ!! 馬鹿が! チッ、あの白い槍だけでガマンしてやる」
「人には過ぎたる武器だと言うのに……まぁいいでしょう。後で消毒すればいいや」
「馬鹿にしおって! 執行官、コイツらを連れて行け!!」
「「ハッ!!」」
流とLは二人の執行官に連れられて、民衆からよく見える高台まで登らされる。
すると一斉に民衆は怒号と罵声を流へと浴びせ、持っている物まで投げる者も出る始末。
二人に直撃しそうなものは、Lが口から光る針のようなモノを飛ばし、迎撃すること数分。
ふと見れば、流は駐屯所の入り口に親子の姿を確認する。それは流を襲った子供であり、その母親らしき者と一緒だった。
「あぁ、あの子も来たのか」
『でも様子が変だよ?』
「だなぁ……ん?」
母親が息子の頭を掴むと思い切り頭を下げさせ、その後〝ゴツリ〟とここまで音が聞こえそうなほどに頭を殴るのが見えた。
『いい母親だね』
「ああ、俺もあの子を人殺しにさせなくて良かったわ。まぁ人じゃないけどな」
『だね。はぁ~三尺高い場所は空気が澄んで見えるって言うけど、こういう感じなのかなぁ……」
「かもなぁ……」
二人は昔の罪人の気持ちを思う。どんなに悪事を働いても、死ぬ間際はすべてを諦め、その罪を悔いたものだけが見えると言う光景を思い浮かべる。
やがて刑の執行者たるイズンが、高台へと登ってくる。それを見た民衆は割れんばかりの歓声を上げ、流の死刑執行を歓迎するのだった。
「静まれえええい!! 諸君!! 本日アイヅァルムを襲った、恐怖の元凶たるこの男を捕らえたのはこの私、イズンである!!」
『『『オオオオオオオオ!!』』』
瞬間巻き起こるイズンコール。それに酔いしれるイズンは、両手を高らかに掲げ、手首を前後に動かすことで民衆を静める。
「ありがとう、ありがとう。諸君らの温かい声援と気持ちで、私の今日の苦労も報われた!! さて、この凶悪極まる残忍な男をこれから死刑に処す!! 執行官、首を入れたまへ」
「「ハッ!!」」
流とLはギロチン台に首をホールドされる。そこは血で赤黒く染まっており、匂いはしないが気色悪さで吐き気がする。
「うぇぇ。きもちわりぃ……。あぁ~俺の最後、西洋式HARAKIRIかぁ~。ちゃんと成仏できますよーに! ナムナム」
『なに雰囲気だしてるんですか。ほら、Lちゃんも真似しないの』
Lも流を見習いナムナムしているのが、ちょっと可愛らしい。
「ではこれより極悪人の刑を執行する!! 執行官ロープを切――」
【ちょっと待ちなさい!!】
イズンの命令を途中で止める声が響く。全員その方向へと顔を向けると、そこにはセリア達が息を切らして立っていた。
苦々しくそれを見るイズンは、それを無視する訳にはいかない。なぜなら――。
「お、おい。ありゃあセリア様じゃないのか?」
「そうだ、セリア様だ!!」
「おお、戦女神様が何か仰るぞ! 全員聞くのじゃ!!」
その老人の言葉が静まった広場へ波紋のように浸透し、やがてセリアコールになる。
セリアは片手を上げ、それに応えながらギロチン台へと登り、両手を掲げた後にゆっくりと下へ降ろす。
するとあれほど熱狂していた広場は無人のように静まり返る。
「みんな、私の声に耳をかしてくれてありがとう!! 私がここへ来た理由はこの人、『コマワリ・ナガレ』の無実を言いに来たからよ!!」
どよめく観衆。それをみたイズンはこのままにしてはおけないと、セリアへむけて持論を展開する。
「セリア様……勝手な妄想を言われては困りますねぇ。いいですか? この男は間違いなく人じゃあない。それは斥候魔法の記録から見ても確実です。そんな危険な男が、大暴れした。これだけで刑が執行されるには、十分すぎる理由ですが?」
「馬鹿な事を言わないで。斥候魔法で見ていたなら分かるはずでしょ? 彼がリザードマンを駆逐していた事は、アナタの言う記録から分かるはずよね?」
