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第一章 のんびり異世界ライフをおくれるんじゃなかったのか
1-3 夢の同棲生活
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「いつまで寝てるの。早く起きなさい」
僕はいつの間にか眠っていたのか、昨日と同じ黒のワンピースを着たフェイに起こされた。
つい、立ち上がろうとしてしまい、慌てて僕は布団を掛けて横になった。
「あら、小さい粗チンだと思っていたけど、ちゃんとそれなりの大きさになるのね」
朝立ちしているのを、しっかり見られた。
「なにか服の様なもの借りることはできませんか?」
「今日、買い出しに行くので、健斗の服も買ってくるつもりだけど、今日はそれで我慢して」
彼女の視線の先に、服と下着が畳んであった。下着は、昨晩彼女がきていた黒のスパッツだ。
彼女が台所に向うとすぐに、それを着たが、いつの間にか振り向いていて、またもしっかりみられた。
服はだぶだぶの黒い七分袖のシャツ。ズボンがなく、シャツの丈が短いので、パンツが丸見えだ。
今日の食事は、ハッシュドポテトの様なジャガイモを焼き固めたガレットが主食で、煮たタニシが添えてある目玉焼きと、野草のサラダと、大根スープと、十センチにも満たない川魚の焼きもの。
昨日とは打って変わって、ちゃんとした朝食がテーブルに並んでいて、濃い味付けで、なかなかの味だった。正直にいうと、かなり美味しい。
「そうそう、ここで生活してもらう以上、しっかりと働いてもらいますからね。今日は、とりあえず薪割りと、治癒薬の材料集めをしてもらいますから」
仕事は当然の義務だが、焼き魚の骨を残そうとすると、骨ごと食べなさいと怒られた。
美人だけど、かなり怖い人だ。
仕方なく骨ごと食べたけど、小魚とはいえ、魚の骨を食べるなんて嫌で仕方がない。
小屋を出ると、日差しが刺すように強かった。夜は暖炉が必要な程寒いのに、昼は真夏の様な日差しで、変な世界だ。
彼女の話だと、この辺は、季節変化がほとんどなく、一年中、昼は暑く、夜は寒い天候なんだとか。
僕のいた世界は、四季があり、夏は夜でも熱帯夜で、冬は昼間でも凍える程寒いと話したら、驚いていた。
因みに、小屋を出てすぐ左に、釣瓶式井戸と、小さな小屋があり、その小屋がお風呂場なんだとか。
辺りは雑草が一面に生えているが、その反対側、小屋をでて右側は、綺麗に雑草除去されていて、かなり広い畑になっている。白菜のようなものや、トマトやナス、キュウリなんかも育てていて、野菜は自給自足で賄っているみたいだ。
正面には、獣道のような雑草を踏み固めた小道ができていて、その道沿いに歩くと、更に二手に道が分かれていた。左に行くと、プリッツという街に繋がる街道にでるのだそう。今日は右に進んだ。
暫く歩くと、獣道すら分からなくなり、雑草が生い茂る林の様な所にでた。蚊の様な虫が沢山いるが、ここは木々が沢山あるからか、少しひんやりして涼しい。
そこで、早速、ここに生えている有用な薬草についての知識と、目的の薬草の見分け方を教えてもらった。
この場所には、沢山の薬草が生えているが、良く使うのは三種類。毒消し製作に使う薬草二種類と、治癒薬用の一種類だ。
今日は、治癒薬用の薬草を集めるという話で、プリッツセンキュウという薬草の見分け方を教わった。
同じようなセリ科植物が沢山はえているので、間違いやすい。
茎に白い筋があるのが特徴なのと、葉が少し硬く、折ると独特の匂いがするので見分けられる。
採取するのは、その根の部分だけで、籠一杯に集める様に言われた。
そして、更に少し森の奥に入ると、さっと逃げるトカゲの様な小動物がいた。カナトコという動物なのだそうで、これも治癒薬作りに欠かせない材料なんだとか。
生きている必要はないから、十匹集めろと言われた。
そして、昼飯だといって弁当なのか四角い包を渡し、彼女は僕をそこに置き去りにしていなくなった。
