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第九章:奪還作戦と、国の闇
463:黒土
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イルミスは死んだような目でその手を見つめる。そして備前長船を取り出すと、速攻でその手に斬りつける。
「古廻流・壱式! 四連斬!!」
黒い筋肉質の塊のような腕に、四連斬が襲いかかる。黒土は〝ギョ〟っとっした顔をするが、直後にデカイ口を開きニヤけた。
「ばっか! 忘れたかぁ? んな業じゃ俺を止められねぇぞ!!」
黒土は四連斬を腕でハエを払うように弾くと、両手を広げて無事をアピールする。
「どうだ、俺はタフな男だろう? なぁ、イルミス。昔は悪かった。だから、な? な? いいだろ? 俺と一夜を、な?」
「死になさい、古廻り――」
「待てイルミス」
流はイルミスの前に立つと、黒土と対峙する。業を放つのをやめたイルミスは、流の背がいきなり見えたことに驚く。
「おいブサ顔。いいか、この女は俺のモノだ。お前のようなモグラには、億年早すぎる女だ。寝言は死んだあとに言え」
「おい……俺は温厚な性格だ。だからこそ、テメェの安い挑発にも乗らなかった。だが堪忍袋つーものが俺にもある。言っていい事と、悪いことの区別も出来ねぇか? アン?」
「堪忍袋ねぇ……俺もあった。が、とっくに切れてるわッ! イルミス!!」
流は背後のイルミスへと指示をするように叫ぶ。するとイルミスはそれを理解したのか、流の背後から飛び上がると、魔力を備前長船へと込めて業を放つ体勢にはいる。
同時に流もそれに呼応するように、同じ構えになり、黒土へと業を放つ!
「古廻流・肆式! 七連斬!!」
肆式――この一撃集中型の連斬は、同じ場所に叩き込む事により、相乗効果がある。
それと言うのも、インパクト式の振動ドリルや掘削機のように、「激しい振動を連続」で与えることで、その威力を底上げする。
「馬鹿め!! そんな連斬など聞かぬと何度言えば分かる!!」
余裕の表情の黒土へとイルミスは連斬を放つ。しかし肆式とは言え、硬い岩のような顔面には歯が立たない。しかし。
「俺流・肆式! 七連斬!!」
流もイルミスが放った場所へと、七連斬を放つ。その威力、イルミスと同等であり、それが七つ連続で同じ場所へと叩き込まれる。だが。
「いだだだだッ!? テメェ、もう許さねぇ。ここでぶっ殺してやる」
黒土はそう言うと、地団駄を踏む。その様子、まるで子供のようであり、見た目が不気味なのが、とても違和感だ。
「……イルミス。黒土はこんなに頑丈なのか?」
「ええ、そうですわ。この下品が顔そのものな男は、かなり頑丈ですわ。硬度で言えば、ダイヤより硬いミスリル。いやそれ以上のクラスですわ」
「ぉぉ~不思議金属まであるのか。流石は異世界……さて、どうしたものか」
そう流は言うが、答えはすでに出ていた。しかしまだ準備が足りない。だから――。
「斬り込む! イルミス、援護を頼む!」
「ふふ、分かったわ千……いえ、流。ではやりますわ!」
「ふざけるなよぅ? 少しは痛い目を見せねぇとだめか、馬鹿女めぇ。喰らえ、豪腕ダイブ!!」
黒土は両腕を限界まで広げると、短い足で飛び上がる。その姿は実にコミカルであるが、その攻撃は単純にして明解。
あの岩のような質量で流とイルミスを押しつぶそうと、あの巨体からは信じられないような動きで斜め上から降ってくる。
流とイルミスは左右に分かれると、お互い転がるように躱し、黒土が地面へと沈んだ瞬間斬り込む。
まず流が右から黒土の左腕に斬りかかる。しかし流石に頑丈で弾き返される。
イルミスも同じく斬り込むが、結果は同じように弾かれる。
「効かねぇって言ってるだろ、ボケ共があああッ!!」
黒土は右ストレートを流に向けて放つ。それは黒いオーラのような、霧がかったモノに包まれたドス黒いパンチ。
それが流に着弾するように、強い衝撃を放ち流を完全にとらえ、次の瞬間。
「グガアアアアアアアッ!!」
流は悲鳴のような叫びを上げる。それは苦痛そのものであり、今にも耐えられないと言った感じで――。
直後・流の体は胴体からくの字に折れるように「真っ二つ」に弾け飛ぶ。
下半身と上半身が、地面と空中へと別々に飛んでいくのを、イルミスは見つめる。
はたから見たらその信じられない光景に、声を出すことすら忘れたかのようだ。
「俺をナメた代償はデカかったなぁ小僧! いい肥料になって俺を楽しませてくれや。さてイルミス。いくら不死者とは言え、ああはなりたくは無いだろう? だから俺の言うことを――」
それにかぶせるようにイルミスは叫ぶ。
「絶対に嫌ですわ! それに真っ二つになったのは、わたくしの下僕。つまり――」
「こっちだブサ顔。今すぐその汚ねぇツラを、こっちに向けな」
「なにっ!?」
自分の真上から声がする。とっさに黒土はその方向を見ると、真っ二つにした男が犬歯をむき出し、怒りを刀に込めて降ってくる。
流は黒土が自分へと向いた事で、一点に狙いを定める。そこは肆式の連斬で集中的に狙った場所であり、今〝鑑定眼〟で見定めた弱点だ。
そこに流は一撃を放とうと、愛する相棒へと叫ぶのだった。
「古廻流・壱式! 四連斬!!」
黒い筋肉質の塊のような腕に、四連斬が襲いかかる。黒土は〝ギョ〟っとっした顔をするが、直後にデカイ口を開きニヤけた。
「ばっか! 忘れたかぁ? んな業じゃ俺を止められねぇぞ!!」
黒土は四連斬を腕でハエを払うように弾くと、両手を広げて無事をアピールする。
「どうだ、俺はタフな男だろう? なぁ、イルミス。昔は悪かった。だから、な? な? いいだろ? 俺と一夜を、な?」
「死になさい、古廻り――」
「待てイルミス」
流はイルミスの前に立つと、黒土と対峙する。業を放つのをやめたイルミスは、流の背がいきなり見えたことに驚く。
「おいブサ顔。いいか、この女は俺のモノだ。お前のようなモグラには、億年早すぎる女だ。寝言は死んだあとに言え」
「おい……俺は温厚な性格だ。だからこそ、テメェの安い挑発にも乗らなかった。だが堪忍袋つーものが俺にもある。言っていい事と、悪いことの区別も出来ねぇか? アン?」
「堪忍袋ねぇ……俺もあった。が、とっくに切れてるわッ! イルミス!!」
流は背後のイルミスへと指示をするように叫ぶ。するとイルミスはそれを理解したのか、流の背後から飛び上がると、魔力を備前長船へと込めて業を放つ体勢にはいる。
同時に流もそれに呼応するように、同じ構えになり、黒土へと業を放つ!
