日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

文字の大きさ
463 / 486
第九章:奪還作戦と、国の闇

463:黒土

しおりを挟む
 イルミスは死んだような目でその手を見つめる。そして備前長船を取り出すと、速攻でその手に斬りつける。

「古廻流・壱式! 四連斬!!」

 黒い筋肉質の塊のような腕に、四連斬が襲いかかる。黒土は〝ギョ〟っとっした顔をするが、直後にデカイ口を開きニヤけた。

「ばっか! 忘れたかぁ? んな業じゃ俺を止められねぇぞ!!」

 黒土は四連斬を腕でハエを払うように弾くと、両手を広げて無事をアピールする。

「どうだ、俺はタフな男だろう? なぁ、イルミス。昔は悪かった。だから、な? な? いいだろ? 俺と一夜を、な?」
「死になさい、古廻り――」
「待てイルミス」

 流はイルミスの前に立つと、黒土と対峙する。業を放つのをやめたイルミスは、流の背がいきなり見えたことに驚く。

「おいブサ顔。いいか、この女は俺のモノだ。お前のようなモグラには、億年早すぎる女だ。寝言は死んだあとに言え」
「おい……俺は温厚な性格だ。だからこそ、テメェの安い挑発にも乗らなかった。だが堪忍袋つーものが俺にもある。言っていい事と、悪いことの区別も出来ねぇか? アン?」
「堪忍袋ねぇ……俺もあった。が、とっくに切れてるわッ! イルミス!!」

 流は背後のイルミスへと指示をするように叫ぶ。するとイルミスはそれを理解したのか、流の背後から飛び上がると、魔力を備前長船へと込めて業を放つ体勢にはいる。
 同時に流もそれに呼応するように、同じ構えになり、黒土へと業を放つ!

「古廻流・肆式! 七連斬!!」

 肆式――この一撃集中型の連斬は、同じ場所に叩き込む事により、相乗効果がある。
 それと言うのも、インパクト式の振動ドリルや掘削機のように、「激しい振動を連続」で与えることで、その威力を底上げする。

「馬鹿め!! そんな連斬など聞かぬと何度言えば分かる!!」

 余裕の表情の黒土へとイルミスは連斬を放つ。しかし肆式とは言え、硬い岩のような顔面には歯が立たない。しかし。

「俺流・肆式! 七連斬!!」
 
 流もイルミスが放った場所へと、七連斬を放つ。その威力、イルミスと同等であり、それが七つ連続で同じ場所へと叩き込まれる。だが。

「いだだだだッ!? テメェ、もう許さねぇ。ここでぶっ殺してやる」

 黒土はそう言うと、地団駄を踏む。その様子、まるで子供のようであり、見た目が不気味なのが、とても違和感だ。

「……イルミス。黒土はこんなに頑丈なのか?」
「ええ、そうですわ。この下品が顔そのものな男は、かなり頑丈ですわ。硬度で言えば、ダイヤより硬いミスリル。いやそれ以上のクラスですわ」
「ぉぉ~不思議金属まであるのか。流石は異世界……さて、どうしたものか」

 そう流は言うが、答えはすでに出ていた。しかしまだ準備が足りない。だから――。

「斬り込む! イルミス、援護を頼む!」
「ふふ、分かったわ千……いえ、流。ではやりますわ!」
「ふざけるなよぅ? 少しは痛い目を見せねぇとだめか、馬鹿女めぇ。喰らえ、豪腕ダイブ!!」

 黒土は両腕を限界まで広げると、短い足で飛び上がる。その姿は実にコミカルであるが、その攻撃は単純にして明解。
 あの岩のような質量で流とイルミスを押しつぶそうと、あの巨体からは信じられないような動きで斜め上から降ってくる。

 流とイルミスは左右に分かれると、お互い転がるように躱し、黒土が地面へと沈んだ瞬間斬り込む。
 まず流が右から黒土の左腕に斬りかかる。しかし流石に頑丈で弾き返される。
 イルミスも同じく斬り込むが、結果は同じように弾かれる。

「効かねぇって言ってるだろ、ボケ共があああッ!!」

 黒土は右ストレートを流に向けて放つ。それは黒いオーラのような、霧がかったモノに包まれたドス黒いパンチ。
 それが流に着弾するように、強い衝撃を放ち流を完全にとらえ、次の瞬間。

「グガアアアアアアアッ!!」

 流は悲鳴のような叫びを上げる。それは苦痛そのものであり、今にも耐えられないと言った感じで――。

 直後・流の体は胴体からくの字に折れるように「真っ二つ」に弾け飛ぶ。
 下半身と上半身が、地面と空中へと別々に飛んでいくのを、イルミスは見つめる。
 はたから見たらその信じられない光景に、声を出すことすら忘れたかのようだ。

「俺をナメた代償はデカかったなぁ小僧! いい肥料になって俺を楽しませてくれや。さてイルミス。いくら不死者とは言え、ああはなりたくは無いだろう? だから俺の言うことを――」

 それにかぶせるようにイルミスは叫ぶ。

「絶対に嫌ですわ! それに真っ二つになったのは、わたくしの下僕。つまり――」
「こっちだブサ顔。今すぐその汚ねぇツラを、こっちに向けな」
「なにっ!?」

 自分の真上から声がする。とっさに黒土はその方向を見ると、真っ二つにした男が犬歯をむき出し、怒りを刀に込めて降ってくる。
 
 流は黒土が自分へと向いた事で、一点に狙いを定める。そこは肆式の連斬で集中的に狙った場所であり、今〝鑑定眼〟で見定めた弱点だ。
 そこに流は一撃を放とうと、愛する相棒へと叫ぶのだった。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。

霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半…… まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。 そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。 そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。 だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!! しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。 ーーそれは《竜族語》 レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。 こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。 それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。 一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた…… これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。 ※30話程で完結します。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...