【完結🍺釣り無双】異世界最強の島を釣り上げると、もふもふ+虐げられた聖女×お侍=SSSランクまでHITした結果が激ヤバだった件

竹本蘭乃

文字の大きさ
107 / 109

103:夜明けのごみ掃除

しおりを挟む


 ◇◇◇
  ◇


 ――同時刻。旗艦から脱出したヤマトたちは、まだかろうじて船の役割を果たす一隻に飛び移っていた。

 冗談みたいに白銀帝に飲み込まれた堕天使群はすでになく、アリシアがゲスダーと離れ神の力が消失した事で、ヘヴンズ・ゲートも消え去った。

 消えた堕天使と門があった場所を、呆然と見上げる帝国兵たち。
 それにアリシアは大声で呼びかける。

「みなさん聞いてください! 兄はここにいる青髪の彼――神釣島の主に敗北しました!」

 その宣言で、海上をただよう兵士達は自然と口からおとぎ話を語る。

「や……やっぱりおとぎ話は本当だったんだ……」
「あぁ。俺らはなんてものに手を出そうとしていたんだ……」

 アリシアは少し間を開けて、演説を再開する。

「そうです! この島は私達がおいそれと、手を出してよい場所ではありません! だからこそ、皇帝と自称する兄は敗れ去ったのです!!」

 どよめきが一斉に広がり、その中でまた続ける。

「もう一度言います! 悪逆な兄は敗れ去った。だからもうこの戦は無意味です! この事実を今すぐ帝都へ持ち帰り、ニ度とこの島へ侵攻する事は許しません!! この大聖女・アリシア・フォン・アスガルドの名の下に、神釣島は慈愛の女神の休息場へと認定します!!」

 その瞬間だった。
 天高く鐘の音がひびきき渡り、無数の色とりどりの花びらが降り注ぐ。
 さらに優しい虹色の雨がふりそそぎ、負傷兵たちを癒やす。

 その奇跡に兵士たちは湧き上がり、これまでの事を思い出す。

「傷が治った?! こ、これもアリシア様のお力……俺たちはなんて事を……」
「あぁ。それに今生きていられるのも、あのガキ。いや、奇跡の島の主が俺らを守ってくれたからだ」

 兵士たちは口々にそう言うと、ふよふよと飛ぶヒヨコと、その上に乗っている子狐を見上げる。
 なぜか得意げに、ふんぞり返る子狐は「われを崇めるんだわん!」と言っているようだ。

 それに湧き上がる子狐崇拝者と、ヒヨコ崇拝者。
 さらにこの奇跡をまのあたりにした事で、アリシアへ泣き詫びる者が多数現れ、アリシアコールが起こる。

 色々とスゴイ光景に、さすがの俺もびびりアリシアと話す。

「すげぇ……なんだよこれ? 傷が治る雨とか、やっぱり女神様てやつかアリシア?」
「はい。私も驚きましたが、慈愛の女神様が本当に神釣島を聖域に認定されたようです……自分でお願いしておきながら、信じられないです……」

 それに相棒が苦々しく話す。

『何が聖域ですか。ここはもとより主の島。それをしゃしゃり出て生意気な』
「あぅ!? そ、そのごめんなさいロッドマンさん」
『あぁ、ゾンビ娘を責めているわけじゃないですよ。ねぇ主?』
「そうだぞアリシア。勝手に俺の島にツバつけた女神が悪い」

 そう言っていると、空からわん太郎たちが降りてきて、何やら焦っている。なんだ?

「大和ぉ! 大変だわん、ゲス天使が居た船が向かってくるんだワン!!」
「あん? うわぁ……キモすぎるだろあれ」

 見れば触手になった色々なモノを振り回しながら、こっちへと向かって来ていた。
 どうやら向こうので喰い付くし、今度はこっちへ目をつけたらしい。

『やれやれ。あれで神とは恐れ入りますな』
「ちがいない。さてと……サクっと片付けて帰ろうぜ?」

 全員がうなずくのを確認し、腹いっぱいになったのか洋上にぷかりと浮かぶ白銀のクジラへと命ずる。

「おい白銀帝! デザートは好きか? あぁ返事はいい。ほら、珍味クラスのデザートを食わせてやるから――――行ってこおおおおおおおい!!」

 大きい丸い瞳をさらに大きくして驚く白銀帝。
 抗議するように「ブモオオオオ!?」と叫びながら、釣り竿・星座のリール・黄金のルアーのゴッズ・三兄弟で強化された俺にぶん投げられる。

 恨みがましい声とは裏腹に、でかい口を開き巨大戦艦を一口で呑み込み、そのままゴクリと消化する。
 
 あまりの豪快さに兵士たちを始め、やった俺ですら驚くが、白銀帝はなんの事もないように一つゲフリと息を吐き、静かに着水した。どうなってんだ色々と?

