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072:牢屋主からの手紙と暴兄帝
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◇◇◇
――次の日の朝。アリシアは今日も嫌な役を買ってでる。
「なぁ……俺が変わってやるからさ、おまえは休んでいろよ?」
「いえいいんです。私が来たことで、あの人が来たとしか思えませんから」
「んん~。でもなぁ……なぁアリシア」
「はい?」
「子供は無理しないで大人を頼っていいんだぜ?」
「ふふ。ヤマトさんが大人になったら頼らせてもらいますよ。って言うよりも、私がお姉さんなんなんだから大人なんですぅ!」
そう言うとアリシアは笑いながら去っていく。
その後姿に不安を感じるも、現状はどうしようもないと思っていると相棒が静かに話す。
『……主よ。既に気づいているかと思いますが、ゾンビ娘は何かを隠しています』
「あぁそれは分かる。けどあいつが言いたくなるまで、俺は待つよ」
『そう……ですね。それにあの娘はとても気持ちがいい』
「だな。それにどんなに闇に覆われても、必ず払うと確信できる強さがある。理由は分からないけど、そう強く思うんだ」
『ええ、私もそう思います』
海岸をエマージェと一緒に歩く姿をいつまでも見ていた。
やがて岩陰に入った所で、わん太郎が起きてきて、寝ぼけて俺の足にコツリと当たり倒れる。
四足獣なんだから後ろ足だけで立って歩くなと言いたい。
しかたないので抱っこをしつつ、わん太郎の顔を洗ってやろうと滝つぼへと向かうのだった。
◇◇◇
「ぽみょ?」
「え、そんな事ないですよ?」
「ぽみょぉ……」
「ふふ、大丈夫ですよ。心配かけちゃってごめんね」
最近ずっと一緒にいるせいか、最近愛称で呼ぶようになったエマちゃんの言葉が分かるようになった。
いえ、正確に言うと〝分かる感じがする〟かな。
ちなみにヤマトさん曰く、エマージェも愛称であり、フルネームはエマージェンシー・フードらしい。ちょっと酷い。
「今日の分はっと……うん全部あるね。エマちゃんは終わるまで遊んでいていいよ。何かあったら呼ぶからね」
「ぽ~みょ~♪」
「わぁ~どうしてあんなに足が早いのかな。おもしろいヒヨコさんだよね」
あっという間に走り去るエマちゃん。そんなほほえましい気持ちも、牢屋の彼を思だすと萎えてくる。
牢屋の前に来ると、いつも以上に鋭い視線で彼が「よう……」と言いながら私を向かえてくれた。
「食事を持ってきました。じゃあまた後出来ます」
「待てよ。そんなに嫌わないでくれや、元・聖女アリシア様よ」
その言葉でビクリとして跳ね上がる。
震える瞳で彼を見て、「やっぱり……」とつぶやく。
そう、だって私が聖女だと知らないと、これまでの彼の態度が説明出来ないのだから。
「お互い知らねぇふりをするってのも辛れぇよな。まぁアンタは俺を知らないだろうが」
「……それでなんですか?」
彼はそれ以上なにも言わず、ソッと油紙に包まれた手紙を差し出す。
受け取ると、あごをしゃくり上げ「見ろ」と一言。
嫌な予感しかしない。
けれども見ないわけには行かず、おそるおそる開封。
そして思った。
【見なければよかった、と】
酷い。あまりにも酷いよ兄上様……。
【オレのために生きていたようでなにより。よくもオレをこれまで謀ってきたものだ。聞いたぞ、お前の聖女として隠された特殊な力を。ならばお前は生きる権利を得た。その知識、死ぬまでオレのためだけに使うことを許す】
私は兄上様の道具なの? これまでも道具として頑張って来たじゃない。なのに……。
【ついでにオレの妾として囲ってもやる。娘が出来たらソイツが聖女となるだろうし、その娘もオレのために役立てて幸せだろうからな】
言っている意味が分からないよ。
私達兄弟だよ? もう兄上様が怖い、怖すぎるよ……。
【それとお前よりも重要な事がある。そうお前がいるその島――神釣島の事だ】
