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第九章:奪還作戦と、国の闇
422:ドラゴンという生き物
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レッド・ドラゴンはフと我にかえる。なぜ自分はこうも、人間ごときに恐怖しているのか、と。
上空に目を向ければ、そこには龍人らしき娘がいやらしい顔で、自分を馬鹿にしているのが分かる。
さらに目の前を周回しているラーマンなどは、レッド・ドラゴンたる自分を見ても恐怖すら感じていない。
「ありえない」
そうレッド・ドラゴンは存在そのものを込めてつぶやく。
自分は最強種族であり、その中でも上位の存在だと自負している。例え龍人が十数人いようと、自分なら勝てる。そう思うほどの力はあるはずだ。
「我は一体何者だ?」
自問。その答えはすでに出ている。そうだ、自分は――。
「レッド・ドラゴンだ!!」
自答。その瞬間だった。現実感の無い感覚が霧散し、怒りが皮膚に伝播するように真っ赤な鱗が、より真紅に染まる。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
怒りが咆哮となり、大気を震わせる。妖人と化した流でも、その咆哮の力には一瞬驚く、が。
「へぇ……赤トカゲの矜持。見せてもらおうじゃないか! 嵐影!!」
「マママ!!」
以心伝心。流は嵐影の名を呼ぶと、それを理解した嵐影はレッド・ドラゴンの死角である、右斜め後方から急速に駆け寄る。
そのままトップスピードで最接近し、背中の流が斬りつけやすいように猫のようにしなやかな体躯を活かし、頭を地面スレスレまで下げた。
流もそれを待っていたかのように、ニヤリと口角を上げながらレッド・ドラゴンの右足を斬り落とすために悲恋美琴に妖力を込める。
「まずは一本もらうぜ? ジジイ流・薙払術! 巨木斬!!」
巨木をも折るように斬り飛ばす、無骨な斬撃をレッド・ドラゴンの右脚へと放つ。
それは確実に着斬し、右脚を斬り飛ばしたかと思った刹那。
「――なめ過ぎだ。レッド・ドラゴンをなああああああ!!」
まるで咆哮のような叫びが、牙が生え揃う恐ろしい口から放たれた瞬間だった。
右脚の前に突如魔法陣が出現し、巨木斬を防いでしまう。
そのまま胴体まで、流が斬りつけようとしているだろうと予測した嵐影は、そのコースを今更変更が出来ないほどスピードが出ていた。
だから目前に魔法陣の壁が立ちふさがる。流は「嵐影!!」と叫ぶと、それを理解した嵐影は、驚く行動に出る。
なんと目の前の魔法陣を「蹴り飛ばす」ように前足をつけると、魔法陣表面を走り抜ける。
どうやら完全に防御専用の魔法陣らしく、ダメージは一切無かったのが幸いだった。
「嵐影すまない。俺の予想が甘かった」
「マッ!!」
「そうか、ありがとう。さて……クソトカゲめ。少しはやりそうだ」
「マイ・マスター! そのレッド・ドラゴンは多分上位種です!!」
十三メートルほどの巨体とは思えないような動きで、俊敏に流へと向き直るレッド・ドラゴン。
その顔は先程とは違い、王者の余裕すらうかがえる顔つきである。
「人間よ、そんなものか? フン、期待ハズレもいいところだな」
「それは失礼。それじゃあ期待に応えて見せようじゃない」
「本当は我が恐ろしいのだろう? ではそろそろ口を閉じる時間だ」
「それには同意だ。お前も恐れを抱く時間だ」
嵐影の体毛は逆立つように、頭部から尻尾までブルリと波うつ。
それは背中の主人がお怒りだからであり、目の前のドラゴンなどは眼中にない。
だがそれが合図になったかのように、流とレッド・ドラゴンは同時に口を開き――。
「「――余興は終わりだ、シネ!!」」
どちらも凶暴な顔つきで、そう言い放つ。だが先に動いたのはレッド・ドラゴンだ。
レッド・ドラゴンは、長さ四メートルの尻尾を横薙ぎに払う。
それを嵐影は難なく斜め後ろへ、驚異的なジャンプで躱し、着地した瞬間走り出す。
方向は対峙するレッド・ドラゴンが、左向きに回転して尻尾で殴りつけて来たことで、嵐影から見て左側へと進む。
「ヘロ~コンニチワ、俺ナガレヨロシク!!」
流はグルリと円を描いて戻る、レッド・ドラゴンの顔と感動の再開をする。
そのまま、ヤツの顔。具体的には鑑定眼で見えた弱点。こめかみに向けて四連斬を放つ。
「ジジイ流・弐式! 四連斬!! 【改】」
流の妖力を込めた四連斬、しかも弐式は溜め込み型であり、連撃ながらも一撃が重い。
そこに流の妖力を込めた改ならば――。
「グガアアアアアッ!?」
「ッ、チィィィッ。あれを耐えるかよ!?」
弱点であるはずの、こめかみにヒットしたはずの四連斬は、望んだモノにはならず、結果を見れば失敗したと言っていい。
なぜなら、小型の魔法陣が出現しており、それで防いだようだ。