おそらく街に買い出しに出かけたのだろう。
薬草集めは、掘り出して根だけにするので、かなり大変な作業だったが、それでも三時間ほどで籠一杯に集めることができた。でも、トカゲはなかなか捕まらない。運動神経が鈍い僕に、追いかけっこは向かず、必ず逃げられてしまう。
そこで、トカゲを捕獲するトラップを作成し、それを仕掛けて、捕まえることにした。
上手く作動したが、逃げられてしまい、新たな工夫を凝らして改良し、漸く一匹捕まえることができた。
その後もこうすればよりよくなるという改良をして、昼飯前までに二匹を捕まえることができた。
昼のお弁当は、麦飯に、タニシの煮つけとへちまの漬物と今朝の川魚だったが、やはり骨は僕には食べられない。
魚の身の部分だけ食べて、骨は綺麗に残した。
お弁当箱に骨を残しておくと、後で怒られる気がしたので、土の中に埋めて、証拠をかくした。
それからも順調にトカゲを捕まえることができ、三時過ぎには目標の十匹を捕まえることができた。
フェイはまだ帰ってこなかったこともあり、トカゲ取りの途中で見つけた野兎を捕まえることにした。
トカゲ取り罠とは、全く別の仕掛けになり、足にロープの輪を掛けるという仕掛けになるが、なかなかうまくいかない。四回目の改良をして、仕掛けて、物陰に隠れて兎かかかるのをまっていると、「健斗、どこ」とフェイが呼ぶ声がした。
僕が、急いで駆け寄ろうとした時、バサッと罠が発動した音がして、兎が中吊りになっていた。
「ここにいたの。あっ、兎。罠を作ったのね。凄いじゃない」
フェイから、褒めてもらい嬉しかった。
彼女は、早速兎をナイフで捌いて、血抜きを始めたが、グロテスクで僕には見ていられなかった。
この世界の女性は逞しいと感心させられた。
内臓も、煮込みにするとおいしいのだそうで、捨てずに近くの小川に行き、それを丁寧に洗った。
この少し先の上流に、僕が川に浸かったまま倒れていたのだそう。
何か覚えているかと聞かれたが、やはり全く覚えていない。
この川の向こう側は、魔族の領地だそうで、怖い魔物が沢山いるので、決して川を超えてはならないと注意された。
小屋に戻ると、僕の下着と服が置いてあった。
下着は似たようなものだが、やはり男性と女性とでは前後の膨らみが違い、男性用のパンツの方がしっくりくる。
ズボンは普通のジーンズの様な厚手の布製だが、服はTシャツのようものと、皮製のジャケットで、ジャケットは腹部と胸部とを太い革帯で繋ぐ少し独特な衣装だった。
「丁度いいサイズね。凄く似合ってる」 少し照れ臭い。
その後、フェイは料理を始め、僕は生まれて初めての薪割りに挑戦した。
斧なんて持ったことがなく、なかなか難しかったが、薪に軽く斧を刺して、その薪ごと斧を振りかぶって振り下せば両断できる。
コツを覚えると、簡単に薪を作れるようになった。
その後は、「今日はお風呂を沸かすから」と、お風呂の準備。
井戸水をくみ上げては、浴槽である大釜に水を灌ぐを延々とくりかえすことになった。
今日の肉体労働だけで身体は筋肉痛で悲鳴を上げ、手の肉刺が破けて痛み、最悪だった。
夕食は、街で買って来たパンと、兎の内臓の煮込み、兎肉のステーキに、サラダと豪勢な料理で、味付けも最高。「若いんだから沢山食べなさい」とパンを何個もお代わりして、お腹いっぱい食べることができた。
そしてお風呂を沸かすことになったが、初めて魔法と言うのを見た。彼女は魔法の才能がないというが、ガスバーナー位の火力の青い炎を指先から出せ、あっと今に小さな枝が燃え始め、薪にも火が付いた。
彼女によれば、僕にも彼女と同程度の魔法適正があるという話で、僕にもその魔法を教えてくれたが、全く魔法の炎が出てくれない。身体の魔力を感じ取って、指先から絞り出すようにするのがコツらしいけど、かなりの修行を積まないと使えるようにはならないらしい。
一番風呂を勧められたが、居候が最初に浸かるのも気が引けて辞退し、フェイに入ってもらって、僕がお湯の温度調整係をした。が、今、フェイが入浴していると考えるだけで興奮してしまう。