え? 神釣島の事まで知っているの!? 嫌な予感しかしない。この先を読むのが怖いよ……ヤマトさん……。
――次の日の朝。アリシアは今日も嫌な役を買ってでる。
「なぁ……俺が変わってやるからさ、おまえは休んでいろよ?」
「いえいいんです。私が来たことで、あの人が来たとしか思えませんから」
「んん~。でもなぁ……なぁアリシア」
「はい?」
「子供は無理しないで大人を頼っていいんだぜ?」
「ふふ。ヤマトさんが大人になったら頼らせてもらいますよ。って言うよりも、私がお姉さんなんなんだから大人なんですぅ!」
そう言うとアリシアは笑いながら去っていく。
その後姿に不安を感じるも、現状はどうしようもないと思っていると相棒が静かに話す。
『……主よ。既に気づいているかと思いますが、ゾンビ娘は何かを隠しています』
「あぁそれは分かる。けどあいつが言いたくなるまで、俺は待つよ」
『そう……ですね。それにあの娘はとても気持ちがいい』
「だな。それにどんなに闇に覆われても、必ず払うと確信できる強さがある。理由は分からないけど、そう強く思うんだ」
『ええ、私もそう思います』
海岸をエマージェと一緒に歩く姿をいつまでも見ていた。
やがて岩陰に入った所で、わん太郎が起きてきて、寝ぼけて俺の足にコツリと当たり倒れる。
四足獣なんだから後ろ足だけで立って歩くなと言いたい。
しかたないので抱っこをしつつ、わん太郎の顔を洗ってやろうと滝つぼへと向かうのだった。
◇◇◇
「ぽみょ?」
「え、そんな事ないですよ?」
「ぽみょぉ……」
「ふふ、大丈夫ですよ。心配かけちゃってごめんね」
最近ずっと一緒にいるせいか、最近愛称で呼ぶようになったエマちゃんの言葉が分かるようになった。
いえ、正確に言うと〝分かる感じがする〟かな。
ちなみにヤマトさん曰く、エマージェも愛称であり、フルネームはエマージェンシー・フードらしい。ちょっと酷い。
「今日の分はっと……うん全部あるね。エマちゃんは終わるまで遊んでいていいよ。何かあったら呼ぶからね」
「ぽ~みょ~♪」
「わぁ~どうしてあんなに足が早いのかな。おもしろいヒヨコさんだよね」
あっという間に走り去るエマちゃん。そんなほほえましい気持ちも、牢屋の彼を思だすと萎えてくる。
牢屋の前に来ると、いつも以上に鋭い視線で彼が「よう……」と言いながら私を向かえてくれた。
「食事を持ってきました。じゃあまた後出来ます」
「待てよ。そんなに嫌わないでくれや、元・聖女アリシア様よ」
その言葉でビクリとして跳ね上がる。
震える瞳で彼を見て、「やっぱり……」とつぶやく。
そう、だって私が聖女だと知らないと、これまでの彼の態度が説明出来ないのだから。
「お互い知らねぇふりをするってのも辛れぇよな。まぁアンタは俺を知らないだろうが」
「……それでなんですか?」
彼はそれ以上なにも言わず、ソッと油紙に包まれた手紙を差し出す。
受け取ると、あごをしゃくり上げ「見ろ」と一言。
嫌な予感しかしない。
けれども見ないわけには行かず、おそるおそる開封。
そして思った。
【見なければよかった、と】
酷い。あまりにも酷いよ兄上様……。
【オレのために生きていたようでなにより。よくもオレをこれまで謀ってきたものだ。聞いたぞ、お前の聖女として隠された特殊な力を。ならばお前は生きる権利を得た。その知識、死ぬまでオレのためだけに使うことを許す】
私は兄上様の道具なの? これまでも道具として頑張って来たじゃない。なのに……。
【ついでにオレの妾として囲ってもやる。娘が出来たらソイツが聖女となるだろうし、その娘もオレのために役立てて幸せだろうからな】
言っている意味が分からないよ。
私達兄弟だよ? もう兄上様が怖い、怖すぎるよ……。
【それとお前よりも重要な事がある。そうお前がいるその島――神釣島の事だ】
え? 神釣島の事まで知っているの!? 嫌な予感しかしない。この先を読むのが怖いよ……ヤマトさん……。
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