【完結🍺釣り無双】異世界最強の島を釣り上げると、もふもふ+虐げられた聖女×お侍=SSSランクまでHITした結果が激ヤバだった件

竹本蘭乃

文字の大きさ
22 / 109

021:おはようと信号機

しおりを挟む
 だがどう考えてもおかしい。
 なぜならMP釣の残量を考えれば、七つもの香辛料を釣り上げることなんて出来ない。

 いや、それだけじゃない。主はただ釣り上げただけじゃなく、別々に精製して小分けにしたのだ。
 本来釣り上げたものは混ざった状態で現れ、それをスキル:器用貧乏で精製する。

『だからこそ理解が出来ない……ッ! まさかスキル〝器用貧乏〟を同時に使ったというのですか!?』

 そうとしか考えられない。普通なら釣り上げれるのは素材のみ。
 だからこそ、山椒さんしょうだけを抜き去り残りは許容するはずだったのに……。

 それを完成した状態で釣り上げた。つまり、釣り上げたと同時にスキル:器用貧乏を発動させ、精製した状態の香辛料を創り出した。
 
 しかも山椒だけを抜いたのではなく、全ての素材を釣り上げ、小分けにしてしまったのだから。

『本来、こういう複雑に混じりあったものを釣り上げるには、相応のMP釣が必要です。でもたったアレだけのMP釣で釣り上げ、ここまでしてしまうとは……主、あなたは一体』

 全てのMP釣を使い果たし、それどころかマイナス域まで使った反動で気絶をした主。
 改めて思う。この少年は規格外・・・すぎるのだと。

『…………』

 静かに主の寝姿を見つめながら思う。

『まったく……会ったばかりだというのに、私をどれだけ驚かせれば気が済むのですか貴方は……それにしても〝ことわり〟はこうなる事を見越して主をこの島の開放者にしたのですかね』

 そう呟きつつ、それが確信めいたものだと感じていた。


 ◇◇◇


「んん……うるさいぞぉ~なんだってんだよ、まったく……」

 目が覚めると子狐わん太郎が俺の腹をムニュっとした肉球で〝ぽむぽむ〟と叩いていた。
 なんだか心地よく冷たい感覚に癒やされ、また眠りにつこうとしたが、若い腹の中はそれを許さない。

 そのハングリーな轟音はとどまることを知らず、強引に耳の中へとねじ込まれた。ぐるぅぅぅ~っとな。

「大和ぉ~起きるんだワン! うるさくてしかたないワンよ~!!」
「んお!? マジでうるさすぎて目が冷めた!! どんだけハラヘリの民なんだよ俺ってば。つかなんで寝ちまったんだろう?」

 むくりと上半身を起こして周囲を確認すると、相棒がふよりと浮きながら話す。

『おはようございます主。いい夕方ですね』

 言われてみるとたしかに夕暮れが近い。
 そんな物悲しくも釣りをするにはアツイ時間にゾクリとし、一瞬釣りに行こうと思ったが、流石の俺も今はメシだ。

「ハァ。一気に疲れたし、はらへったぁよ~。気絶したわけも知りたいけど今はまずはメシ! よし作るぞわん太郎!!」
「そう言うと思って、ワレがいっぱい捕まえてきたんだワン」

 わん太郎がそういいながら、短い右前足で指す方角。
 見ると瑠璃色るりいろの池に泳ぐ、三種類ほどの魚がバナナに似た葉っぱの上に十二匹乗っていた。

 あいも変わらず不気味に緑色に発光するやつ。黄色く発光するやつ。
 そして赤く発光するやつと、とても食べ物とは思えない魚ばかりだ。

「……なぁわん太郎。どうせなら光ってないのも泳いでるだろう? そっち捕まえてこいよ。信号機を食べる趣味はないんだが?」
「んぁ? だって大和はね、この臭いのがたまらなく好き・・・・・・・なのかと思ったワン」
「汚臭をおかずに白米をかき込む趣味はねぇんだが!? まぁいい、それよりも――料理開始だ!!」

 まずは魚たちを触り、その弾力性を覚えておく。
 大体の感覚を感じ取り、わん太郎へ「三枚におろしてくれ」と頼む。

 すると「わかったワン!」と言ったそばから、次々と十八センチほどの魚が三枚におろされて身と骨になる。

 本当にどうなっているのかと驚く爪さばきだが、見ると爪先に氷の刃がついていた。
 どうやらソイツで美しいまでの、鋭利な切り口に仕上がっているのだと思うと驚く。

 見惚れていると、「できたワンよ~」と気の抜けた声で教えてくれた。

「サンキュ~わん太郎。さてと……やはりいる・・、か」

 わん太郎が切り刻んだ魚の残骸の中に内蔵を発見。
 そこから這い出ている白い糸状のナニカ。
 それに心当たりがある。思わず眉をしかめながら、わん太郎へと話す。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!

花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】 《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》  天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。  キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。  一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。  キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。  辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。  辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。  国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。  リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。 ※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作    

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

処理中です...