「なにはともあれヨシ! あとは……っと」

 ゴッド・ルアーを手元へと戻し、建築用の虎色のルアーへと変える。
 それを勢いよく海面へと投げ込み、周囲に浮く木材を集めて、ボロボロの船を補修。

 ついでに色々としばり、簡単なイカダも作りこの船へと縛り付けた。

「これでコイツらも国へ帰れるだろう。オイ! おまえら!! 今回は助けてやるけど、二度目はないからな? 分かったらもう来るんじゃないぞ!?」

 見たことがない魔法に、驚き、畏怖し、すべての兵士達が高速で頷く。
 その様子を見て、アリシアがこちらへと向くと、深々と頭をさげて「私ばかりか皆さんを助けてくれて、本当にありがとう」という。

「あぁ~なんだ。おまえを助けるついでだよ。それに子供が悲しむ顔は見たくないからな」

 そういいながらどうにも照れくさい。
 だから背中を向けて海の向こうを見ていると、「私がお姉さんなんですからね?」とアリシアは嬉しそうに話すのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

過労死して転生したら『万能農具』を授かったので、辺境でスローライフを始めたら、聖獣やエルフ、王女様まで集まってきて国ごと救うことになりました

黒崎隼人
ファンタジー
過労の果てに命を落とした青年が転生したのは、痩せた土地が広がる辺境の村。彼に与えられたのは『万能農具』という一見地味なチート能力だった。しかしその力は寂れた村を豊かな楽園へと変え、心優しきエルフや商才に長けた獣人、そして国の未来を憂う王女といった、かけがえのない仲間たちとの絆を育んでいく。 これは一本のクワから始まる、食と笑い、もふもふに満ちた心温まる異世界農業ファンタジー。やがて一人の男のささやかな願いが、国さえも救う大きな奇跡を呼び起こす物語。

ゴミスキル【生態鑑定】で追放された俺、実は動物や神獣の心が分かる最強能力だったので、もふもふ達と辺境で幸せなスローライフを送る

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティの一員だったカイは、魔物の名前しか分からない【生態鑑定】スキルが原因で「役立たず」の烙印を押され、仲間から追放されてしまう。全てを失い、絶望の中でたどり着いた辺境の森。そこで彼は、自身のスキルが動物や魔物の「心」と意思疎通できる、唯一無二の能力であることに気づく。 森ウサギに衣食住を学び、神獣フェンリルやエンシェントドラゴンと友となり、もふもふな仲間たちに囲まれて、カイの穏やかなスローライフが始まった。彼が作る料理は魔物さえも惹きつけ、何気なく作った道具は「聖者の遺物」として王都を揺るがす。 一方、カイを失った勇者パーティは凋落の一途をたどっていた。自分たちの過ちに気づき、カイを連れ戻そうとする彼ら。しかし、カイの居場所は、もはやそこにはなかった。 これは、一人の心優しき青年が、大切な仲間たちと穏やかな日常を守るため、やがて伝説の「森の聖者」となる、心温まるスローライフファンタジー。

スキル『農業』はゴミだと追放されたが、実は植物の遺伝子を書き換える神スキル【神農】でした。荒野を楽園に変えて異世界万博を開催します!

黒崎隼人
ファンタジー
「そのスキル『農業』?剣も魔法も使えないクズはいらん、失せろ!」 勇者召喚に巻き込まれて異世界へ転生した植物オタクの青年カイルは、地味なスキルを理由に王都を追放され、死の荒野へと捨てられた。 しかし、誰も知らなかったのだ。 彼のスキルが、ただの農業ではなく、植物の遺伝子さえ書き換え、不毛の大地を瞬く間に聖域に変える神の力【神農】であることを。 荒野を一瞬で緑豊かな楽園に変えたカイルは、伝説の魔獣フェンリルを餌付けして相棒にし、傷ついた亡国の美姫ソフィアを助け出し、自由気ままなスローライフを開始する。 やがて彼が育てた作物は「エリクサーより効く」と評判になり、その噂を聞きつけた商人によって、彼の領地で世界規模の祭典――『異世界万博』が開催されることに!? 一方、カイルを追放した王国は深刻な食糧難に陥り、没落の一途をたどっていた。 「今さら戻れと言われても、この野菜は全部、俺とソフィアのとフェンのものですから」 最強の農民が送る、世界を揺るがす大逆転・万博ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...