いけないと分かっていたが、じゃぶんとお湯からでる音が聞こえ、身体を洗い始めた様な気配がしたので、僕は立ち上がって、板張りの窓格子の隙間から、そっと中をのぞいた。
ランタンの薄明りに照らされた後ろ姿は、とても美しい。肩とお尻が大きく、ウエストぎゅっと締まった砂時計の様な丸みを帯びたウェーブ体系で白い肌が本当に綺麗だ。
少し横を向くと、胸のふくらみも見え、両手を上げて髪の毛を洗う時は、常に乳房の膨らみが見え、堪らない。
髪の毛をそろそろ洗い終わると思われるタイミングで、僕は再び腰を屈め、薪をくべ、覗きをしていたことを知られないようにした。
お風呂上りのフェイも顔が赤く火照っていて、なんとも色っぼかったが、今度は僕が五右衛門風呂を使わせてもらった。金属の風呂釜なので、直接足を付けると火傷するため、浮かんでいる木製すのこの上に乗って、それを沈めて入る。説明を聞いた時は、難しい気がしたが、実際にやってみると簡単にできた。
お風呂上りも、作業が待っていた。薬草の根やトカゲを擂り粉木棒で、細かく潰し、鍋でぐつぐつ煮るのだ。
そして、煮込んだ液をガーゼで濾し、そこに秘密の粉を少し混ぜて攪拌させると、治療薬ができる。
このまま冷やして、明日の朝、小瓶に詰めれば、市販品の治癒薬の完成となる。
今日の作業は、すり鉢や棒、ガーゼを綺麗に洗って、干すところまでしないと終わりにならない。
今日は、いつもの五倍量を作ったそうだが、毎日、こんな手間を掛けて作っているのかと感心した。
翌日も治癒薬の材料集めをしたが、今日は二人なので、効率がいい。カナトコ罠も凄い発明ねと褒めてもらえ、昼までに、今日の目標を達成できた。
その間、異世界の文明や生活等を訊かれて話し、二人はどんどん仲良くなっていった。
昼飯の時は、彼女の話を訊かせてもらった。
彼女は赤ん坊の時、この家の玄関先に捨てられていたのだそう。当時は、六十歳の月の魔女と呼ばれる魔法使いの老婆が住んでいて、彼女が母代わりになり育ててくれたのだとか。
学校にも通ったことがなく、知識は本で吸収し、魔法等も教わった。
だが、彼女には魔法の才がないので、基本魔法の習得すら難しく、それ以上は無理だと中級以上の魔法は教えてもらえなかったのだそう。
代わりに、薬作りを、小さい頃から叩き込まれた。今は、月の魔女の全ての秘薬の知識を引き継いでいて、この世界で数人しか作れない秘薬すら作れるのだと自慢していた。
だが、そんな高価な薬の需要は皆無。年に数回、媚薬の注文があるだけなんだとか。
需要があるのは、冒険者に必須の治癒薬と万能毒消し。他には痛み止めや、便秘薬、風邪薬等の注文が月に一、二回あるだけで、生活は苦しいという話だ。
その月の魔女の養母も、十三年前、彼女が十九歳の時に死に、その後、街にでて、いろいろな仕事をして働いたらしい。事務員、介護士、女給、売店員、絵画のモデル、ホステス等多種多様な仕事についた。
薬を売るよりお金が稼げ、貯金までできて贅沢できるようになったが、五年前に酷い目に遭い、お金を全て取られ、無一文になった。
それが切っ掛けでここに戻り、それからは一人で、調剤師をやっているのだとか。
なにがあったのかは教えてもらえなかったが、よっぽどの事があったのは間違いない。
その日は、時間もあったので、毒消しの材料集めもした。
薬草は午前中にフェイが集めてあったので、毒を中和する原液となる毒をもつ動物の採取をする。毒蛇、毒蠍、毒蛙、毒虫、蜂等、一匹ずつ集めていく。
危険だからと、採取はフェイが行ったが、蜂には僕も追いかけ回され、何カ所も刺されて大変な目のあった。
小屋に戻ると、早速、その毒袋を取り出し、毒を希釈してネズミに注射する。毒で死ぬネズミもいるそうだが、生き残ったネズミには抗体ができている。そのネズミに更に二回目、三回目と注射することで、その毒により強い抗体ができ、そのネズミから採血し、毒消しの元となる血清ができる。
万能毒消しは、そのいろんな種類の血清を一滴ずつ、毒消し培養液に注いで寝かせて作るのだ。