「古廻流・肆式! 七連斬!!」
肆式――この一撃集中型の連斬は、同じ場所に叩き込む事により、相乗効果がある。
それと言うのも、インパクト式の振動ドリルや掘削機のように、「激しい振動を連続」で与えることで、その威力を底上げする。
「馬鹿め!! そんな連斬など聞かぬと何度言えば分かる!!」
余裕の表情の黒土へとイルミスは連斬を放つ。しかし肆式とは言え、硬い岩のような顔面には歯が立たない。しかし。
「俺流・肆式! 七連斬!!」
流もイルミスが放った場所へと、七連斬を放つ。その威力、イルミスと同等であり、それが七つ連続で同じ場所へと叩き込まれる。だが。
「いだだだだッ!? テメェ、もう許さねぇ。ここでぶっ殺してやる」
黒土はそう言うと、地団駄を踏む。その様子、まるで子供のようであり、見た目が不気味なのが、とても違和感だ。
「……イルミス。黒土はこんなに頑丈なのか?」
「ええ、そうですわ。この下品が顔そのものな男は、かなり頑丈ですわ。硬度で言えば、ダイヤより硬いミスリル。いやそれ以上のクラスですわ」
「ぉぉ~不思議金属まであるのか。流石は異世界……さて、どうしたものか」
そう流は言うが、答えはすでに出ていた。しかしまだ準備が足りない。だから――。
「斬り込む! イルミス、援護を頼む!」
「ふふ、分かったわ千……いえ、流。ではやりますわ!」
「ふざけるなよぅ? 少しは痛い目を見せねぇとだめか、馬鹿女めぇ。喰らえ、豪腕ダイブ!!」
黒土は両腕を限界まで広げると、短い足で飛び上がる。その姿は実にコミカルであるが、その攻撃は単純にして明解。
あの岩のような質量で流とイルミスを押しつぶそうと、あの巨体からは信じられないような動きで斜め上から降ってくる。
流とイルミスは左右に分かれると、お互い転がるように躱し、黒土が地面へと沈んだ瞬間斬り込む。
まず流が右から黒土の左腕に斬りかかる。しかし流石に頑丈で弾き返される。
イルミスも同じく斬り込むが、結果は同じように弾かれる。
「効かねぇって言ってるだろ、ボケ共があああッ!!」
黒土は右ストレートを流に向けて放つ。それは黒いオーラのような、霧がかったモノに包まれたドス黒いパンチ。
それが流に着弾するように、強い衝撃を放ち流を完全にとらえ、次の瞬間。
「グガアアアアアアアッ!!」
流は悲鳴のような叫びを上げる。それは苦痛そのものであり、今にも耐えられないと言った感じで――。
直後・流の体は胴体からくの字に折れるように「真っ二つ」に弾け飛ぶ。
下半身と上半身が、地面と空中へと別々に飛んでいくのを、イルミスは見つめる。
はたから見たらその信じられない光景に、声を出すことすら忘れたかのようだ。
「俺をナメた代償はデカかったなぁ小僧! いい肥料になって俺を楽しませてくれや。さてイルミス。いくら不死者とは言え、ああはなりたくは無いだろう? だから俺の言うことを――」
それにかぶせるようにイルミスは叫ぶ。
「絶対に嫌ですわ! それに真っ二つになったのは、わたくしの下僕。つまり――」
「こっちだブサ顔。今すぐその汚ねぇツラを、こっちに向けな」
「なにっ!?」
自分の真上から声がする。とっさに黒土はその方向を見ると、真っ二つにした男が犬歯をむき出し、怒りを刀に込めて降ってくる。
流は黒土が自分へと向いた事で、一点に狙いを定める。そこは肆式の連斬で集中的に狙った場所であり、今〝鑑定眼〟で見定めた弱点だ。
そこに流は一撃を放とうと、愛する相棒へと叫ぶのだった。
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