だが――。
「クッソガアアアアアア!! 人間ごときが我に傷をつけるとは何事だッ!?」
「そんなものですんだ? ありえないだろう。俺は本気で入れたぞ」
見ればレッド・ドラゴンの左こめかみ部分は裂けており、そこから青い血をながしているのだった。
上空に目を向ければ、そこには龍人らしき娘がいやらしい顔で、自分を馬鹿にしているのが分かる。
さらに目の前を周回しているラーマンなどは、レッド・ドラゴンたる自分を見ても恐怖すら感じていない。
「ありえない」
そうレッド・ドラゴンは存在そのものを込めてつぶやく。
自分は最強種族であり、その中でも上位の存在だと自負している。例え龍人が十数人いようと、自分なら勝てる。そう思うほどの力はあるはずだ。
「我は一体何者だ?」
自問。その答えはすでに出ている。そうだ、自分は――。
「レッド・ドラゴンだ!!」
自答。その瞬間だった。現実感の無い感覚が霧散し、怒りが皮膚に伝播するように真っ赤な鱗が、より真紅に染まる。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
怒りが咆哮となり、大気を震わせる。妖人と化した流でも、その咆哮の力には一瞬驚く、が。
「へぇ……赤トカゲの矜持。見せてもらおうじゃないか! 嵐影!!」
「マママ!!」
以心伝心。流は嵐影の名を呼ぶと、それを理解した嵐影はレッド・ドラゴンの死角である、右斜め後方から急速に駆け寄る。
そのままトップスピードで最接近し、背中の流が斬りつけやすいように猫のようにしなやかな体躯を活かし、頭を地面スレスレまで下げた。
流もそれを待っていたかのように、ニヤリと口角を上げながらレッド・ドラゴンの右足を斬り落とすために悲恋美琴に妖力を込める。
「まずは一本もらうぜ? ジジイ流・薙払術! 巨木斬!!」
巨木をも折るように斬り飛ばす、無骨な斬撃をレッド・ドラゴンの右脚へと放つ。
それは確実に着斬し、右脚を斬り飛ばしたかと思った刹那。
「――なめ過ぎだ。レッド・ドラゴンをなああああああ!!」
まるで咆哮のような叫びが、牙が生え揃う恐ろしい口から放たれた瞬間だった。
右脚の前に突如魔法陣が出現し、巨木斬を防いでしまう。
そのまま胴体まで、流が斬りつけようとしているだろうと予測した嵐影は、そのコースを今更変更が出来ないほどスピードが出ていた。
だから目前に魔法陣の壁が立ちふさがる。流は「嵐影!!」と叫ぶと、それを理解した嵐影は、驚く行動に出る。
なんと目の前の魔法陣を「蹴り飛ばす」ように前足をつけると、魔法陣表面を走り抜ける。
どうやら完全に防御専用の魔法陣らしく、ダメージは一切無かったのが幸いだった。
「嵐影すまない。俺の予想が甘かった」
「マッ!!」
「そうか、ありがとう。さて……クソトカゲめ。少しはやりそうだ」
「マイ・マスター! そのレッド・ドラゴンは多分上位種です!!」
十三メートルほどの巨体とは思えないような動きで、俊敏に流へと向き直るレッド・ドラゴン。
その顔は先程とは違い、王者の余裕すらうかがえる顔つきである。
「人間よ、そんなものか? フン、期待ハズレもいいところだな」
「それは失礼。それじゃあ期待に応えて見せようじゃない」
「本当は我が恐ろしいのだろう? ではそろそろ口を閉じる時間だ」
「それには同意だ。お前も恐れを抱く時間だ」
嵐影の体毛は逆立つように、頭部から尻尾までブルリと波うつ。
それは背中の主人がお怒りだからであり、目の前のドラゴンなどは眼中にない。
だがそれが合図になったかのように、流とレッド・ドラゴンは同時に口を開き――。
「「――余興は終わりだ、シネ!!」」
どちらも凶暴な顔つきで、そう言い放つ。だが先に動いたのはレッド・ドラゴンだ。
レッド・ドラゴンは、長さ四メートルの尻尾を横薙ぎに払う。
それを嵐影は難なく斜め後ろへ、驚異的なジャンプで躱し、着地した瞬間走り出す。
方向は対峙するレッド・ドラゴンが、左向きに回転して尻尾で殴りつけて来たことで、嵐影から見て左側へと進む。
「ヘロ~コンニチワ、俺ナガレヨロシク!!」
流はグルリと円を描いて戻る、レッド・ドラゴンの顔と感動の再開をする。
そのまま、ヤツの顔。具体的には鑑定眼で見えた弱点。こめかみに向けて四連斬を放つ。
「ジジイ流・弐式! 四連斬!! 【改】」
流の妖力を込めた四連斬、しかも弐式は溜め込み型であり、連撃ながらも一撃が重い。
そこに流の妖力を込めた改ならば――。
「グガアアアアアッ!?」
「ッ、チィィィッ。あれを耐えるかよ!?」
弱点であるはずの、こめかみにヒットしたはずの四連斬は、望んだモノにはならず、結果を見れば失敗したと言っていい。
なぜなら、小型の魔法陣が出現しており、それで防いだようだ。
だが――。
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