「これはしたり。何を言われる。それは私達を欺くために行った策略ですよ。お忘れですか? 誰がリザードマン共を操り、その中心に何がいたのか、を?」
その言葉でセリアは苦虫を噛み締める。だがここで言い負けたら流の命はない、そんな思いから奮い立ち、イズンへと真っ向勝負するのだった。
「やぁ、名もなき罪人共よ。楽しい楽しい刑の執行時間だ、最後にのぞみはあるかね?」
「そうだな、カツ丼を十人前頼む。あ、半分はソースカツ丼でヨロシク」
「フン……この期に及んで、まだ意味の分からない減らず口を。そっちの女は俺に従うなら許してやるが?」
「え? 冗談はキモチワルイ顔だけでドーゾ。あたしは足の先から右目の眼球の中まで、マイ・マスターのものです。あと、臭いから近寄らないでください。シッシ」
「キモチワルイのはお前の言動だ!! 馬鹿が! チッ、あの白い槍だけでガマンしてやる」
「人には過ぎたる武器だと言うのに……まぁいいでしょう。後で消毒すればいいや」
「馬鹿にしおって! 執行官、コイツらを連れて行け!!」
「「ハッ!!」」
流とLは二人の執行官に連れられて、民衆からよく見える高台まで登らされる。
すると一斉に民衆は怒号と罵声を流へと浴びせ、持っている物まで投げる者も出る始末。
二人に直撃しそうなものは、Lが口から光る針のようなモノを飛ばし、迎撃すること数分。
ふと見れば、流は駐屯所の入り口に親子の姿を確認する。それは流を襲った子供であり、その母親らしき者と一緒だった。
「あぁ、あの子も来たのか」
『でも様子が変だよ?』
「だなぁ……ん?」
母親が息子の頭を掴むと思い切り頭を下げさせ、その後〝ゴツリ〟とここまで音が聞こえそうなほどに頭を殴るのが見えた。
『いい母親だね』
「ああ、俺もあの子を人殺しにさせなくて良かったわ。まぁ人じゃないけどな」
『だね。はぁ~三尺高い場所は空気が澄んで見えるって言うけど、こういう感じなのかなぁ……」
「かもなぁ……」
二人は昔の罪人の気持ちを思う。どんなに悪事を働いても、死ぬ間際はすべてを諦め、その罪を悔いたものだけが見えると言う光景を思い浮かべる。
やがて刑の執行者たるイズンが、高台へと登ってくる。それを見た民衆は割れんばかりの歓声を上げ、流の死刑執行を歓迎するのだった。
「静まれえええい!! 諸君!! 本日アイヅァルムを襲った、恐怖の元凶たるこの男を捕らえたのはこの私、イズンである!!」
『『『オオオオオオオオ!!』』』
瞬間巻き起こるイズンコール。それに酔いしれるイズンは、両手を高らかに掲げ、手首を前後に動かすことで民衆を静める。
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流とLはギロチン台に首をホールドされる。そこは血で赤黒く染まっており、匂いはしないが気色悪さで吐き気がする。
「うぇぇ。きもちわりぃ……。あぁ~俺の最後、西洋式HARAKIRIかぁ~。ちゃんと成仏できますよーに! ナムナム」
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「ではこれより極悪人の刑を執行する!! 執行官ロープを切――」
【ちょっと待ちなさい!!】
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苦々しくそれを見るイズンは、それを無視する訳にはいかない。なぜなら――。
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「そうだ、セリア様だ!!」
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どよめく観衆。それをみたイズンはこのままにしてはおけないと、セリアへむけて持論を展開する。
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