今回使用する血清は、昔作ってあったものを使い、今日は、万能毒消しも作った。
三日目の午後は、川でタニシの様な貝を集めや魚釣りを行い、四日目は、野鳥用のトラップを作って、鳥を捕まえた。
フェイも、僕がいるとおかずが充実すると喜んでくれ、すっかり恋人同士になってる。
この異世界にそのままの姿で転生してもらえ、彼女に出会えて本当に良かったと女神に感謝した。
その四日目の夜も、お風呂を沸かして入ったが、今回は急に振り向いてきて、覗きがバレてしまった。
「こんな小母さんの裸を覗きたがるなんて、もしかして童貞?」
「違います」 見栄を張った。
「どっちでも、いいわ。薪をくべたら、こっちに来なさい。させてあげるから」
年上のお姉さんは、僕の気持ちを察してくれるから、本当に最高だ。ついに童貞卒業できる。
どれくらいくべたらいいのか分からなかったが、適当に放り込んで、脱衣所に急いだ。
籠は一つしかないので、棚にそのまま脱いだ服を置いて、浴室にはいったら、「冗談でからかっただけなのに、本当に来たの」と呆れられてしまった。
「でもいいわ。こっちにいらっしゃい。洗ってあげる」
ついに正面から、彼女の裸を拝んでしまった。しかも、石鹸まみれの手で、アソコを触ってもらえた。
「凄く硬いのね。健斗も触ってもいいわよ」
女性に擦ってもらえるだけでも大興奮なのに、ついに夢にまで見た生乳房に触れる。
そう思って、ゆっくりと手を伸ばしたところで、僕は限界になっていて、耐えられなかった。
「もう。こんなに早漏だとは思わなかった。ハイ御終い。出してもらえただけでも感謝しないさい」
そう言って、彼女は五右衛門風呂にはいってしまったが、しっかりアソコも拝むことができた。
「いったいどれだけ薪をくべたの。熱過ぎよ」
文句を言われ、僕が頭を洗い始めると、さっと浴室から出て行ってしまった。
お風呂は確かにかなり熱く、童貞卒業はできずに終わったが、大きな前進。
彼女も満更ではなかったみたいだし、近いうちに童貞卒業できると喜んだ。
僕はいつの間にか眠っていたのか、昨日と同じ黒のワンピースを着たフェイに起こされた。
つい、立ち上がろうとしてしまい、慌てて僕は布団を掛けて横になった。
「あら、小さい粗チンだと思っていたけど、ちゃんとそれなりの大きさになるのね」
朝立ちしているのを、しっかり見られた。
「なにか服の様なもの借りることはできませんか?」
「今日、買い出しに行くので、健斗の服も買ってくるつもりだけど、今日はそれで我慢して」
彼女の視線の先に、服と下着が畳んであった。下着は、昨晩彼女がきていた黒のスパッツだ。
彼女が台所に向うとすぐに、それを着たが、いつの間にか振り向いていて、またもしっかりみられた。
服はだぶだぶの黒い七分袖のシャツ。ズボンがなく、シャツの丈が短いので、パンツが丸見えだ。
今日の食事は、ハッシュドポテトの様なジャガイモを焼き固めたガレットが主食で、煮たタニシが添えてある目玉焼きと、野草のサラダと、大根スープと、十センチにも満たない川魚の焼きもの。
昨日とは打って変わって、ちゃんとした朝食がテーブルに並んでいて、濃い味付けで、なかなかの味だった。正直にいうと、かなり美味しい。
「そうそう、ここで生活してもらう以上、しっかりと働いてもらいますからね。今日は、とりあえず薪割りと、治癒薬の材料集めをしてもらいますから」
仕事は当然の義務だが、焼き魚の骨を残そうとすると、骨ごと食べなさいと怒られた。
美人だけど、かなり怖い人だ。
仕方なく骨ごと食べたけど、小魚とはいえ、魚の骨を食べるなんて嫌で仕方がない。
小屋を出ると、日差しが刺すように強かった。夜は暖炉が必要な程寒いのに、昼は真夏の様な日差しで、変な世界だ。
彼女の話だと、この辺は、季節変化がほとんどなく、一年中、昼は暑く、夜は寒い天候なんだとか。
僕のいた世界は、四季があり、夏は夜でも熱帯夜で、冬は昼間でも凍える程寒いと話したら、驚いていた。
因みに、小屋を出てすぐ左に、釣瓶式井戸と、小さな小屋があり、その小屋がお風呂場なんだとか。
