日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第九章:奪還作戦と、国の闇

486:黒くそびえ立つ

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「よし、じゃあ行くよ! まずはこのまま小川沿いに下っていこうか」

 イルミスの右肩の上に座る中性的な妖精。外見はどちらかと言えば少女っぽいが、言動がどうも男の子みたいだ。
 衣服は水のみだが、なぜか透けていない。これもまた妖精たる力なのか? とイルミスは不思議に思いながらも、人差し指で妖精の頭を撫でる。

「あらまぁ、意外と温かいのですわ」
「くすぐったいじゃないか! そうさ、私だって生きてるんだから温かいのさ」
「不思議な感覚ですわ。人を捨て去り三百年……妖精族とは何度か会いましたけど、こんなにも近くにいると言うのも貴重すぎる体験ですわねぇ」
「貴重すぎて失神しないようにな? あ、そこの大木を右ね」

 妖精との会話を楽しみつつも、イルミスは中性的な妖精の力に驚く。

「貴方もすごい力を持っているのね。先程と同じように、森の音が聞こえないですわ」
「そりゃねぇ。全て会話が筒抜けだったら困るだろう? ま、ちょっとしたサービスだよ」

 そう言うと中性的な妖精は大きく笑う。何が面白いのかともイルミスは思ったが、不思議と自分も楽しくなる。

「あ、笑ったね? よかったよ。私は辛気臭いのが大の苦手なんだ」
「あら……そう言えば。これも貴方の力かしら?」
「うん、そう。お風呂の妖精なんて言われているけど、あそこはみんな楽しく入っている水場だろう? だから条件が重なると出てきちゃうのさ」
「そうだったんですの……。本当に貴重は体験とお話ですわ。それでこの後、どうすればよろしくて?」
「そうだねぇ。私はここの主の元まで案内するだけ。後はおじょうちゃんが決めなよ」
「さっきもそう言っていましたが、どうも重要な何かを封印しているよう。ならばここの主が作る術式は、破壊しない方がよろしくて?」
「それも決めるのはキミさぁ~。あ、そろそろつくよ。おじょうちゃんは強いから大丈夫だとは思うけど、気をしっかりと。ね?」

 中性的な妖精がそう言うと、右目を閉じてかわいらしく微笑む。
 やがて森がこれ以上進ませないように、木々が生い茂りだすが、小さな妖精が両手のひらを〝パンッ〟と合わせる。
 その小さな手からとは思えない大きな音で、イルミスの鼓膜は破けてしまう。
 耳からながれる鮮血を見て、中性的な妖精は声を上げて驚く。

「ッ…………」
「あ! ごめんね。お詫びに美味しいお水をあげるよ!」
「大丈夫ですわ。わたくしは不死者ですから、この程度秒で治りますわ。でも人間相手に、これはしちゃだめですわよ?」
「たはは、ごめんごめん。人間とこんなに一緒にいることはそうそう無いからね。でも、ほら。道は開けたよ?」

 今まで鬱蒼としていた草木や岩までもが綺麗に消え去り、見れば森の奥へと繋がる道が出来ている。

「一気に消え去りましたわね。これは凄い光景ですわ」
「でっしょ? んじゃ、行こーよ!」
「ええ、それでは行きましょうか。あの黒い大木の下へと」

 道の開けた先。そこにはよく管理されたような芝がある広場の中心に、幹も枝も葉までも、全てが漆黒の大木が生えていたのだった。
 そこへ足を踏み入れる二人。芝生へ足を踏み入れたと同時に、背後の道も消え去り、隙間が無い密林へと姿を変える。

(逃げ場が無くなりましたわね……それに空も色が変。これはLの追跡は無理そうですわ)
 じつはここまで来る間、上空からLがイルミスを見守っていた。だが、ここへと近づくに連れ、その視線が途絶えたのを感じる。
 どうやら空間そのものが、特殊な状態のようだとイルミスは考える。

 そのまま歩き、黒い大木のそばまでくると、一人の人物が木で出来たイスに座ってこちらを見ていた。
 その姿は異様とも言えるもので、下半身が草に覆われており、まるで森の一部のようだ。
 さらにその顔にイルミスは見覚えがあった。それは……。

(あの顔……そう、さっき戦ったトロールの顔そのもの。と、言うことはあの男が本体?)

 そう考えながら、油断なく男へと近づく。だが男は焦点があっていないような瞳で、イルミスを見ているのかが分からない。
 やがて男との距離が五メートルほどになると、イルミスは立ち止まる。

「ここまで案内してくれてありがとう。後は、わたくしでなんとかしますわ」
「そう? じゃあがんばってね! こっそりと見守っているからね!」
「ねぇ貴方。お名前は無いの?」
「名前はあるけれど、秘密なんだ。まぁ、あんたはいい人そうだから、そのうち教えるよ」
「そう……つぎに会えるのが楽しみね」
「そうだね、だから大丈夫だよ。じゃあ最後にさっきのお詫びと、また会えることを願って」

 そう中性的な妖精が言うと、水の羽衣をちぎりイルミスへと渡すのだった。
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みんなの感想(77件)