辺りは雑草が一面に生えているが、その反対側、小屋をでて右側は、綺麗に雑草除去されていて、かなり広い畑になっている。白菜のようなものや、トマトやナス、キュウリなんかも育てていて、野菜は自給自足で賄っているみたいだ。
正面には、獣道のような雑草を踏み固めた小道ができていて、その道沿いに歩くと、更に二手に道が分かれていた。左に行くと、プリッツという街に繋がる街道にでるのだそう。今日は右に進んだ。
暫く歩くと、獣道すら分からなくなり、雑草が生い茂る林の様な所にでた。蚊の様な虫が沢山いるが、ここは木々が沢山あるからか、少しひんやりして涼しい。
そこで、早速、ここに生えている有用な薬草についての知識と、目的の薬草の見分け方を教えてもらった。
この場所には、沢山の薬草が生えているが、良く使うのは三種類。毒消し製作に使う薬草二種類と、治癒薬用の一種類だ。
今日は、治癒薬用の薬草を集めるという話で、プリッツセンキュウという薬草の見分け方を教わった。
同じようなセリ科植物が沢山はえているので、間違いやすい。
茎に白い筋があるのが特徴なのと、葉が少し硬く、折ると独特の匂いがするので見分けられる。
採取するのは、その根の部分だけで、籠一杯に集める様に言われた。
そして、更に少し森の奥に入ると、さっと逃げるトカゲの様な小動物がいた。カナトコという動物なのだそうで、これも治癒薬作りに欠かせない材料なんだとか。
生きている必要はないから、十匹集めろと言われた。
そして、昼飯だといって弁当なのか四角い包を渡し、彼女は僕をそこに置き去りにしていなくなった。
おそらく街に買い出しに出かけたのだろう。
薬草集めは、掘り出して根だけにするので、かなり大変な作業だったが、それでも三時間ほどで籠一杯に集めることができた。でも、トカゲはなかなか捕まらない。運動神経が鈍い僕に、追いかけっこは向かず、必ず逃げられてしまう。
そこで、トカゲを捕獲するトラップを作成し、それを仕掛けて、捕まえることにした。
上手く作動したが、逃げられてしまい、新たな工夫を凝らして改良し、漸く一匹捕まえることができた。
その後もこうすればよりよくなるという改良をして、昼飯前までに二匹を捕まえることができた。
昼のお弁当は、麦飯に、タニシの煮つけとへちまの漬物と今朝の川魚だったが、やはり骨は僕には食べられない。
魚の身の部分だけ食べて、骨は綺麗に残した。
お弁当箱に骨を残しておくと、後で怒られる気がしたので、土の中に埋めて、証拠をかくした。
それからも順調にトカゲを捕まえることができ、三時過ぎには目標の十匹を捕まえることができた。
フェイはまだ帰ってこなかったこともあり、トカゲ取りの途中で見つけた野兎を捕まえることにした。
トカゲ取り罠とは、全く別の仕掛けになり、足にロープの輪を掛けるという仕掛けになるが、なかなかうまくいかない。四回目の改良をして、仕掛けて、物陰に隠れて兎かかかるのをまっていると、「健斗、どこ」とフェイが呼ぶ声がした。
僕が、急いで駆け寄ろうとした時、バサッと罠が発動した音がして、兎が中吊りになっていた。
「ここにいたの。あっ、兎。罠を作ったのね。凄いじゃない」
フェイから、褒めてもらい嬉しかった。
彼女は、早速兎をナイフで捌いて、血抜きを始めたが、グロテスクで僕には見ていられなかった。
この世界の女性は逞しいと感心させられた。
内臓も、煮込みにするとおいしいのだそうで、捨てずに近くの小川に行き、それを丁寧に洗った。
この少し先の上流に、僕が川に浸かったまま倒れていたのだそう。
何か覚えているかと聞かれたが、やはり全く覚えていない。
この川の向こう側は、魔族の領地だそうで、怖い魔物が沢山いるので、決して川を超えてはならないと注意された。
小屋に戻ると、僕の下着と服が置いてあった。
下着は似たようなものだが、やはり男性と女性とでは前後の膨らみが違い、男性用のパンツの方がしっくりくる。
ズボンは普通のジーンズの様な厚手の布製だが、服はTシャツのようものと、皮製のジャケットで、ジャケットは腹部と胸部とを太い革帯で繋ぐ少し独特な衣装だった。
「丁度いいサイズね。凄く似合ってる」 少し照れ臭い。
その後、フェイは料理を始め、僕は生まれて初めての薪割りに挑戦した。
斧なんて持ったことがなく、なかなか難しかったが、薪に軽く斧を刺して、その薪ごと斧を振りかぶって振り下せば両断できる。
コツを覚えると、簡単に薪を作れるようになった。
その後は、「今日はお風呂を沸かすから」と、お風呂の準備。
井戸水をくみ上げては、浴槽である大釜に水を灌ぐを延々とくりかえすことになった。
今日の肉体労働だけで身体は筋肉痛で悲鳴を上げ、手の肉刺が破けて痛み、最悪だった。
夕食は、街で買って来たパンと、兎の内臓の煮込み、兎肉のステーキに、サラダと豪勢な料理で、味付けも最高。「若いんだから沢山食べなさい」とパンを何個もお代わりして、お腹いっぱい食べることができた。
そしてお風呂を沸かすことになったが、初めて魔法と言うのを見た。彼女は魔法の才能がないというが、ガスバーナー位の火力の青い炎を指先から出せ、あっと今に小さな枝が燃え始め、薪にも火が付いた。
彼女によれば、僕にも彼女と同程度の魔法適正があるという話で、僕にもその魔法を教えてくれたが、全く魔法の炎が出てくれない。身体の魔力を感じ取って、指先から絞り出すようにするのがコツらしいけど、かなりの修行を積まないと使えるようにはならないらしい。
一番風呂を勧められたが、居候が最初に浸かるのも気が引けて辞退し、フェイに入ってもらって、僕がお湯の温度調整係をした。が、今、フェイが入浴していると考えるだけで興奮してしまう。
いけないと分かっていたが、じゃぶんとお湯からでる音が聞こえ、身体を洗い始めた様な気配がしたので、僕は立ち上がって、板張りの窓格子の隙間から、そっと中をのぞいた。
ランタンの薄明りに照らされた後ろ姿は、とても美しい。肩とお尻が大きく、ウエストぎゅっと締まった砂時計の様な丸みを帯びたウェーブ体系で白い肌が本当に綺麗だ。
少し横を向くと、胸のふくらみも見え、両手を上げて髪の毛を洗う時は、常に乳房の膨らみが見え、堪らない。
髪の毛をそろそろ洗い終わると思われるタイミングで、僕は再び腰を屈め、薪をくべ、覗きをしていたことを知られないようにした。
お風呂上りのフェイも顔が赤く火照っていて、なんとも色っぼかったが、今度は僕が五右衛門風呂を使わせてもらった。金属の風呂釜なので、直接足を付けると火傷するため、浮かんでいる木製すのこの上に乗って、それを沈めて入る。説明を聞いた時は、難しい気がしたが、実際にやってみると簡単にできた。
お風呂上りも、作業が待っていた。薬草の根やトカゲを擂り粉木棒で、細かく潰し、鍋でぐつぐつ煮るのだ。
そして、煮込んだ液をガーゼで濾し、そこに秘密の粉を少し混ぜて攪拌させると、治療薬ができる。
このまま冷やして、明日の朝、小瓶に詰めれば、市販品の治癒薬の完成となる。
今日の作業は、すり鉢や棒、ガーゼを綺麗に洗って、干すところまでしないと終わりにならない。
今日は、いつもの五倍量を作ったそうだが、毎日、こんな手間を掛けて作っているのかと感心した。
翌日も治癒薬の材料集めをしたが、今日は二人なので、効率がいい。カナトコ罠も凄い発明ねと褒めてもらえ、昼までに、今日の目標を達成できた。
その間、異世界の文明や生活等を訊かれて話し、二人はどんどん仲良くなっていった。
昼飯の時は、彼女の話を訊かせてもらった。
彼女は赤ん坊の時、この家の玄関先に捨てられていたのだそう。当時は、六十歳の月の魔女と呼ばれる魔法使いの老婆が住んでいて、彼女が母代わりになり育ててくれたのだとか。
学校にも通ったことがなく、知識は本で吸収し、魔法等も教わった。
だが、彼女には魔法の才がないので、基本魔法の習得すら難しく、それ以上は無理だと中級以上の魔法は教えてもらえなかったのだそう。
代わりに、薬作りを、小さい頃から叩き込まれた。今は、月の魔女の全ての秘薬の知識を引き継いでいて、この世界で数人しか作れない秘薬すら作れるのだと自慢していた。