ヤマト
2022.03.24 ヤマト

...(;・ω・)3月もいろんな事がありました...
ひな祭り...パクパクフィーバー...
ぐでんぐでんの酔っぱらい...
ワン太郎のから揚げパクパクフィーバー...
........人( ̄ω ̄;)やめるのだ...
作っている最中にパクパク食べて
皆の分も食べちゃ駄目...
ワン太郎「ん?から揚げって何のから揚げ?
我は鶏のから揚げかな~って思ったけど
ゲソのから揚げだったワンよ?
とても歯ごたえあって何杯でもいけますわ。」
...(;・ω・)お花見のから揚げ取り合い合戦にまで追い込まれたのも言うまででもない...
...もしもし?...〆さんや?...
から揚げを取られて〆ランティス化してはいけないよ?...これが俗に言う食べ物の恨みは怖い...
と.......(ФωФ)...これでは感想ではなく只の
食いしん坊対決になってしまったモル...
( ・_・)ノΞ●~*ポイッ

2022.09.13 竹本蘭乃

てええええ!?
ヤマトさん、おひさしぶりでございます!

まさかコメントを頂いているとは思わず、大変失礼いたしました(´;ω;`)

相変わらずの楽しい二次作に、この蘭太郎めは嬉し泣きです……(マジデス)

あぁ、宴会のシーンのアレですねぇ。
本当にいつも楽しく読んでいただけたんだなぁと、今は感動しております。

骨董無双は色々と思うところがあり、途中で止めてしまいました……が。
今回、骨董無双の設定を引き継ぎ、新しく新作を公開しました。
主人公は「流」から「戦極」へと変わります。

「流」という字は、話を書いていると結構かぶるので使いにくいという反省からですが(;・∀・)

解除
ヤマト
2022.02.18 ヤマト

デンジャラス紳士こと、参..
.......(ФωФ)本当にアイツは紳士なのか?
参の兄貴は薄~いペラペラのペッペロペロの紙
.......言うなれば.......あれは使徒.......ペロペロ。
???「この馬鹿弟子がぁ~!」
布でメカを破壊する伝説のお爺様.......(ФωФ)
あれは壱.......マスターなんちゃらとかいう武器
あれは壱なのだよ.......
.......2月に入っても雪が降っている...Σ(´□`;)
う~♪寒い~♪う~♪さぶ、う~♪さぶ、
底冷えするよな寒さヨォォ~♪
ウォォォォーイ♪
.......(ФωФ)何故.......ワイは歌を歌っているのか?.......それは寒がりだからなのだよ
そして乱太郎さんも寒がりと見た!!
(ノ´∀`*)⊃お茶~≡≡≡≡旦)´3`)∴グハッ

2022.02.20 竹本蘭乃

ヤマトさんこんにちわ~
私も寒がりですねぇ……本当に冬は嫌いですねさみぃ
((((;≡д≡;i))))ヵ゙タヵ゙タ㌦㌦

マスターなんちゃらの武器とは一体!?

今月もあとわずか……。早く4月になって暖かくなってほしいものです(*´ω`*)
ヤマトさんも風邪引かないようにお過ごしくださいな🎶


PS:実はこの返信をするのが二回目だったりします……時間たってから返信すると、中身が消えてしまう仕様なんとかならんのですかいねぇ。
消えてるの分からないでそのままたってた……(ㆆωㆆ)

解除
ヤマト
2022.02.15 ヤマト

...巷で大流行しているあの...
噂の...パンデローンとかいう...魅惑の焼き菓子
...あれは先着50名様で直ぐに売り切れてしまう
極々レアな食べ物...(゜ロ゜)
見た目は今川焼に似た奴なのだが
中身は様変わりするので楽しみが増えて
うまそうな憎いあんちきしょう!(*´∀`)ノ
...だから、皆早朝に並んで行く!
...流も並んで買いに行って来たが...
残念ながら売り切れてしまったようです...
流「畜せう!(-""-;)後もう少し早ければ...
魅惑の甘味を味わえたのに~!」
ワン太郎「...そういえば..あの三兄妹もあの甘味が好きだったワンよ?」
流「うーん...特に〆はあの甘味に目が無いから
な...売り切れてしまった時はしょうがない
...他の甘味を買って行くか...」
〆があの甘味を食べる時の顔は...
...(*´ω`*)...おっと...これは乱太郎さんの想像に任せるとしよう...

2022.02.17 竹本蘭乃

パンデローン……なんという魅惑的な響き……w

そして今回のツボが「畜せう!」に決定です(ง •̀ω•́)ง✧

それにしても美味しそうな描写ですねぇ……思わず乱太郎めもよだれがじゅるる❀(*´▽`*)❀

――――

 その日〆は流からもらった赤い箱を見ながら、にやけていた。いや、そんなものじゃない。正確に言うとあまりにも嬉しすぎて、ケモ耳までぱたぱた動く。
 当然しっぽはフル回転の、もさもっさな勢いだ。

「はぅぅッ!? たまりません……本当に嬉しいこの甘い香りがもぅ💓」

 それを見た一人の男が〝ゾとした顔〟で覗き見る。

「…………キモスギやろ」

 その後、男の姿を見たものはいないのだった…………壱サラバ.°(ಗдಗ。)°.

解除

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