だが、そんな高価な薬の需要は皆無。年に数回、媚薬の注文があるだけなんだとか。
需要があるのは、冒険者に必須の治癒薬と万能毒消し。他には痛み止めや、便秘薬、風邪薬等の注文が月に一、二回あるだけで、生活は苦しいという話だ。
その月の魔女の養母も、十三年前、彼女が十九歳の時に死に、その後、街にでて、いろいろな仕事をして働いたらしい。事務員、介護士、女給、売店員、絵画のモデル、ホステス等多種多様な仕事についた。
薬を売るよりお金が稼げ、貯金までできて贅沢できるようになったが、五年前に酷い目に遭い、お金を全て取られ、無一文になった。
それが切っ掛けでここに戻り、それからは一人で、調剤師をやっているのだとか。
なにがあったのかは教えてもらえなかったが、よっぽどの事があったのは間違いない。
その日は、時間もあったので、毒消しの材料集めもした。
薬草は午前中にフェイが集めてあったので、毒を中和する原液となる毒をもつ動物の採取をする。毒蛇、毒蠍、毒蛙、毒虫、蜂等、一匹ずつ集めていく。
危険だからと、採取はフェイが行ったが、蜂には僕も追いかけ回され、何カ所も刺されて大変な目のあった。
小屋に戻ると、早速、その毒袋を取り出し、毒を希釈してネズミに注射する。毒で死ぬネズミもいるそうだが、生き残ったネズミには抗体ができている。そのネズミに更に二回目、三回目と注射することで、その毒により強い抗体ができ、そのネズミから採血し、毒消しの元となる血清ができる。
万能毒消しは、そのいろんな種類の血清を一滴ずつ、毒消し培養液に注いで寝かせて作るのだ。
今回使用する血清は、昔作ってあったものを使い、今日は、万能毒消しも作った。
三日目の午後は、川でタニシの様な貝を集めや魚釣りを行い、四日目は、野鳥用のトラップを作って、鳥を捕まえた。
フェイも、僕がいるとおかずが充実すると喜んでくれ、すっかり恋人同士になってる。
この異世界にそのままの姿で転生してもらえ、彼女に出会えて本当に良かったと女神に感謝した。
その四日目の夜も、お風呂を沸かして入ったが、今回は急に振り向いてきて、覗きがバレてしまった。
「こんな小母さんの裸を覗きたがるなんて、もしかして童貞?」
「違います」 見栄を張った。
「どっちでも、いいわ。薪をくべたら、こっちに来なさい。させてあげるから」
年上のお姉さんは、僕の気持ちを察してくれるから、本当に最高だ。ついに童貞卒業できる。
どれくらいくべたらいいのか分からなかったが、適当に放り込んで、脱衣所に急いだ。
籠は一つしかないので、棚にそのまま脱いだ服を置いて、浴室にはいったら、「冗談でからかっただけなのに、本当に来たの」と呆れられてしまった。
「でもいいわ。こっちにいらっしゃい。洗ってあげる」
ついに正面から、彼女の裸を拝んでしまった。しかも、石鹸まみれの手で、アソコを触ってもらえた。
「凄く硬いのね。健斗も触ってもいいわよ」
女性に擦ってもらえるだけでも大興奮なのに、ついに夢にまで見た生乳房に触れる。
そう思って、ゆっくりと手を伸ばしたところで、僕は限界になっていて、耐えられなかった。
「もう。こんなに早漏だとは思わなかった。ハイ御終い。出してもらえただけでも感謝しないさい」
そう言って、彼女は五右衛門風呂にはいってしまったが、しっかりアソコも拝むことができた。
「いったいどれだけ薪をくべたの。熱過ぎよ」
文句を言われ、僕が頭を洗い始めると、さっと浴室から出て行ってしまった。
お風呂は確かにかなり熱く、童貞卒業はできずに終わったが、大きな前進。
彼女も満更ではなかったみたいだし、近いうちに童貞卒業できると喜んだ。
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探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
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